羽丘の元囚人   作:火の車

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3年後

 日差しが昇る空をかける飛行機

 

 ファーストクラスを取ったから、結構快適で

 

 周りはみんな寝てるのか、すごく静かだ

 

環那(やーっと、帰ってこれた。)

 

 俺はそんな中、そんなことを考えていた

 

 なんだかんだで、仕事も大学も3年で片付いた

 

 これで、安心して日本で暮らせる

 

環那(琴ちゃん、元気かな。まぁ、昨日の電話の時も元気そうだったけど。)

 

 あの子、ほんとに3年間毎日、俺に連絡をしてきた

 

 偶に高校時代の友達とかいたけど

 

 結構、楽しかったな

 

『__みなさま、ただいま、成田空港に着陸いたしました。これよりスポットへと移動いたします。飛行機が安全に停止するまで、どうぞお席にお座りのままお待ちください。』

環那(やっとついたか。)

『本日の日本は小春日和のあたたかで穏やかな1日を迎えております。これも、世界に誇る、日本の天才をお迎えする日だからかもしれません。』

 

 アナウンスはそう言って、事務的な放送を流していく

 

 てか、絶対にあれ、俺のことなんだよね

 

 変に向こうで有名になっちゃったから......

 

 俺、お忍びで帰ってきてるんだけど

 

環那(余計なことを......)

 

 俺は大きなため息をつきながら、飛行機が停止するのを待った

 

 取り合えず、今日は琴ちゃん仕事だろうし

 

 学校に会いに行くか

__________________

 

 “琴葉”

 

 彼が海を渡ってから、3年の月日が流れました

 

 私は現在29歳、今年で30歳になります

 

 ですが、今は年齢で悲観的になることはありません

 

 だって、私には世界一の旦那様がいるんですから

 

琴葉(彼は、私が思った以上にすごいことをしましたね。)

 

 彼の活躍は日本にも、と言うより、世界的に取り上げられました

 

 この3年間で、彼はいくつもの紛争を終戦させ、貧困地域の支援

 

 彼の会社自体も海外進出が成功し、今や世界トップクラスの企業になって

 

 それに加えて、世界最高峰の大学を過去最高成績で卒業したんですから

 

 正直、異次元過ぎてよくわかりません

 

琴葉「はぁ......」

 

 私の旦那様、すごすぎませんか?

 

 毎日、ビデオ通話で話してたんですけど

 

 なんだか段々かっこよくなっていったんですよね

 

琴葉(早く、帰ってきませんかね。)

エマ「琴葉、おはよう。」

琴葉「あ、おはようございます!」

 

 すごいと言えば、エマちゃんもです!

 

 エマちゃんも東大の理科Ⅲ類に合格して、今は医学部に所属しています

 

 正直、共通テストも第2次学力試験も満点で突破していて、顎が外れそうになりましたが

 

 まぁ、彼の妹なので仕方ないですね

 

琴葉「今日も実習ですか?」

エマ「うん。」

琴葉「頑張ってますね。あの人も喜んでますよ。」

エマ「それなら、嬉しい。」

 

 エマちゃんもここ数年ですごく成長しました

 

 身長が伸びて、顔も大人びて、スタイルも良くて......

 

 一度テレビで医学会の女神と紹介されていました

 

 本人は全く興味なさげでしたが

 

エマ「私はもう少しゆっくりできるし、琴葉はもう仕事でしょ?」

琴葉「はい!そろそろ出ますよ!」

エマ「じゃあ、ある程度の家事は私がしておくよ。」

琴葉「ありがとうございます!」

 

 私はエマちゃんにお礼を言ってから、家を出ました

 

 今日はなんだか、すごく天気がいいです

 

 何かいいことでもありそうですね

__________________

 

 学校に来て最初に仕事は、生徒の皆さんへの挨拶です

 

 校門の前に立って、新入生の皆さんを迎えています

 

 この時間は何度やっても楽しいです

 

 今年も個性豊かな生徒が集まってますし

 

琴葉(まぁ、彼がいた時ほどではないですけど。)

 

 あの代は歴代でもダントツで印象に残っています

 

 ていうか、主にあの兄妹2人に生徒会長の氷川さんなんですけど

 

 今思えば、滅茶苦茶してましたね

 

琴葉(今年は1年生の担任ですし、頑張らないとですね!)

「__うわっ、懐かしー。全然変わんないじゃん。この校舎。」

琴葉「え?」

 

 心中で意気込んでいると、声が聞こえました

 

 聞いただけで胸が高鳴って、幸せで、心の底から待ちわびた

 

 どこか緩さを感じる、男性の声......

