今日、俺は弁当の準備をしていない
この家に来てからほぼ毎日準備してきたから、なんだか違和感がある
なんで準備をしてないかって言うと、4人が俺に弁当を作りたいと言ってきたからだ
何ともいい彼女たちだと思う
環那(さて。)
弁当の中身は空けるまで秘密
誰が作るかも直前まで聞かされない
まぁ、琴ちゃんの日は分かるんだけどね
同じ家に住んでるし
環那(今日は誰のかな。まぁ、大体分かるんだけど。)
“リサ”
環那へのお弁当作りの初日はあたし!
やっぱ、普段からよく作ってるしね
安心安定ってことで!
環那「まぁ、予想通りだね。」
リサ「反応薄くない!?」
環那「初日リサじゃない方が驚いてたよ。それくらい、今日がリサなのは必然なのさ。」
リサ「うぅ、なんか納得いかない......」
環那ってそう言うとこあるよね
なんでも予想しちゃうって言うか......
環那「4人の中で一番料理してるのはリサだろうから、流石に他の3人と比べれば一枚上手っていうのは予想しやすい。リサの腕は俺も買ってるしね。」
リサ「も、もうっ///なんか、誤魔化されてるような気がする......///」
環那「そんなことないよ。」
環那はそう言うと、腰を下ろした
その隣にあたしも座る
屋上に人が少なくて良かった
こんなに近くにいても誰にも見られないし
環那「さっ、お手並み拝見といこう。」
リサ「今日のは自信作だよー!」
環那「ふむ。」
環那はそう言いながらお弁当箱を開いた
今日のメニューはシンプルにのりべん!
いろいろ工夫して、クオリティも高くできたと思う
環那が帰ってきてから、色々研究したからね~!
環那「おぉ。すごい完成度。」
リサ「ふふん!環那にも負けないと思うよ!」
環那「流石に料理でリサに勝てるとは思ってないよ。」
環那はそう言いながら、手を合わせた
さて、やっと食べてもらえる
環那の反応はどうかなー?
環那「__美味しい。」
リサ「!」
環那「鮭は完璧な塩加減、きんぴらごぼうも、出汁巻も絶妙だ。」
おかずの方は好評みたい
いつもと違って嬉しそうな顔してて、作った甲斐があったって思える
こんな顔、今まで見られなかったからね
リサ「あ、環那環那。」
環那「どうしたの?」
リサ「ご飯食べる前に、のりめくってみて?」
環那「うん?」
あたしがそう言うと、環那は箸でのりをめくった
まぁ、サプライズって程でもないけど
彼女らしい要素的なやつ、入れたんだよね
環那「これは。」
リサ「ど、どう?///桜でんぶでハートつくってみちゃったりして~///」
環那「......」
リサ「!?///」
環那はのりの下を見た後、数秒間固まった
そして、いきなりバッと動き出したと思うと
お弁当箱を丁寧において、あたしの手を握った
リサ「ど、どどどうしたの!?///」
環那「リサの弁当、すごく嬉しいよ。でも、そうだな。わがままを言うとしたら......リサが欲しいかな。」
リサ「えぇ!?///」
あ、あたしが欲しいって、そ、そういうこと!?
環那がこんな風になるなんて......
そんなにあれ、嬉しかったのかな?
リサ「......き、キス、しちゃう?///」
環那「うん。」
リサ「ちゃんと、加減してね......?///」
環那「善処はする。」
リサ「んっ///__」
環那の顔が近づいてきて、唇が合わさった
頭の中が、幸せで満たされる
環那に神経を支配されていくような感覚が全身を駆け巡る
リサ(す、すごいっ///)
環那「......足りないな。」
リサ「ん~!?///」
少し唇が離れると、環那はそう呟いて
またすぐ、キスをしてきた
さっき以上に深いキスはあたしの意識をもうろうとさせ
それから、お昼休みが終わる5分前まで、ずっとキスをされた
......また、お弁当にハートいっぱいいれよ
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昨日のリサの弁当はすごく美味しかった
心温まるというか、安心するというか
リサの技量と気持ちを感じた
さて、今日は......
燐子「はい、お弁当......!」
環那「ありがとう。って、なんで羽丘に?」
燐子「今、テスト期間だから。」
環那「あ、そうなんだ。」
だったら、テストの方を大事にしてもらいたいんだけど
弁当作ってて大丈夫なのかな?
うーん......まぁ、本人が大丈夫そうならいいけど
環那「じゃあ、いただこうかな。」
燐子「うん......!」
“燐子”
環那君はお弁当箱を開けた
私のお弁当は色々調べて、ハンバーグをメインにしました
その他にはマカロニサラダに卵焼きと
定番のお弁当メニューになってる
環那「__うん。美味しい。」
環那君は最初にハンバーグを食べた
いつもより目が開いてる
本当に美味しいと思ってくれてるみたい
燐子「今回はソースと一緒に煮込んでみたの。そうしたら、思ってたよりも美味しくて。」
環那「ソースがよくしみてて、白米とよく合う。うん、すごくいい。」
燐子「......///」
環那君のテンションが心なしか高い気がする
気に入ってくれたのかな?
