”リサ”
環那と燐子が滝から落ちて一晩が経った
皆、心配なのか空気が重苦しい
勿論、あたしも心配で眠れてない
紗夜「......一晩、経ちましたね。」
友希那「えぇ......」
2人の目の下にはクマがある
あたしと同じで眠れなかったんだ
それはそうだよね
だって、滝から落ちて仮に死んでたりしたら......
あこ「......あこが、あんなこと言ったからかな。」
リサ「あんな事?」
あこ「環那兄が、りんりんのこと好きだって、言っちゃったの......」
友希那、リサ「!!」
紗夜「それは......」
言われてみれば、そうかも
あの時の環那はいつもみたいに冷静じゃなかった
本気で焦ったような顔して
必死に燐子を助けようとしてた
あんな環那を見るのは、友希那関連以外だとなかった
リサ「......間違いないよ。環那は間違いなく、燐子が好き。」
紗夜「彼が......!?」
友希那「......そうかもしれないわね。」
リサ「そう言う雰囲気もあった、かもね。」
ほんとに環那は燐子が好きなんだ
だったら、あたしも応援したい
......けど、それは2人が生きててこそ
生きてなきゃ、応援も何もないから
エマ「お兄ちゃんは問題ない。」
リサ、友希那、あこ、紗夜「え?」
エマ「あの義手には、お兄ちゃんの生死を判定する機能を付けてる。仮に死んでたら、この端末に通知が来て、その瞬間に私も後を追う。」
紗夜「(最後のは聞いてない事にしておきましょう。)なら、大丈夫ですね。」
この子は何をつけてるんだろ
でも、すごく安心した
環那が無事なら燐子も......
エマ「お兄ちゃんが死んでたら燐子も諦めないといけないけど、落下で即死してない限りは生きてる。お兄ちゃんなら、ありとあらゆる状況に対応できる。」
紗夜「そうですか?彼にサバイバルなんて向いてると思えませんが。」
リサ「いや、それは大丈夫でしょ。環那はサバイバル経験......って言うか、人生がサバイバルだったし。」
紗夜「えぇ......(困惑)」
環那は昔、公園の草とか普通に食べてたし
山の中なら一晩くらい余裕で生きれそう
あこ「でも、エマって環那兄をすごく褒めると言うか、評価高いよね?それってなんで?」
紗夜「確かに。彼は平凡な男子のはずですが......」
友希那「昔から、頭が良かったイメージはあるけれど。」
エマ「......本当に分からないんだね。」
リサ「!」
エマは溜息を付きながらそう言った
え、どういうこと?
どういえば、一昨日も環那の事言ってたし
それが関係あるの?
エマ「お兄ちゃん......それと私はギフテッド。」
あこ「ギフテッド?ってなに?」
エマ「ギフテッドは、先天的に高い学習能力や精神性を持ってる人間の事。つまり、生まれついての天才。」
リサ「環那とエマが......?」
なんだか納得した
2人の知能は常識的に考えておかしいし
ギフテッドとか初めて聞いたけど
そう言うのがあった方が納得できる
けど、おかしいな
リサ「それなら、エマと同じくらいなんじゃないの?」
紗夜「そうですね。エマさんが南宮君を崇拝する理由にはなりません。」
エマ「お兄ちゃんは身体能力も優れたタレンテッドでもあるけど、これだけじゃない」
友希那「......?」
エマはまたため息をついた
呆れた態度が体からにじみ出てる
そんな事を思ってると
エマはゆっくり口を開いた
エマ「......お兄ちゃんは、サヴァン症候群でもあるんだよ。」
友希那「サヴァン、症候群......?」
エマ「分かりやすく言えば、脳に障がいがある代わりに、特出した能力を得るというもの。」
リサ、紗夜「っ!?(脳に、障がい......!?)」
エマ「そう。」
エマは深く頷いた
皆、呆気にとられた顔をしてる
だって、環那にそんな感じは......
エマ「相手の立場になって物事を考えられない。それだけじゃないけど、異常者と言われるのは確か。」
リサ、紗夜「っ!」
エマ「国語が苦手なのも、人格の欠陥が原因の1つかもね。」
友希那(そ、そう言えば。)
あこ(環那兄、いつも苦手だって言ってた。)
やばい、思い当たる事しかない
言われてみれば思い当たる節がある
まさか、ほんとに......?
エマ「けど、それに見合った能力はあるんだよ。」
紗夜「......その能力、とは?」
エマ「まず、ギフテッドで得た高い計算能力と記憶力。これだけでも、常人からすれば相当なものだった。」
リサ「でも、もう1つ、あるんでよね?」
エマ「そう、これがマズかった。」
紗夜「マズかった、とは?」
あのエマが見たこともない表情を浮かべてる
え、そんなにやばいの?
