羽丘の元囚人   作:火の車

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幸福度

 温泉から出て、俺は一足早く部屋に来た

 

 部屋番号はリサに伝えてある

 

 まぁ、のんびりしてきたらいいと思う

 

環那(夕食まであと2時間くらいか。ちょうどいいかな。)

 

 そんなことを呟きながら、俺は淹れたお茶に口をつけた

 

 こういう部屋で飲むお茶は美味しく感じる

 

 人数が多いから和室にしたけど、良いね

 

環那「ふぅ......」

 

 そう言えば、何もしてないのは久しぶりだ

 

 みんなの為にと思ってたけど、俺の為にもなってる

 

 リサに感謝だな

 

環那(一方通行にならないというのは、いい気分だ。)

(コンコン)

環那「!」

 

 しばらくのんびりしてると、ドアが叩かれた

 

 リサ達かな

 

 それにしては、静かな気がするけど

 

環那「はーい。」

リサ「か、環那ー......///」

環那「ど、どうしたの?」

リサ「の、のぼせた......///」

燐子、琴葉、イヴ「あぅぅ......///」

 

 ドアを開けて見えた皆の顔は真っ赤だった

 

 これは、マジでのぼせてるみたいだ

 

 い、一体、温泉で何が......?

 

環那「ま、まぁ、入りなよ。夕食まで時間あるし、布団の用意もするからさ。」

リサ「うんー......///」

 

 俺は4人を部屋に入れ、すぐに布団の準備をした

 

 そして、4人を寝かせて、部屋にあったうちわで扇いぐ

 

環那「い、一体、何があったの?」

燐子「それは......///」

琴葉「いろいろありまして......///」

環那「そ、そっか。」

 

 まぁ、深く聞かない方がいいだろう

 

 俺には話ずらいことかもしれないし

 

 それに、まともに話せる状態でもないだろう

 

イヴ「お、お水......///」

環那「はい、そうぞ。」

リサ(はやっ......///)

 

 俺はイヴちゃんに水を飲ませた

 

 まだまだ、みんなの顔は真っ赤だ

 

 しばらく、みんなのことを扇いでおくか

__________________

 

 2時間ほど経ち、みんなは何とか回復した

 

 ちょうど夕食の時間だ

 

 いやー、よかった

 

リサ「__わぁ!すごーい!」

燐子「な、なんだか、輝いてるように見えます......!」

イヴ「こんなお魚、初めて見ました!」

琴葉「これは、なんて上質な。」

 

 夕食を見て、皆は目を輝かせてる

 

 流石に北海道

 

 海産物のクオリティが素晴らしいな

 

 ここまで、見て美味しいと分かるのはすごい

 

リサ「こ、これ、食べていいの!?」

環那「そりゃいいでしょ。」

イヴ「じ、じゃあ......」

燐子「いただきます.......!」

琴葉「いただきます!」

 

 4人とも手を合わせて、それぞれ料理に手をつけていく

 

 さて、反応はいかに

 

リサ「お、美味しいー!」

イヴ「生きてます!お口の中で生きてます!」

燐子「なんだか分からないけど、美味しい......!」

琴葉「これは......ぷはーっ!お酒に最高に合います!」

環那「ははっ、それはよかった。」

 

 みんな、喜んでるみたいだ

 

 ここまで海産物を避けてたのは正解だったな

 

 インパクトって最初が一番強いからね

 

リサ「ほらほらー、環那も食べなよー。」

環那「食べるよ。」

リサ「じゃあ、あーん!」

環那「さっきまで寝てたからエンジン全開だね。」

 

 リサは刺身をこっちに差し出してくる

 

 俺はそれをありがたく頂戴した

 

 うん、やっぱり、美味しいな

 

環那「うん、美味しいね。」

リサ「だよね~!」

燐子「わ、私も......!」

イヴ「私もしたいです!」

琴葉「わらしもしますよ~!///」

環那「琴ちゃんもう酔ってない?」

 

 次々と料理が出てくる

 

 ここまで一気に出されると流石に多いな

 

 まぁ、みんなをがっかりさせるわけにもいかない

 

 何とか頑張るか

 

環那「__うん。どれも美味しいね。」

リサ「次はあたし達にも食べさせてよ!」

環那「いいよ。」

燐子「じゃあ......///」

イヴ「お口を開けて待ちます!」

琴葉「飲み物はいりますか~?///」

環那「それお酒だよね?やっぱり酔ってるよね?」

 

 それから、俺は4人に料理を食べさせた

 

 出所してから、食事が楽しくていいね

 

 1人でも、暗い場所でもない

 

 こんな変哲のない出来事をこの上なく幸せと思えるのは、いいことなんだろう

__________________

 

 あれから2時間ほど経ち、今は夜8時

 

 夕食は終わり、部屋には布団が敷かれてる

 

 そして、4人は......

