羽丘の元囚人   作:火の車

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好き嫌い

 海は素晴らしいと思う

 

 青い空に白い砂浜、穏やかな波の音

 

 そして、なにより......

 

リサ「__環那ー!」

環那「!」

友希那「待たせたわね。」

燐子「お待たせ......///」

環那「全然待ってないよ!そんな事より、すごく似合ってるね!」

燐子「......///」

 

 そう、可愛い女の子の水着だよ!

 

 リサと友希那の水着姿は昔に見た

 

 けど、やっぱり成長してるよね、色々と

 

 そして、燐子ちゃん

 

 この子はもう......ポテンシャルの塊だね

 

エマ「お兄ちゃん、私も水着。」

環那「うん、似合ってるよ。」

あこ(この2人、兄妹揃って肌白いなー。)

環那「あ、パラソルとかクーラーボックスの用意はしてるから、好きなように楽しんでね!」

紗夜「じ、迅速ですね。」

 

 男尊女卑をするつもりは一切ないけど

 

 こういうのって男の仕事だと思ってる

 

 そっちの方が効率良いしね

 

あこ「早く遊びに行きましょうよー!りんりん!海入ろ!」

燐子「あ、あこちゃん......」

環那「あこちゃんー、ちゃんと準備運動するんだよ?」

あこ「あっ、そっか!」

環那「効率が良い準備運動の手順はここにファイリングしてるから、読みながらすればいいよ!」

リサ「いや、何用意してんの!?」

環那「?」

 

 ファイルを出した途端、リサは大声を上げた

 

 何の用意って、海で遊ぶ用意に決まってるのに

 

 そんなに変なのかな?

 

環那「これの他にも、このビーチの危険なスポット、ここ数年のナンパの件数の平均とか、色んな情報を集めて安全に楽しむ用意はしてるよ。」

紗夜「この人、何かの病気なんじゃないですか?」

リサ「昔はまだ可愛いものだったんだけど......なんでこうなったんだろ。」

環那「ひ、酷い言われようだね。」

 

 安全に越したことはないのに

 

 まぁ、俺が病気なのは否定しないかな

 

 よく異常者って言われるし

 

友希那「準備運動を徹底するのはいい事だわ。しましょう。」

あこ「そうですね!」

エマ「お兄ちゃんが行った事が間違ってるわけがない。」

 

 そう言って皆、準備運動を始めた

 

 エマの過大評価は相変わらずだけど

 

 気を付けてくれるなら何でもいいや

__________________

 

 5分ほど念入りに準備運動をして

 

 みんな、海に入って行った

 

 俺は今、その様子を楽しく眺めてる

 

リサ「友希那ー!そっちにボール行ったよ!」

友希那「え、ちょ、きゃ!」

燐子「ゆ、友希那さん......!?」

環那(うんうん、楽しそうだね!)

あこ「大丈夫ですかー!?」

紗夜「もう......って、エマさんは大丈夫ですか?」

エマ「うん。」

 

 可愛い女の子が水着姿で遊んでる

 

 この光景は素晴らしい以外の何物でもない

 

 友希那とリサの水着は買ったときに見たけど......

 

 やっぱりかわいいなぁ

 

ノア「__だらしない顔しやがって。」

環那「あ、ノア君じゃん。久しぶり~。」

ノア「ふん。」

 

 しばらく皆を眺めてると、ノア君が現れた

 

 相変わらず、俺は男に好かれないみたいで、不機嫌そうな声と顔をしてる

 

 俺としては、もうちょっと仲よくしたいんだけど

 

ノア「折角女と海に来たのに荷物番か。残念だったな。」

環那「いやいや、女の子の役に立つのはいい事でしょ?」

ノア「嫌味の通じない奴だ。」

環那「ははっ。」

 

 嫌味には嫌味で返すか、スルー

 

 これは俺的会話の基本だよ

 

 まぁ、九割嫌味で返すんだけどね

 

環那「ノア君は相変わらず、エマのボディーガード、お疲れ様。」

ノア「やりたいことがこれしかないからな。もっとも、貴様が付いているなら何も問題はないだろうが。」

環那「なーんで皆、俺のことを過大評価するのかな。別に普通なのに。」

ノア「それを本気で言ってるなら、お前は自分の事を知らなすぎるぞ。」

 

 そんな事はないと思う

 

 自分の事は自分が一番わかってるし

 

ノア「ハッキリ言って、貴様は異常だ。たかが17歳のガキが出来る事のキャパシティを超えてる。」

環那「いやいや、やる気の問題だって。」

ノア「やっぱり、異常者だな。」

環那「ひどいなぁ、俺は普通だよ。」

ノア「......」

 

 ノア君は怪訝な顔をしてる

 

 そんなに胡散臭いかなー

 

 悲しくて泣いちゃいそうだ

 

