羽丘の元囚人   作:火の車

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やり直し

 休日の朝、俺は家事をしてます

 

 洗濯とか掃除とかやることは多い

 

 けど、意外と楽しいのかもしれない

 

琴葉「__な、何をしてるんですか!?」

環那「え?洗濯だけどー?」

琴葉「私の下着をなんで持ってるんですか!」

環那「?」

 

 琴ちゃん、なんで怒ってるんだろ?

 

 洗濯してるんだし、当然だよね?

 

 うーん、分かんない

 

琴葉「私の下着は良いんですよ!」

環那「でも、俺がしないと琴ちゃん4日くらい連続で同じの履く__」

琴葉「ふんっ!!」

環那「うわ、危ないなー。」

 

 俺が話してる途中

 

 またしても顔の横を何かが通過していった

 

 後を確認してみると壁に桶がめり込んでいた

 

 どんな力で投げたんだろ?

 

琴葉「余計なことは言わなくていいんです!」

環那「重要だと思うけどー?あと、こんな派手な下着買っても活用する事ないのに......これいくらしたのー?」

琴葉「放っておいてください!」

 

 ちなみに琴ちゃん、外見は良いです

 

 ただ、それを台無しにするガサツさ

 

 そして女子力の低さのせいでモテません

 

 いやー......本当に酷いよ?

 

琴葉「今は!あなたが!私の下着を持ってる事を言ってるんです!」

環那「大丈夫大丈夫。俺、琴ちゃんの下着じゃ欲情しないから。」

琴葉「そう言う問題ですか!?って、その言い方もひどくないですか!?」

環那「気のせい気のせい。」

 

 そう言いながら俺は洗濯物を畳んでいき

 

 俺と琴ちゃんの衣類を分けていった

 

 なんだろ、いくら見ても派手な下着しかない

 

 誰に見せるわけでもないのに......勿体ない

 

環那「はい、琴ちゃんの服とか。って、タンスに詰められないから後で詰めとくねー?」

琴葉「それくらい出来ます!」

環那「じゃあ、お願いねー。」

 

 琴ちゃんに取り合えず服を渡した

 

 それを受け取ると琴ちゃんは怒った様子のまま

 

 部屋の方に歩いて行った

 

 いやー、琴ちゃんを弄るのは面白いなー

 

環那「さーてと、今日は買い物行かないとー。足りないものあったかなー?」

 

 俺は冷蔵庫を確認した

 

 取り合えず、野菜は買わないといけない

 

 あと、醤油、みりんも切れてる

 

 ていうか、お酒何でこんないっぱいあるんだろ?

 

環那「琴ちゃーん?スーパー行くけど何か欲しいものあるー?」

琴葉『おかし欲しいです!』

環那「りょーかーい。」

 

 そう答えた後

 

 俺は財布とエコバックを用意し

 

 それらを持って家を出て行った

__________________

 

 外に出ると暖かい風を感じた

 

 もう4月中旬になってるし

 

 春って感じがする気がする

 

 俺はそんな事を考えながら歩いて

 

 家から1番近いスーパーに来た

 

環那(今夜は......洋食がいいなー。)

 

 メニューを考えつつスーパーの中を歩く

 

 おばさんとかが大声で話してたり

 

 子供が走り回ってたりしてて

 

 何と言うか、平和だなって思う

 

環那(今日はハンバーグにしよー。)

リサ「__あ、環那。」

環那「ん?」

 

 しばらく店内を歩いてると

 

 買い物かごを持ったリサと出くわした

 

 ここに帰ってきて初めて私服見たけど

 

 何と言うか可愛らしくなったと思う

 

リサ「環那も買い物?」

環那「うんー、今は俺が家事してるからねー。」

リサ「へぇ、環那って家事とかできたんだね。」

環那「いやー、初めてするからネットで調べてやってるよー。」

リサ(は、初めてなんだ。)

 

 リサは昔からクッキー作ってたし

 

 やっぱり女子力高いんだねー

 

 まぁ、友希那は全くできなかったけど

 

環那「じゃあ、俺は買い物行くねー?じゃあ、またー。」

リサ「ちょ、待ってよ!」

環那「うんー?」

リサ「一緒に、行こ?」

環那「いいけどー、友希那にばれたら大変だよー?」

リサ「友希那はまだ寝てるから大丈夫。」

環那「それ大丈夫なの?」

 

 友希那ってそんなに寝る子だっけ?

 

 いや、そんな事はなかったはず

 

 ただ休日でだらけてるだけかな?

