羽丘の元囚人   作:火の車

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観光

 高速道路を走ること2時間ほど

 

 俺たちは温泉旅行の目的地に着いた

 

 観光地っぽい景観に賑わう人々

 

 結構、良い場所だ

 

琴葉「あなたの運転って、すごく安全ですよね。免許取ったの、最近じゃないんですか?」

環那「運転の感覚なんて、一回目で掴んだよ。あとはその場その場で応用するだけ。難しいことなんかなくない?」

琴葉「私は未だに苦手ですよ。運転。」

環那「いいんじゃない?琴ちゃんは助手席に乗ってればいいんだし。」

 

 この先も、運転を交代する気もないし

 

 無理にするようなことでもない

 

琴葉「そ、それは......///」

環那「ん?」

琴葉「これからもずっと、一緒にいられるということですか......?///」

環那「あたりまえでしょ。」

琴葉「///」

 

 愚問にもほどがある

 

 あの日から、それ以外の選択肢はないし

 

 それに、俺がそれを望んでるんだ

 

 考えるまでもない

 

環那「さてと、旅館に荷物預けて、観光でも行こうか。お昼ごはんもそこで食べよ。」

琴葉「はい。」

 

 俺たちはそう言って、旅館の方に向かった

 

 取り合えず、ご飯美味しいところは目星付けてるし

 

 琴ちゃんの気分に合わせて店に入るか

__________________

 

 しばらく町の中を歩いて、俺たちは海鮮料理のお店に入った

 

 お昼時で客が多いけど、一席相手て助かった

 

 いやぁ、これも日頃の行いのお陰かな()

 

環那「んー、俺はおすすめって書かれてる海鮮丼にするけど、琴ちゃんはどうする?」

琴葉「私も海鮮丼にします。」

環那「りょーかい。すいませーん。」

 

 俺は琴ちゃんの注文を確認し、それを店員に伝えた

 

 店内の状況を見た感じ、少し時間がかかりそうだ

 

 まぁ、琴ちゃんと話してたらいいだけの話だけどね

 

環那「さて、この後はどこにいこうか。」

琴葉「この辺りは何が有名なんですか?」

環那「んー。近くに神社があって、観光客はよく行くみたいだよ。」

琴葉「いいですね、神社。お守りとかほしいです。」

環那「じゃあ、行ってみる?人多いと思うけど。」

 

 琴ちゃんって、お守りとか好きだっけ?

 

 いや、今年は色々あったし、何か欲しいのかな

 

 開運のお守りとか

 

環那「じゃあ、次は神社に行こうか。その次は、歩きながら決めよう。」

「お待たせしましたー。海鮮丼でーす。」

環那「お、来た。(思ったより早かったな。)」

琴葉「ありがとうございます。」

 

 それから俺たちは届いた海鮮丼を食べた

 

 乗ってる魚は思った以上に鮮度が良くて

 

 流石に海に近い場所だと感心した

__________________

 

 “琴葉”

 

 お昼ご飯を食べ終えて、私たちは神社に来ています

 

 敷地が広くて、出店があって、観光客で賑わっています

 

 すごくいい場所です

 

環那「いやぁ、やっぱり混んでるねー。」

琴葉「そうですね。」

環那「手でも繋いどく?」

琴葉「!///」

 

 その言葉に、ドキッとしました

 

 私はもういい大人なのに

 

 こんな、学生みたいな反応をしてしまうなんて

 

 少し恥ずかしいと思いつつ、仕方ないと思ってる自分もいます

 

琴葉「......いいんですか?///」

環那「ダメな理由ある?」

琴葉「その、スキャンダルとか......」

環那「関係ないよ。そんなのいつでも握りつぶせるし。」

 

 さ、さすがに南宮君ですね

 

 私ならこんな簡単に言えません

 

 例え、同じ立場になっても

 

環那「ほら、どうする?」

琴葉「......///」

 

 彼は意地悪そうに左手を差し出してきます

 

 わかってるくせに

 

 すごく手をつなぎたいのに、恥ずかしくて言えないこと

 

琴葉「......ガサガサしてるかもですよ///」

環那「ははっ、可愛い手だよ。」

琴葉「か、揶揄わないでください///」

環那(うん。)

 

 彼はニコッと笑うと、ゆっくり歩きだしました

 

 なんなのでしょうか、この雰囲気は

 

 まるで恋人みたいに甘いです

 

 私たちはそんな関係ではないのに......

