羽丘の元囚人   作:火の車

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予告

 今日のお昼はリサが持って来てくれた

 

 なしだと思ってたから、これは有難い

 

 ご飯食べないとエネルギー効率最悪だし

 

環那「......?」

友希那「どうしたの?」

環那「いや、リサ、料理の味付け変えたのかなって。」

 

 俺はふと、そんな違和感を口にした

 

 今日の味付けはいつもより濃い

 

 けど、これはこれで良い

 

リサ「最近、色々研究しててねー。」

環那「良いと思うよ。俺は結構好き。」

リサ「そっか!良かった!」

友希那「私ももっと練習しないといけないわね。」

 

 横で友希那が張り切った声を出してる

 

 今でも十分美味しいと思うんだけど

 

 友希那が頑張りたいことは応援しないとね

 

リサ「そう言えば、その、あの家出て行ってからどうしてんの?寝泊まりするとことかある?」

環那「うん、昨日、燐子ちゃんに拾ってもらったよ。」

リサ「えぇ!?燐子!?」

環那「昨日、河川敷で滑り落ちて気絶してね。その時に燐子ちゃんが助けてくれたんだ。」

友希那「大丈夫なの?怪我はしてない?」

環那「大丈夫だよ。脳にも特に影響はないし。」

 

 俺は笑いながらそう答えた

 

 義手が功を奏した、かな

 

 固いお陰で怪我もなく済んで、頭も守れた

 

環那(......でも、難義なものだね。)

リサ「ね、ねぇ?あたしの家来てもいいんだよ?」

環那「え?」

リサ「こう、あたしの家なら気を使わないでいれるし?」

環那「んー、もう少し、燐子ちゃんの所にいるよ。」

友希那「あら、珍しいわね。私かリサの家に来ると思ったのだけれど。燐子に興味でもあるの?」

環那「!」

 

 友希那には敵わないね

 

 俺の事、なんでも理解される

 

 流石は神様だ

 

環那「......まぁ、そうだね。」

リサ「か、環那が......?あの、環那が......?」

環那「何と言うか、変なんだよね、あの子。」

 

 今まで出会わなかったタイプの女の子

 

 友希那ともリサとも違う

 

 貰ったものすべて、しっくりくる

 

リサ(うぅ......燐子に先越された......)

環那「でも、1週間もすれば出て行かないといけないし、その時は頼もうかな。」

リサ「!!///」

友希那「私の家にもいらっしゃい。お父さんも会いたいと言ってたわ。」

環那「そっか、そろそろ顔見せないとね。」

 

 普通に忘れてた

 

 まぁ、別に怒らないでしょ

 

 むしろ、会った方が怒られそう

 

環那「まぁ、当面は燐子ちゃんにお世話になるよ。時間は結構あるし。」

友希那「それでいいと思うわ。燐子は信頼に足るもの。」

リサ(燐子の態度的に安心できないんだよ!)

環那(......俺も俺の事、片付けないと。)

 

 それから、俺はお弁当を完食し

 

 残りのお昼休みは2人と話して過ごした

 

 まぁ、ほとんどリサからの質問責めだったけど

__________________

 

 放課後、俺は服などの荷物を持って廊下を歩いてる

 

 燐子ちゃんは今日、バンドの練習

 

 帰って来るまで家には入れないし

 

 なにかやることを探さないといけない

 

環那「__ん?」

 

 そんな事を考えながら歩いてると

 

 廊下の真ん中に落ちてるある物が目に入った

 

 俺はそれの前に立ち、それを拾い上げた

 

環那「これは、誰かの携帯?__!!」

 

 その瞬間、携帯はバイブレーションで震えた

 

 誰かからの電話だ

 

 もしかしたら、持ち主か関係者かもしれない

 

 取り合えず、出てみるほかないか

 

環那「はい、もしもし。」

『あっ、お兄ちゃん?』

環那「!!(なっ......!?)」

 

 携帯の向こうから、加工された音声

 

 妹だ

 

 まさか、この携帯は落としたんじゃなく置いたのか?

