羽丘の元囚人   作:火の車

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合宿の夜

環那「__うえぇぇ、口の中苦いな......」

 

 バーベキューの後、片づけをして

 

 今は海辺をのんびり歩いてる

 

 いやぁ、ピーマンを大量に食べるのは大変だった

 

 未だに口の中にダメージが残ってる

 

 今度から、甘い品種だけ買ってこよう

 

環那(......さて。)

 

 ピーマンの事を考えながら歩いて

 

 俺はとある海の家に着いた

 

 さーてと、ここにいるかな

 

環那「お邪魔しまーす!」

男「うわっ!!」

男2「なんだなんだ!?」

男3「てか、カギ閉めてたドアがなんで蹴り破られてんだよ!!」

環那「おぉ、これは思った以上に偏差値低そうな顔。」

 

 俺は笑いながら3人にそう言った

 

 高校生から大学生くらいかな?

 

 3人とも髪を染めてて、ピアスも空きまくり

 

 そのくせ顔はアンバランス......と

 

 中々に偏差値が低い

 

環那「ねぇ、君たち、今日の昼に女の子の写真撮ってたよね?」

男「は、はぁ?」

環那「実はそれを偶々見ちゃってさ。俺の大切な人たちの写真だけ消しに来たんだ。」

 

 そう言って、3人の方に歩み寄る

 

 分かりやすくカメラを隠してるな......

 

 もう少しうまくやればいいのに

 

 まっ、俺に盗撮のスキルはないんだけどね

 

男2「お、おい、写真撮影なんて俺らの自由だろ。」

環那「この世には肖像権があるんだよ。君たちに拒否権なんてない。」

男3「っ!__しまった!」

 

 俺は1人が持ってたカメラを取り上げ、中身を確認した

 

 そこには友希那達の写真が大量にある

 

 その中でも燐子ちゃんの割合が多い

 

 まぁ、スタイルいいから気持ちは分かる

 

 出来る事なら、俺も写真欲しいもん

 

環那「うーん、このカメラ、いくら?」

男「え、えっと、12万くらい......」

環那「そっかそっか。じゃあ、ぶっ壊すね。」

男「は__あぁぁぁぁ!?」

 

 俺はカメラを床にたたきつけ

 

 SDカードが残らないよう、念入りに踏みつけた

 

 カメラは文字通り粉々

 

 もう救いようはない、手遅れと言う奴だね

 

男2「おま、何やってんだよ!?」

環那「いや、消すの面倒くさかったし、盗撮したからいいかなって。」

男3「やっていい事と悪いことがあるだろ!?3人でお金出しあって買ったってのに......!」

環那「そこまでして盗撮したい?」

 

 なんだか面白いね、この3人

 

 余程、女の子との縁がないんだろうなぁ......

 

 なんて言うか、かわいそ

 

環那「まぁ、いいや。このカメラは事故で壊れたって事......で!」

男3人「ひぃっ!!!」

 

 俺はカメラのレンズを3人の方に投げつけ

 

 そのレンズは1人の頬をかすめ、後ろの壁に当たって砕け散った

 

 3人とも怯えた顔をしてる

 

 いやぁ、我ながらコントロール良いね

 

環那「いいよね?」

男3人「は、はい、それでいいです......(やばいやばいやばい、この人、その道の人だろ!!?)」

環那「あはは、そんなに怖がらなくていいよ?こんなの、お遊びなんだから。」

 

 俺はそう言いながら財布を出し

 

 その中から1万円札を12枚を取り出した

 

 確か、12万円って言ってたし

 

 これでいいや

 

環那「事故だからね、弁償しないと。」

男「は、ははっ、あ、ありがとうございます。」

環那「いやいや、こっちが過失に事故なんだから。ただ、また俺の大切な人たちを盗撮なんてしたら......今度はカメラが壊れる程度の事故じゃ済まないかもね、ははっ。」

男2「も、もう2度としません......」

男3「いやほんと、すいませんでした......」

環那「そう?なら、もう用はないかな。」

 

 そう言って、3人に背中を向けた

 

 いやぁ、お利巧そうじゃなったけど、意外と話分かったなぁ

 

 人を見た目で判断しちゃいけないね

 

 やっぱり、人は中身だよねぇ

 

環那「じゃあね~。もう会う事はないだろうけど。」

 

