羽丘の元囚人   作:火の車

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誕生日会議

 レストランでの食事を終え

 

 俺は燐子ちゃんを家に送ってる

 

 あんまり長い時間連れ回しても微妙だし

 

 今日の所は短い時間で切り上げるようにした

 

環那「__ここまでだね。」

燐子「うん、今日はありがとう。」

 

 燐子ちゃんは綺麗な笑みを浮かべ、そう言った

 

 ただ美術館行ってからご飯食べただけなのに

 

 わざわざお礼なんて言うなんて、律義だよね

 

環那「お礼を言うほどでもないよ。俺にとっても有益な時間だったし。」

燐子「よ、よかった......私、テンパってただけだったから......」

環那「面白かったよ。」

 

 さて、惜しいけどそろそろお暇しようか

 

 家に帰ったら今日の事を踏まえて色々考えないと

 

 データは結構集まったし

 

燐子「あ、環那君?」

環那「ん?どうしたの?」

燐子「その、明後日に今井さん以外の皆で集まるんだけど......聞いてるかな?」

環那「え?何かあるの?」

燐子「えっと......今井さんの誕生日だけど......?」

環那「......あっ。」

 

 燐子ちゃんにそう言われ、ハッとした

 

 そうだ今日は8月11日

 

 リサの誕生日は8月25日だった

 

 覚えてるのになぜか抜け落ちてた

 

燐子「今......」

環那「わ、忘れてないよ?5年のブランクあるし、ちょっとミスがあっただけだから。」

燐子(それを忘れたって言うんじゃ......?)

 

 一応、捕まるまでは毎年プレゼント渡してた

 

 小3で株で稼ぐようになるまでは手作りだったけど

 

 稼げるようになってからはそこそこの物渡してたっけ

 

環那「でも、明後日かー......」

燐子「何か用事とかある......?」

環那「うーん、少し会わないといけない人がいてね。」

燐子「そうなの?」

環那「まぁ......」

 

 これはちょーっと言いずらいかな

 

 俺の事情にあんまり巻き込みたくないし

 

 普通の女の子に言う話でもないしね

 

環那「外せない用事だから、代わりにエマに行ってもらうよ。」

燐子「そっか......(明後日は会えない......)」

環那「それじゃあ、俺はそろそろ帰るよ。また何かあれば......何もなくても電話とかしてくれたら嬉しいな。」

燐子「!///」

環那「じゃあね。」

 

 俺はそれだけ言って、その場を後にした

 

 少しだけ後ろ髪引かれるけど

 

 今日は家に帰ることにした

__________________

 

 “エマ”

 

 お兄ちゃんに頼みごとをされた2日後

 

 私は羽沢珈琲店という場所に来た

 

 どうやら、今井リサの誕生日の話をするらしい

 

エマ(お兄ちゃんからの命令......!)

 

 お兄ちゃん直々の命令

 

 私にとってこれ以上の幸せはない

 

 最近はただでさえお兄ちゃんに愛されて幸せなのに

 

 そのうえ命令してくれるなんて......

 

 私、もうすぐ死ぬのかな?

 

あこ「あ!エマー!」

エマ「!」

あこ「こっちこっちー!」

 

 大声で私の名前を呼ぶ宇田川あこ

 

 別にそんな声出さなくても聞こえる

 

 そう溜息を付きながら、私は4人の方に歩いた

 

友希那「これで全員揃ったわね。」

燐子「今日は来てくれてありがとう、エマちゃん。」

エマ「おはよう、燐子。」

 

 燐子に軽く挨拶をして、席に着く

 

 するとすぐに店員の女の子が来て

 

 水を置いて、注文を取って行った

 

 あの店員、どこかで見たことあるけど、誰だっけ

 

紗夜「それでは、今井さんの誕生日プレゼントに関する会議を始めます。何か案はありますか?」

あこ「リサ姉が喜ぶものですよねー?」

友希那「やっぱり、服とかじゃないかしら?」

紗夜「今井さんなら欲しい服はたくさんありそうですし、第一候補ですね。」

 

 なるほど、服か

 

 今井リサはオシャレが好きだってお兄ちゃんから聞いたことがある

 

 流行りを取り入れた新しい服はありだと思う

 

エマ「元も子もないこと言えば、何あげても喜びそう。」

燐子「ほ、ほんとに元も子もない......」

エマ「あの良くも悪くもある性格的にね。」

 

 今井リサはよく言えば優しくて空気も読める

 