____________________

 

 あれからしばらく歩いて、本殿の方に来ました

 

 すごく大きな建物です

 

 別に神社巡りが好きとかそう言うのはないですが、見てみると感動するものですね

 

環那「さーて、お参りでもしますかー。」

琴葉「あなた、神とか信じてるんですか?」

環那「え、煽り倒してやろうかなって。」

琴葉「あなたはもう流石ですね。」

 

 彼には恐れることなんて何もないんでしょう

 

 やはり、私とは作りが違います

 

環那「琴ちゃんはどう?神とか信じてる?」

琴葉「神よりも、あなたを信じています。」

環那「ははっ、気分いいね、それ。」

 

 神が私を助けてくれた試しなんてありませんし、神はいなくても生きていけます

 

 そう言う意味では、私にとっては彼の方が大切で、信じるべきものです

 

環那「じゃ、2人して煽りに行こうか。」

琴葉「はい。」

 

 私たちはそんな会話の後、賽銭箱の前に立ちました

 

 取り合えず、持ってた5円玉を投げ入れて

 

 手を合わせました

 

琴葉(神なんて信じてませんけど、もし、いるとしたら......彼と私を引き離さないでください。彼さえいれば、私は......)

 

 私ってやっぱり重いですよね

 

 薄々感じてはいましたが

 

 人生を生きるのに、南宮君に依存してしまうなんて

 

琴葉(南宮君は......)

環那「いつかぶっ殺してやるよ。」

琴葉「なかなか恐ろしいこと言ってますね。」

環那「冗談だよ。半分は。」

琴葉「半分本気じゃないですか。」

環那「まぁね。(お、ちょっと元気出たかな。)」

 

 彼はやはりハチャメチャです

 

 でも、だから楽しい

 

 彼がいなかったら、今頃、私は......

 

環那「じゃ、なんかお土産でも買って行こうかー。」

琴葉「私、お守りとか見たいです。」

環那「オッケー。」

 

 私たちはすぐ近くにある社務所の方に行きました

 

 本殿が大きいだけあって、社務所も大きいです

 

 それに、お守りの種類も多いです

 

環那「好きなの買ってもいいよ。どれがいい?」

琴葉「そうですね......」

 

 私は並んでるお守りを眺めました

 

 どれもすごく綺麗で、可愛いです

 

 そんな中、一つのお守りが私の目に留まりました

 

琴葉「これ、可愛いです。」

環那「!」

 

 私が手に取ったのは、ピンク色のお守りでした

 

 可愛い狛犬の刺繡がされていて、他にもお花の模様があります

 

 形状も、ふっくらしていて可愛いです

 

環那「んー。」

琴葉「どうですか?」

環那「まぁ、可愛くはあるね。うん。」

琴葉「?」

 

 彼の反応がおかしいです

 

 何か、問題があるのでしょうか

 

 私はそう思って、手に持ってるお守りを見ました

 

琴葉「......あれ?」

 

 ちゃんとお守りを見てみると、そこには「安産守」と書かれていました

 

 つまり、これは、安全祈願のお守りと言う事です

 

 と言うことは......

 

琴葉「~!///」

環那(あー、やっぱり気づいてなかったかー。)

琴葉「す、すみません、他のに__」

「旦那様とご一緒ですか?」

環那「!」

琴葉「!?(だ、旦那様!?///)」

 

 私たちがそんなやり取りをしていると、巫女さんが話しかけてきました

 

 って、今、旦那さまって言われましたよね?

 

 私たち、夫婦に見えてるんですか?

 

 結構、年齢差あるのに

 

琴葉「え、えっと、この人は__」

環那「そうなんですよー。」

琴葉「!?///」

「まぁ、そうなんですね!」

 

 な、何言ってるんですかこの人!?

 

 気でも狂いましたか?

 

 私たちはそんな関係じゃ......

 

「そのお守りは、もしかして?」

環那「ははっ、そこはプライベートな話なので。ただ、あなたは間違っていないとだけ。」

「それはそれは、おめでとうございます!」

環那「ありがとうございます。」

 

 す、すごいです

 

 ここまでの話は全部嘘なのに、彼の心音は変わりません

 

 呼吸をするように嘘をついてます

 

「あっ、あんまり話過ぎても、お邪魔になりますね。」

環那「いえいえ、そんなことないですよ。」

「優しい旦那様ですね。奥様も幸せでしょう。」

琴葉「え、そ、そうですね。」

「ふふっ、お二人が幸せであることを神に祈っておきますね。お幸せに。」

環那「どうもー。」

琴葉「あ、ありがとうございます。」

 

 巫女さんはそう言い、どこかへ歩いていきました

 

 やけにコミュニケーション能力の高い巫女さんでしたね

 

 って、そうじゃなく!

 

琴葉「な、なんですか今の///私たちは///」

環那「まぁ、いいじゃん。」

琴葉「よくないですよ///あなたには......」

環那「別に、あれが嘘とは限らないし。」

琴葉「え......?///」

 

 彼はそう言い、悪戯っぽい笑みを浮かべました

 

 私はその言葉と表情を見て、心臓が飛び跳ねました

 

 こんな風に彼が言うなんて.......

 

環那「どうする?そのお守り、買っとく?」

琴葉「......はい///」

 

 そう頷くと、彼はそのお守りを購入しました

 

 その後、私たちは神社から出て、他の場所の観光に行きました

 

 ですが、あの会話を思い出して、恥ずかしくて

 

 なんだかたどたどしくなってしまって、そのまま時間が過ぎていきました

 

 

 

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