怒ると言うのは苦手だ
頭に血が上って思考が単調になる
おまけに周りに無駄な気を遣わせてしまう
だから、苦手だ
環那「......(落ち着け。まず、考えることはたくさんある。)」
ここから、妹はどう動くか
今の電話で正体の開示は完了した
もう、向こうも姿を隠す必要はない
つまり、直接こっちにアクションを起こせる
だとしたら、どう動く?
環那(向こうは単体じゃどうやっても力負けする。でも、向こうには結構ヤバいのいるし。)
あれと殴り合い......
うわぁ、面倒くさい
無傷でいられる確率30%くらい
ちょっとだけリスキー
でも、向こうもそれは承知、だから......
環那「......っ!(マズい!)」
俺は立ち上がって自分の持ち場の方を向いて走り出した
完全にしくじった
環那(琴ちゃんを殺す気なら確認のために来てる可能性もある。直接勝てる可能性が100%じゃないなら、状況を有利にするのに着手する。つまり、友希那かリサを狙われたら終わりだ!)
ここに来て10分
持ち場に言ってるとしたら2分は立ってる
急がないと
__________________
少し走って掃除の持ち場に来た
なんで反対側にあるんだ
思った以上に時間がかかった
いや、いい、友希那とリサは......
リサ「__あれ、環那?」
友希那「どうしたの?走ってきて。」
環那「い、いや、なんでもないよ。」
よかった、流石に動いて来なかったみたいだ
少し、考えすぎたかな
過度な思考は思い込み、妄想ともいえるし
巴「すごい汗だぞ?」
環那「走ったからかな?暑かったし。」
つぐみ「確かに、今日はかなり暑いですね。」
あこ「なのに外の作業だもんー。悪魔の所業だよー。」
環那「まぁまぁ、頑張ったらあとでアイスでも買ってあげるから。」
あこ「ほんとに!?やったー!」
あこちゃんは両手を挙げて喜んでる
うんうん、小さい子は可愛いね
こんなことでこんなに喜ぶなんて
巴「おっ、さんきゅー!」
リサ「あたし、ハー〇ンダッツがいい!」
友希那「私も。」
つぐみ「ちょ、皆さん!?」
環那「いいよいいよ。つぐちゃんも同じのでいい?」
つぐみ「えぇ!?い、いや、私は......」
環那「じゃあ、ハー〇ンダッツ5個でいいね?」
巴「よっしゃー!やる気出たー!」
みんな可愛らしいねー
将来、教職者の道に進むのもいいかも
まぁ、ほとんどの人には不気味がられるし難しいけど
琴葉「__みなさーん!お待たせしましたー!」
巴「おっ、浪平先生も来たな!」
つぐみ「遅かったですね?どうしたんですか?」
琴葉「え?えっとー、そのー......」
環那「トイレでも行ってたんじゃない?お腹出して寝てるくせに意外とお腹弱いから。」
リサ「!?」
友希那「あら、そうなのね。」
巴「......ん?」
つぐみ(あれ、今、何かおかしいこと言ってなかった?)
リサ(あー、なるほど。仲直り、出来たんだ。)
リサにアイコンタクトを送ると、軽く頷いた
以心伝心率高いねー
言葉にしなくてもこっちの意をくんでくれる
環那「琴ちゃんもハー〇ンダッツいる?あとで買いに行くんだけど。」
琴葉「欲しいです!」
つぐみ(先生!?)
環那「じゃあ、決まり。早速、初めて行こう。まず、草むしり__!?」
草むしりをしようと下を見た瞬間
俺はとんでもない事実に気付いた
まずい、これは非常にマズい
リサ「環那?」
環那「り、リサ。友希那を連れて草むしりは避けるんだ。」
リサ「え?ど、どういう事?」
環那「ここの草、結構固めで鋭いから、手を切るかもしれない。」
リサ「......ん?」
この固い草で友希那とリサが手を切ったら大変だ
もしそんな事になったら
俺が間違えてこの辺りの草全部死滅させる
環那「......この辺りの草、安全のために薬開発して死滅させた方がいいか?」
リサ「いや、それはやめなよ。景観損ねるし。」
と、リサにもっともなツッコミをされた
難しいものだね
もっと柔らかい草にすればいいものを
なんで、こんな危険度の高いものにするんだ
環那「なら仕方ない。正攻法で対応する。」
巴「か、環那さんからすごい気を感じる......!」
友希那「えぇ、こんなに本気の環那は久しぶりに見たわ。」
あこ「環那兄、何をする気なの......!?」
リサ(ツッコミがいない。)
つぐみ(巴ちゃんまで......)