エマ「サヴァンで得た能力、それは......」
あこ「そ、それは......?」
エマ「......並列思考。」
リサ「並列思考?」
って、2つの事を同時にできるってやつ?
でも、それって訓練すれば誰でも出来るんだよね?
なんだか、エマがもったいぶるから超能力じみた事だと思ってたけど
意外と普通で拍子抜けした
エマ「......お兄ちゃんが同時に脳で処理できる量は常人の30.25倍」
友希那、リサ、あこ、紗夜「えぇ......!?」
エマ「しかも、それはギフテッドで導き出せる計算も対象。相手の感情を計算で出したり、未来の計算すら、あの頭脳は可能にする。」
もう、意味が分からない
けど、すごいっていうのは分かる
まさか幼馴染がこんなに凄かったなんて、正に青天の霹靂だよ
エマ「けど、もちろんデメリットもある。」
友希那「デメリット?」
エマ「人格の欠陥。それに、並列思考を続け過ぎると体に何らかの影響が出て、最終的には脳が焼き切れる。」
あこ「あ、あの鼻血......!!」
リサ「あれってそう言う事だったの!?」
エマ「うん。」
リサ(ピーマンとか下らない事でなってたのに、そんなにヤバかったんだ。)
色々と驚きを隠せないよ
環那、本当に下らない事で考えすぎだよ
そんなスーパーコンピューターみたいな頭脳で......
エマ「まぁ、何はともあれ、お兄ちゃんと燐子は帰って来る。だって、お兄ちゃんならその気になれば、少しでもキッカケがあれば帰り道の計算も__」
環那「__つ、ついたぁぁぁぁあ!!!」
燐子「や、やった......!!」
友希那、紗夜「!!?」
リサ「環那!?」
あこ「りんりん!?」
エマ「お兄ちゃん!」
エマの話してる途中
すごい音と共に玄関のドアとリビングのドアが連続で開いた
その音の正体は環那と燐子で
環那は燐子をお姫様抱っこして、息の乱れから走ってきたのが分かる
環那「はぁぁぁ......危なかった......」
燐子「うん、そうだね......」
リサ「な、何があったの!?って、その前に生きててよかった!」
エマ「だから言った。大丈夫だって。」
あこ「りんりん、大丈夫!?」
皆、床に倒れてる2人の方に駆け寄る
ほんとに生きて帰ってきた
あの状況から生き残るのって相当でしょ
環那「取り合えず......水ちょうだい......」
燐子「わ、私も......」
エマ「用意した。」
リサ(はやっ!?)
エマは2人に水を渡した
すると2人はかなり喉が渇いてたのか水をがぶ飲みし
コップ一杯に入ってた水を一気に飲み干した
友希那「2人が生きて帰ってきてよかったわ。」
環那「いや~、中々楽しかったよ?」
紗夜「なら、なぜあんなに焦っていたんですか?」
燐子「それには......すごく大変な理由があって......」
あこ「大変な理由?」
あたし達は皆、首を傾げた
環那と燐子はかなり疲れた顔をしてる
ほんとになにがあったの?
環那「まぁ、色々あるけど、先に風呂入って来て良い?一晩野宿したから早く入りたーい。」
燐子「わ、私も......」
紗夜「え、えぇ、どうぞ。」
環那「じゃあ、燐子ちゃんが先に入っておいで?俺は待つから。」
燐子「うん......ありがとう......!」
燐子は環那にそうお礼を言って
自分の部屋の方に着替えを取りに行った
友希那「なんだか、さらに仲良くなった感じがするわね。」
環那「まぁ、一緒に森の中ですごしたからね。あはは。」
リサ「......?(なんか......)」
環那「じゃあ、俺も少し部屋で休むよ!燐子ちゃんがお風呂あがったら教えてね!」
リサ「ちょ、環那__って行っちゃった。」
燐子がリビングを出た後、環那も出て行ってしまった
まぁ、疲れてるから休みたいんだろうけど
なんだろ、様子がおかしいな
いつもの環那じゃないと言うか......
紗夜「まぁ、2人がお風呂から出るのを待ちましょうか。」
あこ「2人が無事でよかったー!」
エマ「お兄ちゃんがいるから、当然の結果。」
友希那「そう、ね?」
リサ(うーん、なんだかなぁ。)
皆が2人の生還を喜んでる中
あたしは環那の様子がずっと気になる
けど、あたしが考えても仕方ないし
今は取り合えず、2人がお風呂あがるの待って
山の中で何があったのか聞くことにしようかな