それか、意外とハンバーグが好きとか?
環那「卵焼きは甘い味付けで、リサとは違う感じで美味しい。」
燐子「それは、今井さんが出汁巻卵にするって言ってたから、個性を出せるようにって。ハンバーグともあうかなって。」
環那「うん、すごくいいと思う。弁当としての一体感があるし、洋に寄せるなら、その判断は正しい。」
燐子「よかった。」
環那「それに。」
環那君はお弁当を見つめている
どうしたんだろう?
環那「燐子ちゃんの料理は優しい気がする。燐子ちゃんそのものを味わってるような気がするくらい。」
燐子「っ......!///」
環那「ん?」
燐子「そ、その言い方、少しだけ、いやらしいよ......///」
環那「え!?」
私そのものを味わうって......
そう言うことしてる風に聞こえて、変な気分になる
環那君は純粋に褒めてくれてるだけなのに
燐子「あ、う......///」
環那「えっと、なんかごめん。別にそんなつもりはなかったんだけど。なんというか......うん、ごめん。」
燐子「~っ!///」
環那「燐子ちゃん!?」
絶対に絶対にエッチな子だって思われた
そう思いながら、私は屋上から駆け出した
もうしばらく、環那君の顔、まともに見られないよ.......
環那「弁当箱、洗って返せばいいよね......?」
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“イヴ”
3日目は私です!
今日はテストの採点日でお休みで、ゆっくりお弁当を作れました!
リサさんやリンコさんほど料理はしませんが
それでも、頑張りました!
イヴ「カンナさん!お弁当です!」
環那「ありがとう。」
と言うわけで、カンナさんにお弁当箱を渡しました
学校には、カンナさんの名前を出すと簡単に入れてくれました!
流石はカンナさん!
環那「じゃあ、開けるね__ん?」
お弁当箱を開けると、カンナさんは首を傾げました
おそらく、驚いたのでしょう
だって......
環那「おかずだけ?」
お弁当箱にはからあげにミートボールにたこさんウィンナー、卵焼き、ポテトサラダだけが詰められています
そう、ご飯を入れてないのです
イヴ「ふふふ、そこで、これです!」
環那「あぁ、なるほど。」
私はもう一つ、竹皮を取り出しました
昔、映像でこのお弁当箱を見たことがあったんです
それで使ってみたかったんです!
イヴ「おにぎりです!たくさん、愛情をこめて握りました!」
環那「ははっ、嬉しいな。」
カンナさんは嬉しそうに笑っています
こんな風に笑ってくれて、嬉しいです!
環那「じゃあ、いただくよ。」
イヴ「はい!召し上がってください!」
カンナさんはそう言うと、お弁当を食べ始めました
からあげは調べながら作りましたが、どうでしょうか?
美味しいと思ってくれるでしょうか?
環那「うん、美味しい。特にこのからあげ、鶏肉にちゃんと味が付いてて、美味しさを強く感じる。」
イヴ「よかったです!」
環那「じゃあ、おにぎりもいただこうかな。」
イヴ「はい!どうぞ!」
私は竹皮に乗ったおにぎりを差し出しました
すると、カンナさんはおにぎりを一つ取り
それを口に運びました
環那「__!」
イヴ「カンナさん!?」
おにぎりを食べると、カンナさんは目を見開きました
ど、どうしたのでしょうか?
もしかして、マズかったのでしょうか.......?
環那「美味しすぎる。」
イヴ「そ、そうなんですか?」
環那「なんというか、説明できないんだけど、すごい美味しい。」
カンナさんがすごく驚いています
そ、そんなに美味しいんですか?
普通の塩おにぎりなんですが
環那「多分、イヴちゃんの愛情が伝わってきてるんだろうね。このおにぎりは絶品だ。」
イヴ「よ、よかったです!///」
環那「これなら、いくらでも食べられそうだ。」
カンナさんはそのままお弁当を食べ進めました
みるみるうちにおかずもおにぎりも無くなっていって
数分もすると、全て食べきってしまいました
環那「__ごちそうさま。」
イヴ「お粗末様です!」
環那「美味しかったよ。」
カンナさんは満足そうな表情です
少し作りすぎちゃったかと思いましたが、全部食べてくれました
それがすごく嬉しいです
環那「思ったよりたくさんあって、午後の授業で眠たくなりそうだね。ははっ。」
イヴ「なら、少し眠りますか?」
環那「え?」
イヴ「ひ、膝枕位なら、いつでもしますよ......?///」
環那「......じゃあ、少しお言葉に甘えようかな。」
イヴ「はい!」
そう言うと、カンナさんは私の太ももに頭を置きました
今までなら、拒否されていたと思いますが
今回はすぐに受け入れてくれました
彼女になったからでしょうか?
