環那「......」
エマに寝てろと言われ少し寝て
結局、寝苦しくて1時間くらいで起きてしまった
けど、これは失敗だった
熱いし、苦しいし、体の節々が痛い
こんな事なら無理して寝てた方が良かった
環那(......うるさい。)
なんか、変な声が聞こえてくる
若者、老人、男、女
色んな声が重なって聞こえて来て、煩い
環那「......あー、これが熱かぁ。新感覚ぅ。」
リサ「__いや、何言ってんの?」
環那「ん?」
リサ「まーたおかしくなったの?」
俺がボヤいてると
何故か、リサが俺の部屋に入って来た
なんでここにいるんだろう?
環那「なんでいるのー......?」
リサ「あたしは浪平先生から連絡来て、面倒見てって頼まれたの。友希那とエマから連絡来た燐子、後あこもいるよ。」
環那「おぉ、大所帯だねぇ......って、そのメンバーで紗夜ちゃん来てないんだ。」
リサ「紗夜は『興味ありません。』ってさ。」
環那「ちょっとひどくない......?」
紗夜ちゃん......
流石の俺も泣きそうだよ
ちょっとでもいいから興味持ってよ......
リサ「まぁ、あたし達は興味津々だからさ!」
環那「完全に面白がってるでしょ......」
リサ「いやー、まさかあの環那が熱出すなんてねー。」
環那(あ、完全に面白がってるね、これ。)
人生初の熱だからかなぁ
昔から知ってるリサには面白いネタだろうね
リサ「今お昼くらいだけど、何か食べれそう?」
環那「あんまりないかも......」
リサ「そっかー。けど、ちょっとくらい食べなよ。友希那と燐子がおかゆ作ってるから。」
環那「食べる。」
リサ「いきなり元気になったね。」
いやだって、友希那と燐子ちゃんのおかゆだよ?
死んでも食べたいでしょ
俺なら余裕で命かけるね
環那「よし、俺から行こう......れっつごー。」
リサ「寝てなさい。」
環那「はい......」
俺はリサに寝かされてしまった
くっ、流石にダメか
エプロンを着た友希那と燐子ちゃんを見たいのに
リサ「持って来てあげるから、ゆっくりしてて。」
環那「了解しました......」
リサは少し厳しい口調でそう言って
俺の部屋を出て行った
__________________
“リサ”
......あんなに弱ってる環那、初めて見た
今まで骨折しても、大きな傷が出来ても
どんなことが起きてもヘラヘラしてたのに
今回はあまりに様子が違う
リサ(なんで急にああなったんだろ......)
そもそも、あの環那が体調管理ミス?
そっちの方が驚きだ
友希那に移さないためにって体調不良なんて今まで一度もなかった
いきなりどうしたんだろ
友希那「あら、もう帰ってきたの?」
燐子「み、南宮君はどうでしたか......?」
リサ「うーん、かなりしんどそう。多分、熱も全然下がってないんじゃないかな?」
あこ「そんな環那兄姿、想像つかないかも。」
まぁ、環那のイメージはそうだよね
病気しなさそうな性格してるし
リサ「エマの話って本当なのかなー?」
あこ「それって、りんりんの言ってたあれ?」
燐子「うん......ストレスとか心労が祟ったって......」
友希那「......」
言われてみれば、そうだったかもしれない
あんな環境で生きて来たら気疲れもするし
ストレスだって、想像できないくらい抱えてるはず......
あこ「......か、環那兄って、ストレスが原因でああなったんじゃ。」
友希那、リサ、燐子「......!」
あこ「ストレスで人はおかしくなるって言うし......」
あこの言葉でハッとした
ありえる......
環那の境遇的に精神的におかしくなってもおかしくない
友希那「ま、まさか......」
エマ「__いや、それはないよ。」
リサ「っ!エマ、帰ってきたの?」
エマ「うん、用事が終わったから。」
そんな話をしてると
リビングのドアを開け、エマが入って来た
いつも通りの私服の白衣を着て
なんだか現実離れした姿をしてる
エマ「それで、お兄ちゃんが今みたいになった理由だっけ。それは生まれつき。」
友希那「なぜそう言い切れるの?」
エマ「そういう病気だからだよ。サヴァンは。」
エマは落ち着いた声でそう言う
あれは生まれつきなんだ
それはそれでいいのかな?
エマ「まぁ、今回のは完全に長年のストレスと心労が原因。しばらくゆっくり休めばよくなる。」
リサ「じゃあ、解熱剤とか使わないの?」
エマ「今のお兄ちゃんには休養が必要。だから私は燐子を呼んだ。」
燐子「私......?」
エマ「燐子の癒しオーラには目を見張るものがある。あの旅行の時の膝枕は素晴らしかった。」
リサ(いつの間に?)
