羽丘の元囚人   作:火の車

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誘い

 今日は12月20日

 

 カンナさんとのデートまで、あと4日です

 

 ここ数日は楽しみで、ずっと浮足立っていました

 

 そんな状況でしたが、何とかここまで来ることが出来ました

 

 今は、デートに着ていく服を選んでいます

 

イヴ(どんな服を着ていけばいいでしょうか?)

 

 よくよく考えれば、私はカンナさんの好みを......いえ、カンナさんのことをよく知りません

 

 いつも、私のことを可愛いと言ってくれて、何かを否定されたこともありません

 

 なんとなく、カンナさんを理解した気でいましたが、実際はそんなこともなくて

 

 むしろ、秘密が多い人です

 

イヴ(考えれば考えるほど、不思議な人です。)

 

 リサさんですら知らないことがあるくらいですし

 

 私ではまだ、全然、理解できていません

 

 でも、これから、たくさん一緒にいれば、理解していけるはずです

 

 そのための、今回のデートです

 

イヴ(恐らく、答えはこのデートで出る......)

 

 これからも一緒にいられるか、それとも終わってしまうのか

 

 カンナさんはもう、決まっているはずです

 

 きっと、このデート中にその答えを教えてくれます

 

 私はそう考えると、少し、全身に力が入りました

__________________

 

 “環那”

 

 12月24日の夕方ごろ

 

 世間ではクリスマスイブと呼ばれる日だ

 

 そんな日に、俺は彼女を迎えに、車を走らせてる

 

環那「ふんふふーん。(おっ。)」

 

 見慣れた家屋が見えてくると、その前に一際目立つ、宝石のように輝く女の子が立っていた

 

 フロントガラスを挟んでも、あの輝きは遮れないらしい

 

環那(さて。)

 

 目的地に着くと、俺は車を止め、外に出た

 

 そして、待ってくれている彼女の方へ歩き

 

 出来るだけ、穏やかな笑みを浮かべた

 

環那「お待たせ。」

イヴ「私も今出てきたところですよ!」

環那「そっか。(ふむ。)」

 

 チラっと視線を下に移し、彼女の手を見た

 

 指先が赤い

 

 ついさっき出て来たというには、無理があるかな

 

 そんなことを考えながら、俺は彼女の手を取った

 

イヴ「!///」

環那「行こうか。デート。」

イヴ「は、はい!///」

 

 俺はそのまま、車のドアを開け、彼女を乗せた

 

 さて、いつも以上に安全運転しないとな

 

 万が一にも、事故に遭わせるわけにはいかない

__________________

 

 “イヴ”

 

 出発してから40分ほどが経ちました

 

 カンナさんの車は、なんだかすごいです

 

 全く揺れを感じないですし、シートの座り心地もいいです

 

 もしかしなくても、この車、すごく高級なんじゃ......

 

イヴ(か、考えないようにしましょう。)

環那「乗り心地は大丈夫?飲み物はそこにあるし、軽食も用意してるよ。あ、温度も言ってくれれば調節するよ。」

イヴ「だ、大丈夫です!カンナさんの運転もすごく上手ですし!」

環那「そう?このくらい普通だけど、気に入ってくれたようでよかった。」

 

 か、完璧すぎます

 

 と言うより、私、何もできてません

 

 いや、今に始まったことではないんですが......

 

イヴ「カンナさんといると、男性への基準が高くなりすぎてしまいそうです......」

環那「そっか。それは、よかった。」

イヴ「え?」

環那「気にしないで。ほら、窓の外、見てみて。」

 

 私はさっきの言葉が気になりましたが、言われた通り窓の外を見ました

 

 この車の助手席は右側なので、景色がよく見えます

 

 そこには......

 

イヴ「わぁ!」

 

 そこには、きれいな海が広がっていました

 

 夏とは違う、少し落ち着いた色に見えます

 

 この海も、すごく綺麗です

 

 静かに輝いていて

 

環那「今日のデートはこの海に関係するからね。遠くからの景色も楽しんでみて。」

イヴ「すごく綺麗ですね!って、海に関係するデートですか?」

環那「うん。やっぱり、俺たちは立場上、普通のデートをするわけにもいかないからね。そこで、マスコミが来れない場所に行けばいいって考えてね。」

イヴ「?」

 

 ど、どう言う事でしょうか?

 

 カンナさんの言いたいことは分かりますが

 

 それでも、マスコミの方が来ない場所とは......

 

環那「さぁ、もう少しだ。のんびり、会話を楽しみながら行こう。」

イヴ「はい!」

 

 それから、私はカンナさんとの会話を楽しみました

 

 正直、カンナさんの運転している車に乗っているだけでも、かなり嬉しいのですが

 

 まだまだ、デートはここからですよね!

 

 私、まだ何もできていませんし......

__________________

 

イヴ「__へ......?」

 

 車を駐車場に止めて、デートの目的地に着きました

 

 ですが、私はそこで呆然としています

 

 人間と言うのは、自分の理解できないものを見ると、何も考えられなくなるんですね

 

環那「内緒話をしたい人が数多く集まる船だよ。」

イヴ「そ、そうなんですか?」

環那「この船のチケットは入手ルートが特殊でね。マスコミ関係者はまず入れない。その上に雰囲気も良くて、食事も個室も質が高い。絶好のデートスポットだね。」

イヴ「そ、そうですね。」

 

 確かに、ここなら、カンナさんの近くにいても安心ですね

 

 ですが、カンナさん、どうやってこんな場所を見つけてるのでしょうか?

 

 私は全く知らなかったです

 

 チサトさんは知ってるのでしょうか?

 

環那「さぁ、行こうか。少し、普通とは違うデートへ。」

イヴ「っ!///」

 

 左手を差し出し、そう言うカンナさんの表情は、まるで悪戯をする前の子どものようでした

 

 好きな人のそんな表情と、少し非日常なデート

 

 そんな状況に、私はすごくドキドキしてしまいながらも、カンナさんの手を取りました

 

 

 

 

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