イヴ「ふふっ♪」
環那「嬉しそうだね。」
イヴ「はい!だって、カンナさんがこんなに甘えてくれることなんて、滅多にないですから!」
環那「......っ!」
私はカンナさんの頭を撫でました
カンナさんはそれを拒否することなく、少し瞼が閉じました
こうしていると、なんだか可愛らしいです
イヴ「いつでも、こんな風に甘えていいですよ?私は、それが幸せですから。」
環那「......皆に弱さを見せるのは、避けたいんだけどね......」
イヴ「なら、私だけでも。」
環那「......それも、いいのかもね。」
そのまま、カンナさんは眠りにつきました
その後、なぜか私もすぐに眠ってしまい
5限目どころか6限目の授業もカンナさんはサボることになってしまい
ナミヒラ先生に少し怒られてしまいました......
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“琴葉”
4日目、最後にお弁当を作るのは私です
今回のお弁当作りはあくまでお試しで
後は南宮君次第で変えていくという風になっています
それで、私も張り切ってお弁当を作ったわけなのですが......
琴葉「失敗しました......」
私のお弁当の完成度はひどいものです
他の3人はとても上手だったのに
私、一番年上なのに.......
環那「あはは、そっか。」
落ち込んでいる私を見て、彼は笑っています
その手には、一応、私が作って来たお弁当があります
他の皆さんには流石に別のものにしました......
琴葉「少しは進歩したと思ったのですが......」
環那「そう簡単にはいかないものさ。苦手を克服するのは、難しいから。」
琴葉「うぅ......」
彼はいつも通り、少し笑いながらそう言います
ここで変に慰めないのが、彼のいい所でしょう
ほとんどの人には受け入れられないでしょうが......
琴葉「あなたも無理して__」
環那「じゃ、いただきまーす。」
琴葉「!?」
無理して食べなくてもいい
そう言おうとした瞬間、彼は卵焼きを口に運びました
失敗して、焦げていて見た目も悪いのに
琴葉「な、なんで食べてるんですか!?」
環那「成功失敗に関わらず、彼女が作ってくれた弁当なら食べるでしょ。」
琴葉「!」
彼はさも当然のようにそう言い
パクパクとお弁当を食べていきます
どれも、焦げていたり、硬くなっていたり、味付けを間違えたりしているのに
嫌な顔なんて全く見せず、普通に食べています
環那「__うん。確かに、失敗してるね。」
琴葉「うぅ......」
環那「リサ、燐子ちゃん、イヴちゃんの方が料理は出来るね。特に琴ちゃんがリサに追いつくのは厳しいと思う。」
彼はそう言いながらもお弁当を食べ進め
そして、ついに食べ終えました
環那「でも、俺にとってそれは重要な問題じゃない。」
琴葉「え?」
環那「だって、俺にとっては料理が苦手なのに彼女が頑張って作ってくれたって言う情報だけで、十分だからね。」
琴葉「!///」
彼はそう言いながら、お弁当箱を片付けました
そして、それを横に置き
また私の方に目を向けます
環那「別に苦手なことは苦手でいいんだ。必ず、琴ちゃんに出来て、他の3人に出来ないことってあるから。」
琴葉「......そうでしょうか///」
環那「そうだよ。」
琴葉「!///」
頬に彼の手が添えられます
紳士的な力加減は逆に疑惑の念を抱かせます
彼は、私をどうしてしまいたいのかと
環那「苦手なことは、4人それぞれ埋め合えばいいんだ。俺は全員を愛してるからさ。」
琴葉「あなたはまた__んぅ///」
環那「.......」
私が喋る前に、彼に口を塞がれました
脳が幸せなこの状況を受け入れ、体から力が抜けます
この時間に身をゆだねたいとそう思わされてしまいます
琴葉「__はぁ、はぁ///」
環那「ふふっ、学校でこういうことしてると、ちょっと悪いことした気分になるでしょ?俺は何とも思わないけど。」
琴葉「誰かに見られたら、どうするんですか......?///」
環那「気にしないさ。もしもの時は潰せばいいからね。」
琴葉「.......それを受け入れてしまいそうになってる私は、どうかしてます///」
環那「染まって来たね。」
彼は笑いながらそう言いました
恐らく、そうなのでしょう
彼の常軌を逸した行動への拒否反応が少なくなり
むしろ、それでもいいと思っている
私は彼と出会って半年と少しで、染められてしまったのでしょう
でも......悪くないですね
彼のものになれたようで