羽丘の元囚人   作:火の車

38 / 200
恋バナ

 ”リサ”

 

 朝、2人の人物から連絡が来てた

 

 1人目は燐子

 

 どうやら、環那がいなくなって焦ってるみたいだった

 

 あたしも同じように焦った

 

 けど、環那からも学校休むって連絡が来てて

 

 その焦りはすぐになくなった

 

リサ「__浪平先生ー?」

琴葉「今井さん?どうしましたか?」

 

 浪平先生の所に来た

 

 多分、先生の家に帰ったと思うし

 

 休んでる理由を聞いて

 

 風邪とかなら、お見舞いに行こうかと思って

 

リサ「環那、先生の家に帰ってきましたか?」

琴葉「え?」

リサ「?」

 

 あたしがそう聞くと、先生は首を傾げた

 

 その時、少し背筋が寒くなった

 

 先生の家に帰ってない

 

 燐子の家からも出て行ってる

 

 あれ、これって......

 

琴葉「み、南宮君は、帰って来てませんよ......?」

リサ「え、で、でも、燐子が朝起きたらいなかったって......」

 

 こんな状況に覚えがある

 

 あれは、環那に義手が付く前

 

 あの、エマって子のところに行ったとき

 

 連絡もつかなくて、学校も休んでた

 

リサ(や、ヤバいんじゃ。いやでも、環那はそんな__!)

 

 あたしが色々考えてる途中

 

 ポケットに入れてある携帯が鳴った

 

 画面を見て見ると、環那からの電話で

 

 あたしは慌てて出た

 

リサ「も、もしもし!?今、どこ行ってんの!?」

環那『いやー、ちょっと用事があってさー。』

リサ「用事って、まさか、あの子の事じゃないよね?」

環那『違うよー。バイト?みたいな感じー。学校にも話したらオッケーしてくれたよー。』

 

 環那は電話越しでも分かるくらい緩い雰囲気を出してる

 

 バイト?って言い方がちょっと不安になるけど

 

 まぁ、環那なら多少は問題ないと思う

 

環那『今、多分だけど琴ちゃんと一緒にいるでしょー?すぐ帰るって伝えててー。』

リサ「分かった分かった。でも、ズル休みもほどほどにしないよ?」

環那『はいはーい。じゃあ、またねー。』

 

 そう言って電話が切れた

 

 勝手と言うか、何と言うか......

 

 人に心配かけといてあれだもん

 

 結婚とかしたら永遠に振り回されそう

 

琴葉「南宮君ですよね?今の。」

リサ「はい。なんか、バイト?らしいです。」

琴葉「バイトって......あの人は何をしてるんですか......」

リサ「なんか学校にもオッケー貰ってるみたいですよ。(それなら先にあたし達に言って欲しいけど。)」

琴葉「あー......」

リサ「どうかしました?」

 

 浪平先生は何かを思い出したような顔をしてる

 

 え、なにこの顔?

 

 環那になんかあんの?

 

琴葉「この学校の理事長と校長、何故か南宮君に頭が低いんですよね......」

リサ「え?」

琴葉「妙にあの人の顔色を伺ってて、この間もあの人の様子を聞かれまして。」

リサ(どゆこと?環那、一体なにしたの......って。)

 

 あ、大体わかった

 

 多分、理事長と校長の弱み握ったんだ

 

 中学の時の事考えて、

 

 友希那に絶対被害が及ばないように

 

 ありえないって思うでしょ?

 

 けど、環那なら割とありえちゃうんだよね

 

 前例があるし......

 

リサ「まぁ、世の中、知らない方がいい事もありますよ。」

琴葉「そうですね。あの人にツッコんでたらキリがありません。」

リサ「あはは、そうですよねー。」

 

 環那は小さい時から周りと違った

 

 子供らしからぬ言動もしばしばで

 

 最初は不気味だって思ってたけど

 

 結局、それが環那を好きになった理由なんだよね

 

リサ「環那、もうすぐ家に帰るって言ってたんで、またよろしくお願いしますね。」

琴葉「はい、もちろんです。」

リサ「あっ、後。」

琴葉「?」

リサ「......環那に対する気持ち、悪いとは思いませんけど、学校では隠した方がいいですよ?」

琴葉「な、何を言ってるんですか!?///」

 

 浪平先生はそう言って顔を赤らめてる

 

 なんだろ、この同級生と話してるノリ

 

 てか、教師と生徒ってどうなのって思うけど

 

 まっ、そこは本人の自由って事で

 

 同じ人を好きってよしみで見逃しておく

 

リサ「じゃ!あたしはこれで☆」

琴葉「う、うぅ~......///」

 

 先生のうなだれ声を背にあたしは職員室を出た

 

 ライバルが増えたのは複雑だけど

 

 それだけ環那の魅力が証明されてるって事で

 

 それはそれでいいのかなって思った

__________________

 

 放課後

 

 今日はバンドの練習の日だ

 

 あたしは友希那、あこと一緒にCircleに来た

 

リサ「__お待たせー☆」

紗夜「私達も今着いたところです。」

 

 部屋に入ると、紗夜がそう答えた

 

 その後ろではチラチラこっちを見てる燐子

 

 あー、そうだ

 

 燐子に環那のこと連絡するの忘れてたんだ

 