琴葉(うんうん、元気ですね。)
さぁ、始めよう
超効率的草むしり
あこ「は、はやっ!?」
リサ「無駄にすごい。」
友希那「昔から、仕事は早かったもの。」
巴「おおよそ、湊さんに雑務なんてさせるか!ってとこだろうな。」
つぐみ「えぇ......」
無心での草むしり
昔から草むしりなんて腐るほどしてきたし
このくらいの範囲なら一瞬で終る
環那「__と言う事で、終わりました。」
琴葉「そのハイスペック、もっと他の事に役立てられないのですか?」
環那「他に出来る事......日本の科学を何年か進めるくらいしか出来ないね。」
友希那、リサ、あこ、巴、つぐみ「!?」
環那「でも、こんなこと俺にはどうでもいいし。」
琴葉「本当に無関心ですよね。」
まぁ、俺じゃなくてもそれくらい出来るし
なんなら、現に進めてるのだっている
だから、俺は別にどうでもいいや
環那「さぁ!掃除はまだまだあるよ!続けよう!」
リサ「そうだね!一番時間かかりそうなのは環那が終わらせたし!」
巴「終わったらアイスだー!」
琴葉、あこ「おー!」
友希那「今更だけれど、教師がこれで良いのかしら?」
つぐみ「ダメですよ......」
それから、俺達は井戸の近くの掃除を進め
お昼休みまでに余裕をもって掃除を終わらせ
その後は購買にアイスを買いに行った
__________________
お昼休みの屋上
朝はここで色々あったね
まぁ、そんなに時間が経ったことじゃないんだけど
環那「そろそろ、来ると思ったよ。」
ノア「___ふんっ。」
俺が後ろに目を向けると
そこには不機嫌そうなノア君が立っていた
さっきの出来事的に、動くと思ってた
環那「大体用は分かってるけど、一応聞いておくよ。」
ノア「貴様に聞くことがある。」
環那(ほらね。)
予想通り
用も大体わかってる
この場での問題はノア君の対応
流石に争うのは気が重い
ノア「もう、気付いているのは知っている。その上で、お前はどうする。」
環那「どうする、とは?」
ノア「......殺す気か?貴様の妹を。」
環那「......」
回答次第では殺す
そう言いたげな顔をしてる
勘弁してほしいよ......
この男と争うのはリアルに骨が折れるし
環那「その答えは、俺のこれからの在り方による、かな。」
ノア「......在り方?」
環那「別に止めたいなら止めればいいよ。でも、あんまりおすすめはしない。」
ノア「__!」
環那「......」
ノア君の横を通り過ぎた後
後ろから何かが飛んでくる気配があった
上手いね相変わらず
けど......
ノア(な......っ!?)
環那「君はここで俺に手を出せない......そうでしょ?」
ノア「......なぜ、分かった。」
環那「予想が付くからね。」
俺はノア君の拳に触れた
これで、何人仕留めて来たんだろう
こんなので死んでも殴られたくない
まぁ、当たらない自信はあるけど
環那「まぁ、生末を見届けてよ。仮に妹が死んだら、弔い合戦でもなんでも受けてあげるさ。」
そう言って、ドアの方に向かって歩いた
ほんと、見た目によらず従順だよね
段々、可愛く見えて来たよ
ノア「......殺したら貴様を殺すぞ。」
環那「あぁ、構わないよ。出来るものならね。」
ノア「......チッ。」
俺はノア君の舌打ちを聞きながら屋上を出た
さぁ、人生初めての兄弟喧嘩......
死んでも負けられないね
__________________
”リサ”
環那にアイスを買ってもらってそれを食べて
その後、浪平先生に頼みごとをされて
またさっきの掃除場所に来た
どうやら、携帯を落としたらしい
友希那「あったわよ、リサ。」
リサ「よかったー。壊れてないみたいだね?」
友希那「えぇ。」
最近、浪平先生のイメージが変わった
前までは素朴で優しい良い先生のイメージだった
だけど、今は抜けてるドジっ子になってる
環那によく聞かされたのもあるけど......
リサ「まっ、見つかったなら浪平先生に届けに行こっか。」
友希那「そうね。早く涼みたいわ__」
エマ「__ここにいた。」
友希那、リサ「!?(ど、どこから!?)」
エマ「会うのは2回目。湊友希那、今井リサ。」
気配もなく、いきなり現れた白衣の少女
異様に白い肌に長い金髪、赤い瞳を持ってて
どこか、浮世離れした容姿をしてる
いや、なんで、ここにいるの?
リサ「迷子?出口まで送ろうか?」
エマ「いい。用が終わったら帰る。」
友希那「......私達に用があるみたいね。」
リサ「あたし達に?」
友希那は低い声でそう言った
見るからに警戒してる
まぁ、どう見ても普通の子じゃないもんね
リサ「用って、なに?」
エマ「私は、あなた達が嫌い。」
リサ、友希那「......?」
エマ「愛を向けられてるあなた達が嫌い。」
言ってる意味が分からない
急に出てきて、一方的に喋られて、何か分からないけど嫌いって言われて......
あたしに関しては状況すらつかめてない
友希那「......あなたは誰なの?いきなり嫌いと言われても、反応に困るわ。」
友希那はけげんそうな顔でそう言った
まぁ、確かに
あたし達はこの子が誰か知らないし
確かに、急にそんなこと言われても困る
エマ「私はエマ......って言っても、これだけじゃ分からない。」
リサ「......?」
エマは小さく溜息を付き
私達の方を睨みつけて来た
赤い瞳は明確にあたし達に敵対心を示してて
自分よりずっと小さいのに、少しだけ怖いと思った
エマ「私はエマ......南宮エマ。南宮環那の実の妹。」
友希那「え......?」
リサ「妹って......(あの電話の......?)」
あたしも友希那も愕然とした
最近、環那がたびたび言ってた妹
その本人が目の前にいる
その事実が、あまりにも衝撃的だった
あたし達がそんな調子でいると、エマは口を開いた
エマ「私はお兄ちゃんを愛してる......だから、湊友希那。」
友希那「......!」
エマ「お兄ちゃんに愛されてる、あなたの事が大嫌い。」
エマはそう言い放った
分からない
環那とこの子は一緒にいたことはなかったはず
なんで、こんなに環那に固執してるの?
それが、1番分からない
エマ「......何より、お兄ちゃんに絶対に必要だったところも大嫌い。」
それだけ言って、エマは去って行った
圧倒されたあたしと友希那はその場に立ち尽くして
その背中を見送る事しか出来なかった