”琴葉”
校長「__浪平先生、夏祭りの日、あなたはお休みになります。」
琴葉「え?」
テスト期間が終わって採点も終わって
これから補修の課題を作ろうというとき
突然、私は校長室に呼び出され、そう告げられた
普通なら、急にこんな事を言われれば焦ると思う
けど、私はこの状況に納得してしまっていた
琴葉(あぁ、南宮君ですね。)
この前、彼は夏祭りは私と行くと言ってた
多分、そのために無理矢理休みにしたんでしょう
私も休みは有難いですし、大人しく受け取りましょう
琴葉「分かりました。その日はお休みさせていただきます。」
校長「あ、あぁ、ありがとう。忙しいのにすまない。」
休むと言ってお礼を言われるなんて
一体、彼は何をしたのでしょうか
考えるのも怖いので私は部屋から出ることにした
琴葉「失礼しました。」
校長「は、はい。」
そう言って、私は校長室を出た
折角の夏祭りですし、楽しむとしましょう
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その日の仕事を終え、私は家に帰って来た
教師の仕事は結構ブラックだ
暗殺者をしてる時はすごく楽だった
頻度の高くない依頼、その割に高い給料
でも、やりがいはなかったし、今の方がいい
琴葉「__ただいまー。」
環那「あ、おかえりー。」
エマ「おかえり。」
リビングに来れば、南宮兄妹
南宮君は夕飯の準備
エマちゃんはソファでタブレットを見てる
なんだか、思春期の娘が出来た気分ですね
......まぁ、頭は私よりはるかに良いんですけど
琴葉「2人とも、テストお疲れ様でした。」
環那「あはは~、国語は苦労するよ。」
エマ「簡単だった。」
南宮君は国語以外は全部満点
エマちゃんは全教科満点で学年1位
正直、この2人は優秀過ぎる
ステータスの振り方はちょっと違うけど、どっちも学生にしておくには規格外です
環那「あ、校長から休みって言われたでしょ?」
琴葉「えぇ、どうせ、あなたなんでしょ?」
環那「せいか~い。」
エマちゃんもやばいですが
絶対に敵にしたくないのは彼だと思う
学校では勉強以外はすべてセーブして
いざというときには本気を出して相手を潰す
弱みを握ることに余念もないですし......
環那「そんな琴ちゃんは夏祭り当日にはここに行ってね~。」
琴葉「え?これは?」
環那「行けば分かるよ~。」
彼は料理をしながらそう言う
渡された紙に書いてあるのはどこかの住所
ここがどこかは全く分からない
琴葉「当日、エマちゃんはどうするんですか?」
エマ「私は家にいる。人が多すぎる場所は嫌い。」
琴葉「あ、そうですか。」
環那「楽しいのにね~。」
こういう所は似てないんですね
まぁ、行くか行かないかは自由ですし
別に悪いとは思わないんですけどね
環那「まぁ、予定は決まりって事で!はい、今日の夕飯はローストビーフ!」
エマ「美味しそう、流石お兄ちゃん......!」
琴葉「すごいですね。昔にホテルで食べたのみたいです。」
環那「暇だったからねー、レパートリーのために作ってみたんだ。」
この人、スペック高すぎないですか?
家事は何でも出来て、頭も良い、運動も出来る
なんでモテないんでしょうか、不思議です
環那「さっ、食べよっか。」
琴葉「いただきます。」
エマ「いただきます、お兄ちゃん。」
それから、私は2人と夕飯を食べ始めた
ご飯はいつも通り栄養満点で美味しかった
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夏祭りの日の当日
私は南宮君に渡された住所の場所に来た
そこは、いかにもな呉服屋で
私は一瞬、入るのを躊躇った
琴葉(えぇ......南宮君、何したんですか......?)
?「__あれ、どうしたの?お姉さん?」
琴葉「え?えっと......」
建物の前で立ち尽くしてると
中から戸を開け、金髪のギャルっぽい子が出て来た
店の雰囲気に全く合ってない
この子、どういう子なんだろう?
?「もしかして、今日予約の南宮さん?」
琴葉「!?///」
?「予約の電話は男の人だったけど、来るのは女の人って言ってたし、そうでしょ!」
あの人、なんで自分の名字で予約してるんですか!?
