羽丘の元囚人   作:火の車

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同居人

「__今日も来た......」

「いつ暴れんだよ、あれ。」

「ここまで大人しいのがかえって不気味だよね......」

 

 今日も俺は陰口?を言われてる

 

 いや、本人の前で言ってるし陰口なのかな?

 

 まぁ、そんな事どうでもいいだけどとか

 

 そんな事を考えながら俺は席に着いた

 

環那(眠たいなー。)

 

 周りに誰もいないとなると

 

 普通の学生とは言えない気がするし

 

 そろそろ同学年の友達欲しいなー

 

「おい、あんまり見るな。」

「そ、そうだな。」

環那(これじゃ、夢のまた夢だねー。)

 

 今の俺の評価は最悪中の最悪

 

 ここでは何も悪い事してないんだけど

 

 イメージって言うのは難儀だねー

 

環那(まぁ、今はどうしようもないしいいやー。昼休みのあの5人と喋ろーっと。)

琴葉「__南宮君。」

環那「んー?どうしたのー琴ちゃん?」

琴葉「生徒指導室に来てください。お話があります。」

環那「指導室ー?おっけー。」

 

 俺はそう言って立ち上がって

 

 琴ちゃんと一緒に生徒指導室に行った

__________________

 

 生徒指導室は勿論誰もいなくて

 

 俺と琴ちゃんの2人だけ

 

 とりあえず俺は近くにある椅子に座った

 

環那「それで、話ってなにー?」

琴葉「......もう少ししっかりしてください。」

環那「!」

 

 俺が質問をすると

 

 琴ちゃんの声がいつもより低くなった

 

 あー、こっちのモードかー

 

環那「俺はちゃんとしてるよー?」

琴葉「どこがですか?自己紹介での発言、奇行、周りに弁明しようとしない姿勢。どの要素からちゃんとしてるんですか?」

環那「えーと、授業真面目に受けてる?」

 

 うん、これは間違いない

 

 今まで授業で1回も寝てないし

 

 ノートもちゃんと書いてあるし

 

環那「あと、遅刻してない!」

琴葉「小学生ですか!?」

環那「今の所、最終学歴は中学生かな?」

琴葉「そういう事じゃなく!」

 

 琴ちゃん、さわいでるねー

 

 いやー、お母さんを思い出す

 

 まぁ、今は勘当されてるんだけどね

 

環那「まぁまぁ、そんなに怒らないで。怒ったら顔にしわが寄って婚期も遅れr__」

琴葉「っ!!!」

環那「うわっ、危ない!」

 

 俺が話してる途中

 

 顔の横を定規がすごいスピードで通過した

 

 今、シンプルに反応できなかった

 

 琴ちゃん、まさか殺す気だった?

 

琴葉「次にデリカシーの無い発言をしたら殺しますよ?」

環那「ごめんなさい。」

 

 流石にこれはまずい

 

 笑みを保つのが難しくなってきた

 

 ていうか、真面目に怖いです

 

 目が俺に怒り狂ってた看守と同じだ

 

琴葉「まぁ、その事は良いんです。」

環那(いいんだ。)

琴葉「もう少し、クラスになじむ努力をしてください。」

環那「そうは言うけど、向こうが離れていくんだもんねー。」

琴葉「それはもうあなたが悪いです。」

 

 琴ちゃんは真顔でそう言ってきた

 

 まぁ、琴ちゃんの理論で行くと俺が悪い

 

 でも、本当に俺が10割または8,9割悪いのか?

 

琴葉「現時点での友人を報告してください。」

環那「えーっと、2年生のいつも屋上にいる子たちとリサかな!」

琴葉「大体、私の観察通りです。」

 

 観察通りって、観察してたんだ

 

 だったらなんで報告を?

 

 相変わらず、細かいなー

 

環那「まぁ、大丈夫でしょー。なんとかなるよ。」

琴葉「何とかなってないから言ってるんですが?」

環那「大丈夫大丈夫ー。」

琴葉「あ、待ってください!」

 

 俺は椅子から立ち上がり

 

 生徒指導室のドアの方に向かった

 

琴葉「友達を作りたいなら、まずその薄ら笑いを直してください!不気味がられてます!」

環那「直さないよ。」

琴葉「え?」

環那「じゃあ、俺は戻るねー。あと、そのスカートちょっと短くて危ないよ~?」

琴葉「余計なお世話です!!」

環那「あはは~。」

 

 俺は軽く手を振りながらドアを開け

 

 生徒指導室から出て行った

 

 いやー、大変だったー

__________________

 

 ちなみに俺の得意教科は数学とかです

 

 まぁ、苦手な教科はないけど

 

 数学と理科は極めて得意かな

 

環那「__うん、こんな感じかなー。」

数教「え、なんなのこの式......?」

環那「えー?昨年に○○大学が発表した新しい数式と銘打たれた欠陥数式の欠陥部分を直した式ですけど、間違ってますか?」

数教(ど、どうしよう、答えはあってるのに途中式が理解できない......私、数学教師なのに......)