 軽く手を振りながら俺は海の家を出た

 

 帰る頃にはもう、皆お風呂から出てるかな

 

 なんて、そんな事を考えながら歩きだした

 

男「もう、盗撮とかやめよう。命が危ない。」

男2「あぁ、真っ当に生きよう。」

男3「俺、母ちゃんに電話するよ。今まで、ヤンチャしてごめんって。」

男、男2「そうだな......」

__________________

 

 少し歩いて、合宿上に帰ってきた

 

 リビングからは賑やかな話声が聞こえる

 

 俺が出た時にはお風呂に入り始めてたから

 

 予想通り、もう出ているみたいだ

 

環那「__ただいまー。」

あこ「あ、環那兄!」

リサ「どっか行ってたの?」

環那「ちょっと散歩だよ。のんびり夜の海を眺めたくてね。」

 

 俺は笑いながらそう答えた

 

 まぁ、半分は本当だね

 

 あのカメラはか......事故はついでだから

 

エマ「流石お兄ちゃん、感性も素敵......♡」

環那「いや、別に俺固有のものじゃないと思うけど。」

紗夜(この兄妹、大丈夫なんでしょうか。)

 

 今日も調子いいね

 

 エマの謎の過大評価

 

 これを世の人たちはブラコンと呼ぶのだとしたら

 

 そういう意味では、俺とよく似てるのかな?

 

環那「さて、俺もシャワー浴びてこようかな。」

燐子「あれ、お湯にはつからないの......?」

環那「あー、シャワー派だからね。家でもあまり湯舟を使う事がないんだよ。」

友希那(あら、そうだったかしら?)

リサ(多分、燐子もだけど、紗夜への配慮だろうな~。)

 

 あ、リサは察した顔してる

 

 まぁ、困ることはないし別にいいんだけど

 

環那「じゃあ、シャワー浴びてきまーす。」

エマ「私も行く。」

リサ「はいはーい!エマはあたし達とお喋りしようね~!」

エマ「......邪魔。」

紗夜「流石にダメですよ。どこに高校生の兄とお風呂に入ろうとする中学生の年齢の妹がいるのですか。」

エマ「ここ。」

 

 流石、俺の妹

 

 こういう状況での返し方がそっくりだ

 

 何となく、血のつながりを感じるな~

 

燐子「さ、流石にダメだよ......?南宮君も、お風呂ではゆっくりしたいだろうし......」

環那(別にそうでもないけど、燐子ちゃん、気を遣えるいい子だな~。)

エマ「燐子も、行く?」

環那「ん?」

燐子「!?///」

エマ「燐子なら認める。別に悪い話じゃない。」

 

 エマは何を言ってるの?

 

 流石にありえないよ......

 

 友希那とリサでさえ、そんな事してないのに

 

 燐子ちゃんとそんなことしたか完全にマズいでしょ

 

燐子「い、今は......ちょっと......///」

エマ「そう?」

環那「そうだよ?」

エマ「お兄ちゃんがそう言うなら仕方ない。大人しくしておく。」

環那「うん、いい子だね。」

エマ「......♡」

 

 俺はエマの頭を撫でた

 

 こうすれば大体解決するからね

 

 頭いいのにチョロいと言うか何と言うか......

 

環那「じゃあ、行ってくるね~。」

リサ「うん、行ってらっしゃーい。」

 

 そう言ってから、俺はリビングを出て

 

 一旦、自分の部屋に戻って着替えを取り

 

 そのままお風呂場に移動した

__________________

 

 ”リサ”

 

 環那がお風呂に行った後、あたしたちはリビングでお喋りしてる

 

 エマが環那の所に行かないか心配だけど

 

 まぁ、大丈夫でしょ

 

エマ「燐子、お兄ちゃんとはいつ結婚する?」

燐子「ふぇ......?///」

エマ「燐子なら私は納得する。」

 

 エマはそんな事を言い出した

 

 なんで、燐子だけなんだろ

 

 あたしも認めてくれてもいいのに......

 

燐子「で、出来ればいいけど......その、今井さんや友希那さんもいるし......///」

エマ「大丈夫。燐子は家庭的で頭もいい。料理に関してはリサの方が優れているかもしれないけど、総合力を見れば、燐子の方が優れてる。」

リサ「そ、そうかも、ね~。」

あこ(り、リサ姉、すごく複雑そうな顔してる......!)