これじゃ、まるで私が南宮みたいじゃないですか
あの人、ほんとこういう所適当......
透子「あたしはここの娘で、桐ケ谷透子って言います!ささっ、入ってください!着付けするんで!」
琴葉「え、着付け!?あの、ちょっと__」
透子「お姉さん可愛いから、ちょ~気合入るし~!」
結局、私は桐ケ谷さんに引きずられて店内に入り
結構な時間、浴衣を着せられ続けた
南宮君......なんですか、これは......
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”環那”
夏祭りの当日
俺は鳥居の近くで琴ちゃんを待ってる
あの呉服屋の人は上手くやってるかなー
琴ちゃん、絶対に嫌がると思うけど
琴葉「__南宮君。」
環那「あ、来た来た。って、わお。」
琴葉「......///」
俺の前に現れた琴ちゃんは綺麗な浴衣を着ていて、眼鏡も外して、お化粧もいつもとは違う
その姿は一言で言えば可愛いで
うん、素晴らしい仕事だよ、呉服屋の娘
琴葉「わおとはなんですか、わおとは......///」
環那「いやぁ、想像してたより良い感じで驚いたんだ。」
琴葉「そ、そうですか......///」
それにしても、意外だ
一回くらいは殴られると思ってたけど
なんか、許されてるみたいだ
環那「浴衣なんて初めてでしょ?」
琴葉「当り前じゃないですか。私の家をどこだと思ってるのですか......?」
環那「ははっ、だったら計画した甲斐があった。」
琴葉「?」
26歳にして初の浴衣......
うん、俺もいい仕事をしたなぁ
美人に衣装はまさに鬼に金棒だ
環那「行こうよ、青春でも取り戻しに♪」
琴葉「え、それはどういう__きゃ!///」
環那「あはは!きゃ、って若いねぇ!」
俺は笑いながら琴ちゃんを引っ張り
人ごみが出来ている神社の中に入って行った
さて、まずはどこから行こうか
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俺はまず、射的の屋台に来た
理由は琴ちゃんの今までを考えて
銃を使う事から少し慣れればいいと思ったから
あと、遊びやすいからね
琴葉「__射的ですか。初めてしますね。」
環那「折角だから、腕前でも見せてよ。」
琴葉「ふふん!良いでしょう!」
環那(大丈夫かなー。)
琴ちゃんはそう意気込んで射的を始めた
弾の込め方とかはちゃんと知ってるみたいで手早く終わり
銃口をゆっくり景品の方に向け
細めた目で狙いを定めた
環那(おぉ。)
琴葉「後で驚かない事ですね!」
そう言って、琴ちゃんは引き金を引いた
発射されたコルクは景品の方に飛ん__
琴葉「__あれ?」
環那「......」
だと思った弾は台に当たった
それに琴ちゃんは首を傾げ、次々と撃っていた
けど、それは全部景品に当たらず
台に当たったり、景品の上を通過したり、店主に当たったり
まぁ、酷いありさまだった
琴葉「なぜですか!?」
環那「実銃とは違うんだよ。それはあくまでおもちゃだからね。」
琴葉「そ、そんな......銃が......?」
環那「あるんだよ。」
琴ちゃんはショックそうだ
なんて言うか、期待を裏切らないねえ
このポンコツ具合がいかにも琴ちゃんらしい
環那「まっ、お手本でも見せてあげるよ。」
俺はそう言って店主でお金を払って
6発分の弾と銃を渡された
環那「琴ちゃん、これはゲームなんだ。」
琴葉「は、はい。」
環那「どれが欲しい?」
琴葉「そ、それは~......///」
琴ちゃんはチラッと熊のぬいぐるみを見た
なるほど、あれか
意外と可愛い所あるねぇ
環那「あのぬいぐるみね。あれなら余裕だよ。」
琴葉「~!///な、なんでわかって!///」
環那(さてと。)
あのぬいぐるのサイズは小さめで重そうに見えない
けど、そんな物が台にキッチリ座ってる
つまり、あれには何らかのおもりが入ってて
そして重心は下にある
環那(あの程度なら余裕だな~。)
琴葉(な、なるほど。)
射的の景品は倒したら元の位置に戻される
だから、少しずつ後ろにずらす
横にいる店主の顔がだんだん青ざめてる
取られると思ってなかったんだろうなぁ
環那「__ほい、これで終わり。」
琴葉「!」
最後に腹を打ち抜いてぬいぐるみは下に落ちた
簡単なゲームって感じだったな
店主「ず、ズルだ!射的は一発で落とさないとダメだろ!」
環那「はい?」
店主はそんな言いがかりをつけて来た
本当に言いがかりだな
てか、子供か
環那「そのルールの注意書き、もしくは前もっての説明は?」
店主「え?」
環那「それがないっていうことはルールを後から付け加えたって事で詐欺になるけど?で、どこにあるの?あるんだよね?ないんだったら通報するよ?」
店主「う......っ!ど、どうぞ......」
店主は苦虫を噛み潰したような顔をしながらぬいぐるみを渡して来た
てか、なんでこれに拘ってたの?