 

 結構、大胆に動いてくるな

 

環那「......何か用?」

『今日は軽く予告のために電話したんだよ?』

環那「予告?」

『お兄ちゃんを傷つけた女教師......浪平琴葉だっけ?殺すから♪』

環那「っ......!」

 

 狂気、そんな言葉が頭を過った

 

 電話越しの妹の声は加工されててもわかるほどの狂気を孕んでいる

 

 これは、本気でやる人間の声だ

 

環那「......何も、殺す必要はないと思うけど。」

『必要ありだよ?ただでさえ、お兄ちゃん以外の人間なんてどうでもいいのに、そんなのがお兄ちゃんを傷つけた。これは制裁なんだよ?』

環那「......」

『お兄ちゃんだって、どうでもいいんでしょ?なら......いいよね?』

 

 この妹、許可の取り方を知らない

 

 いいよねとか言ってるけど、やるって言ってる

 

 こういう所、俺に似てる気がする

 

環那「......勝手にすればいいよ。」

『やった♪じゃあ、待っててね。すぐに、見せてあげるから。』

 

 その言葉の後、電話が切れた

 

 それにしても、殺すか

 

 浪平琴葉は元暗殺者

 

 殺し方を分かってる人間だ

 

 そんな人間がそう簡単にやられるかな?

 

 俺としては結構難しいと思うけど

 

環那(どっちにしても、どうでもいい。どうせ、俺の中では、とっくに死んでるんだから。)

 

 軽くため息をついた後、俺は歩き始めた

 

 てゆうか、この携帯どうしよ

 

 まぁ、会った時にでも返せばいいや

 

 どうせ、そんな遠い話でもないし

__________________

 

 ”燐子”

 

 今日は、練習が長引いてしまった

 

 とは言っても、原因は質問責めで

 

 南宮君のことが好きな今井さんは特に焦ってた

 

燐子「__あれ......?」

環那「あっ、燐子ちゃん。」

 

 家の前まで帰って来ると、南宮君が立っていた

 

 優しい笑顔を向けられると、胸が高鳴る

 

 こんなの、初めて

 

燐子「......///」

環那「おかえり。」

燐子「ずっと、待ってたんですか......?///」

環那「いや?さっきまで図書館にいたよ。」

燐子「そ、そうですか......///」

 

 よかった

 

 取り合えず、何時間も外に放置したわけではない

 

 でも、これからはもっと気をつけないと

 

環那「燐子ちゃんはお疲れ様だね。今日もこんな時間まで。」

燐子「いえ......これがRoseliaの普通なので。」

環那「ははっ、すごいわけだ。」

 

 この前のライブ、あれもすごかった

 

 素人が聞いても分かる演奏の精度

 

 仮定もしっかりしてるし

 

 これには素晴らしいの一言だ

 

環那「リサに紗夜ちゃん、燐子ちゃんにあこちゃんか......」

燐子「?」

環那「友希那は素晴らしい仲間を集めた。」

 

 南宮君は嬉しそうにそう言った

 

 その目はどこまでも慈愛に満ちていて

 

 まるで、ずっと子供を見守ってきた親の様

 

 これが、南宮君の友希那さんへ対する愛なんだ

 

環那「もう、俺が心配する必要はないかな。友希那はもう大丈夫。」

燐子「はい......私もそうあってくれるように頑張りたいです......!」

環那「ありがとう。これからも、友希那をよろしくね。」

燐子「は、はい......!」

 

 南宮君、お父さんみたい

 

 私と同い年なんだよね?

 

 身に纏ってる空気がそう言ってないけど

 

燐子「そろそろ、入りましょう。」

環那「そうだね。」

 

 それから、私達は2人で家に入って

 

 私はお風呂に、南宮君はお夕飯を作ってくれることになった

 

 その時間はとても幸せで

 

 両親がいるのと同じくらい楽しかった

 

 

 

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