琴葉「な、なぜですか!?」
琴ちゃんは慌てた様子でそう聞いてきた
いやぁ、俺の監視してたのに常人っぽいね
なんて言うか、良くも悪くも年齢を感じない
琴葉「ここでの生活に不自由はなかったはずです!なぜ、わざわざそんな事を!?」
環那「俺が思い切ったことをする理由なんて1つしかないよ?」
琴葉「湊さん、ですか?」
環那「大正解ー。」
俺は笑いながらそう言った
分かってくれる人は話しやすいねぇ
長くしゃべる必要がないし、すごい楽
環那「友希那は本当に優しい子だからさ、俺のこの姿を見れば傷つくと思うんだ。だから、目に入る前にさっさと消えようと思ってね。」
琴葉「湊さんのためになんでそこまで出来るんですか?あなたにだって人生はあるんですよ?」
環那「俺に友希那以上に大切なものなんて無いからね。」
琴葉「......そうですか。」
琴ちゃんはそう言って下を向いた
そして、数秒病室を静寂が支配し
それを破るように琴ちゃんは静かな声を出した
琴葉「......今井さんは、どうするのですか?」
環那「終わったよ。」
琴葉「え?」
環那「リサとはもう別れた。俺から選ばれたいって言ってたけど、こうなっちゃ仕方ないさ。」
琴葉「どこまで、湊さん優先なんですか......?」
環那「どこまでも、だよ。」
俺はベッドから出た
そして、左手でまとめておいた荷物を持ち
病室のドアの方に歩いた
環那「お世話になったね、琴ちゃん。偶にメール送るよー。」
琴葉「......そうですか。」
琴ちゃんがそう言うのを聞いて
病室のドアをゆっくり開けた
さて、どこに行こうかなー
取り合えず、何か面白そうなことが転がってそうな場所に行こう
環那「__っ!」
友希那「......」
琴葉「み、湊さん......?」
環那「......ははっ、これは誤算だった。」
これには流石に乾いた笑いが漏れた
まさか、早速本末転倒になるなんて
これは、計算外だ
環那「どこから聞いちゃった?」
友希那「......出て行くと、言ったとき......」
環那「そっか。」
友希那の態度から分かる
これは何かを言いに来たんだろう
だとしたら無視も出来ないし
......第2プランかな
環那「この病院の裏、すごくいい場所があるんだ。少し話そうか。」
友希那「......えぇ。」
友希那が頷いたのを確認し
俺は友希那を連れて病院を出て
さっき言った場所に移動することにした
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病院裏にある小さな公園
ここは滅多に人が来なくて静かで
なんだか落ち着けるいい場所だ
今、俺は友希那と並んでベンチに座ってる
環那「__いやー、まさか最後に友希那と話せるなんてね。嬉しいよ。」
友希那「......」
俺は笑顔のままそう言った
友希那は黙ったまま下を向いてる
この様子じゃ、本当に落ち込んでるんだ
環那「賭けの約束は果たすよ。俺は友希那の前から消える。もう、会う事はないよ。」
友希那「......そうじゃ、ないの。」
環那「!」
友希那「今日は、そんな話ではないの......」
友希那は消え入りそうな声でそう言った
......まさか、何か変わったのか?
もしかして、リサが何かしたのかな?
友希那「私......間違えてた。」
環那「......!」
友希那「あの日、環那のあの姿を見て裏切られたと思ったの......」
環那(裏切り?)
友希那「クラスに馴染めなくて人を信じられなくなってて......それで......」
確かに、あの時の友希那は精神を病んでたし
俺の姿も消火器持ってたり手が血で真っ赤だったりと結構刺激的だったし
結構エグイこともしたからそう思うかも
友希那「環那が捕まってから負の感情だけが大きくなって......何も知らないまま、私......」
環那「いや、それはいいんだよー?事実は事実なんだし。」
友希那「でも、環那の目も腕ももう戻らない......!」
環那「っ!!」
友希那は涙を流してる
それを見て胸が痛くなった
二度と友希那を泣かせないために生きて来たのに
なんで、俺が泣かせてるんだ......?
環那「こ、こんなのどうだっていいから。別に死ぬわけでもないし。」
友希那「ごめんなさい......ごめんなさい......」
環那「ゆ、友希那!?」
友希那は俺に縋り付いてきた
何が何かわからない
今、この場では何が起きてるんだ?
なんで、友希那はこんな事をしてるんだ
友希那「なんでもするから、なにをしてもいいから......私から離れないで......」
環那「......っ。」
友希那「もう嫌いなんて言わないから......本当は大好きだから......お願い......」
環那(友希那......)
小さい時に喧嘩......いや友希那が怒った時
いつも、友希那はこう言ってきた
こんなに泣いてたことはなかったけど
悲しそうな声でそう言って
それに対する俺の答えは、いつも1つだった
環那「......もう、仕方ないなぁ。」
友希那「......!」
俺は友希那の頭を撫でた
久しぶりにこうしたね
今は抱きしめることは出来ないけれど
まぁ、そこは許してくれるかな
環那「友希那にそう言われたら、俺はそうするしかないね。」
友希那「か、環那......?」
環那「俺、この町に残るよ。こんな友希那を放ってはおけないよね。」
俺は友希那に微笑みかけた
この調子じゃ、俺は友希那に何されても許しちゃいそうだ
いや、今更かな
友希那「昔みたいに、一緒にいられるの......?」
環那「うん、リサと3人でいられるさ。それが友希那の望みなら。」
友希那「環那、環那......!」
環那「うん、俺はここにいるよ。」
本当は友希那に嫌われたままで
大人しく町を出て行く予定だった
けど、予定変更だね
もう少し、いや、友希那が望む限りここにいよう
俺はそんな事を考えながら
しばらく友希那の頭を撫でていた
__________________
あれから少し時間が経って
俺は泣き終わった友希那を家に送りに来た
この辺りにはリサの家に来た以来だね
環那「__ここまでだね。」
友希那「そ、そうね......///」
友希那は小さな声でそう言った
なんだか可愛いねぇ
こんな友希那久しぶりに見られたよ
いやー、生きててよかった
環那「じゃあ、俺は琴ちゃんの家に帰るよ。連絡先も渡しておくね。」
友希那「えぇ///ありがとう、環那///」
環那「......(可愛いんだよねぇ。)」
自然と口角が上がる
昔の友希那に戻ってるね
ちょっと昔過ぎるかもしれないけど
まぁ、可愛いければすべてヨシって事で
環那「じゃあね、友希那。」
友希那「か、環那!///」
環那「どうしたの__んっ(!?)」
友希那「ん、ちゅ......っ///」
帰ろうとした時呼び止められ後ろを向くと
友希那が歩み寄ってきて
次の瞬間、唇に柔らかい感触があった
俺が状況を把握すると、
友希那はゆっくり離れていって笑顔を向けてきた
友希那「おかえりなさい、環那!///」
環那「う、うん、ただいま。」
友希那「また、学校で///」
友希那はそう言って小走りで家に入って行った
俺は友希那がいなくなった後も呆然と立ち尽くし
鞄を投げ捨て顔を抑えた
環那(あー、顔熱い、心臓うるさい。なにあれ、ズルすぎでしょー......)
俺は心の中でそうぼやいた
それからは心が落ち着くのを待ち
暫くして心拍数がやっと落ち着いて
鞄を肩にかけ家に帰って行った
いやー......これは流石に余裕は保てないや