もしかして、お気に入りとか?
いや、ならなんで景品に?
店主(う、売ったら1万は下らない品なのに......!おもりもちゃんと入れてたのに......!)
分からない
まーったく気持ちが分からない
そんなに悔しそうな顔をするならやらなきゃいいのに
環那「はい、琴ちゃん。」
琴葉「ありがとうございます!」
環那「別にいいよ。」
ぬいぐるみを渡すと、琴ちゃんは嬉しそうに笑った
一応、26歳なんだけどなぁ......
まぁ、若さを忘れないのはいい事だけどね
可愛いし
環那「まだまだ出来る事はあるよ。」
琴葉「っ!///」
環那「行こう。」
俺は琴ちゃんの手を取り
次の屋台を探しに人気味の中を歩きだした
__________________
琴葉「__なんでですか!?」
次に来たのは金魚すくいだ
琴ちゃんはこれのセンスもないらしい
何故か最初に出目金を狙って
意外と勢いが強くてポイを破られる
うん、下手だ
環那「水の中でポイを動かし過ぎなんだよ。どこまで行っても紙だからね。」
琴葉「うぅ......金魚すくいがこんなに高度なものだっただなんて......」
環那「あはは、高度ではないかな。」
琴葉「も、もう一回!」
環那「あらら。」
琴ちゃんの負けず嫌いが発動した
別に勝ち負けの話でもないと思うけど
楽しそうだし、良いんじゃないかな
琴葉「なんで逃げるんですか!」
環那「もうちょっと金魚の気持ちになってみたら?」
琴葉「金魚の気持ちですか?」
俺は琴ちゃんに笑いかけ指を一本立てた
本当に仕方ないなぁ
環那「金魚だってやる気満々で捕まえられそうになったら怖いでしょ?人間で言えば、包丁持って追いかけ回されてる感じ。」
琴葉「な、なるほど。」
環那「波を立てないようにポイを静かに水に入れて、気配を消すように金魚を掬うんだ。」
琴葉「!///」
琴ちゃんの手を取りレクチャーする
文字通り、手取り足取り......ってね
琴葉(手、手が......///大きくて、優しい......///)
環那「心を静めて。水になるんだ。」
そう言ってポイを操作し
ゆっくり金魚を掬いあげた
結構うまくいったね
環那「こんな感じだよ。やってごらん?」
琴葉「は、はい!///」
琴ちゃんはそう言ってポイを水に付けに行った
さっきのでコツは掴んだと思う
一匹くらいなら出来るんじゃないかな?
環那「あっ。」
琴葉「__ひゃあ!///な、なんですか!?///」
環那「浴衣の袖、水に付きそうになってたから。」
琴葉「あ、あぁ、そういう事ですか......///」
俺は浴衣の袖を掴みながらそう言った
全く、そそっかしい子だ
水に付けてたら誰より焦るくせに......
