羽丘の元囚人   作:火の車

71 / 200
誘い

 “燐子”

 

燐子父「__き、聞いてくれ!」

 

 朝、突然お父さんの声が響いた

 

 会社をクビになってからずっと暗かったけど

 

 今日はなんだか、声音が明るい

 

父「前の会社の、ほ、本社に採用された!」

燐子、母「え、えぇ!?」

父「急に電話が来て、面接に行ったら......!」

母「と、通ったの!?」

父「さっきな!い、今から社長が合格通知と今後の話に来るらしい!も、もてなしの用意を!」

母「今から!?そ、それなら、すぐに準備を__」

 

 お母さんが口を開いた瞬間

 

 ピンポーンと家のチャイムが鳴った

 

 え、もう社長さん来たの?

 

 どんな人なんだろう......

 

 思い切りのいい人そうなのは何となく分かるけど

 

母「と、取り合えず出るわね。__い、今行きます!」

 

 お母さんはそう言って

 

 玄関の方に走って行った

 

 わ、私はどうすればいいんだろう......?

 

父「な、なんか、燐子にもいて欲しいらしいんだ。恩人だとかで。」

燐子「え......?」

父「確か、最近、社長が変わったとか......」

 

環那「__おー、ここに来るのも久し振りだなー。」

 

燐子「え?」

 

 ドアを開ける音の後

 

 優しくて、少しだけ呑気な

 

 聞くだけでドキドキする声が聞こえて

 

 私はリビングのドアの方に顔を向けた

 

環那「palace株式会社の代表取締役兼会長に就任いたしました、南宮環那と申します。この度は突然のオファーを受けてくださり、誠にありがとうございます。」

燐子「か、環那君......!?」

父「え、知り合いなのか?」

燐子「知り合いも何も、同い年で......その......///」

父、母(あ、あぁ、この人があの。)

 

 え、なんで環那君が?

 

 社長が来るって言ってたような......

 

 って、さっき代表取締役って言ってた?

 

環那「さて、お話を始めましょうか。」

 

 環那君は笑いながらそう言って

 

 私の方を見て微笑んでいた

__________________

 

 “環那”

 

 燐子ちゃんの家族と色々と話をした

 

 今回のオファーをした経緯とか

 

 今後の活動方針についてとか

 

 そう言う面倒な話をさっさと済ませた

 

環那「__ざっと、こんな感じです。」

父「あ、あの、この年収の欄......」

環那「え?何かおかしな点でも?」

父「多すぎるん気が......」

環那「?」

 

 そう言われ、俺は書類を確認した

 

 年収の欄には1500万

 

 あの会社の中ではありふれた年収だ

 

 何か不思議なのかな?

 

環那「こんなものじゃないですか?妻子もいますが、これ位あればちょっとは贅沢も出来るでしょう。」

父「ちょ、ちょっとって......」

母「前の年収の、倍くらいに......」

燐子(そ、そんなに......?)

 

 正直、この程度が限界だったんだよね

 

 会社の費用と言うか

 

 他の社員が納得するかしないかの問題で

 

環那「俺は燐子ちゃんに返しきれない程の恩があるんでね。」

燐子「......!」

環那「彼女を不幸にしないためなら、俺は自分の首を切ることもいとわない。」

母「!!」

父(これが、まだ高校生の少年が放つオーラか......?)

 

 さて、話はこの辺でいいや

 

 今日は他の目的があるんだよ

 

 てか、こっちが俺にとっては本命

 

環那「話はこの辺で......ねぇ、燐子ちゃん?」

燐子「は、はい......!」

環那「これから、デート行かない?(なんで敬語?)」

燐子「で、デート......!?///」

 

 ちょっと言ってみたかったんだよね

 

 今までは誘われるだけだったし

 

 こんな風に誘うのは友希那だけと思ってたけど

 

 人生何があるか分からないね

 

燐子「で、デートって......あのデートのこと......?///」

環那「どのデートかは分からないけど、多分あってる。」

燐子「な、なんで......?///そう言うのは、友希那さんや今井さんが......///」

環那「俺が燐子ちゃんとしたいだけだよ。」

燐子「そ、そう......なんだ......///」

 

 なんだろ、これ

 