まぁ、エマの気持ちは分かる
確かに病気の時に燐子がいれば気分良くなりそう
エマ「おかゆ、出来てるなら食べさせてあげて。栄養は必要だから。誰も行かないなら、私が口うつs__」
リサ「はいはーい!あたし達で行こっかー!」
あこ「あこ!エマとお話ししたいなー!」
友希那「そうね、私達も行きましょう、燐子。」
燐子「は、はい......!」
エマ「1割は冗談なのに。」
それって9割本気って事だよね......
そんな本音を飲み込み
あたしは2人とおかゆを持って環那の部屋に向かった
__________________
リサ「環那ー、おかゆ持ってきたよー。」
環那「あっ。」
友希那「環那......!?」
燐子「南宮君......!?」
部屋に入ると、環那はベッドから落ちていた
どこか顔が赤くて
いつもより雰囲気が弱弱しい
友希那「どうしたの!?」
環那「い、いやー、着替えようと思ったら思った以上に体が動かなくてね......」
燐子「だ、大丈夫......!?」
燐子が心配そうに環那に駆け寄る
心配してるのが態度に現れてて
倒れてる環那に触れる手つきも優しい
燐子「立てる......?」
環那「あはは、大丈夫だよ......」
燐子「汗かいてるね......着替え、手伝う?」
環那「い、いや、自分でするよ。(何のプレイ......?)」
リサ「......っ。」
その時、ギリと言う音がしたのが分かった
環那と燐子の仲が良い
これはすごくいい事、なのに......
リサ(......なんで、そんなに仲いいの?)
そんな事を考えてイラついてしまう
けど、仕方ないじゃん
あたしに心開くのはあんなに時間かかったのに
燐子は1年もかからないって......
燐子「あ、汗かいたままだと悪化しちゃう......!」
環那「ちょ、ちょっと待って......!色々と危ない......!」
友希那「燐子、落ち着きなさい......」
燐子「!」
友希那「着替えは食べた後でもいいわ。体を拭いたりもするし。」
リサ「まっ、そうだね。」
色んな感情を飲み込んでおかゆを持っていく
今、環那と燐子の仲に文句言うのは違うし
落ち着かないと......
リサ「自分で食べれる?」
環那「もちろん。レンゲつかって口に運ぶ程度__!?」
友希那「!」
環那がおかゆを食べようとレンゲを持った
けど、レンゲは手からするっと抜けて行って
ゴンと音を立ててお盆の上に落ちた
環那「なんでだ、手が痺れて持てないぞ......?こんな事初めてだ......」
友希那「全く、仕方ないわね。レンゲ、貰うわよ。」
環那、リサ「友希那......?」
友希那は小さく溜息を付き、落ちたレンゲを持った
あたしだけじゃなくて燐子と環那も首を傾げてる
友希那「ふぅ、ふぅ......はい、食べて。」
環那「へ......?」
燐子(ゆ、友希那さんが......!?)
リサ「......!(友希那も!?)」
無表情でおかゆを差し出す友希那
流石の環那も白黒させてる
め、珍しい
友希那「食べないの?」
環那「え、あ、いただきます。」
友希那「えぇ。」
環那は友希那に差し出されたおかゆを口に入れ
それを見て友希那は優しい笑みを浮かべた
こんな光景、初めて見たかも
いつもは立場真逆だし
環那「美味しい......」
友希那「燐子がほとんど作ったのよ。私はお米を洗う事しか出来なかったわ。」
環那「米を洗えるようになったんだね......!すごいよ......!」
リサ「ちょっと泣いてるじゃん。」
視点が完全に親なんだけど......
セリフが完全に小さい娘がお手伝いしたって聞いた時のそれだし
環那「美味しい、美味しいなぁ......」
友希那「泣くほどなのね。良かったわね、燐子。」
燐子「はい、そうですね。(友希那さんの成長を喜んでるんだろうなぁ。)」
リサ「......」
分かってる、友希那は仕方ない
ずっと環那はこんなだったし
そんな今さら......
リサ(......ズルい。)
嫉妬しないなんてことはない
だって、あたしだっておかゆ作れるんだよ?
今までお弁当も作ってるのに
あんな反応、一回もされた事ない......
