クラスがざわついてる
その原因は一目瞭然
黒板の前で薄ら笑いを浮かべて立ってる転校生、南宮環那
私も、あの姿を見て愕然としてる
琴葉「み、南宮君!それは言ったら駄目と言ったでしょ!」
環那「あれ、そうだっけ?ごめん忘れてたー、あはは。」
琴葉「笑い事じゃないです!」
リサ「か、環那、なの......?」
環那「んー?この声......」
友希那「!」
転校生を見て驚いたのか、
リサは立ち上がってそう言った
それに気づくと転校生は薄ら笑いのままリサの方を向いた
リサ「な、なんでここに......!?」
環那「久しぶりー、リサー。」
リサ「挨拶は良いから、なんでここに?」
環那「んー?」
リサは困惑した声でそう尋ねた
転校生は少し考えるぞぶりを見せ
また薄ら笑いを浮かべた
環那「出所したから来ただけかな?いやー、まさか戻れるなんてねー。」
リサ「そ、そう......」
環那「ていうか、このクラスにリサがいるって事は......」
友希那「!」
転校生は教室の中を見回してる
何が目的なのかは容易に分かった
だから、私は席から立ち上がった
”別視点”
環那「あっ、やっぱり友希那もいたー。」
友希那「......」
環那「久しぶりー。大体4年ぶり?」
軽い口調で話しかける環那
それを無視しながら友希那は歩いて
段々と教壇に近づいて行く
環那「友希那はあんまり見た目変わってないねー。成長してないんじゃ__」
友希那「......!!」
環那「っ!」
友希那が教壇にたどり着いた瞬間
パシンっと乾いた音が教室に響き
一瞬で教室内の空気が凍り付いた
友希那「あなた、よくも私達の前に姿を現せたわね......!!」
友希那は環那の胸倉を掴み、捲し立てた
その表情は怒りで染まっており
目は激しく血走っている
環那「......ひどいなー。もう少し再会を喜んでほしいんだけど。」
リサ「ゆ、友希那!」
琴葉「み、湊さん!?」
その様子を見て、リサと琴葉は声を上げた
環那は怒りに染まった友希那の顔を見ても
変わらず薄ら笑いを浮かべている
その様子は不気味以外の何物でもない
友希那「あなたが暴力事件を起こしてから、私達がどんなに苦労したと思っているの!?それなのに......!!!」
リサ「やめなって友希那!」
琴葉「い、一旦離れてください!」
友希那「っ!!」
リサと琴葉によって、
友希那は環那から話された
だが、怒りが収まらないのか
友希那は話されてもなお怒りの声を上げている
友希那「あなたになんて二度と会いたくなかった!!いっそ死んでればよかったのに!!!」
リサ「友希那!!」
環那「......ははっ。」
リサ、琴葉「!?」
友希那の暴言を聞き、環那は笑った
そして、自ら友希那の方に歩み寄り
1mほど前で足を止めた
環那「良かった、友希那が俺を嫌ってくれてて。」
リサ「か、環那......?」
環那「俺、友希那みたいな女の子は好みじゃないんだ。」
友希那「っ!!!」
リサ「きゃ!!」
環那が笑いながらそう言うと
友希那はリサを振り払い
環那に向けて拳を突き出した
それは真っ直ぐ環那の顔に向かって行き
今度はゴッ!と鈍い音が響いた
環那「......痛いなー。」
友希那「あなたなんて、死んでしまえばいいのよ!!このクズ男!!!」
琴葉「み、湊さん!一旦廊下に出ましょう!今井さん、手伝ってください!」
リサ「は、はい!行こ、友希那......」
友希那「__!」
琴葉が指示を出すと
友希那はリサに引っ張られていった
教室の中は静まり返り
視線は教壇の前で尻もちをつく環那に注がれている
環那「あはは、乱暴だなー。」
男子「お、おい!目から血が出てるぞ!?」
環那「んー?あ、ほんとだね。」
男子「ほんとだね、って大丈夫なのかよ......」
環那「大丈夫大丈夫。目に当たっただけだし。」
環那は目から血が出てもなお
薄ら笑いを浮かべている
その様子を見てクラスにいる生徒は息を呑んだ
その時、教室のドアが開いた
琴葉「き、今日は解散にします!お、お疲れ様でした!」
環那「あ、もう帰っていいの?じゃあ、帰るかなー。」
琴葉が大声でそう言うと
環那は置いてある鞄を肩にかけ
教室から出て行った
__________________
”友希那”
リサと浪平先生に廊下に出され
私は少し、冷静さを取り戻した
今は応接室の椅子に座ってる
リサ「落ち着いた?友希那。」
友希那「......えぇ、ごめんなさい。」
リサは心配そうに顔を覗き込んできた
さっきは流石に冷静じゃなかった
あんなに取り乱すなんて
いつ以来なのかしら......
