羽丘の元囚人   作:火の車

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強固に

 彼と出会ってから何度目かのデートに来ています

 

 今までと違うのは、私以外にも恋人関係の人たちがいることで

 

 一見すれば異様な状況ですが、私を含めた当人たちは楽しんでいます

 

リサ「__ねぇ見て!これ綺麗じゃない?」

燐子「わっ、綺麗な色ですね......!」

イヴ「初めて見る宝石です!」

 

 今はジュエリーショップにいます

 

 南宮君が来たいと言っていましたが

 

 当の彼は......

 

環那「......ふむ。」

 

 何やら、ずっと考え事をしています

 

 ショーケースの前ですごく集中しているのが分かります

 

 一体、どうしたのでしょうか?

 

琴葉「どうしたんですか?南宮君。」

環那「ん?あぁ、ごめんごめん。ちょっと、考えないといけないことがあってね。」

琴葉「悩みですか?相談位なら乗りますが。」

環那「悩みって程でもないよ。ただ。」

 

 彼は小さくため息をつきました

 

 そして、チラっと私と向こうにいる3人の方向に目を向け

 

 そして......

 

環那「何でも似合っちゃう可愛い彼女がいるのも、大変だなと思っただけさ。」

琴葉「!///」

 

 私の左手を握りながら、そんなことを言いました

 

 突然のことで心の準備が出来ず、年甲斐もなく慌ててしまいます

 

 ほ、本当に彼はいつもいきなり......

 

環那「もうすぐ終わるから、少しだけ待ってて。あ、隣にいてくれてもいいんだよ?」

琴葉「いますよ///」

 

 それからしばらく、私は考え込んでる彼の隣にいました

 

 普段のどこか軽薄な態度とは違う真剣な表情に、心臓が掴まれたような感覚に襲われ

 

 数か月前、彼を好きになったときの気持ちを思い出しました

__________________

 

 “イヴ”

 

 ジュエリーショップを出て、私たちは近くのカフェに来ました

 

 カンナさんは色々調べていたようで、ここは個室があるお店です

 

 恐らく、私の立場を配慮してくれたのだと思います

 

リサ「可愛い~!」

燐子「美味しそうですね......!」

琴葉「す、すごいクリームの量ですね。私が食べたら胸やけしそうです......」

イヴ「ナミヒラ先生もまだまだお若ですよ!」

琴葉(気を遣われてしまいました。)

 

 料理が届いてから、リサさんは写真を撮り、リンコさんはそれを見ていて

 

 ナミヒラ先生はパスタを頼んで、のんびり食べています

 

イヴ「カンナさんはサンドイッチですか?」

環那「うん。評判よかったから、頼んでみたくてね。」

イヴ「そうなんですか!」

環那「食べてみる?」

イヴ「!」

 

 カンナさんがサンドイッチを差し出してきました

 

 こ、これは、まさか

 

 所謂、あーんというものでしょうか!?

 

イヴ「い、いただきます///あーん......///」

環那「!(あ、そういうことか。)」

 

 カンナさんの手にあるサンドイッチを一口食べました

 

 パンがフワフワで、挟まれている卵はなめらかで、上品な味がします

 

 いや、それよりも......

 

イヴ(カンナさんに食べさせてもらえて、嬉しいです......///)

環那「うん、中々美味しいね。」

イヴ「!?///(こ、これ、間接キス......///)」

環那「どうしたの?」

 

 自覚なしです......

 

 今さら間接キスくらいでとは思われるかもしれないですが

 

 恥ずかしいものは恥ずかしいです

 

リサ「あー!ずるーい!」

イヴ「!!///」

リサ「あたしもしてほしいー!」

燐子「わ、私も.......///」

琴葉「よ、よろしければ......///」

環那「あぁ、別にいいよ。順番ね。」

 

 そう言って、カンナさんは3人にサンドイッチを食べさせていきます

 

 皆さん、満足そうな表情です

 

 それに......