 燐子ちゃんを見てると、変な感覚に襲われる

 

 まるで、友希那を見てるような

 

 リサと一緒にいる時のような

 

 そんな、今まであった感覚が組み合わさって

 

 今までにない感覚が形成された

 

燐子「い、行きたい......///けど、その、準備してきてもいい......?///」

環那「いいよ。ゆっくり待ってるから。」

燐子「じゃ、じゃあ......行ってくるね......!///」

 

 燐子ちゃんはそう言って慌ただしく走って行った

 

 何と言うか、可愛いなぁ

 

父「あの、うちの燐子とはどういったご関係で......?」

環那「不思議な女の子と、その子を研究する研究者ってところでしょうか。」

母「は、はぁ......?」

環那「感謝しますよ。燐子ちゃんを、この世に誕生させてくれたことを。」

 

 俺は笑いながらそう言い

 

 用意してもらった紅茶を美味しくいただいた

__________________

 

 “燐子”

 

 環那君にデートに誘われた

 

 いつか出来ればいいとは思ってたけど

 

 まさか、環那君から誘ってくれるなんて

 

燐子(ど、どんな服着て行こうかな......?///)

 

 クローゼットを前に悩んでしまう

 

 環那君の好みがわからない

 

 どんな服を着れば、喜んでくれるのかな......

 

燐子(えっと、いつもの服は......流石に新鮮味がないし......あっ。)

 

 その時、ある物が目に飛び込んできた

 

 クローゼットにかけられた真新しい服

 

 この間、今井さんと買いに行った服だ......

 

燐子(こ、これで行こう......!これなら......!)

 

 私はバッとその服を手に取り

 

 今着てる服を脱ぎ捨てた

__________________

 

 “環那”

 

 燐子ちゃんを待つ事10分ほど

 

 ご両親に小さい頃の写真を見せてもらったり

 

 少しだけその写真を携帯のカメラで撮らせて貰ったり

 

 なんとも有意義な時間を過ごせた

 

燐子「__お、お待たせ......!」

環那「そんなに待ってない......よ?」

燐子「......///」

 

 リビングに現れた燐子ちゃんを見て言葉を失った

 

 白いミモレ丈の半袖ワンピース

 

 ウエストギャザーの効果かスタイルの良さも強調されてる

 

燐子「ど、どうかな......?///」

環那「すごく似合ってるよ。可愛い。」

燐子「あ、ありがとう......///」

 

 やばい

 

 友希那に感じた以来の高揚感だ

 

 綺麗な黒髪に白いワンピースが良く映える

 

 素材があまりにも完璧すぎるよね

 

環那「それでは、燐子ちゃんは貰っていきますね。」

父「は、はい、どうぞ(?)」

母「ごゆっくり(?)」

燐子「......っ!///」

 

 俺はそう言って燐子ちゃんの手を握り

 

 デートに行くために家を出た

__________________

 

 外に出て、俺と燐子ちゃんは足を止めた

 

 空から太陽の光が降り注いできて

 

 流石の俺も少しだけ暑い

 

環那「__ふぅ、仕事の話疲れたー!」

 

 俺は空に向かって叫んだ

 

 ほんと、仕事って面倒くさいよね

 

 真面目な雰囲気だしとかないといけないし

 

燐子「あ、あの......本当に、私でいいの......?///」

環那「さっきも言ったでしょ?燐子ちゃんとデートしたいって。だからいいんだよー。」

 

 リサ以外とする初めてのデートだ

 

 今回は真面目に考えて

 

 燐子ちゃんが喜ぶプログラムを作成してきた

 

 ほんと、この前のお遊びより頭使ったよ

 

環那「さぁ、行こっか。燐子ちゃんが喜んでくれそうな場所、目星をつけてるから。」

燐子「う、うん......!///あの、手は......このまま......?///」

環那「俺はそれでもいいけど、燐子ちゃんは?」

燐子「私も......このままがいい......///」

環那「じゃあ、そうしようか。」

燐子「うん......!///」

 

 燐子ちゃんが頷いた後、俺は軽く手を引き

 

 デートするため、町に繰り出した

 

 

 ......さて、俺はこのデートで掴めるのかな

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。