友希那「なんで、今更......」
リサ「それは、分かんない......」
友希那(なんで、なんで......)
あの薄ら笑いを思い出すと寒気がする
不気味で、何を考えてるか分からない
それと同時にあの憎たらしい顔を思い出すと吐き気に襲われる
できれば、思い出したくない
リサ「あ、あたし、飲み物買ってくるよ!のど渇いたでしょ?」
友希那「え、えぇ。」
リサはそう言って私のそばから離れ
応接室から出て行った
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”リサ”
環那が羽丘に帰ってきた
そのことに私も混乱してる
なんで、羽丘に来たのか
それがどうしてもわからない
リサ(取り合えず、整理しないと。友希那があんな状態だし、ここはあたしがしっかり__)
環那「__リサはなんか、ギャルみたいになったねー。」
リサ「っ!?」
環那「さっきぶりー。」
自動販売機の横の隙間
そこに環那が挟まっていた
陽気に手を振ってくる姿は
さっき顔を殴られた人間とは思えない
リサ「そ、そんなとこで何してんの!?」
環那「そろそろ、リサが頭の中を整理するために『飲み物買ってくるー。』とか言って1人になろうとする頃だろうと思ってー。」
リサ「!!」
環那はあたしの状況をズバリ言い当てた
流石に長い付き合いなだけある
あたしの事をよく分かってる
環那「まぁ、そんなリサにはコーヒーをあげようー。」
リサ「あ、ありがと。」
あたしは環那からコーヒーを受け取った
いつも買ってる奴だ
これを買うようになったのは高校に入ってからなのに、なんで分かったんだろ
環那「じゃあ、俺は帰るねー。」
リサ「ちょ、ちょっと待って!」
環那「んー?」
あたしは帰ろうとする環那を呼び留めた
環那はそれを聞くと足を止め
首をかしげながらこっちを向いた
リサ「......なんで、羽丘に戻ってきたの?友希那の事、分かってたんでしょ?」
環那「さっきも言わなかったっけ?ただ、出所して、親切な人が戻って来る手立てを用意してくれてたんだー。」
リサ「本当に、それだけ......?」
環那「それだけ__あっ。」
環那は何かを思い出したかのような声を出した
そして、鞄からあるものを出し
あたしの方に笑いかけてきた
環那「もう1つあった、ここに来た理由。」
リサ「もう1つって......?」
環那「それは__」
リサ「!!」
環那は話してる途中、
鞄から出したものをこっちに投げて来た
あたしは慌ててそれをキャッチして
環那がいる方を向いた
環那「楽しみに来た。」
リサ「え......?」
環那「それだけだよー。」
環那はそう言って
あたしに背中を向けた
そして、軽く手を振ってきた
環那「じゃあ、また明日ねー。」
陽気にそう言う環那を
あたしは茫然と見送る事しか出来なかった
環那が去った後、
あたしは環那に渡されたものを見た
リサ「これ、湿布?」
あたしが手に持ってたのは湿布だった
それにはテープで貼り付けられた手紙があり
あたしはそれをはがして内容に目を通した
リサ「っ!!」
『友希那、手をケガしてるから使ってあげてー。』
手紙には綺麗な字でそう書かれていた
あたしはそれを見て、
環那が歩いて行った廊下を見た
リサ(環那、一体、何がしたいの......?あたし、分かんないよ......)
あたしはそんな事を思いながら
誰もいない廊下を茫然と眺めた
それから少しして、応接室に戻って
貰った湿布を友希那の手を貼ってあげた