どうやら、俺が目覚めたのは早朝だったみたい
さっき公園で時計を見たら朝の4時だった
まぁ、2日も寝たら起きる時間なんて関係ないね
環那「__何か用かな?ノア君。」
ノア「......気付いてたのか。」
家の近くにある交差点
そこの電柱からノア君が出て来た
電柱以外に隠れる場所がないのかな?
もう少し他の所に隠れればいいのに
ノア「腕は回復したようだな。」
環那「うん。エマの技術には頭が下がるよ。」
ノア「凡人とは出来が違うからな。」
ノア君はどこか誇らしそうにそう言った
この子、本当にロリコンなんじゃないのかな?
エマへの好意が異常だし
環那「なに?俺の腕が復活したお祝いしに来たの?」
ノア「だと思うか?」
環那「ううん、全く。」
ノア「ならいい。大正解だ。」
お祝いでもよかったのに
ちょっとくらい喜ぶとかは......ないか
それほど仲いいわけじゃないし
ノア「それで、お前はエマから何か聞いたか?」
環那「え?いや、何も聞いてないけど。」
ノア「なんだと?」
環那「?」
ノア君の問いかけの応えると
珍しく彼は驚いたような声を出した
エマ、何か俺に言うことあったのかな?
いやでも、そんな雰囲気はなかったはずだけど
ノア「......それが、エマの判断か。」
環那「どういう事?」
ノア「なんでもない。気にするな。(何があった?エマは一体......)」
ノア君は慌てた様子で歩いて行った
あの慌てよう、ただ事じゃない
ノア君だぞ?
環那「......まっ、気にしても仕方ないか。今の俺じゃ分からないし。」
取り合えず、この場はそう割り切り
琴ちゃんの待つ家に帰って行った
てゆうか、怒られるだろうなー
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そこそこ長い道を歩いて
俺はマンションまで帰ってきた
いやー、研究室から結構遠いよね、ここ
環那「__ただいまー、琴ちゃんー......って。」
琴葉「なっ、なな......っ!///」
環那「またこのパターン?勘弁してよ。俺が悪いみたいじゃない。」
家に入ると、琴ちゃんがまた裸で立っていた
お風呂上りなんだろうねー
全く、色々と勘弁してほしい
流石に琴ちゃんの裸じゃ興奮しないよ
琴葉「悪いですっ!///」
環那「だよねー。」
琴葉「なんでこんな時間に帰って来るんですか!?///」
環那「いや、手術終わったから」
こんな不毛な言い合いしてるなら着替えればいいのに
さっきから隠すものが隠せてない
まぁ、全く興味はないんだけどね
環那「風邪ひくよ?さっさと着替えてきなよ。」
琴葉「言われなくても行きます!///」
琴ちゃんはそう言って勢いよく部屋に入って行った
それにしても、なんで、あそこまで興味が沸かないんだろう
ここまで来ると、これは琴ちゃんの才能じゃない?