燐子「あ、あの......南宮君は......」

リサ「なんか、バイトみたいだよー?」

紗夜「バイトって......あの人は学校をサボってそんな事をしてるんですか!?」

リサ「まぁまぁ、そんなに怒らなくても!」

 

 紗夜は凄く起こってる

 

 まぁ、真面目だし、仕方ないか

 

友希那「環那にも色々事情があるのよ。」

紗夜「学生に学業以上に優先することなんて無いでしょう!」

あこ「友希那さんじゃないですか?」

紗夜「......あっ(察し)」

リサ「まぁ、それはあるね。」

 

 環那が友希那以上に優先することなんて無い

 

 最近はなぜか落ち着いて来てたけど

 

 まっ、偶々でしょ

 

紗夜「ともかく、あの人はなんであんなにいい加減なんですか。」

友希那「自分がその時にしたいことをする子だもの。仕方ないわ。」

リサ「実際、それが容認されるほどの能力もあるし、手段も持ってるんだよ。」

あこ「そうなの?」

 

 一回少年院に入って、もっとすごくなった気がする

 

 中学の時のことから慎重になったと言うか

 

 情報収集に余念が無くなった

 

 それに、人を脅すのが上手くなった

 

 それがいいかは別として

 

リサ「うちの理事長も校長も弱み握られてるみたいでさー。」

紗夜「なにしてるんですか!?」

燐子「南宮君はかっこいいので......問題ないです......///」

紗夜「白金さん!?」

あこ(りんりん、デレデレだなー。)

 

 今、友希那と同じくらい燐子が怖い

 

 環那は異様に燐子に甘い

 

 あんな態度、友希那以外にしてるの見たことないし

 

 まさか、同居してる間に何かあったんじゃ!

 

リサ「ね、ねぇ?燐子?」

燐子「はい?」

リサ「燐子ってさー、もしかしなくても、環那のこと好きだよね?」

燐子「!!///」

 

 そう尋ねると、燐子は顔を真っ赤にした

 

 これを見ればもう分かるんだけど

 

 一応、本人の口からきかないと

 

燐子「好きです......///」

リサ「だ、だよねー。」

燐子「南宮君は優しいし、否定されやすいけど、きっと優しい人だから......肯定したくなっちゃうんです......///」

 

 か、完全にお熱だ

 

 環那、何したんだろ

 

 ただでさえ、燐子って異性苦手だったのに

 

 すごすぎでしょ

 

友希那「環那もきっと、そんな人を求めてるわ。」

燐子「友希那さん......?///」

友希那「信じてあげて。あなたやリサなら、環那を幸せにできる。」

リサ「?」

友希那「さぁ、練習を始めましょう。」

 

 友希那はそう言って鞄を置いた

 

 そんな姿を、あたしは目で追ってしまう

 

 なんだろ、この微妙な気持ち

 

リサ(友希那は、ライバルじゃないの?)

友希那「リサ?」

リサ「あ、なんでもないよ!ごめんねー!」

紗夜「さっさとしてください。」

リサ「はいはーい!」

 

 あたしはそう言ってベースをケースからだし

 

 さっきの気持ちは一旦封印した

 

 取り合えず、今はちゃんと練習しないと

__________________

 

 ”環那”

 

環那「__俺が思うにさ。」

 

 俺は鉄でできたドアを蹴り破り

 

 中にある近未来的な部屋に入った

 

 ここまで邪魔も入らなかったし

 

 案外、楽だったね

 

環那「人が人を殺すときに必要なのは殺意じゃなく、いかに相手の命を軽んじるかだと思うんだ。」

 

 俺は部屋の奥にいる人物に語り掛ける

 

 なんの話をするかは別に重要じゃない

 

 ただ、なんとなく思いついたから喋ってる

 

環那「虫を殺すとき、人間ってまったく気にしないでしょ?つまり、人間の命を軽んじる快楽殺人犯は実に合理的で効率のいい生物だと......そう思わない?エマ?」

エマ「......異論ない。」

 

 笑いかけると、エマは無表情でそう答えた

 

 あの電話のテンションはどこに行ったんだろう

 

 情緒不安定かな?......あ、俺もか

 

環那「ねぇ、いくつか質問しても良い?」

エマ「いいよ、お兄ちゃん。」

環那「エマの両親ってまだ生きてるよね?」

エマ「うん、生きてるよ。」

 

 俺の問いかけにエマはそう答えた

 

 そっか、まだ生きてるんだ

 

 これはこれは、好都合だ

 

エマ「それがなに?」

環那「ん?ちょっと計画があってね。そのためにあれは泳がせているんだ。」

エマ(......計画?)

 

 まぁ、これは長期プランだしいいかな

 

 優先順位的には98位くらいだし

 

 今の事が片付いた後でも時間的に十分

 

環那「まぁ、そんなことはどうでもいいね。今するべきことは__」

エマ「っ!!!」

 

 俺はエマとの距離を一気につめ

 

 左手で首を絞めた

 

 エマは苦しそうな表情を浮かべ

 

 目には少し涙を浮かべている

 

エマ「うっ......ぐっ......!!!」

環那「殺してあげるよ、エマ。」

エマ(お兄、ちゃん......)

 

 俺は首を絞められてるエマの姿を見下ろした

 

 首を絞められてるから、勿論苦しそうな表情を浮かべてる

 

 けど、そんな中

 

 どこか、悲しんでるようにも見えた

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。