琴葉「ポイが......」
環那「あ、ごめんね?もう一回する?」
琴葉「いえ、浴衣を濡らしそうなので、やめておきます。」
環那「あはは、そっか。」
俺と琴ちゃんは立ち上がり
時間を確認してある事に気付いた
そろそろ時間だ
環那「琴ちゃん、時間だから行こっか。」
琴葉「え、時間?」
環那「そうそう、時間だよ。素敵なね。」
琴葉「?」
琴ちゃんは不思議そうに首を傾げて
もう慣れたのか手を握ってもノーリアクションだ
ちょっと面白くないなぁと思いつつ
俺は琴ちゃんと食べ物と飲み物を買って次の目的地に向かった
__________________
俺達が来たのは祭りをしてる神社の近く
人気のない建物の裏だ
ここは昔、俺が良くお世話になった場所で
1人になりたいときとかによく来てた
琴葉「__ここは?」
環那「色々とお世話になった場所。ここの枝とか超美味しいよ。」
琴葉「あぁ......」
いやぁ、枝って意外と美味しいんだよね
口の中切れまくるけど
焼いたりすれば案外ありな食べ物だ
環那「琴ちゃんも食べる?」
琴葉「いえ、結構です。」
環那「あはは、だよね。」
そう言いながらシートを敷いた
ちょっとだけサイズが小さいかもだけど
まぁ、大丈夫でしょ
環那「ほら、座りなよ。」
琴葉「あの、ここで何をするんですか?」
環那「ん?すぐに分かるよ。」
琴葉「?」
琴ちゃんはまた首を傾げる
さて、そろそろだね
俺はそう考え、向こうの空の方を指さした
琴葉「向こうに何かあるんですか__!!」
環那「あるって言うか、出来るんだよ。」
指を指した瞬間、ドーン!と起きな音と共に夜空に綺麗な花が咲き誇った
ここは静かで、花火が綺麗だ
琴ちゃんは花火が咲く夜空に見入っている
琴葉「す、すごく綺麗です......!」
環那「ははっ、よかった。」
琴葉「こんなイベントもあったんですね!」
遠くに聞こえる賑やかな音
それよりも遠くの花火の音
なんて趣のある空間だろうか
琴ちゃんはきっと、こういうの好きでしょ
琴葉「とても、良い空間ですね。」
環那「良かった。色々調べた甲斐があった。」
琴葉「すごいですね、こんなに楽しいデートをセッティングできるなんて。」
環那「そうでもないよ。琴ちゃんが知らなすぎるだけ。」
琴葉「なっ!」
笑いながらそう言うと、琴ちゃんは不服そうな顔をした
まぁ、これは半分誤魔化し
ちゃんと準備したのを悟られたくないだけ
所謂、男のプライドってやつだよ
環那「......いつも、ボヤいてるからさ。」
琴葉「!」
環那「もっと楽しい学生時代を過ごしたかったなーって。」
だから、今日の事を計画した
俺も中学高校を棒に振った身
同情とか、そんな感情から出た行動
そう、ただ、それだけ
環那「友達と遊びに行って、勉強して、彼氏作ってデートして......そんな生活、送りたかったんでしょ?」
琴葉「えぇ、まぁ。」
環那「相手が俺で悪いけど、体験は出来たでしょ?」
本当は優しいイケメンも準備したかったけど
流石にそれは難しいと言うか無理だし
ここはフツメンで凡人な俺で妥協してもらおう
そして、いつかそんな人が現れてくれれば
琴葉「とても、素敵な体験ですよ......///」
環那「そっか、よかった。」
琴葉「......反応、薄くないですか?///」
環那「そんなことないよ。」
勿論、すごく喜んでる
ただ、顔に出ないだけ
内心は死ぬほど優しく笑ってるよ
環那「何かしたいことある?まだ時間もあるし。」
琴葉「え?そうですね......」
琴ちゃんは何かを考え始めた
さて、なんて言うのかな
俺は琴ちゃんからの返答を待った
琴葉「......少し、踏み込んだこと///」
環那「?」
琴葉「キスとか、してみたいです......///」
環那「え?」
俺は驚いて変な声を出してしまった
キス?琴ちゃんが?
リサとかなら言っても不思議じゃないけど......
