海っていうものは、なんとなく、夏に行くイメージがある
少なくとも、冬に進んでいく場所と言うイメージはないね
でも、冬の海と言うのも趣がある
少し冷たい色をしてる海も、芯まで冷やされるような風も
どちらも、夏では味わえないものだと思う
冬に船の旅をするというのも、趣深いものだと思う
イヴ「わぁ!ここが今日お泊りするお部屋なんですね!」
環那「なかなかいい部屋だね。」
取り合えず一番高い部屋にしたけど、期待通りだ
気密性、快適さ、どちらとも十分
ていうか、バルコニーまでついてて、ほぼホテルの一室と変わらないな
イヴ「こんなお部屋、初めて泊まります!」
環那「そうなんだ。でも、それはもう、珍しいことじゃないかもしれないよ。」
イヴ「え?」
環那「俺、出来るだけ綺麗な部屋で寝泊まりしたいから。」
そうなると、必然的にグレードの高い部屋に泊まることになる
だから、このくらいの部屋は何も珍しくない
イヴちゃんにとってもね
環那「まぁ、いいや。食事まで時間があるけど、何かしたいことはある?」
イヴ「なんだか、ゆっくりしたい気分です!カンナさんも運転で疲れているでしょうし!」
環那「そっか。じゃあ、海でも眺めながらゆっくりしよう。お茶を淹れるよ。ゆっくり座ってて。」
俺はそう言って、ポットの前に歩いて行った
予約したときに色々と頼んでおいたし、お茶もお菓子も色々ある
金さえ払えば何でも注文聞いてくれるなんて、良い場所だ
環那(お湯の温度はこれくらいかな。で、後はティーパックを入れて。クッキーを皿にのせて。)
そんな準備を済ませて、イヴちゃんの待ってるテーブルの方に歩いた
紅茶の香りが鼻孔をくすぐる
なんだか、心が落ち着くようだ
環那「お待たせ。」
イヴ「わぁ!すごくいい香りですね!」
環那「結構、評判良いらしいよ。まぁ、百聞は一見に如かずだ。飲んでみないとね。」
イヴ「そうですね!」
俺はそう言いながら席に着き、そして、紅茶を飲んだ
それとほぼ同時にイヴちゃんも紅茶を飲み始めた
イヴ「美味しいです!なんだか、ホッとします!」
環那「中々だね。」
イヴちゃんに出しても差し支えないレベルだ
高級を謳ってるだけはある
他の紅茶とは明らかな違いがあるね
環那「クッキーもあるから、どうぞ。」
イヴ「いただきます!」
イヴちゃんはクッキーを一枚つまんだ
ジンジャークッキーが好きらしいから、用意してもらったけど
果たして、気に入ってくれるか
イヴ「美味しいです!しかも、私の好きなクッキーです!」
環那「そっか。それはよかった。」
イヴ「カンナさんも食べてみてください!あーん!」
環那「!」
驚いたな
この子、これを自然にしてるの?
油断ならないな......
そんなことを思いながら、差し出されたクッキーを食べた
環那「......うん。美味しいね。すごく。」
イヴ「そうですよね!2人で食べるともっと美味しいです!」
環那「そうだね。(ほんとに、もう......)」
マズい
俺の本能が制御から外れようとしているのが分かる
この感情はよく知っている
この一年、何度も感じてるんだから
環那(困ったな......)
“イヴ”
カンナさんが固まってしまいました
どうしたんでしょうか?
何か考え事をしているのでしょうか?
環那「イヴちゃんは可愛いね。」
イヴ「え!?///」
環那「最近、よくそう思うんだ。イヴちゃんと会うのを楽しみに思ってることが多くなった。」
カンナさんにそう言われて、私は体が熱くなりました
会うのが楽しみ......そんな風に思ってくれていたなんて
少しは、私の存在はカンナさんの中で大きくなれたのでしょうか
イヴ「じゃあ......」
環那「?」
イヴ「私の正式にお付き合いしてくれますか?」
私はそう尋ねました
これは、ワガママだと思います
カンナさんと仮にとはいえお付き合いしているのに、あの日以降、私に触れてはくれません
所謂、欲求不満なんです
だから、ワガママになってしまいます
環那「やっぱり、気付いてたみたいだね。このデートがその答えを知る場だってこと。」
イヴ「はい。だから、覚悟してきました。」
環那「いい予測だと思うよ。でも、そうだな、全部は見えてないみたいだ。」
イヴ「え?」
全部は見えてない?
それは、どういう事でしょうか?
何か、他に何かあるのでしょうか?
環那「まっ、答えは今じゃなくてもいい。お昼にって言うのも、いささか雰囲気に欠ける。」
イヴ「そ、そうですか。」
環那「こう見えて、意外とロマンチストなんだ。」
イヴ「あ、あまりそういうイメージはありませんけど......」
環那「え!?」
私がそう言うと、カンナさんはひどく驚いていました
私たちのイメージでは、カンナさんは周りなんて気にしないで、自分の道を突き進む
その場の雰囲気も何もかもを変えてしまう
そんなイメージがありました
環那「結構、雰囲気とか大切にしてると思ってたのになー。」
イヴ「ふふ。カンナさんには一番似合わないかもしれませんね。」
環那「えー。まぁ、意図して空気を壊すことも多かったし、仕方ないかー.......」
イヴ「でも、そうですね。カンナさんはそう言う事も出来ますよね。」
環那「?」
イヴ「今はこれ以上は何も聞きません。カンナさんのタイミングまで、楽しみに待ちます。」
環那「そうだと助かるよ。イヴちゃんに楽しんでもらうのが、一番の目的だからね。」
そんな会話の後、私たちはお茶を飲みながら、色々な話をしました
この先の結果なんて、今は分かりません
そもそも、私が決められることでもありません
その時まで、カンナさんと楽しく過ごしましょう
後悔のないように