暗い、何も見えない空間
頭の中には、冷たくて苦しい記憶
ただ、途方もない恐怖だけが襲って来る
死んじゃうかもしれない
好きな人を死なせてしまうかもしれない
そんな恐怖が延々と頭に流れ込んでくる
燐子「__っ!!!」
環那「あ、起きた?」
燐子「わ、私、生きてる......?」
環那「あはは、生きてるよ。」
南宮君はそう言いながら笑いかけてくれる
それを見て安心した
私も南宮君も生きてる
本当に良かった......
環那「生きてるのは良いんだけど、結構流されちゃってるから、ここがどこかは分からないかな。俺も流石に気絶したから。」
燐子「か、帰れるかな......」
環那「うーん、まぁ、何とかなるよ。」
この絶望的な遭難と言う状況
けど、南宮君がいれば
どんな状況でもなんとかしてくれる
そんな気がする
環那「俺も燐子ちゃんも携帯は持ってないけど、向こうにはエマがいるし、すぐに手を打ってくれるよ。(ノア君もいるし。)」
燐子「あ、そっか......!」
環那「まぁ、1日野宿するくらいは想定しておかないとね、っと。」
燐子「!」
南宮君はそう言って立ち上がり
森の方に目を向けた
野宿......
本格的に遭難したんだって実感が湧いてきた
燐子「ごめんね......巻き込んじゃって......」
環那「いやいや、問題ないよ。俺は野宿のプロみたいなものだからね。大船......は言いすぎだけど、まぁ、漁船くらいに乗った気でいてくれたらいいよ。あっはは!」
そう笑いながら、森の方に入って行った
取り合えず、私も出来る事を探さないと
そう思って、立ち上がり、南宮君が歩いて行った方について行った
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“環那”
環那「__うぐっ......(やっぱ、ダメージあるか。)」
燐子ちゃんから離れた場所に来て
俺は木にもたれ掛かり、ズルズルと座り込んだ
流石にあの状況じゃノーダメージとはいかなかった
環那(背中はかなり強打、勢い殺すために岩掴んだ左手も結構抉れてる。幸いなのは、義手の損傷がない事か。塗装に防水の効果があって助かった。)
体のダメージはあれど、何とかなる
片腕が取られてたら多少厳しかったけど
両腕あるならやりようはある
環那「(でも、少しダメージを回復しないと。)少し、休もう......」
ここからの行動パターンを考える
俺達が落ちた滝は山間部より少し上くらいにあった
そして、ここの川は比較的に曲がりは緩やか
つまり、帰り道はある程度用意されてる
けど、ここで問題なのは時間だ
どの位気絶してたか分からないけど
もう若干、陽が沈み始めてる
環那(暗くなる前にある程度移動するか......それとも、今は食料確保を優先して安全に事を運ぶのが良いか。)
俺1人なら前者でも問題ない
けど、今回の目的は燐子ちゃんを無事送り届ける事
そう考えると、今は体力回復を優先すべきか
環那「......よし、方針は決まった......けど、流石にきついな。痛みが引いたら、山菜集めて、魚捕まえて火を起こして......あと、雨風凌げる場所を探さないと。」
俺はそう考えて軽く目を閉じ
一旦、思考を停止させた
“燐子”
燐子(__み、南宮君......)
南宮君に付いて来て、独り言を聞いてしまった
あんなに、苦しそうな顔をしてた
私を庇って、怪我しちゃったんだ......
チラッと見えたけど、背中には大きな痣があった
燐子(わ、私のせいで......私のせいで......)
私が、川に落ちたから
無理矢理にでも南宮君を引きはがさなかったから
南宮君の優しさに付け込んで、結局、死ぬのを怖がったんだ......
そのせいで、南宮君が傷ついた......
燐子(......何かしないと。南宮君の役に立たないと......!)
何ができるかは分からない
私に出来る事なんてたかが知れてる
けど、何か、何かあるはず
燐子「......山菜集め、しないと。南宮君、するって言ってたから......!」
私はそう呟いて走り出し
山菜集めをすることにした
なんとか、役に立たないと
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“環那”
体中が痛い
拘束されてるように動けない
この感覚、なんだか久しぶりだ
こんな感覚を感じたのは、いつ以来だろう
そう、確か......
環那(4歳の時、だっけ。)
ジジババに蹴られ殴られ
肋骨が折れたまま監禁されてたあの日
あの時だけか、死ぬほど痛かったのは
環那(けど、その痛みもすぐ消えたっけ......)
あの日、家を抜け出して
1人で茫然とベンチに座ってた時
あの時に友希那と出会ったんだっけ
あの時から友希那は天使で__
燐子「__み、南宮君......!?」
環那「あ......ここにも天使が......」
燐子「ふぇ......?///」
環那「ん?あぁ、おはよう、燐子ちゃん。」
ちょっと夢、見てたかも
もしかしたら走馬灯?
なんかよく分からないけど
寝てたのは間違いない
目の前には心配そうな顔をしてる燐子ちゃん
うん、天使だ
友希那と遜色ないくらいに
環那「ごめんごめん、つい寝ちゃったよ。」
燐子「い、いや、大丈夫だよ......?疲れてるだろうし......」
俺は心配そうにしてる燐子ちゃんを横目に立ち上がり
肩を回したり、色んな部位を動かして
軽く体の状態を確認した
環那(うん、まぁまぁ回復したかな。頭もスッキリしてる。)
燐子「あ、あの......」
環那「どうしたの?」
燐子「山菜、集めて来たよ......」
環那「おぉ、すごいね!すごく助かるよ!それにしても、よくどれがどれって分かったね?」
燐子「昔、図鑑で見たことがあったから......///」
なるほど、博学だ
正直、今から集めてたら間に合わなかった
まっ、寝てた俺が悪いんだけどね
環那「取り合えず、移動しよう。夜の森は危ない。」
燐子「!///」
俺はそう言いながら、燐子ちゃんを抱き寄せた
ここがどこか分からないし
いつ野生動物が出て来るかもわからない
流石に生身で勝てるわけもないしね
環那「あまり外で過ごすのは嫌だし、洞窟とか見つけたいね。一旦、俺達が流れた川辺りに戻ろう。」
燐子「う、うん......///」
それから、俺は周りを警戒しつつ歩きだし
元居た地点に戻ることにした
あのあたりは崖の下だったし
もしかしたら、洞窟とかないかな?