別にスタイル悪くないのにね
環那(さてと、右腕復活したし、どの位使えるか確かめないと。)
俺はそう思い、台所に向かい
最近サボってた料理をすることにした
さて、右腕はどの程度仕事してくれるかな
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琴葉「__それで、その右腕は義手と言う事ですか。」
朝の一悶着から20分ほど経って
琴ちゃんは仕事服に着替えて
今はテーブルに座ってご飯を待ってる
琴葉「それにしても、失った右腕の復活ですか......相変わらず悪運が強いですね。」
環那「これも、日頃の行いの成果だね~。」
琴葉「どの口が言うんですか?」
環那「結構善行は詰んでると思うよ?琴ちゃんの介g......じゃなくて家事代行とかで。」
琴葉「今、介護って言おうとしました?しましたよね?」
環那「いえ、滅相もございません。」
やばい、殺意が明確に見える
流石、元暗殺者
殺意のコントロールが常人とは違う
琴葉「全く、言葉は選んでください。」
環那「ごめんって。朝ごはんは美味しいの作ったからさ。」
俺はそう言いながらテーブルに朝ごはんを置いた
今日は女子力アップしそうなフレンチトースト
この間調べて食べてみたかったんだよねー
琴葉「わっ!美味しそう!」
環那「知識の蓄えは十分だからね。原理さえ分かれば何でも作れるよ。」
琴葉(天才っぽいセリフですね。)
さてさて、どんな味なんだろう
俺はフレンチトーストを口に入れた
琴葉「ん~!美味しいです!」
環那「意外と行儀のいい味になったね。もっと尖らせてもいいかも。」
琴葉「そうですか?私は何もできないのでこれで充分なんですが。」
環那「あはは、研究者気質なのかな?上を目指せるものに手を抜きたくないんだよ。」
俺はそう言いながら紅茶を口に含んだ
さてと、問題は山積みだね
友希那やリサになんて言い訳しようか
特に、この腕について
環那「ねぇ、琴ちゃん。」
琴葉「なんですか?」
環那「この腕、生えてきましたとか言ったらどうかな?」
琴葉「バカなんですか?」
琴ちゃんは俺にそうツッコんできた
まぁ、そうだよねー
でも、面白くしないと、友希那とリサが腰を抜かしちゃう
琴葉「それに、あなたの問題は腕だけではないでしょう。」
環那「......!」
琴葉「目も、片方見えていないんでしょう?」
環那「......うん、そうだよ。」
琴ちゃん、痛いところ突くねー
もう、目の事なんて忘れてると思ったのに
日頃はポンコツなのに、馬鹿じゃないんだよね
環那「経過は変わらず、半分は真っ暗。」
琴葉「もう、回復は望めない、ですか。」
環那「うん、無理だろうね。」
俺は笑いながらそう答えた
さぁ、困った
別に俺の目が見えないなんて問題じゃない
正直、片方あれば十分
でも、罪悪感で友希那の心を傷つけるのは許されない
友希那は優しい子だから、きっと、まだ責任を感じてる
琴葉「どうするつもりですか?」
環那「あはは、どうしようか。」
治ったことにして誤魔化すのはキツイ
だから、あえて普通に生活するのが有力
人間は忘れる生き物って言うし
でももし、友希那がずっと罪悪感を抱えるなら......
環那「......その時は、死ぬしかないかもねぇ、ははっ。」
琴葉「っ!!」
環那「なーんて、冗談だよ、冗談!俺だって命は惜しいよ!折角、友希那やリサと楽しく過ごせてるのに!」
琴葉「......そうですか。(今の、目が本気でしたけど。)」
環那「さーて、学校の用意をしよっかな!あー、休んでた間のノートとか写さないとー!」
俺はそう言いながら席を立ち
自室に行って学校の用意をすることにした
さて、今日も楽しい楽しい学校だ
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”研究室”
環那が去った後、入れ違いという形でノアは研究室に帰ってきた
中ではエマが体に見合わない大きな椅子に座り
何かを考えている様子が見られる
ノア「__帰ったぞ、エマ。」
エマ「うん。」
ノアはエマにそう言うと
机の向かい側に立って
少し険しい目をエマに向けた
ノア「......なぜ、奴に話さなかった。」
エマ「......」
ノア「絶好の機会だったはずだ。手綱もつけただろう。」
ノアは少し強い口調でそう言った
だがエマはそれに動じた様子も見せず
何を考えてるか分からないような目をノアに向けた
エマ「私は、かーなの人生を壊したくない。それだけ。」
エマはいつも通り、一定のトーンでそう言う
ノアは理解できないと言った様子で
怪訝そうな表情を浮かべている
エマ「今、かーなにあの事を言ったら、きっと......」
エマは少し目を瞑り
少しして、ノアの方を見た
そして、ゆっくり口を開いた
エマ「私は、かーなに殺される。」
ノア「......っ!!」
エマのその言葉にノアは背中を震わせ
それ以上は何も言えなくなり
それを見たエマはゆっくり目を閉じた