環那「俺は悪くないと思うけど、いいの?」
琴葉「......聞かないでください///」
環那「ごめん。分かった、もう聞かないよ。」
琴葉「__んっ......!///」
俺は強引に琴ちゃんの唇を奪った
生娘らしい反応だ
強張った体に目尻に溜まった涙
今までにない感覚に戸惑ってるのか背中側の服をキュッと引っ張てくる
環那「__ふぅ......これでいい?」
琴葉「な、なな......っ!///こんな、急に......///」
環那「遠慮なんて言葉は捨てたし、頼まれたからね。」
琴葉「そ、そうです、よね......///」
照れたように琴ちゃんはそう言う
面白い子だ
環那「俺でよかったの?ファーストキス。」
琴葉「恥ずかしいので言わないでください!///それに......誰にでもあんなことを言う訳ではありません......///」
環那「うん、知ってる。そうじゃなきゃ、今まで恋人が出来なかったことが説明できないし。」
琴葉「......怒りますよ?」
あらあら、怒らせちゃったね
怖いねぇ
さっきまであんなに可愛かったのに
環那「俺は良かったと思ってるんだよ?」
琴葉「なぜです?」
環那「仮に琴ちゃんに彼氏か旦那がいたら、今こうして俺は引き取られてないし。」
琴葉「!」
本当に運が良かった
元暗殺者の教師って聞いて
最初こそ、ヤバいんじゃないかなって思ってた
けど、蓋をあければただのポンコツな女の子で
なんか拍子抜けしたっけかな
環那「だから、ラッキーだったって、それだけ。」
琴葉「私も、そう思ってますよ。生活力が皆無なので。」
環那「あはは、それは否定しない。」
琴葉「少しはしてくださいよ!」
ほんと、面白い
まるで何年も一緒にいたくらいの距離感
共通点があるからかな?親しみも沸く
環那「でもまぁ、いいんじゃない?今の時代、女が家事で男が仕事なんて古いよ。お互いに協力して、出来る事をする。そんな相手を見つければいいんじゃない?」
琴葉「簡単に言わないでください。そんな人間、今まであなたにしか出会ったことないでs__っ!///」
環那「そう?それは光栄だ。」
琴葉「うぅ......///」
琴ちゃんは恥ずかしそうに肩をすぼめてる
俺は別に仮定的でもなんでもないけど
そう思われてるなら、それでいいや
環那「まっ、結婚とかを考える時、相手に求める物は色々あるだろうけど、結局はこの人しかいないって思える人がいいと思うよ、俺は。どうでもいい、もしくは嫌いな人間と共同生活なんてできないし。」
琴葉「それは......そうですね。」
環那「俺は琴ちゃんにそんな人が現れるのを祈ってるよ__って、花火も終わりか。」
話してるうちに花火が終わった
途中から話に夢中になってたけど、綺麗だった
花火なんて久しぶりに見たし、よかった
環那「帰ろうか。エマも待ってるだろうし。」
琴葉「え、えぇ......///」
俺はシートを片付け
出たごみを袋にまとめてそれを手に持った
どこかに捨てる場所とか無いかな?
ゴミ箱とかは、流石に一杯だろうなぁ
環那「じゃあ、のんびり帰ろうか、琴ちゃ......ん?」
琴葉「......///」
環那(んー?)
片付けを終えて帰ろうと声をかけると
何故か、ゴミを持ってない右手を握られた
琴ちゃんはどうしたんだろう
琴葉「......これで、帰ります///」
環那「え?いや、別にいいけど、いいの?生徒に見られたら面倒だよ?」
琴葉「教師命令です///......仮に面倒になっても、あなたならなんとかできるでしょう?///」
環那「まぁ、出来るけどー。」
琴葉「決定です。行きますよ......///」
環那「はいはい、仕方ないなぁ。」
そう言って、俺は琴ちゃんと手を繋いだまま歩きだした
取り合えず、今できる事は羽丘の生徒に見られないようにする事かな
面倒はないに越したことないし
環那「回り道で行くよ。」
琴葉「はい......///」
環那「!(握る力、強くなった。)」
琴葉(......私は......///)
琴ちゃんの手を握る力が強まり
気になったけど、俺はそのまま茂みの方に入った
琴葉(あなたの事が、好きです......///)
それからの帰り道は長くて
いつもの帰り道よりはるかに時間がかかった
けど、その間、琴ちゃんが手を放すことはなく
家に帰ってエマに言われるまでずっと繋いだままだった