環那「さて、俺は夕飯の用意でもしようかな。」

ノア「何するんだ?」

環那「バーベキューだよ。この近くに借りられる場所あるし。」

ノア「食材は。」

環那「勿論、俺持ち!」

ノア「......お前、マジで結婚するなら今の選択肢の中にしとけ。他の女じゃ、都合のいいATMにされるぞ。」

環那「あはは、それはそれで面白いね。異常者同士、お似合いじゃない?」

 

 笑いながらそう答えた

 

 それを聞いて、ノア君は呆れたような顔をしてる

 

 ちょっとは笑ってくれたらいいのに

 

環那「あ、そう言えばさ、例の件、受けてくれる?」

ノア「その事か。」

 

 俺はノア君にそう尋ねると、一気に雰囲気が変わった

 

 これは仕事人の雰囲気だ

 

ノア「これは間接的にエマのためでもある。協力しない理由はない。」

環那「そっか、なら、頼むよ。」

ノア「別に、貴様1人でも対応できるだろう。なぜ、俺に協力を仰いだ。」

環那「ん?」

 

 ノア君はそう質問を投げかけてくる

 

 この子はほんとに俺を過大評価してるなぁ

 

 なんで、俺はそんなにすごいって事になってるの?

 

 まぁいいや、作戦の説明しよ

 

環那「名付けて『虎の威を借りる狐作戦』」

ノア「......?」

環那「俺1人が強くても意味ないんだよね。重要なのは、手元にいかに強い駒があるかアピールする事なんだよ。」

ノア「!」

環那「特出した1人は必要ない。必要なのはバラエティに富んだ駒だよ。」

 

 チェスだって、役割の違う駒があって成立する

 

 1人で何役もする必要は全くないんだよ

 

 適材適所、数の力で押しつぶすのが1番楽しい

 

環那「いやぁ、ノア君が協力してくれるなら助かるよ、楽しくなりそうだ。」

ノア「......そうか。じゃあ、俺は行くぞ。(楽しい、か。)」

環那「うん、エマの護衛、よろしく。ついででも他の皆と荷物も見てくれたら嬉しいな。」

ノア「いいだろう、ついでで見といてやる。」

環那「ありがと。後でお礼にお肉あげるよ。」

ノア「貰えるものは貰っておく。」

 

 ノア君はそう言って岩陰の方に歩いて行った

 

 いやぁ、すごく助かる

 

 これで、夕飯の準備に精を出せるってものだよ

 

環那「よ~し、準備始めよ~。」

 

 俺はそう呟いてバーベキュー場に移動し

 

 すぐに準備を始めた

__________________

 

 ”リサ”

 

 一通り遊んで、あたし達は水着から服に着替えて、荷物を置いた場所に戻って来た

 

 けど、何故か環那がいない

 

 遊んでる途中の休憩の時もいなかったし、どこ行ったんだろ?

 

リサ「?」

友希那「リサ?」

 

 そんな事を考えてると、あたしの携帯が鳴って

 

 それを確認すると、環那からメッセージが来てた

 

 しかも、あたし達が着替え終わるタイミング丁度で

 

 覗いてる......訳ないか、友希那いるし

 

紗夜「彼ですか?」

リサ「うん。なんか、バーベキュー場にいるみたい。」

あこ「バーベキュー!?」

リサ(あー......食事は任せてって言ってたのはこれかぁ......)

 

 わざわざバーベキューなんて用意してるなんて

 

 しかも、あたし達に一言もなしに......

 

 せめて、準備位手伝いたかったんだけど

 

友希那「ともかく、移動しましょうか。」

燐子「そうですね......待ってると思うし......」

紗夜「行きましょうか。」

 

 そんな会話の後、あたし達は歩き始めた

 

 バーべキュー場は目と鼻の先だし、そう時間はかからない

 

 だから、少し歩いたら、目的地に着いた

 

リサ「環那ー!どこー!」

環那「ここだよー!」

あこ「わぁ!」

紗夜「えぇ......(困惑)」

燐子「これは......!」

環那「丁度いい感じになった所だったんだ!ナイスタイミング☆」

 

 環那の声がした方に行くと

 

 そこには完璧なバーベキューの用意があった

 

 まさか、ここまで準備してるなんて

 

 通りで異様に荷物が多かったわけだ

 

環那「お肉そろそろ焼けるよ~!」

あこ「う、うん。(環那兄、無駄にエプロン似合ってる。)」

紗夜(あのエプロンは一体。)

 

 今思ったけど、この食材、環那が全部買ったの?

 

 結構な量あるけど、値段とか......

 

 あたしのバイト代じゃ絶対払えないじゃん

 

環那「リサー?今、お金どうしようとか考えたでしょー?」

リサ「!?」

環那「心配しなくてもいいよ。勿論、全部、俺持ち☆」

リサ「さも当然のように言ってるけど、どこからこんなお金出て来てるの?」

環那「あはは、秘密♪でも、怪しい事じゃないよ。」

 

 軽く笑ってはぐらかしてくる

 

 怪しい事じゃないって言ってるけど......