 けど、悪く言えば、自分の意見を言えない

 

 ストレスをためやすくて崩れると脆いタイプ

 

 ......だと、私は勝手に思ってる

 

あこ「......あっ。」

燐子「あこちゃん......?」

あこ「あこ、思いついちゃった。リサ姉が絶対に喜ぶプレゼント。」

紗夜「本当ですか?」

 

 宇田川あこのそんな言葉に

 

 氷川紗夜が疑いの目を向けてる

 

 まぁ、気持ちは分かる

 

紗夜「それはなんですか?」

あこ「環那兄!」

友希那、燐子、紗夜「え?」

 

 宇田川あこから出たお兄ちゃんの名前

 

 それに3人が首を傾げた

 

あこ「リサ姉、環那兄のこと大好きだし、喜ぶと思うんですよねー!」

友希那「確かに......喜びそうではあるわね。」

 

 そう言えば、今井リサはお兄ちゃんの元カノだった

 

 別れた時の話は全く聞いてないけど

 

 今井リサの方は未練タラタラなのは見てたらわかる

 

紗夜「ですが、南宮君と言ってもどうするんですか?そもそもあの人、今井さんの誕生日に興味あるんですか?」

燐子「それは大丈夫だと......思います。(若干忘れてたけど......)」

エマ「興味はあると思う。けど。」

友希那「どうしたの?」

 

 あのこと、言うの忘れてた

 

 お兄ちゃんから預かってた予定表

 

 そこの8月25日の欄は......

 

エマ「その日はお兄ちゃんは世間に正式に社長になったと発表する日。1日中、予定は埋まってる。」

あこ「えー!?」

紗夜「それは......」

 

 宇田川あこと氷川紗夜は悩ましげな表情を浮かべてる

 

 この4人的にはお兄ちゃんが来る前提だったみたい

 

友希那「どうしようかしら。リサ、環那に祝われるのを楽しみにしてるだろうし。」

あこ「うわぁー......環那兄ぃ......」

紗夜「間が悪いと言うか何と言うか......」

燐子(だから、デートの時も少しだけ疲れた顔してたんだ。)

 

 ......お兄ちゃんが、スケジュールミス?

 

 こんな事はありえない

 

 やっぱり、最近疲れた表情を見せることが多いし

 

 お兄ちゃん自身も自覚してないエラーが起きてる?

 

紗夜「祝うのはこの5人でいいとして......」

エマ(え、私も?いや、いいけど。)

友希那「環那に伝えておいてくれないかしら?メッセージだけでもいいから祝ってあげて欲しいと。」

エマ「分かったよ。けど、あまり期待はしないでね。本当に忙しいから。」

 

 私はそう言って軽くため息をついた

 

 これ、私も今井リサに何かしないとだよね

 

 お兄ちゃんからも仲良くしてって言われてるし

 

エマ(仕方ないか......)

あこ「じゃあ、あこ達のプレゼントの事考えましょう!どんな服がいいですかね!」

友希那「この間、リサの部屋に行ったときに開いてた雑誌に載ってた服が合ったわね。」

紗夜「その話、詳しく。」

燐子「どんな服でしたか......?」

 

エマ(......少しだけ、手伝ってあげよ。)

 

 そんな事お思いながらコーヒーを口に含み

 

 4人の会話をBGM変わりに聞いた

 

 

 まぁ、手伝うのは少しだけ

 

 お兄ちゃんの名誉のためにも頑張らないと

__________________

 

 “環那”

 

 今頃、エマは友希那や燐子ちゃんと一緒にいるかな

 

 いやぁ、羨ましい

 

 友希那と燐子ちゃんがいるカフェ......

 

 一体どれほどの癒し空間なんだろうか

 

 出来れば俺が行きたかった

 

 けど、そうも言ってられないか......

 

 これがいつか役立つことになるんだし

 

環那「__お久しぶりです。篤臣(あつおみ)さん。」

篤臣「おぉ、久し振りだなァ。」

 

 俺が今いるのは大きな和風建築

 

 ここは所謂、事務所と呼ばれてる場所だ

 

 そして、俺の目の前にいるのは強面の男性

 

 目元には大きな切り傷がある

 

篤臣「まぁ座れやァ。腹割って話そうやァ。」

環那「はい。あ、物理的には割らないでくださいね。」

篤臣「分かってらァ。」

 

 俺は篤臣さんの前のソファに座り

 

 横にいた男の人にお茶を出され

 

 それから、お話を始めた

 

 

 

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