環那「__はぁ......」
花火が終わって合宿上に帰ってすぐ
俺は自分の部屋のベッドに寝転び
ボーっと天井を眺めた
環那(好き......か。)
自分の唇に指を当て、そんな事を考えた
なんだろう、この鼓動は
心臓が握られているように息苦しい
けど、特に嫌な感じはしない
環那(なんだ、これ......)
今の自分の状態を考えて答えを出すなら
わざわざ告白の返事を先延ばしにする必要はない
正直、即答したいくらいだ
けど、引っかかるものがある
だから、即答できなかった
環那「いつもなら、人間の気持ちなんて簡単に計算出来__ん?」
部屋で1人呟いてると頭上にある携帯が鳴った
俺は不思議に思いながら携帯を手に取り
来ているメッセージの内容を見た
琴葉『水着を着て見ました!流石のあなたも大人の魅力を感じる事でしょう!』
環那「......」
メッセージにはそんな文章と水着の琴ちゃんの写真がある
着てる水着は結構面積が狭くて
凹凸のしっかりある体がしっかり見える
男としては美味しい写真だと思う、けど
鏡に映ってる顔がドヤ顔すぎて
全てのプラス要素をゼロにしてる
環那「『いいと思うよ。体だけ成長した子供にしか見えないけど。』っと。」
俺は取り合えずそう返信した
全く、美人なのに残念だなぁ
......まっ、そこがいい所なんだけど
琴葉『なんでですか!?』
環那『顔。』
琴葉『うぐぅ......!』
意味の分からない兎のスタンプが送られてくる
こういうセンスも実に子供っぽい
けど、これ以上は突っ込まない方が良いかな
帰ったら面倒になるし
環那『て言うか、何で買ったの?遊びに行く予定もないのに。』
琴葉『そ、それは......』
環那『?』
琴葉『......あなたに見せる為です。』
環那「......?」
俺に見せるため?
この面積の狭い水着を?
それって、つまり......
環那『痴女なの......?』
琴葉『違います!!失礼な!!』
環那『いや、俺は琴ちゃんの趣味位受け入れるよ?同居人なんだから、我慢しないで。』
琴葉『変な気を遣わないでください!この、軽薄天才鈍感男!!』
環那『それは貶してるの?褒めてるの?』
琴葉『両方です!!』
軽薄天才鈍感男って......訳が分からないな
別に天才って事はないんだけど
琴葉『色々大変だったそうですが、明日には帰って来るんですよね?待ってますよ?』
環那『はいはい。あんまり部屋、散らかしちゃダメだよ?』
琴葉『分かってますよ!もう!おやすみなさい!』
環那『おやすみー。』
琴ちゃんからメッセージが来なくなった
なんだか、一気に心が軽くなった気がする
馬鹿なやり取りをしたからかな?
環那(......琴ちゃんも、一緒にいて落ち着くんだよな。)
ふとそんな事を考えた
琴ちゃんは同居人で年上だけど
別に年上って感じはしなくて親しみやすくて
なんだかんだ、一緒にいて楽しい
環那「わっかんな......寝よ。」
俺は思考をいったんすべて放棄し
早く起きないといけない明日に備え
強引に意識を落とした
__________________
翌朝、俺は荷造りをし合宿場の前にいる
この合宿、なんか色々あったなぁ
主な思い出は遭難したことだけど
まぁ、あれはあれで良い思い出って事で
リサ「__ねぇ、ほんとにここで待っててもいいの?」
環那「うん、問題ないよ。知り合いが迎えに来てくれるから。」
俺はそう言い、携帯を確認した
そこには数件のメッセージが来てて
『もうすぐ着く』と言う文章が表示されてる
環那「あっ、あれだ。」
あこ「わぁ、おっきい車だー!」
指を指した方にはかなり大きな車
あの知り合い、金は持ってるって聞いてた
けど、こんなに大きい車持ってたんだ
?「お待たせいたしました。環那さん?」
環那「いいや、そんなに待ってないよ。神原。」
神原「ふふっ、模範的な返答ですこと。」
俺は軽く挨拶し
すぐに神原の車のドアを開けた
リサ(え、あれ誰!?すごい美人!?)
燐子(し、知り合いって言ってたけど......)
紗夜(彼の交友関係は謎が多いわね。)
皆は順番に車に乗り込んでいき
全員が乗り込むと、俺も助手席に座った
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“リサ”
あたし達が乗り込んですぐ車は出発した
この車、音も静かで揺れも少なくて
すごく乗り心地がいい、けど......
