この間の燐子ちゃんとの話で出た人物
あれは間違いなく俺の妹だ
同じ町に同じ苗字なんてそうそうない
それにしても、残念だなぁ
どうせなら、顔面兵器の男でも量産してたら良かったのに
そっちの方がなんとなく面白かった
環那(妹ねぇ。)
どうせなら、ドブスだったりしないかな
有名って話も顔面兵器とか、相当変な奴だとか
そう言うのなら、ネタ的にも美味しいんだけど
まぁ、そんな訳はないよね
環那「......ふーむ。」
ネットで調べてももちろん出てこない
所詮、町の中での噂だし、当たり前か
ちょっと出来がいい程度なら、全国にゴロゴロいるし
環那(......それにしても。)
なんだろう、この気持ち悪い感じ
昔から俺が倒れる時の前兆に似てる
嫌なんだよね、この現象
環那「......実際、目の前に現れたら倒れそー。」
巴「何がだー?」
環那「あ、ともちゃんー。」
巴「よっ、元気なさそうだな。」
屋上で考え事をしてると
ともちゃんがゆっくり俺に近づいて来た
相変わらずのイケメン女子
羨ましいね、この外見ステータス
巴「どうしたんだ?いつものニヤケ顔が引っ込んでるぞ?」
環那「あはは、そ、そうかなー?」
巴「あぁ。なんでも簡単に余裕を持ってやってそうな環那さんからは考えられないくらいな。」
環那「余裕なんていつもないんだけどね......」
多分、今の俺は大分顔が引きつってる
ほんと、余裕なんてあるなら欲しいよ
あればかっこいいしね
巴「まぁ、そう言うのは良いんだよ。あたしは環那さんの様子がおかしいから聞いたんだ。」
環那「本当にイケ女だねー。じゃあ、少しだけ話を聞いてもらおうかな。」
巴「おうよ!任せな!」
”巴”
なんて、言ったはいいんだが
あたしはバカだ
環那さんが悩むことだぞ?
あたしなんかが解決できるわけないだろ
環那「いくつか質問するから、ともちゃんの答えを聞かせてね。」
巴「お、おう!どんとこい!」
環那「(どんとこい?)まぁ、質問するよ。」
まぁ、質問に答えるだけなら大丈夫か
それにしても、変な質問来ないよな?
数式の答えを出せとか
環那「ともちゃんは、死ぬほど恨んでる相手っている?」
巴「え?......うーん、いないな?」
環那「じゃあ、いたことを想像してみて。」
巴「あぁ。」
あたしは少しそれを想像してみた
環那さん言うほどの人物が浮かんでこない
けど、まぁ、何となく想像は出来る気がする
環那「もし、そいつが目の前に現れたらどうする?」
巴「そりゃあ、一発どころか何百発でも殴るな。」
環那「なるほど、ともちゃんはそう言うタイプか。」
巴「?」
質問の意図がよく分からないな
環那さん、嫌いな奴でもいるのか?
恨む恨まない以前に人に興味なさそうなのに
環那「じゃあさ、もし......」
巴「もし?」
環那「......その恨んでる人物の正体が妹なら、ともちゃんはどうする?」
巴「っ!!」
その瞬間、あたしは震えた
質問の内容なんかじゃない
環那さんのこの雰囲気だ
いつもの穏やかさはなく、どこか冷たい
正直、少し怖いとすら思う
巴「......それは、分からない。」
環那「うん、だと思うよ。普通じゃ考えないもん。」
環那さんはそう言って立ち上がった
その頃にはいつもの雰囲気に戻ってて
相変わらずのニヤケ面を浮かべている
そんな環那さんを見て、あたしは質問をすることにした
環那「うーん......どうだろう。俺は前科持ちだからね。」
環那さんはそう言って歩き始めた
この人、割と冗談じゃないところあるからな
今宮翔のこととかな
あの人、普通に消えたし
環那「まぁ、早々ないんじゃないかな。捕まるの面倒くさいし。」
巴(そう言う問題なのか。)
環那「後はまぁ、どうでもいいし。」
巴「どうでもいい?」
この人、シレっとこう言う事を言うんだよな
何と言うか、心が無い、みたいな?
どこか、自分を他人にしてる感じで
環那「うん。今、俺の周りにいる人間以外......心底どうでもいいかな。」
巴「!!」
この人、やばい
目が人間のそれじゃない
笑ってるけど、すごい濁ってる
環那「勿論、ともちゃん達もお友達だよ。今はね。」
巴「......あぁ、分かってるよ。」
今は、か
全く、ドライな言い方だな
やっぱ、湊さんやリサさん以外にはこんなもんか
環那「じゃあ、またね。俺は教室に戻るよ。」
巴「またなー。」
環那さんは手を振りながら屋上を出て行った
珍しく悩んでるから話してみたけど
なんて言うか、あの人のヤバさを改めて理解した
環那さん、まさか......人、殺さないよな?
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”環那”
放課後、俺はRoseliaの練習に来てる
行くときは2人に呼ばれたときだけ
毎回呼ばれるんだけどね
燐子「__み、南宮君......!///」
友希那、リサ、紗夜、あこ「!?」
環那「はい?」
練習が終わった後
燐子ちゃんに話しかけられた
慣れられたのかな?