 

 なんだろう、先生がへこんでる

 

 これ、中学生レベルの知識でできるし

 

 何も特別なことはないんだけど

 

環那「俺は監獄の中でありとあらゆる論文とか読み漁ったので、偶々知ってただけなので気にしなくていいですよー。」

数教(この子、流石に飛び級扱いになってるだけあるわ。)

「な、なんだあれ?」

「先生まで困惑してる......?」

「ていうか、途中の式にどんな意味が......?」

 

 いやー、簡単な問題だった

 

 暇な時に考えた数式が実験で来たし

 

 次はもっと効率化できそうかな?

 

数教「ね、ねぇ?南宮君?」

環那「はい?」

数教「その、数学を教えてください......!」

環那「え?」

(数学教師が!?)

(どうなってるんだ!?)

 

 数学を教えろって言われても

 

 別に教えるような知識はないんだよね

 

 ていうか教えるのには条件が多いし

 

環那「じゃあ、取り合えずこの世に存在する論文とか取り合えず読み漁ってください。」

数教「へ?」

環那「全てにおいて優先されるのは知識ですよね?だったら、まずは下済みを用意してそこが始まりですよね?」

数教(駄目だ、私が生きてられる残りの人生でできる気がしない。)

 

 なんだろ、すごい顔してる

 

 何か変なこと言ったかな?

 

 いや、言ってないはず

 

環那(なのに、なんでこんなに見られてるんだろー?)

 

 周りの生徒は俺の方をチラチラ見てる

 

 もうチラチラみたいな効果音が付きそう

 

 そんな異端者を見るような目しなくてもいいのに

 

 フレンドリーに生きようよって言いたくなる

 

リサ(やっば、何書いてるか分かんない。)

友希那(......)

環那(なんだろ、リサと友希那もこっち見てる?珍しい。)

 

 俺はそれからも真面目に授業を受けて

 

 なんか計算したり色々して

 

 授業が終わってからすぐに帰った

__________________

 

 俺は捕まってすぐ親に勘当されて

 

 今は学校近くのマンションに住んでいます

 

 まぁ、極めて普通のマンションって感じだけど

 

 衣食住が整ってるし満足してる

 

環那「ふんふ~ん♪」

 

 家に帰ってから1時間くらいして

 

 俺は慣れもしない料理をしてる

 

 今まで碌にしたこともないけど

 

 ここに住んでるしこれくらいしないといけない

 

「__ただいまー。」

環那「あー、おかえりー。琴ちゃん。」

琴葉「......なぜ、そんなにエプロンが似合うのですか?」

環那「そうかなー?」

 

 琴ちゃんは俺の同居人

 

 もとい、監視役と言う事になってます

 

 流石に俺を野放しには出来ないみたいで

 

 教員の資格もあった琴ちゃんを羽丘に配属させ

 

 今みたいな立場になったらしい

 

環那「夕飯はもう出来るから用意しててー。」

琴葉(納得いかない。この子の監視をしてるはずなのにこの子が来てから生活水準が上がってる。)

環那「今日は焼き魚にきゅうりの浅漬け、大根のお味噌汁、あとは筑前煮だよー。」

琴葉「女子力高くないですか?」

環那「琴ちゃんが出来ないだけだよー。」

琴葉「失礼ですね!私も料理......くらい......」

環那「あっ。」

 

 琴ちゃんの声が段々小さくなった

 

 そう、琴ちゃんは料理が出来ない

 

 掃除も洗濯も全くできず

 

 ここに来たときはまるでゴミ屋敷だった

 

 いやー、あの時は流石に驚いたなー

 

琴葉「あ、あはは、私なんてどうせ彼氏いない歴=年齢の女ですよ......どうせ......」

環那「まだ26でしょー?大丈夫大丈夫ー。」

琴葉「あーもう!余裕がある態度がむかつきます!」

環那「まぁまぁ。」

 

 この、家事が出来ず恋人がいない

 

 学校では人気女教師の化けの皮を被った人

 

 これが俺の同居人兼監視役

 

 浪平琴葉こと、琴ちゃんです

 

 

 

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