 

 うん、環那ってだけでちょっと怖いね

 

あこ「環那兄!お肉食べて良い?」

環那「いいよいいよ!ドンドンお食べ!燐子ちゃんとエマも!」

燐子「は、はい......!」

エマ「ありがとう、お兄ちゃん。」

 

 環那はテキパキ焼いたお肉を皿に盛って行く

 

 エプロン着てるから、妙にお母さんっぽい

 

 なんか、変わったな~

 

環那「友希那、飲み物とお肉だよ~!」

友希那「えぇ、ありがとう。丁度いい量ね。」

環那「友希那の丁度いい量の計算もバッチリだよ!」

紗夜(何を計算してるのかしら......それにしても、美味しいわね、これ。)

あこ「美味しいね、りんりん!」

燐子「う、うん、そうだね。(これ、すごく高いものなんじゃ......)」

エマ(お兄ちゃんを感じる......///)

 

リサ「......ん?」

 

 私含め、みんな楽しそうに食べてる

 

 けど、1つ、おかしい所がある

 

 そう思い、あたしは環那に話しかけた

 

リサ「かーんーなー?」

環那「どうしたの?」

リサ「すこーし気になるんだけどさー。」

環那「?」

リサ「......友希那の野菜、どこ?」

環那「......!」

あこ(え、なにこの空気......)

 

 友希那のお皿を見ると一切、野菜が乗ってない

 

 薄々勘付いてたけど

 

 まさか、本当にここまでしてるなんて

 

リサ「友希那を甘やかすなとは言わないよ?でも、野菜を食べないと体に悪いし、将来的に人様に見せられない外見になっちゃうよ?」

環那「俺は友希那が太ってようが、犬であろうが猫であろうがベルリンの壁であろうが、同じように愛するよ。もし、俺のせいでそうなったなら、責任をもって一生面倒見るし。」

紗夜(そうじゃないでしょう。)

燐子(そういう問題なのかな......?)

 

 環那は友希那の事になるとてんでダメになる

 

 いつもみたいに頭が回らなくなるっぽい

 

 今言ったことも正直よくわかんないし

 

リサ「環那、バランスの悪い食事ばっかりしてると、早死にするよ?」

環那「っ......!」

リサ「甘やかすのだけが愛情じゃない。時には厳しく、正しい方に導いてあげないと。友希那が大切なら特に。」

環那「うっ、ぐ......!」

紗夜(ただの好き嫌いについての会話とは思えないわね。)

環那(ど、どうする?友希那がつらい思いをするのも許せないし、かといって早死にも嫌だ。最悪、サプリメントで栄養を補填すれば......エマと共同で開発すれば、どんなに遅くても3か月で出来るし......)

燐子「南宮君......!?」

友希那「ま、また鼻血が出てるわよ......?」

 

 これは、いつもの頭使いすぎた時の反応だ

 

 どんだけ必死なの?

 

 大方、ピーマン食べないでよくなる案を考えてたんだろうね

 

 あの頭脳をそんな下らないことで使うのは残念だね

 

エマ「お兄ちゃん。」

環那「え、エマ......(あ、ティッシュ。)」

エマ「ピーマンの中には甘い品種もある。それなら、湊友希那でも食べられる。」

環那「なっ......!そんなものが......!?」

燐子(そういう知識はないんだ......)

 

 エマはティッシュを渡しながらそう説明し

 

 その説明を聞いて、環那はハッとした表情を浮かべた

 

 環那、知識量凄いはずなのに知らなかったの?

 

環那「そんな素晴らしいものが......発明した人は天才だね。」

友希那「そうね。でも、この場にはないから。」

環那「そうだね、今日の所は諦めて、後日__」

リサ「ってわけにはいかないよ?友希那、それに環那。」

燐子、紗夜、あこ「え?」

環那「......」

 

 あたしは2人の会話の腰を追って

 

 丁度食べごろのピーマンをお皿に乗せた

 

 この場でピーマンが苦手あのは友希那だけじゃない

 

リサ「環那も、ピーマンって言うか、苦いもの苦手だもんね~?」

環那「......そ、そうだったっけ。」

エマ「っ///(お、お兄ちゃん、可愛い......///)」

リサ「昔、友希那の代わりに全部食べて、涙目になってたよね~?」

環那「あ、あはは、そんな事もあったカナ......」

 

 あたしは端でピーマンを摘まみ

 

 それを環那と友希那の方に突き出した

 

 全く、手のかかる2人だよ

 

リサ「はい、2人とも~☆ちゃーんと食べようね~☆」

環那、友希那「......はぃ。」

あこ(あ、あこ、何故か逃げられた!黙っておこ!)

紗夜「宇田川さんもですよ。」

あこ「」

 

 この後、あたし達は皆でピーマン嫌い達にピーマンを食べさせようとした

 

 けど結局、環那が死にそうになりながら全部生で食べて

 

 友希那とあこは事なきを得たと喜んでたのは、ほんの数分後の話

 

 

 

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