Roseliaのライブの前日
俺はリサと屋上にいる
リサは俺の肩に頭を乗せ
楽しそうに鼻歌を歌っている
環那「リサ、なんだか楽しそうだね。」
リサ「うん!明日ライブだし、皆すごく気合入ってるし!」
環那「そうなんだー。」
俺は暢気な声でそう言った
いやー、とうとう明日だねー
友希那達は相当気合入ってるし
これは、良いライブをしてくれそうだ
リサ「あたしも環那が来るって言うし、すごい楽しみ!」
環那「いやー、たまたまチケットが手に入ってねー。リサや友希那の成長を見るのもいいかなと思ってー。」
リサ「親目線だね。」
リサは笑顔でそうツッコんできた
相当嬉しいんだろうね
全く、昔から素直な子だよ
リサ「あたし頑張るからさ、終わったらご褒美ちょうだい!」
環那「ご褒美?」
リサ「うん!」
環那「ご褒美かー。まぁ、何か考えておくよー。」
って、また安請け合いしちゃったよ
リサに頼まれると断れないんだよね
可愛い幼馴染だからね
リサ「環那も楽しみにしててね!」
環那「......うん、楽しみにしてるよ。」
そう答えて、俺は目を瞑った
リサに対する罪悪感はある
でも、こうするほかなかった
そうしないと、檻から出た意味がないから
環那「リサ。」
リサ「なに?__んぅ///」
俺はリサがこっちを向いたと同時にキスをした
罪悪感は消えないけどマシにはなる
あくまでも自己満足だ
しばらくして、俺は唇を離した
リサ「か、環那からって、めずらしいね......?///」
環那「そう?まぁ、偶には良いんじゃない。」
俺はそう答えてまた目を瞑った
それからはリサとしばらくゆっくりして
昼休みが終わるギリギリまで屋上にいた
__________________
”友希那”
ライブ前日、私は最後の調整を終えて
ベッドの上に座った
そして、口角を少し上げた
友希那(終わりよ、南宮環那。)
笑いが止まらない
これで全部が元に戻る
あいつはいなくなって、リサも帰って来る
そうすれば、また頂点を目指せる
友希那(精々、人生最後の日を楽しむことね。南宮環那......!)
私は明日の事を思いながら笑った
早く、明日になってほしい
ただただ、そう思った
__________________
”環那”
ライブの日になった
俺は事前に調べておいたライブハウスに来て
貰ったチケットで受付を済ませた
初めて入ったけど、ここはいい場所だねー
人が多くって活気があって
来る人はみんな笑顔だ
環那(こんな所でライブするんだー。)
ステージを見てそう思った
昔は公園で歌って演奏してた友希那とリサ
今じゃこんな多くの人に期待され
そして、こんな素敵なステージで演奏する
幼馴染たちの成長を感じる
あこ「__か、環那兄......」
環那「ん?あこ?って、そこから出てくるの?」
2階の一番上からステージを見てると
後ろの関係者以外立ち入り禁止のドアからあこちゃんが出て来た
ライブ前なのにどうしたんだろう?
あこ「ちょっと来て。」
環那「うん?」
俺は真剣な顔のあこちゃんにそう言われ
入っていいのか?と思いつつドアに入った
__________________
あこちゃんは衣装を身に纏っている
紫主体で大きなリボンが付いた衣装だ
いやー、可愛らしいねー
あこちゃんの趣味的に好きそう
環那「どうしたの?」
あこ「あこ、りんりんから聞いたの。今日のライブの事......」
環那「!(燐子ちゃん、話しちゃったか。)」
俺は少しだけ動揺した
あこちゃんには知られたくなかったな
純粋な子供には少し内容が黒いし
何より、迷う事が目に見えてるから
あこ「リサ姉は知ってるの......?」
環那「知らないよ。」
あこ「!」
あこちゃんは目を見開いた
こんな顔は見たくなかったな
元はと言えば俺が悪いんだけど
俺がそう考えてるとあこちゃんが口を開いた
あこ「......あこ、ライブしたくない。」
環那「え?」
あこ「友希那さん、環那兄にすごいこと言ってた......あこ、あんな事のためにライブしたくないよ......」
環那(......全く、業が深いな。)
恨むよ燐子ちゃん
あこちゃんにまで知らせなくていいのに
知らなければ、こんな顔はしなかったのに
環那「大丈夫だよ、あこちゃん。」
あこ「え......?」
環那「俺は大丈夫。何とかする。」
あこ「で、でも......」
環那「あれ、あこちゃん知らないの?」
俺は首をかしげながらそう言った
あこちゃんは首をかしげてる
俺はそんなあこちゃんに笑いかけながらこう言った
環那「俺、友希那に喧嘩で負けたことないんだ。」
あこ「え、そうなの......?」
環那「そうそう。俺、昔から友希那より頭良かったから。」
あこ「そうなんだ......じゃあ、大丈夫なの?」
環那「そうそう、大丈夫大丈夫。」
俺はあこちゃんに笑いかけた
あこちゃんは少しだけ明るい顔になって
少しだけ飛び跳ねた
あこ「じゃあ、あこ、頑張る!なんだか元気出て来た!」
環那「よかった、頑張ってね。」
あこ「うん!じゃあねー!環那兄!」
環那「......うん、またね。」
あこちゃんは元気に走って行った
よかった、素直な女の子で
簡単に嘘を信じてくれた
環那(今まで負けたことないだけで、今日勝つとは一言も言ってないんだよ。あこちゃん。)
俺はそんな事を考えながらドアを開け
さっきいた位置に戻ってまたステージを見つめ
ライブの開始を待った
__________________
しばらくするとライブが始まった
メンバー紹介から何か威厳を感じられ
いつもじゃ見れない友希那とリサだ
クールで地震に満ち溢れた表情
俺がいない間に手に入れた新しい一面
これを見れるのは幸せだね
友希那『__それじゃあ一曲目、LOUDER。行くわよ。』
環那「!?(ら、LOUDER!?)」
俺は曲名を聞いて驚いた
LOUDERは友希那のお父さんの曲だ
昔、一度だけ聞いたことがある
あの時は憧れの表情を浮かべていたのに
まさか、友希那がこれを歌うだなんて
環那(そっか、こんなのも歌えるようになったんだ。)
昔から考えれば驚きだ
まだまだ拙かった友希那の姿を知ってる
だからこそ、この成長には感動する
これまでの時間の密度、練習の量を感じられる
そっか、頑張ったんだね
環那(これなら、心配ないね。)
俺は笑みを浮かべた
檻から出て来た甲斐があったよ
俺が思ってた以上に環境は変わってたみたいだ
そんな事を考えながら演奏を聞いてると
何か......違和感を感じた
環那(......揺れてる?)
