羽丘の元囚人   作:火の車

34 / 200
信頼関係

 ......昨晩は眠れなかった

 

 その理由は横にいる燐子ちゃんだ

 

 緊張とかじゃなく、試行回数が増やされた

 

 俺の中で生まれた極めて立証に近い仮説

 

燐子「スゥ......」

環那「......運命、か。」

 

 そうだとしたら納得がいく

 

 この子は俺の欲しいものをなんでもくれる

 

 そして、友希那と同じ言葉を言った

 

 もはや奇跡の領域だ

 

燐子「んん......っ」

環那(......)

 

 可愛い

 

 友希那やリサ以来になるかな?

 

 本気で可愛いと思った

 

 すごく撫でたい

 

環那(いや、ダメダメ。燐子ちゃんの信頼を裏切るのは。)

 

 純粋に嫌われたくない

 

 こんな風に幼馴染以外に思うのも久しい

 

 分かりやすくこの子にペースを乱されてる

 

 でも、それも悪くない

 

燐子「ん......?南宮君......?」

環那「おはよう、燐子ちゃん。」

燐子「おはようございます......」

 

 燐子ちゃんは眠そうな目を擦ってる

 

 どんなしっかりした子でも寝起きはこんな感じなんだ

 

 可愛さ指数がオーバーフローしてる

 

燐子「南宮君、眠れましたか......?」

環那「え?なんで?」

燐子「肌が白いのでクマが......」

環那「あー......(そう言えば、そうだった。)」

 

 昔から夜更しとかすぐバレたっけ

 

 あれってそういう理由があったんだ

 

 約18年生きて初めて知った

 

環那「少し考え事をしててね。でも大丈夫、慣れてるから。」

燐子(そう言えば、初めて会った時もクマがあったような......)

 

 頭使うとすぐ寝れなくなるんだよねー

 

 ついでに鼻血も出るし

 

 いやー、面倒くさい体質だね

 

環那「まっ、問題ないよ。研究してるときは寝不足が常だしね。」

燐子「研究?」

環那「あれ、言った事なかった?俺、趣味で色んな研究してるんだよ。」

燐子「初めて聞きました......」

 

 燐子ちゃんは驚いた顔をしてる

 

 あ、そうだ

 

 どうでもいいと思って言ってなかったんだ

 

 いやぁ、忘れてた

 

環那「ちなみに、文献の研究は何もしてないよ。国語は苦手だから。」

燐子「知ってます。今井さんが......国語だけは赤点だって。」

環那「いやぁ、数学ばっかりしてきたからね。」

 

 俺は頭を掻きながらそう言った

 

 もうすぐテストだし、どうにかしないと

 

 補修は勘弁願いたい

 

環那「さぁ、学校行く準備しよ。遅刻するって時間じゃないけど。」

燐子「はい、そうですね。」

 

 この後、俺と燐子ちゃんはそれぞれ学校に行く準備をし

 

 朝ごはんや洗面をして家を出た

__________________

 

 もう6月が終わるだけあって外は暑い

 

 寒いのも勘弁だけど暑いのも嫌だ

 

 けど、何より嫌なのは友希那の日焼け、熱中症

 

 これからは日焼け止めと日傘を待ち歩かないと

 

リサ「_あっ、環那ー!」

友希那「おはよう。」

環那「おはよう、2人とも。って。」

 

 教室に入ると違和感があった

 

 なんだか、いつもと様子が違う

 

環那「ん?今日、何かあったっけ?」

リサ「今日は校内清掃の日だよ?この前、クジで班決めたじゃん!」

環那「あっ、そう言えばそうだったね。」

 

 俺はそう言って鞄の中を漁った

 

 確か、班の表が入ってるはず

 

環那「あっ、これだ。」

友希那「確か、全学年合同のはずよ。」

環那「う、うーん、そのハズなんだけどー。」

リサ「わおっ。」

 

 班メンバーは友希那とリサ、ともちゃん、つぐちゃん、あこちゃん

 

 知り合いが集まったなー

 

 まぁ、気楽にできるしいいんだけど

 

環那「で、場所はあの井戸の近くと。」

リサ「あ、あそこかー。」

環那「ん?なにかあるの?」

友希那「そこには幽霊が出るという噂があって、去年、リサは怖がりまくってたのよ。」

環那「あー、変わらないね。」

 

 おばけとかに弱いのは変わってないのかー

 

 からかうのもまたいいんだけど

 

 1つ間違えたら泣かせちゃうし、やめとこ

 

環那「まぁ、お化けとかはどうでもいいや。」

リサ「どうでもよくないよ!」

環那「大丈夫だって。何があっても俺がどうにかするよ。」

リサ「っ!///(か、かっこいい......///)

環那「でも、友希那の肌を紫外線から守るのは俺単体の力じゃどうにもならない。」

友希那「え?」

 

 俺はそう言いながら日焼け止めと日傘を出した

 

 外での作業で友希那の綺麗な肌が焼けたら

 

 それはもう一生の後悔どころじゃない

 

環那「じゃあ、自分でするかリサにされるか俺にされるか、どれがいい?」

友希那「じ、自分でするわ。」

環那「なんだって!?」

リサ「!?」

 

 ゆ、友希那、自分で日焼け止め塗れるの?