 

 正直、反論できない

 

 燐子はかなりお嫁さん向けだし

 

 あたしが男なら、結婚したいもん

 

紗夜「結婚で変わる人もいますから、現時点では何とも言えないのではないでしょうか。」

エマ「そう、私はそれに困ってる。」

紗夜「はぁ......?」

エマ「私には未来に起こる事を計算できないから、燐子とお兄ちゃんの将来は想像の域を出ない。だからこそ、私好みの燐子を推してる。」

友希那(私、には?)

紗夜「......まるで、未来を計算できる人がいるような言い回しですね。」

リサ「え?」

 

 あ、そう言えばそうだ

 

 エマの言い方からすると確かに、そう聞こえる

 

 けど、未来に起こることを計算するって何?

 

 そんなの、ありえるの?

 

エマ「いるよ。」

Roselia「!?」

エマ「限定的だけど、未来すら計算する規格外の天才はいる。未来視に限りなく近い精度で計算する人間はいる。」

紗夜「あ、ありえないです。そんなの。」

エマ「あなた達、気付いてないの?」

 

 エマのその言葉に、あたし達は息を呑んだ

 

 だって、エマの言ってる人が誰か、分かっちゃったから

 

 そもそも、こんなに褒める人間、1人しかいないし

 

エマ「気付いてないなら教えてあげる。」

 

 ヤレヤレといった口調のエマ

 

 ま、まさか......

 

エマ「私の家系......南宮は高学歴ぞろいの天才家系なんて言う安っぽい肩書を名乗ってる。けど、それはあいつらの勘違い。天才なんて呼ばれたのは私とほんの数人だけ。」

リサ「!」

エマ「学歴なんて、努力でどうにでもなる。努力する天才はいても、努力して天才になる人間はいない。だからこそ、本物の天才は際立つんだよ。」

あこ「それは、エマって事?」

エマ「あたしが凄いのは認める、けど、違う。」

 

 エマは軽く目を閉じ

 

 数秒して、ゆっくりと開き

 

 そして、ゆっくり口を開いた

 

エマ「私なんて紛いもの。本物の最高の天才は......環那お兄ちゃんだけ。」

燐子「......!」

エマ「すぐに分かるよ。南宮が紛い物の集まりの、張りぼてだってこと。」

リサ「え、それはどういう__」

環那「__忘れ物忘れ物~。」

Roselia「!?」

エマ「あ、お兄ちゃん。」

 

 リビングのドアが開いて、心臓が飛び出かけた

 

 環那、なんてタイミングで戻って来てんの!?

 

紗夜「な、何を忘れたんですか?」

環那「自分で持ってきたシャンプーとかだよ?いやぁ、お風呂行くときにすぐ持っていけるようにってここに置いてたんだよね~。」

 

 環那はそう言いながらテーブルに置いてある袋を手に取った

 

 なんか置いてるなと思ってたけど、環那のだったんだ

 

 しかも、なんかちょっと良いのだし

 

環那「って、皆、難しい顔してどうしたの?」

エマ「私が出した問題を考えてもらってた。」

環那「あ、なるほど。それは大変そうだね。」

エマ「そうでしょ。」

リサ(エマ、メンタルつよ。)

環那「あはは、楽しそうで良かった。じゃあ、今度こそお風呂行くね~。」

エマ「うん。覗かないから安心して。」

環那「それ、本来なら逆なんだよね~。」

 

 そんな会話をしながら、環那はリビングを出て行った

 

 いやー、焦った

 

 環那の家系の話はシビアだし

 

 本人に聞かれてなくてよかった

 

エマ「......すぐに気付くよ。お兄ちゃんの本当の価値にね。」

リサ「え?」

エマ「この話は終わり。お兄ちゃんに貰ったこのカードゲームをしよう。」

あこ「あ、ウノだー!」

紗夜「いいですね、やりましょうか。」

友希那「えぇ。」

燐子「そ、そうですね。」

 

リサ(......エマの最後の言葉って......)

 

 あたしはそんな疑問を抱きつつ

 

 結局、皆とウノをすることになった

 

 けど、エマの最後の言葉が気になりすぎて集中できなくて

 

 かなり負けてしまった

 

 

 

 

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