ライブ会場自体が人の声が揺れてるからわかりずらい
けど、少しだけ不自然だ
まさか......
環那(待てよ、エマの言ってきたあれが......だとしたら。)
エマの言っていたのがこれだとしたら
いやでも、情報源は......
環那(......あっ。)
エマの医療で成果を残してる
つまり、有力な情報が入る可能性は高いって事だ
って、ことは......
環那(ヤバい......!)
俺は急いでステージの方に向かった
イヤな予感なんか当たらないでいい
出来れば、俺がそそっかしいやつで終ってくれ
__________________
”友希那”
......勝った
全力でやった、そして最高の結果が来た
これなら、価値がないなんて言いようがない
やった、やったわ......!
友希那(終わりよ、南宮環那__?)
ガシャン!
ライブの途中、少し遠くでそんな音が聞こえた
そこから、段々、会場がおかしくなっていった
どこか異様な空気が漂っている
リサ「な、なに!?」
燐子「揺れて、ます......!」
友希那「!!」
冷静になって、周りの状況をやっと掴めた
会場が揺れてる
盛りあがりでじゃなく、何か他のもので
「じ、地震だ!!」
そんな声が聞こえた瞬間ゴゴゴっという音が聞こえて来た
まるで建物が縦に振られてるように揺れ
私は足元がおぼつかなくなっていった
紗夜「頭を守ってください!ステージ裏なら隠れられます!」
あこ「り、りんりん!こっち!」
燐子「あ、あこちゃん......!」
紗夜たちは何とか足を動かして避難していく
私も避難しないと
そう思い、私は一歩足を踏み出した
友希那「っ!!!」
リサ「ゆ、友希那!?」
あこ「友希那さん!」
友希那(し、しまった!)
その時、私は本格的に足元がおぼつかなくなり
その場で尻もちをついてしまった
立ち上がろうとしても揺れてるせいか立てない
友希那(早く、逃げないと__っ!!!)
ガキン!!
私が立ち上がろうとした時
丁度頭の上から嫌な音が聞こえた
リサ「ゆ、友希那!逃げて!!!」
友希那(そ、そう言われても......)
逃げたいけれど
なぜか、立ち上がれない
まるで金縛りにでもあってるかのように足が震えて動いてくれない
それでも私は足を動かそうと藻掻いた
紗夜「湊さん!!」
友希那「あっ......」
ガキン!っとまた嫌な金属音が鳴った
でも、今度は意味が違う
私の目には天井の照明......
いや、数えきれないほどのものが落ちてきてる
友希那(し、死ぬ......)
頭の中にそればかりが浮かぶ
こんなのの下敷きになったら死んでしまう
逃げないと
そう思っても、脚は全く動いてくれない
リサ「友希那ー!!!」
リサはこっちに来ようとしてる
私はそれを見てリサの方を見て叫んだ
友希那「き、来てはダメ!!リサまで__」
環那「__全く、友希那は仕方ないなぁ。」
友希那「っ!?」
”環那”
イヤな予感は当たるものだね
でも、そのおかげで間に合ってくれた
流石にこの中で動くのは骨だったけど
ここまで来れば何とかなる
友希那「なぜ、あなたが......!?」
環那「違和感を感じたから走ってきたんだよ。」
友希那「っ!」
俺は友希那に足を引っかけ押し倒した
多分、これなら全部覆い隠せてる
俺は友希那に笑いかけ、歯を食いしばった
環那「__うぐっ!!!」
友希那「な、何を!!」
リサ「か、環那!!」
その瞬間、背中に熱いのかよく分からない感覚があった
熱を帯びた照明が背中に落ちて来たんだ
そこから、どんどん金属が落ちてきて
背中には断続的に痛みを感じる
環那「友希、那......?」
友希那「な、なに......」
環那「よかった、大丈夫、みたいだね......」
リサ「か、環那!友希那!逃げて!!瓦礫落ちてくる!!」
環那「っ!!(マジか!!)」
俺は天井の方を見た
そこからはまぁまぁな量の瓦礫が落ちてきてる
マズい、これは逃げられないぞ
これ、俺、助かるかな......
いや......
環那(無理かも。)
友希那「早く逃げなさい......!!このままじゃ__」
環那「賭けは友希那の勝ちだ。だから、友希那だけは絶対に助ける。」
友希那「え__」
環那(友希那は、覚えてる?)
聞こえてくる
この地震の雑音と瓦礫が落ちる音すら
俺の遠い記憶のあの美しい歌声に
環那(覚えてないよね。いや、それでもいい。あれは俺だけの思い出だから__)
俺はそっと目を閉じた
その時、俺の上には瓦礫の雨が降りしきり
右腕にこれまでにない激痛を感じ
段々と俺の意識は薄れていった