 

リサ「すぅ......ん......っ。」

燐子「すぅ......すぅ......」

イヴ「んん......っ。」

琴葉「ん~......っ。」

 

 気持ちよさそうに寝てる

 

 少し寝たと言っても、疲れてたんだろう

 

 すぐにウトウトして、眠ってしまった

 

環那「ふぅ.....」

 

 食後の温かいお茶というのは美味しい

 

 心が落ち着く

 

環那「明日の予定はどうするか。何パターンか用意してるけど、どれに行くか。」

 

 皆の喜ぶ顔というのは美しい

 

 旅行、もう何個か考えてもいいかもね

 

 それ以外にも、デートプランを考えて

 

 出来る限り、みんなには楽しく生きていてもらいたい

 

環那(今のプランに加えて、さらに考えられるのは......)

琴葉「ん......んん......?」

環那「あっ。」

琴葉「南宮君......?あれ、私、寝てたんですか......?」

 

 お茶を飲んでいると、琴ちゃんが目を覚ました

 

 酔っぱらってすぐに寝てたけど、起きるのも一番早いね

 

 俺はそんなことを思いながら、琴ちゃんに声をかけた

 

環那「おはよう。琴ちゃん。」

琴葉「おはようございます。」

環那「調子はどう?」

琴葉「大丈夫です。酔いはさめました。」

環那「そっか。」

 

 見た感じ、そうみたいだ

 

 これなら、明日も心配なさそう

 

(グゥ~)

環那「ん?」

琴葉「~!///」

 

 琴ちゃんが目を覚まして数十秒

 

 部屋に間の抜けた音が響き渡った

 

 そして、その音の発生源は耳まで真っ赤にして、お腹を押さえてる

 

環那「あはは、お腹すいたの?」

琴葉「うっ......す、少し///」

環那「じゃあ、いい店見つけてるんだ。一緒に行かない?」

琴葉「いいお店ですか?」

環那「行く?」

琴葉「あなたとなら。」

環那「じゃあ、行こうか。」

 

 そう言い、椅子から立ち上がった

 

 俺ももう少し食べたかったし

 

 ちょうどいいや

__________________

 

 “琴葉”

 

 彼に連れられて、ホテルの外に出ました

 

 流石にすごく寒いです

 

 過剰なくらい厚着してきて正解でした

 

環那「さっ、ここが目的地だよ。」

 

 大通りを抜けたところにある、少し細い道

 

 そこにある、少し古めな、赤い暖簾のお店

 

 このお店から、何とも食欲を刺激する匂いがします

 

琴葉「ここは、ラーメン屋ですか?」

環那「うん。北海道はラーメンも美味しいからね。琴ちゃん、好きだって言ってたから、行こうと思ってたんだ。」

 

 そう言いながら、彼はお店の戸を開けました

 

 なんていうか、由緒正しきラーメン屋という感じがします

 

 しかも、彼が選んだお店

 

 期待感が高まります

 

「らっしゃい。」

「どうも。空いてますか?」

「どうぞ。」

 

 店主さんは寡黙な方のようです

 

 私たちはカウンター席に座りました

 

環那「注文はどうする?」

琴葉「やはり、一番大きく書いてあるので味噌ラーメンですかね。」

環那「じゃあ、俺もそうしようかな。すみません、味噌ラーメンを2杯お願いします。」

「はいよ。」

 

 彼はラーメンを注文し、お水を入れてくれました

 

 彼とのデートはオシャレな場所が多かったですが、こういうのもいいですね

 

 なんだか、落ち着きます

 

琴葉「なんだか、あなたとラーメン屋にいると変な感じがしますね。」

環那「そう?」

琴葉「あなた、あまりラーメン食べないじゃないですか。」

環那「食べる機会が少ないだけで、別に嫌いなわけじゃないよ。」

 

 なら、もっとラーメンを食べに行くとき誘いましょうかね

 

 1人で食べに行くのは寂しいですし

 

環那「ていうか、琴ちゃんが好きなものなら、俺は好きになるよ。」

琴葉「!///」

環那「好きなものを共有できるのは、良いことだから。」

 

 彼は、こういう人ですよね

 

 私たちのことを考えて、合わせてくれる

 

 本当に私たちだけには優しい人です

 

 だからこそ、私たちも彼の好きなものを好きになりたいのですが

 

「おまち。ラーメン二丁。」

環那「あ、来た来た。」

琴葉「良い匂いです......!」

環那「ま、食べようか。」

琴葉「はい!」

 

 私は割りばしを割り、さっそくラーメンに手を付けました

 

 一口食べればわかるほど、良いラーメンです

 

 お味噌の味が引き立ってますが、しっかりラーメンの味わいで

 

 麺も太麺でしっかり食べてる感じがします

 

 夜遅くに食べるラーメンとして最高です

 

琴葉「美味しいです!」

環那「それはよかった。」

琴葉「どうしてこんなお店を知ってるんですか?」

環那「地元の人に聞いたんだよ。皆と別行動の間に。」

 

 抜け目ないですね

 

 ていうか、旅行先で知らない人に話しかけられるだけですごいです

 

 私には出来そうにありません

 

琴葉(美味しいです!)

環那(可愛いね、幸せそうだ。)

 

 それから、私たちはラーメンを食べました

 

 こんな風に彼とご飯を食べるなんて、春頃は考えられなかったですね

 

 出来ることなら、教えてあげたいです

 

 私は彼に幸せにされると

 

 

 

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