 

 昔は俺かリサが無理やりしてたのに

 

環那「つ、躓いたら言うんだよ?」

友希那「私ももう高校生よ?出来るわ。」

 

 友希那はそう言って日焼け止めを受け取った

 

 そして、ゆっくりそれを塗り始めた

 

 その姿は正に女子高生って感じで

 

 ちゃんと、塗れてる......

 

環那「成長したね、友希那......!この成長はギネスに登録されるべきだ......!」

リサ「いや、日焼け止め塗っただけで!?」

環那「載らないならギネス......いや、世界が狂ってる!」

リサ「狂ってるのは環那だよ!今回は!」

 

 感動しすぎて取り乱した

 

 でも、友希那は本当に成長してる

 

 昔は本当に俺とリサがなんでもしてたのに

 

環那「いやー、5年って言う年月は、俺が想像してる以上に大きいみたいだね。」

リサ「それはそうだよ。」

環那「リサも、すごく綺麗になった。」

リサ「っ!?///(そういうとこだよ......///)」

 

 リサは顔を赤くしてモジモジしてる

 

 うーん、やっぱり見方が変わってる

 

 リサを大切にする意識が出て来たのかな

 

友希那「2人でイチャつくのはいいのだけれど、もうすぐホームルームが始まるわよ?」

環那「そうだね。もう担任も来る。」

「__はーい、みんな席ついてー。」

環那、リサ、友希那「!!」

 

 俺たちが話してる途中

 

 教室のドアが空き教師が入って来た

 

 ただし、その人は浪平琴葉じゃなく

 

 他の教科担当の教師だった

 

「あれ、浪平先生はー?」

「浪平先生、連絡が取れないんだよね。見たって言う人はいるんだけど......」

環那「っ......!」

リサ「環那?」

友希那「どうかしたの?」

環那「い、いや、なんでも。」

 

 この時、俺は妹の言葉を思い出した

 

 『お兄ちゃんを傷つけた女教師......浪平琴葉だっけ?殺すから♪』

 

 確かに、そう言ってた

 

 もう、準備が出来てるのか?

 

環那(もう、妹の殺害計画は実行段階。このまま誰も介入しないと、まず浪平琴葉は死ぬ。)

 

 俺の妹、その人物の答えが合ってるなら

 

 浪平琴葉なんかでどうにか出来るわけない

 

 殺害方法はわからないけど

 

 どこかで必ず死ぬ

 

環那(.....いや、だからなんだって言うんだ?)

 

 もう、どうでもいいと割り切った人間

 

 今さら死のうが死ぬまいがどうでもいい

 

 そう、思ってるのに......

 

環那「......っ」

 

 なんで焦る?

 

 どうでもいいんだろ?

 

 だったら妹に殺させても良いじゃないか

 

 いなくなったって俺の生活は変わらない

 

 そんなこと、十分理解してる

 

 

 『__私は南宮君のことを信じます......!』

 

環那「!!」

 

 思考を回してるうち、その言葉を思い出した

 

 信じる......俺もかつて、浪平琴葉にそうだった

 

 友希那やリサと違う信頼関係

 

 監視者と監視対象

 

 その関係を超えた、謎の信頼

 

環那「......そういう事か。」

リサ「環那?」

 

 俺が何故、あんなにショックを受けたのか

 

 大体、今のことで分かった

 

 普通に、居心地が良かったんだ

 

 あのダラシない女教師が

 

環那「.....ほんと、我ながら甘い。」

リサ「どっか行くの?ホームルーム__」

環那「ごめん、ちょっと急用。」

友希那「急用?」

環那「出来るだけすぐに戻るよ。」

リサ「ちょ、環那!?」

 

 俺は2人にそう言って教室を駆け出た

 

 正直、あの女とどう接したらいいかわからない

 

 それに、一度拒絶した相手

 

 実際に対面してどうなるかなんてわからない

 

 けど、俺の魂が大声で訴えてくる

 

 浪平琴葉を死なせてはいけない、と

 

 それに従い、俺は予想される現場に向かって走って行った

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。