 

琴葉(もしかして__)

環那「やっほー。」

 

 ヒラヒラと手を振りながら、こちらへ近づいてきます

 

 私はそれを見て、一目差に駆け出して

 

 そのままの勢いで、彼に抱き着きました

 

環那「おっと。」

琴葉「あなた!///おかえりなさい!///」

環那「うん、ただいま。相変わらず、可愛いね。琴葉。」

 

 そう言って、彼は私を抱きしめてくれました

 

 幸福感で、頭がおかしくなりそうです

 

琴葉「い、いつ帰ってきたんですか?」

環那「さっき。空港から直接来たんだ。」

琴葉「そうなんですね!」

 

 生身に彼と会うのが久しぶりで、何から話していいか分かりません

 

 いや、何かを話す必要もないです

 

 ただ、一緒にいられれば

 

「おい、あれって南宮環那じゃない?」

「え?マジじゃん!?」

「テレビで出てた、あの!?」

「ていうか、あの2人ってどういう関係!?」

「いや、南宮って名字同じだから......まさか!」

 

 周りから、色んな声が聞こえてきます

 

 そう言えば、彼のこと、全然話してなかったですね

 

 名字は変えてましたけど、特に突っ込まれなかったですし

 

環那「あれ?もしかして俺、有名人?」

琴葉「そうですよ。今や、日本が誇る天才として、世界中で有名ですよ。」

環那「そう言う事になってるんだ。まぁ、いいや。」

周り(軽っ!!!)

 

 彼と抱き合ったまま会話を繰り広げ

 

 周りの生徒は全員、足を止めてこちらを見ています

 

 そう言えば、ここが学校の前だと忘れていました

 

 つい、嬉しくなって......

 

琴葉「い、一旦、離れましょうか......///」

環那「そう?別にこのままでもいいんだけど。」

琴葉「一応、仕事中なので......///」

環那(琴ちゃんから来たのに。)

 

 私は一度、彼から離れました

 

 私は大人なんですから

 

 家に帰ってから、思う存分甘えましょう(大人?)

 

琴葉「こ、コホン///それで、どうしますか?///久しぶりに学校、見ていきますか?///」

環那「そうしようかな。琴ちゃんと一緒に帰りたいし。」

琴葉「じ、じゃあ、ついてきてください///」

環那「はーい。(顔真っ赤じゃん。)」

 

 私は彼を連れて、学校の中に入りました

 

 久しぶりに彼を見た理事長と校長は、まるでトラウマの対象でも見たかのような顔をしていましたが

 

 快く(?)校内の見学を許してくれました

__________________

 

 “環那”

 

 久しぶりに羽丘に来たけど、結構懐かしく感じる

 

 時間にしてみれば1年もいなかったんだけど、今思ってもすごく濃い1年だったからね

 

 向こうにいた3年間と比にならないくらい

 

琴葉「__それでは、全員出席していますね!それでは、私から自己紹介の方を!」

 

 俺は今、新1年生の教室にいる

 

 久しぶりに教師をしてる琴ちゃんを見た

 

 3年前から変わらず、良い顔をしていて、続けてもらえてよかったって思う

 

琴葉「このクラスの担任になりました!南宮琴葉です!皆さん、よろしくお願いします!」

環那「ふふっ。」

 

 多分、婚姻届け出してからずっとこう名乗ってるんだろうなー

 

 なんだか、慣れみたいなものを感じるもん

 

「えっと、南宮ってことは......」

琴葉「はい!後ろにいるのは、この学校の卒業生で、私の旦那様です!」

(ま、マジか......)

(あの南宮環那と結婚って、どんなことしたら出来るんだろう.......?)

(先生、美人だもんねー。)

 

 生徒全員が俺と琴ちゃんを交互に見てる

 

 まぁ、俺って今、有名人らしいし

 

 そう言う事もあるんだろうね

 

琴葉「折角ですし、あの人に何か質問してみたい人いますか?一応、うちの学校のレジェンド卒業生ですけど。」

クラス『はい!』

琴葉、環那「多い。」

 

 てか、クラス全員、手挙がってるじゃん

 

 積極的でいいね

 

 高校生はこうでなくちゃ

 

琴葉「それでは、こっちに来て、色々応えてあげてください。」

環那「はいはい。」

 

 俺はそう言いながら、琴ちゃんのいる教卓の方に歩いた

 

 それで、質問に答えていったんだけど

 

 俺の海外での話とか、留学先の過ごし方とか、年収とか、琴ちゃんの好きな所とか

 

 いろんなことを聞いてくれて、結構楽しい時間を過ごした

 

 

 

 

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