 

環那「ふふ、悪くないね。こういうの。」

イヴ「!(あっ。)」

 

 嬉しそうに微笑んでるカンナさんの方を見ると、お皿には何もありませんでした

 

 4人全員に食べさせて、無くなってしまったようです

 

イヴ「か、カンナさん!」

環那「ん?」

イヴ「あ、あーん///」

環那「え?」

 

 カンナさんが何も食べられないのはかわいそうです

 

 なので、私はケーキをカンナさんに差し出しました

 

 首をかしげて不思議そうにしています

 

環那「あぁ、そういうこと。じゃあ、おかまいなく。」

イヴ「!///」

 

 そう言った後、カンナさんはケーキを食べてくれました

 

 いつもは甘える立場ですが、食べさせるのもいいですね

 

環那「うん、美味しいね。イヴちゃんみたいなかわいい子に食べさせてもらえば、なおさら。」

イヴ「お、お世辞が上手です......///」

環那「俺、嘘はつくけどお世辞は言わないよ。」

 

リサ「まーたこっそりイチャイチャしてるよ。」

燐子「初めて環那君と羽沢珈琲店に行った時を思い出しました......///」

琴葉「ていうか、嘘はつくってハッキリ言ってますね。」

 

 それから、他の皆さんもカンナさんにケーキとパスタを分けて

 

 お腹がいい感じに膨れたところで、私たちはお店を出ました

__________________

 

 “環那”

 

 あれからしばらく車を走らせ、海の近くに来た

 

 海は良い

 

 暑いときも寒いときも、その美しい景色は変わらないから

 

環那「うん、いい感じだ。」

リサ「出た、かっこつけ。」

燐子「意外とこういうの好きだよね。過程にこだわるというか。」

環那「そう言う性分なんだよ。」

 

 リサに関してはひどい言われようだ

 

 別にかっこつけるつもりはないんだけど

 

 そう言う風に見えちゃうのかな?

 

環那「まぁ、いいや。さて、このデート最後のイベントを始めようか。」

イヴ、琴葉「!」

 

 俺はそう言い、2人の方に目を向けた

 

 何をするのか分からないんだろう

 

 2人は不思議そうな目を向けてくる

 

環那「俺たちはこうして付き合うことになったわけだけど、この関係は日本においては異質で、不安定なものだ。細かい決め事もまだしてないからね。」

琴葉「それはまぁ、確かに。」

イヴ「そうですね?」

環那「それぞれがしたいことや、欲しい時間をみんなですり合わせたり、これからどういう風になっていきたいかとか、色々考えていくことになる。そこでだ、俺から一つ、はっきりさせておくことがあると思ってね。」

 

 ゆっくりと2人の方へ近づく

 

 俺達にはある意味、必要になるだろう

 

 不完全なものは、それを整える型がある方がいいからね

 

環那「俺は4人全員、愛してる。」

リサ、燐子、琴葉、イヴ「!///」

環那「皆を幸せにすることこそ、俺の使命だと思ってる。」

 

 俺はこの4人に開放してもらったようなものだ

 

 それに、こんなに優しい使命はない

 

 こんな人生になるなんて、思ってもみなかった

 

環那「だから、4人の足並みを揃えるという意味で、2人にも渡しておこうと思って。」

 

 そう言って、2人の前に小さな箱を2つ差し出した

 

 これが最初に行った場所での目的

 

 リサと燐子ちゃんには渡してるけど、この2人にはなかったからね

 

イヴ「こ、これは!///」

環那「指輪だよ。」

琴葉「......!///(あの時の......///)」

 

 結構、良い反応してくれるな

 

 俺にしては悩んだから、反応がいいと嬉しいね

 

琴葉「いいんですか?///私たち、もう引き返せなくなってしまいますよ?///」

環那「承知の上さ。」

イヴ「す、すごく嬉しいです!//カンナさんとこんな風になれるなんて.......///」

環那「喜んでくれたならよかったよ。」

 

 2人は指輪を受け取って、嬉しそうにしてる

 

 たかがアクセサリー一つ......でも、その意味は大きい

 

 彼女たちにとっても、俺にとっても

 

環那「イヴちゃんはちょっと考えないとだけど、琴ちゃんには着けててほしいな。」

琴葉「え?」

環那「その指輪は、俺たちの関係性を強固にすると同時に、この子は誰にも渡さないって言う牽制の意味合いもあるからね。」

琴葉「!!///」

イヴ「私もつけていたいです......///」

環那「ま、まぁ、見つからない範囲ならね?」

イヴ「はい!///」

 

 これで、このデートでやることは終わった

 

 後は、家に帰るだけだ

 

 何というか、安心したよ

 

リサ「珍しく独占欲出してるじゃん~。」

環那「当然でしょ。誰にもとられたくないんだから。」

燐子「そ、そう......///」

環那「俺、かっこつけに見えるかもしれないけど、好きな人といるためなら、恰好なんて気にしないさ。」

リサ、燐子「///(こういう所、好きなんだよね///)」

 

 それから、俺たちは車に乗り、帰路についた

 

 俺にしては、よくやったんじゃないかな

 

 急なデートだたけど、今日は良い日だった

 

 

 

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