羽丘の元囚人   作:火の車

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両思い

 不思議な感覚だった

 

 今まで何とも思わなかった行為

 

 それで感じる今までにない幸福感

 

 ただ、目の前にいる女の子が愛おしかった

 

環那(......少し、分かったかも。)

 

 燐子ちゃんが言ってた無条件の愛

 

 それの意味が少しだけ理解出来た気がする

 

 なるほど、これが......

 

燐子「すぅ、すぅ......」

環那「......可愛い。」

燐子「ん......っ」

 

 綺麗に整えられた前髪を掻き分ける

 

 その下にあるのは綺麗な寝顔

 

 昨日とは違う、幼くて可愛らしい表情

 

環那(もっと早く、燐子ちゃんと出会ていれば......)

 

 もし、燐子ちゃんと中学の時......

 

 いや、もっと早くに出会えて、今みたいに関われていたら

 

 俺はこんな風になってなかったかもしれない

 

 もっと、まともな人間に慣れてたかも......

 

環那「......いや、きっと今だったんだよね。」

燐子「ん......?南宮君......?」

環那「おはよ、燐子ちゃん。」

燐子「う、うん......///」

 

 燐子ちゃんは恥ずかしそうに眼を背けた

 

 昨夜の事を思い出してたりするのかな

 

 あんなに積極的だったのに

 

燐子「あ、服、かけてくれてたんだ......///」

環那「気にしなくていいよ。風邪ひかれたら困るしね。」

 

 俺はそう言って立ち上がった

 

 そろそろ、行動を開始しないといけない

 

 太陽の位置的に今は朝の6時くらい

 

 明日には帰るし、さっさと合宿上に戻らないと

 

環那「行こう、燐子ちゃん。必ず、無事に送り届ける。」

燐子「うん......!///」

 

 そんな会話の後、燐子ちゃんも立ち上がって

 

 一晩過ごした洞窟を2人で離れた

__________________

 

 ”燐子”

 

 あの洞窟を離れて30分くらいが経った

 

 私達は流れてきた河合像を歩いて

 

 取り合えずあの滝に向かってる

 

環那「__のどかだねぇ。」

燐子「そうだね......///」

 

 2人だけで歩くこの時間

 

 すごく幸せで、楽しくて、ドキドキする

 

 告白してすぐにあんなことをしてしまって

 

 思い出すと顔から火が出そうになる

 

燐子「あ、あの、南宮君......///」

環那「ん?どうかしたのー?」

燐子「昨日の事......なんだけど......///」

環那「昨日って、どのあたり?」

燐子「その......南宮君の事が好きって......言ったこと......///」

環那「あー。」

 

 すごく恥ずかしい

 

 自分で昨日の事を掘り返してるのもあるけど

 

 南宮君がそこまで気にしてなさそうなのが余計恥ずかしい

 

環那「なんて言うか、燐子ちゃんって男の趣味悪いね。」

燐子「えぇ!?」

環那「自分で言うのもなんだけど、俺って性格最悪だよ?人道に反する行為なんていくらでもするし、犯罪を犯すことに一切ためらいもない、犯罪者予備軍どころか前科ありだし。」

 

 すごい自虐の仕方

 

 実際に事実なのかもしれないけど

 

 大好きな人がこんな風に言われるのはちょっと......

 

燐子「......南宮君は優しいもん......」

環那「!」

燐子「だから......そんなに悪く言われるのは、嫌かな......」

環那「ははっ、ごめんごめん。」

 

 南宮君は陽気に笑ってる

 

 私は笑い事じゃないのに......

 

燐子「むぅ......」

環那「そんなに思ってくれてるなんて、男冥利に尽きるね。」

燐子「好きだから......///」

環那「あ、うん。ありがとう。」

 

 あ、珍しく動揺してる

 

 いつもは表情、一切変わらないのに

 

 少しは意識してくれてるのかな

 

燐子「南宮君は......私のこと、どう思ってるの......?///」

環那「俺?そうだなぁ......運命感じてる、とか?」

燐子「運命?」

環那「そうそう。」

 

 運命......

 

 南宮君がそういうこと言うのって意外かも

 

 運命とか信じなさそうなのに

 

環那「4歳の時、友希那じゃなくて燐子ちゃんに出会っていたら、俺はきっと燐子ちゃんに依存してたと思う。」

燐子「!!」

環那「そうなれば、俺も今と少しは変わってたかもって、さっき考えてた。」

 

 少し驚いた

 

 南宮君が、こんな事を考えてたなんて

 

 意外、かも......

 

環那「けど、燐子ちゃんとは今出会うべきだったんだって思ってる。」

燐子「......?」

 

 そう言って、南宮君は立ち止った

 

 何故か空を見上げて

 

 しばらくすると、ゆっくり口を開いた

 

環那「......燐子ちゃんを好きになったのかもしれない。」

燐子「......!?///」

環那「今まで友希那やリサ以外に嫌われてもどうでもよかったけど、今の俺、燐子ちゃんに嫌われるのが怖い。」

燐子「み、南宮君......?///」

 

 こ、これって、両思い......!?

 

 今、私のこと好きって言ったよね?

 

 じ、じゃあ、チャンスはあるんじゃ。......

 

環那「けど、まだ燐子ちゃんと付き合ったりはしたくない。」

燐子「え......?」

環那「俺は恋する気持ちを知らないから、中途半端に燐子ちゃんと関係を進めたくない。大切にしたい、って言うのかな。」

 

 南宮君は私の事、真剣に考えてくれてる

 

 好意はもたれてるって感じは伝わってくる

 

環那(理解できる日は、来るのかな。)

燐子「一緒に、学んでいこ?」

環那「?」

燐子「私も初恋だから、2人で一緒に学んで......理解出来て、私を好きって思ってくれたら、その時は......///」

 

 言葉に詰まる

 

 なんて言えばいいんだろう

 

 素直な気持ちを言葉にした方がいいのかな

 

環那「その時は?」

燐子「......迎えに来て、欲しいな......?///」

環那「っ!」

燐子「約束、してくれる......?///」

環那「......うん、分かった。」

 

 南宮君は静かにそう返事した

 

 なんだか、妙な関係になった、かな

 

 両思いになったと思うのに

 

 付き合ったりはしてないって......

 

 なんだか、おかしい

 

燐子「......大好きだよ///」

環那「教えてね、その意味を、これから。」

燐子「南宮君......///」

環那「名前で良いよ。」

燐子「っ!///......環那君......///」

環那「うん、燐子ちゃん。」

 

 名前で呼ぶだけ

 

 それだけなのに、すごくドキドキする

 

 これが好きな人って事なのかな

 

環那「っと、滝まで戻ってこれたね。」

燐子「あ、ほんとだ(いつの間に)」

環那「よし、ここまで来ればもう少し。少し休憩して、一気の戻っちゃおうか。」

燐子「うん、そうだね......!」

 

 そんな会話の後、私達は川のほとりに腰を下ろし

 

 少しだけのんびりした後

 

 合宿上に戻るために森の中に入った

 

 

 

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