環那「__ふぅ、ごちそうさま。フルマラソン完走できそうな位元気になったよ。」
燐子「寝て......!」
環那「は、はい。っと、その前に着替えないと。」
友希那「じゃあ、私達はリビングにいるから、何かあれば声をかけなさい。」
環那「あ、そこの机にカード入ってるから何でも好きなもの__」
リサ「はいはい。甘やかしすぎない。」
環那「反応早いね......」
隙を見れば甘やかそうとする環那を止め
友希那と燐子の方を見た
リサ「2人は先にリビング行ってて。あたしは環那の着替え手伝うから。」
友希那「1人で大丈夫?」
リサ「大丈夫大丈夫。」
燐子「お、お願いします......///(流石に私は荷が重い......///)」
あたしがそう言うと2人は部屋から出て行った
一応、扉の外を確認し
ベッドの上にいる環那の方を見た
リサ「脱いで、環那。」
環那「......ん?」
リサ「体拭いてあげるから。ほら。」
環那「えー、まぁ、いっか。」
環那はそういって服を脱ぎ始めた
まぁ、今さら上半身見られても気にしないよね
あたしは意識しまくりだけどね!(正直)
リサ(浪平先生、水入れた洗面器置きっぱなし......ちょうどいいけど。)
環那「まさか、こうやって看病される日が来るなんてね......」
リサ「なにー?してくれる人いないと思ってたの?」
環那「いや、一生病気しないと思ってた。」
リサ「大丈夫。元から病気みたいなもんだし。(あ、タオルあった。)」
環那「何それ酷い。」
リサ「はいはい、背中向けて。」
あたしは環那の後ろに立った
白くて、昔より大きくなった背中
同年代の中では細い方だけど筋肉質で
男だなぁって感じがする
リサ「拭いてくよー。」
環那「はーい。」
水で濡らしたタオルを背中に当てた
うわー、昔より硬くなってる
昔一緒にお風呂入った時はもっと柔らかかったのに
そんな事を考えながら、あたしは手を動かし始めた
“環那”
リサ「環那、昔よりかなり筋肉ついたね。」
環那「まぁ、捕まってる間に筋トレしたしね。」
リサ「ほんと、転んでもただでは起きないよね。」
環那「転んだつもりはないけどね。」
俺は小さく笑いながらそう言った
そう、転んだことはない
だって、自力で立ったことないし
リサ「......燐子の事、好き?」
環那「?」
会話が一度途切れてから少し経って
リサはいきなりそんな事を質問してきた
なんか最近、こんな感じの事よく言われる気がする
環那「まぁ......好きなのかもしれない。」
リサ「!」
環那「あの子は、俺が持ってないものを持ってる。」
リサ「......」
好き、だとは思う
けど、その気持ちに自信が持てない
恋愛に関しては知らないからね
リサ「まっ、燐子って可愛いよね。それに友希那とか浪平先生とか環那の周りには可愛い人多いよね。」
環那「そうだね。」
リサ「でもさ。」
環那「!」
リサ「......///」
あたしは後ろから環那に抱き着いた
ここまでしても表情が変わってないのが悔しいけど
もう、どうでもいいや
リサ「つ、付き合うとか結婚するなら、あたしにしときなよ......///」
環那「え?」
リサ「多分だけど、結構良い物件になる気がするよ?///」
環那「......?」
付き合うとか結婚とか、いきなりだな
いや、いきなりじゃないや
リサは普通に好きって言って来るし
リサ「環那......?///」
環那「考えとく。けど、俺でいいの?人生無駄にしない?」
リサ「え?」
環那「リサならイケメンで年収1000万くらいの男捕まえられそうだけど。」
リサってすごいいい子だしね
家事上手で美人でスタイル良くて性格もいい
実際、学校でもモテモテだしね
リサ「それって、環那の事じゃない?」
環那「え?」
リサ「あの会社の社長になったんだから年収1000万なんて超えるだろうし......その、環那は元は別に悪い方でもないし、雰囲気は良い感じ......みたいな?///」
これはあれか
好きになった相手は異様に容姿が良く見える
あの謎の現象
リサ「まぁ、その、とにかく!///環那にはあたしが一番合ってるの!///だから、環那はあたしにしときなって話!///」
環那「え、あ、はい。」
リサ「着替え、ここに置いとくから早く着替えて寝る!///水分はこまめに摂って、困ったことがあったらリビングにいるから言って!///じゃあ!」
リサは早口でそう言って部屋を出て行き
俺はポツンと1人で部屋に残された
なんだか、嵐が去った後みたいな
環那(『あたしにしときなよ。』か。)
俺はリサに言われた言葉を心の中で復唱し
それから服を着替えて布団に入り、目を閉じた
ご飯食べて、良い感じに疲れたからか
その後はよく眠ることが出来た