 

環那「まぁいいやー。じゃあ、一緒に行こうかー。」

リサ「うん!」

 

 そうして、俺とリサは一緒に買い物をすることになった

 

 リサは何だか嬉しそうにしてて

 

 なんだか昔の事を思い出した

__________________

 

 俺とリサは喋りながら買い物をした

 

 幼馴染と一緒に買い物をしてると

 

 何と言うか、年取ったなーって思った

 

 今は帰りに見つけたアイス屋でアイスを買って2人で食べてる

 

リサ「久しぶりに食べたねー、このアイス。」

環那「そうだねー、俺は丸々5年ぶりー。」

 

 獄中にいた時はアイスとか無かったし

 

 こうして公園でリサといるのも想像できなかった

 

 いやー、よく分からないままだったけど

 

 ここに戻って来れてよかった

 

 俺はそう思いながらアイスを口に入れた

 

環那(アイス、美味しいな~)

 

 ”リサ”

 

 環那は変わってない

 

 最後に会った中学2年生の時から

 

 この笑みも雰囲気も何も変わらない

 

リサ(よかった。)

 

 正直、かなり心配だった

 

 友希那にあんなこと言われて傷ついてるんじゃないかなって

 

 でも、むしろ全く気にしてる雰囲気がない

 

 今はそっちをおかしく感じる

 

環那「どうしたのー、リサー?」

リサ「その、環那はショックじゃないの?」

環那「なにがー?」

リサ「友希那の事。」

 

 あたしは環那にそう尋ねた

 

 環那は表情を変えないまま笑みを浮かべ

 

 のんびりとした口調で話し始めた

 

環那「別にショックじゃないよー。」

リサ「え?」

 

 あたしは驚いて目を見開いた

 

 昔からずっと一緒にいた幼馴染の友希那

 

 そんな子にあんなこと言われても平気なんて

 

 しかも、環那は......

 

環那「捕まった時点でこうなる覚悟はしてたからねー。」

リサ「本当に、大丈夫?」

環那「大丈夫大丈夫ー。」

 

 環那は軽く手を振りながらそう言った

 

 のんきにアイスを食べてる姿は

 

 その辺りで遊んでる子供と変わらない

 

 あたしがそんな事を考えながら見てるうちに

 

 環那はアイスを食べ終えた

 

環那「さてとー、俺はアイス食べ終わったしそろそろ帰ろうかなー。」

リサ「!」

 

 環那はそう言ってアイスの紙を丸め

 

 近くにあるゴミ箱にそれを入れた

 

 買い物袋を持ってあたしに背中を向ける

 

 あたしはそれを見てベンチから立ち上がって

 

 環那の方に向かって叫んだ

 

リサ「待ってよ環那!」

環那「んー?どうしたのー?」

リサ「......ずっと、言いたかったんだけど。」

 

 環那はこっちを向いて不思議そうにそう問いかけてくる

 

 喉が渇いたみたいなそんな感覚に襲われる

 

 前に言いそこなった言葉

 

 あたしはそれを絞り出した

 

リサ「......あたしと......」

環那「?」

リサ「あたしと、やり直そ......?」

環那「え?」

 

 言った、言ってしまった

 

 中学2年生で別れて3年

 

 環那以外を好きになれなかった

 

 もしできるならまた会ってやり直したい

 

 そんな事をずっと願ってた

 

 だから、ずっとこれを言いたかった

 

リサ「ずっと、環那のこと好きだった。だから、今度こそあたしだけを見て欲しい。」

環那「......」

リサ「あの日だって、別れるって言われたけど、あたしは頷いてないから。」

環那「......」

 

 環那は何も言わない

 

 面倒な女って思われてるのかな

 

 環那からすればずっと前に別れたわけだし

 

 いまさら言われても困るよね......

 

 あたしがそんな事を考えてると

 

 環那は表情を変えないまま口を開いた

 

環那「そう言えば、そうだったね。」

リサ「!」

環那「誤算だったよ。俺の予想では友希那もリサも俺を目の敵にして、俺は2人の姿を見守る予定だったのに。」

リサ「あたしは環那を知ってるから。簡単に嫌いになんてなれないよ。」

環那「......そっか。」

 

 環那は小さくそう呟いた

 

 そして、笑みを浮かべたままあたしの方を見た

 

環那「分かった、いいよ。」

リサ「!///」

環那「ただ、また後悔するかもしれないよ。」

 

 環那はあたしにそう言った

 

 珍しく真面目な顔をしてる

 

 本当はあたしだけを見て欲しい

 

 でも、あたしは環那のことを分かってるから

 

リサ「それでもいい!///あたしはそれでも環那といたい!///」

環那「わかった。」

 

 そう言うと、環那はいつもの顔に戻った

 

 そして、あたしに優しい声で語り掛けて来た

 

環那「やり直し、しようか。」

リサ「うん!環那!///」

環那「じゃあ、俺の今住んでる家に行こっかー。」

リサ「え......!?///」

 

 あたしは顔が熱くなった

 

 家ってことは......みたいな

 

 そんな期待をしてしまう

 

環那「ちょっと報告しとかないといけないからー。」

リサ「え?(報告?)」

環那「じゃあ、レッツゴー。」

 

 環那のそんなのんきな声の後

 

 あたしは困惑しつつ

 

 環那の今住んでる家に行くことになった

 

 報告って、何なんだろう......?

 

 歩いてる間、あたしはその疑問で一杯だった

 

 

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