羽丘の元囚人   作:火の車

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慣れない

 2日目は何かアクティブな活動が良いと思ってた

 

 釣りとかあったけど、流石に3人が楽しめるか分からないし

 

 良い感じに歩きつつ、景色を楽しめる場所、そう考えていた

 

 そこでだ

 

リサ「広いねー。」

イヴ「すごいです!」

琴葉「向こうじゃこうはいきませんよね。」

燐子「のどかでいいところです。」

 

 牧場体験だ

 

 北海道はこういうのも有名だからね

 

 ある程度出来ることも多いから、4人のニーズを満たしやすい

 

 と言うことで、ここにした

 

環那「こういう場所もいいね。向こうは高い建物が多すぎる。」

琴葉「都会育ちだと、広い平原を見ることは少ないですからね。」

リサ「センスいいじゃん!環那!」

環那「ただ少し、歩いてみるのもいいかなって思って。」

 

 みんなと空気のいい場所を歩く

 

 こういう時間は良いものだ

 

 人目がそこまで多くなくて、普通にしてても何とかなるしね

 

リサ「で、ここではどんなことをするの?」

環那「馬と触れ合いとか、アイス食べられたりとか、まぁ、色々あるよ。」

燐子「動物と触れ合う事って、あんまりないですよね。」

琴葉「そうですね。大人になると動物園に行く機会もないですし。」

 

 動物とのふれあいか

 

 俺、動物苦手なんだよね

 

 高校生になってから、いい思い出ないからね

 

「わぁ!牛いるよ!おっきい!」

環那「!」

 

 別の客から声が上がる

 

 そして、パシャッという音との光

 

 少し不愉快だな

 

 立場的に

 

「モォォォォォ!」

環那「!」

 

 そんなことを思った瞬間、近くにいた牛が大きな鳴き声を上げた

 

 穏やかじゃない上、視線はこっちを向いてる

 

 これは......

 

「きゃー!」

「こ、こっちに来たぞ!」

 

 その牛が勢いよくこっちに向かってくる

 

 うーん、こっちに攻撃する意思が見える

 

 どうするかな

 

リサ「や、やばいじゃん!」

環那「仕方ないな。」

琴葉「み、南宮君!?」

 

 折角の観光だ

 

 こんなことで中止になるのは俺の望むところじゃない

 

 面倒だが、止めてやるか

 

環那「__申し訳ないね。人間のエゴに付き合わせて。でも......止まって欲しいな。」

「モッ!!??」

 

 俺は右手を出しながら、牛を睨んだ

 

 本当に申し訳ないよ

 

 この子は悪くないんだから

 

「モォォ......」

環那「すまないね。君は悪くない。悪いのはルールも破り、配慮もない人間だ。」

 

琴葉「えぇ......」

イヴ「カンナさん、かっこいいです!」

燐子「流石、環那君......!どんな人間だけじゃなくて、他の動物でも怖がられるなんて......!」

リサ「それは褒めてる......?」

 

 牛は俺の前で頭を下げてる

 

 優しくしたつもりなんだけど......

 

 俺って怖いのかな?悲し

 

環那「そこの君。動物は何がストレスになるのか分からない。人間だって、カメラのフラッシュは不愉快なんだ。もう少し頭、使った方がいいよ。」

「ひっ......!!!」

「す、すみません......」

環那「今回は俺達も巻き込まれそうだから止めたけど、君たちだけが巻き込まれるなら、俺は平気で見捨ててたよ。」

 

 そう言うと、バカそうなカップルはお通夜みたいな顔になった

 

 こんなものでいいでしょ

 

 これ以上、何か言うべきじゃない

 

環那「さぁ、観光を続けよう。」

リサ「そうだねー。」

琴葉「あなた、逆に何が出来ないんですか?」

環那「色々あるよ。出来ることを駆使して、戦ってるだけさ。」

イヴ「ブシドーですね!」

燐子「かっこいいね......!」

 

 俺はそう言って、目的地に向かうことにした

 

 全く、面倒なことに巻き込まれたな

 

 まっ、少しスパイスがあってよかったんじゃない?

__________________

 

 “燐子”

 

 あれから少し歩いて、私たちは馬のいる場所に来た

 

 ここでは、乗馬体験が出来るみたい

 

 乗馬......上手くできるかな?