神原「少し大人になったのではありませんか?環那さん?」
環那「そんな事はないでしょ。たかだか数日しか経ってないのに。」
リサ、燐子「......(ジー)」
すごい綺麗な黒髪の美人さんで
言葉遣いも綺麗で物腰も柔らか
大和撫子って言葉が当てはまる
そんな人が環那の知り合い?
あこ「環那兄?その人だれなのー?」
リサ「!(あこ、ナイス!)」
燐子(あこちゃん......!)
環那「ん?ただの知り合いだけど。」
ただの知り合い......
それにしては仲良くない?
あたし達ほどじゃないけど、長い付き合いっぽいし
あこ「元カノとかじゃないのー?」
環那「それは勘弁して。」
エマ(......あれが彼女だと碌なことがなさそう。)
神原「あらあら♪」
環那は真顔で首を横に振ってる
珍しく全力で拒否してるよ
そんなに嫌なんだ
環那「この人ほど彼女にしたくない人間はいないよ。」
紗夜「そうですか?理想的な女性だと思いますが。」
神原「ありがとうございます。」
環那「あんまり褒めない方がいいよ。」
環那がこんなに当たり強いのも珍しいかも
それだけ信頼してるってことかな?
環那の友人の大前提は信頼だし
友希那「......っ(?)」
リサ「友希那?どうしたの?」
友希那「なんだか、眠たくて......」
紗夜「そう言えば......」
2人は眠たそうに目を擦ってる
言われてみれば、私も......
あれ、ほんとに眠たい......?
燐子「すぅ、すぅ......」
あこ「んん......っ」
友希那、紗夜「......」
リサ(なんで、皆急に......?)
まだ起きてからそんなに時間経ってないのに
なんで、こんなに眠たいの?
環那「あはは、みんな疲れてるんだよ。着いたら起こすから、気にせず寝て良いよ?」
リサ「う、ん......」
環那「おやすみ、リサ。」
環那の優しい声の後
あたしの瞼はゆっくりと閉じて行き
意識が途絶えた
“環那”
環那「......寝たかな?」
神原「えぇ、全員眠っていましてよ。環那さん。」
エマ「なんだか忍びないね。親しい人間に薬使うのって。」
皆が眠って、俺達3人は声のトーンを変えた
さっきまでの穏やかな時と違い
冷たい、仕事の時用の声
環那「もう偽名を使う必要はないね......人見。」
人見「そうですわね。」
環那「事故で少し予定がズレちゃってすまないね。」
人見「問題ありませんわ。すでにこちらの準備は整っておりますので。」
まぁ、そっか
実行まであと4日はあるし
1日くらいならさほど問題ないかな
エマ「お兄ちゃん、下準備はどうする?」
環那「それは3日後。俺とエマの2人で行こう。」
エマ「うん、お兄ちゃんを傷つけた汚物どもを地獄に叩き落とそう。」
人見「ふふっ、相変わらず仲が良いですわね。」
環那「可愛い子だよ、ほんと。」
エマがシスコンと呼ばれることは分かってる
けど、当事者の俺にとっては可愛い妹だし
誰かに思われるのは嬉しい事だしね
人見「仲のいい姿もいいですが、作戦後のことも考えなければなりませんわよ?」
環那「そこも、もう考えてる。」
人見「あら?お早いですわね。して......新太さんはどうするおつもりですか?」
環那「......」
エマ(いざとなれば私がどうにかするけど。)
エマと人見の視線を感じる
まぁ、作戦後の事はしっかり考えてる
けど、今回の作戦よりも面倒くさいんだよね
環那「新太は作戦が終わり次第、処理する。」
エマ、人見「!」
環那「相当な恨み買ってるし、敵になるなら面倒になる前に潰す。」
エマ「うん、そうだね。なんなら、お兄ちゃんに無礼を働いた分、私が処分してもいい。」
エマは若干ドヤ顔でそう言った
別に問題なく出来るだろうけど
わざわざエマを危険に晒すことはない
それに......
環那「作戦が終われば、向こうから俺の方に来るさ。」
人見「計算済み、ですか?」
環那「粗方ね。」
俺は軽く息を付き、少し目を閉じた
そこに無数の計算式が浮かんできて
数秒ほど経って、全ての計算
そして、それを元にした照明が完了した
環那「......人見、九十九への連絡も怠るなよ。」
人見「かしこまりました。」
環那「エマは俺と一緒に行動。例のものを使うタイミングは任せるよ。」
エマ「うん、全てはお兄ちゃんのために♡」
そんな会話の後は普通の雰囲気に戻し
雰囲気を戻して、皆が起きるのを待った
けど、結局、皆が起きたのは町に着いてからで
着いた時、俺がすごく気疲れしたのは......
まっ、どうでもいいね