燐子「えっと、今日、調理実習があって......それを......///」
環那「クッキー?まぁ、ありがとう。貰っておくよ。」
燐子「はい......///」
リサ(ど、どどどういうこと!?)
友希那(環那が、燐子と......!?)
紗夜(調理実習の時、持って帰ると頑なだったのはこのためですか。)
あこ(環那兄と話せるようになってるー!よかったー!)
環那(クッキーかぁ。)
そう言えば、久しくリサの以外食べてないな
それで特別困ったことなかったし
とまぁ、ひとまず食べてみよう
環那「......おぉ。」
燐子「......///」
普通に美味しい
調理実習の範囲内だけど上手だと思う
班活動だから、平均貢献度を差し引いてもね
環那「美味しいよ。」
燐子「よ、良かった......///あの、これもどうぞ......///」
環那「(至れり尽くせりだなー。)いただきます。」
俺は燐子ちゃんから紅茶を受け取った
なんで、こんなことになってるんだろう
慣れられたって言うより、懐かれた?
それは少し勘弁してほしいんだけどー......
リサ「ちょっと環那ー!」
環那「ど、どうしたの?」
リサ「なに燐子まで落としてんのさー!」
環那「え?」
友希那「燐子と仲良くなれたのね。」
環那「うん、少し話す機会があってね。(仲良くなったかは暫定的だけど。)」
それにしても、さっきから燐子ちゃんからの視線が痛い......じゃなくて熱い
本当に何したっけ?
全く持って謎だ
リサ(環那、いつもは全くモテないのに......なんで、あたし含めて一部の人間だけ......)
紗夜「湊さんは良いのですか?南宮さんが白金さんと仲良くなって。」
友希那「いいに決まってるでしょう?環那は別に私の所有物ではないもの。」
リサ「ぐふっ!!」
あこ「り、リサ姉ー!!」
環那「?」
なぜか、リサがダメージを受けてる
なんか昔もこんなことあったなー
小学校5年生くらいだっけ?
環那「あはは、リサは相変わらずだねー__って、ん?」
燐子「電話、ですか......?」
環那「珍しい。」
俺は首を傾げつつ電話を取った
でも、おかしい
携帯を耳に近づけても声が聞こえなくて
何か、機械音だけが流れている
『__もしもし、お兄ちゃん?』
環那「!!?」
『私は環那お兄ちゃんの妹だよ。』
環那「妹......?」
友希那、リサ、燐子「え......?」
妹?妹だって?
なんで、今になって接触してきたんだ
そもそも、電話番号の情報源は?
いやな、なにより、何が目的だ?
色んな可能性が頭の中を回ってる
環那「......これは、ボイスチェンジャーか録音後に編集された音声だ。」
『だいせいかーい。これはボイスチェンジャーだよ。流石私のお兄ちゃん。』
環那(分からない。なぜ、接触するのに正体は隠すんだ。)
だが、俺の電話番号を知ってる人間は限られる
いや、電話番号程度なら探れる可能性がある
だから、一概に相手を限定できる証拠にはならない
けど、それでも範囲は限られる
環那「君には不審な点が多い。なぜ、接触するのに正体を隠すんだ?」
『お兄ちゃん、私の正体が分かったら殺しに来るでしょ?』
環那「殺すだって?俺が?」
『だって、お兄ちゃん、言ってたもん。』
環那「言ってた、だって......?」
どこでだ......?
俺は、そんなこと言った覚えはない
じゃあ、必然的に自覚してないときになる
その間、俺に接触できる相手?
『じゃあ、そろそろ切るね?もし、私を見つけられたら......殺しても良いよ?』
環那「っ!」
妹(仮)はそう言って電話を切った
その瞬間、俺は体中から力が抜けて
ボーっと天井を眺めた
燐子「み、南宮君、鼻血が......!?」
環那「え......?」
リサ「環那が頭を使い過ぎた時になるやつ!」
紗夜「そんなのあるんですか!?」
友希那「えぇ、環那は頭の回転が速いのだけれど、意外と繊細なところがあるから、頭を使いすぎたりキャパシティをオーバーするとすぐに鼻血が出たり、不眠症になったりするの。」
あこ「脆過ぎ!?」
やっば、いきなり頭使い過ぎた
さっきだけで何通りの可能性を考えた?
多すぎて1万から数えてなかった
しかも、最後まで絞り切れなかった
リサ「大丈夫?」
環那「うん、大丈夫だよ......ちょっと、回し過ぎただけ。」
リサ「環那がこうなるなんて久しぶりじゃない?いや、それもだけど、妹って何?」
環那「妹から、電話が来た。」
友希那「妹......ですって......!?後に生まれたなら存在すら知らないはずなのに......!?(環那は、ずっと......!)」
燐子「鼻血、止めてください......!ティッシュです......」
環那「う、うん、ありがとう。」
俺は燐子ちゃんからティッシュを受け取った
突然の妹からの電話
今までは放置できた問題だったけど
もう、そうできるものじゃなくなった
いや、強制的に意識の内に入れられた、か......