 

環那「さて、4人とも乗馬の経験は......まぁ、ないよね。」

琴葉「当然ですよ。」

リサ「大丈夫かなー。」

環那「大丈夫大丈夫。何とかなるよ。」

 

 環那君はそう言うと馬の方に近づいていく

 

 こういう時の環那君ってすごいな

 

 物怖じしないし

 

環那「君たち、悪いけど、俺と彼女たち乗せてくれるかな?」

「......!」

リサ、燐子、琴葉、イヴ「!?」

 

 環那君が近づいてそう言うと、5匹の馬が環那君の前で跪いた

 

 え、こんなことあるの?

 

 いや、ないよね?

 

環那「みんな、この子たちが快く引き受けてくれたよ。乗せてもらおう。」

リサ「環那ってどうなってんの?」

琴葉「本能的に察知しているんじゃないですか?逆らってはいけない相手だと。」

イヴ「な、なんだかすごいです!」

燐子「すごいで片付けていい問題かな......?」

 

 やっぱり、環那君ってとんでもない

 

 こんなの、誰にも真似できないよ

 

 私の環那君への認識って、まだまだ甘いのかもしれない

 

環那「怖かったら、手助けするよ?」

琴葉「まぁ、私はなんとか大丈夫ですね。大人しいですし。」

イヴ「お馬さんに乗ると、まるで戦国の武士のようです!」

リサ「大人しいね~。」

 

 3人はすぐに乗ってしまった

 

 なんていうか、すごい

 

 思い切りがいい

 

環那「燐子ちゃんはちょっと怖いかな?」

燐子「う、うん......」

環那「じゃあ、乗りやすくしてもらおう。」

燐子「え?」

環那「君、こっちに来て。」

 

 環那君が手招きをすると、馬が一匹私たちの前に来た

 

 そして、乗りやすい高さに屈んだ

 

環那「これなら乗りやすいでしょ?」

燐子「う、うん。」

環那「丁重に頼むよ。この子は俺の大切な人だから。」

 

 その言葉に馬がうんうんと頷く

 

 これ、本当にどうなってるんだろう?

 

 普通に会話成立してる?

 

環那「さて、行こうか。」

 

 私たちは馬に乗って、森の中に入った

 

 この馬、環那君に話しかけられてから異様に大人しい気がする

 

 安心はできるけど、ちょっと申し訳ないな

__________________

 

 森の中はのどかです

 

 まさか、乗馬をすることになるとは思わなかったけど

 

 こういうのも、なんだかいいなって思う

 

リサ「環那、なんだか馬似合うね~。」

イヴ「まるで、戦国の武将です!」

環那「そんな風に見える?」

 

 環那君はなんというか、馬に乗ってるのが似合う

 

 けど......

 

琴葉「無表情で敵を崖から突き落としてそうですね。」

環那「ひどい言われ様だ。」

燐子(分かる......)

 

 環那君、そう言う所あるし

 

 会社を奪った時の話もすごかったし

 

 本当に気付かないうちに殺されてるみたいな

 

 そんな感じがした

 

環那「ひどいなぁ。」

燐子「だ、大丈夫だよ......!環那君はかっこいいから......!」

環那「そんなに気を遣わなくてもいいよ。半分くらいは冗談だから。」

イヴ「私は本当に思っていますよ!」

環那「武将ではないよ?」

燐子「ふふっ。」

 

 つい、笑ってしまう

 

 環那君がこんなにいじられるのって、珍しい

 

 今井さんと浪平先生がいるから、環那君がそう言う立場になってる

 

 それがなんだかおもしろい

 

環那「楽しんでくれてるようで何よりだよ。」

燐子「こういう時間を過ごせるのって、幸せだなって思うよ。」

環那「俺もそう思うよ。燐子ちゃん。」

 

 環那君は穏やかに笑っている

 

 その姿はさっきまでの無表情で崖から突き落とす感じじゃなくて

 

 まるで、王子様みたいだと思った

 

燐子「......///」

環那「どうしたの?」

燐子「や、やっぱり、環那君、かっこいいよ......///」

環那「え?ど、どうしたの?」

燐子「ご、ごめん、今、顔見れない......///」

環那「な、なんで?」

 

リサ「気づいたらイチャついてるよ。」

イヴ「でも、あのカンナさんの笑顔はとても素敵です!」

琴葉(彼は私たちに変えられたと言っていましたが、彼を変えた大きなきっかけは間違いなく白金さんでしょうね。)

 

 それからしばらく、環那君は心配そうにこっちを見ていた

 

 最近、結構慣れて来て大丈夫だと思ってたけど

 

 普段あんまり見ない姿はまだ全然慣れてない

 

 慣れる日が来るかも、分からない

 

 

 

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