羽丘の元囚人   作:火の車

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浪平親子

 浪平篤臣

 

 ここ一体を仕切るヤクザ、浪平組の組長

 

 その裏の顔は歴史の長い暗殺者家系の家長

 

 そして、琴ちゃんの実の父親だ

 

環那「この度は多額の出資、ありがとうございます。」

篤臣「アァ、気にするこたァねェ。」

 

 篤臣さんは豪快に笑いながらそう言った

 

 この人は俺に甘い

 

 さっき言ったように会社に出資してくれたり

 

 俺を羽丘に編入させて琴ちゃんを監視役にしたり

 

 色んなことをしてもらってる

 

篤臣「俺はなァ、お前ェの人を人とも思わねェような目に惚れ込んでんのよォ。」

環那「そんな目してます?」

篤臣「今まで生きてきた中でお前みてェな目の奴は初めて見たぜェ。」

 

 俺、どんな目してるの?

 

 ヤクザに言われたら不安になるんだけど

 

 え、ほんとに怖い

 

篤臣「俺はァお前ェに組を継いでほしいくれェだ。お前ェは頭も切れるし、腕も立つからなァ。」

環那「いやいや、柄じゃないですよ。」

篤臣「そうかァ?」

 

 会社の社長ですら面倒なのに

 

 ヤクザなんて以ての外だよ

 

 篤臣さんには悪いけど

 

篤臣「その辺りのこたァまァいい。それで、だァ。」

環那「?」

篤臣「......琴葉の奴ァ、元気にしてるかァ?」

 

 篤臣さんはそんな事を訪ねて来た

 

 琴ちゃんのこと気にしてたんだ

 

 ちょっと驚いたな

 

環那「元気ですよ。(相変わらず家事は出来ないけど。)」

篤臣「そうかァ。」

環那「気にしてるんですね、琴ちゃんのこと。」

 

 俺は少し笑いながらそう言った

 

 まぁ、気にしてる事は知ってるんだけどね

 

 この人、不器用なだけで結構な親バカだから

 

篤臣「気にしちゃいねェよ。」

環那「あはは、そうですか。」

篤臣「疑ってやがるなァ?」

環那「いやいや、俺に聞くくらいなら直接連絡すればいいのにって思ってるだけですよ。」

篤臣「キッチリ疑ってやがるじゃねェかァ?」

 

 やっぱり、この人とは気が合う気がする

 

 なんだか通じ合うものがあるんだよね

 

篤臣「琴葉の事ァ任せるぞォ。環那ァ。」

環那「はい、分かってますよ。」

篤臣「出来りゃ、あいつを嫁に貰ってやってくれやァ。」

環那「それはー......まぁ、考えときます。」

 

 俺は少し迷いながらそう言った

 

 多分、すごい苦笑いなんだろうなぁ

 

 まぁ、嫁とか言われても困るしね

 

環那「さて、俺はそろそろ行きます。行かないといけないところがあるので。」

篤臣「そうかァ。社長は忙しいよなァ。」

環那「ほんとですよ。面倒くさい。」

篤臣「がはは!お前ェらしくて安心するァ!」

 

 篤臣さんは俺を見て大笑いしてる

 

 ほんと、勘弁してほしい......

 

 笑い事じゃないよ......

 

環那「この後、篤臣さんの好きな鱒寿司が来るので、組の皆さんと召し上がってください。」

篤臣「オォ、ありがたくいただくぜェ。」

環那「じゃあ、また。生きてたら会いましょう。」

篤臣「アァ、お互いになァ。」

 

 俺はそんな会話をした後

 

 篤臣さんの部屋を出て行った

__________________

 

 事務所を出てからも俺の外回りは続いた

 

 取引先への挨拶とか、テレビ局とか

 

 それはもう色んな所に行ってきた

 

 その結果、家に帰ってきたのは10時過ぎと言う

 

 正式発表の前から重労働だ......

 

環那「__ただいまー......ん?」

 

 家に入ると、少し違和感があった

 

 なんか、変なにおいがする

 

 この時点でこの家で何が起こってるかを察した

 

環那「あー、やっぱり......」

琴葉「あ~///南宮君だぁ~///」

環那「まーたお酒飲んでるのー?」

 

 俺は溜息を吐きながらそう言った

 

 すごい酔い方......

 

 もうビール5本も空けてるし

 

琴葉「スーツなんて着ちゃって~!///かっこいいですね~!///このこの~!///」

環那(すごい絡んでくるな......)

 

 すっぴん、酒臭い、服は芋ジャージ

 

 俺やエマ以外が見られたらヤバいな

 

 学校関係者に見られたらイメージ崩壊しそう

 

琴葉「のーみーましょーうーよー!///」

環那「えぇ?寝たいんだけど。」

琴葉「強制ですぅー!///」

環那「なんでー......」

 

 琴ちゃんに腕御引っ張られ

 

 無理矢理席に着かされた

 

 あー、これはダメだ

 

 また琴ちゃんが寝るまで粘らないと......

 

琴葉「ほらー!///あなたも飲みなさいー!///」

環那「未成年だって。」

琴葉「そんなの関係ありません!///」

環那「関係大ありだよ。法律守ってよ。」

 

 このくだり、前もあったなぁ

 

 酔ったら倫理観が崩壊するタイプなの?

 

 これは外で飲ませられないな

 

 そこだけはコントロールしよう

 

環那「とは言っても、のど渇いてるし何か飲もっと。」

 

 俺は席を立って冷蔵庫の方に歩いた

 

 冷蔵庫の中には大量のビール

 

 ビール以外の飲み物は......あ、コーラがあった

 

 誰が買ったんだろ?

 

環那(コーラかぁ。何年ぶりだろ......ん?)

 

 コーラを口に含むと、少し変な味がした

 

 あれ、ここ数年で味変わった?

 

 なんか、炭酸の感じも違う気が......

 

環那「......っ!」

 

 そんな事を考えてると

 

 思考回路に細かいエラーが出始めた

 

 頭がボーっとして、視界がぼんやりしてる

 

琴葉「あ~///それ飲んじゃったんですか~?///」

環那「なにこれ?新種のコーラ?」

琴葉「ふふん!///それは中身をコーラサワーに入れ替えたものです!///油断しましたね!///」

環那「くっだらないイタズラしないでよ......」

 

 ほんとにくっだらない

 

 なんでこんなの用意してるの......?

 

 てか、どんな理由でこんな事を?

 

環那(これが、アルコールか。って、あれ......?)

琴葉「あれー?///顔赤くないですかー?///まさか、南宮君ともあろう人がコーラーサワー一杯だけで酔ってるんですかー?///」

 

 琴ちゃんが何を言ってるか聞こえない

 

 あれ、上手く体が機能してない?

 

 これ、ヤバいかも......

 

 そう考えてるうちに目の前が真っ白になった

 

 “別視点”

 

環那「......はぁ。」

琴葉「?///」

 

 コーラーサワーを飲んだ数秒後

 

 環那は大きなため息をついた

 

 うつ向いてて、一切表情が読めない

 

環那「......未成年に酒飲ませちゃダメでしょ/」

琴葉「はえぇ!?///」

 

 環那は怒ったような低い声でそう言い

 

 体面に座ってる琴葉の顔を睨みつけた

 

 初めて見えた環那の表情は

 

 頬が赤く、目が虚ろで、口角は少し上がっていた

 

琴葉「南宮、くん......?///」

環那「法律違反って、教師としてどうなの?バレたら大変なことになるし、俺でも庇いきれない事になるかもしれないんだよ?それに......」

琴葉「......?///」

環那「これも、建前か。」

琴葉「!///」

 

 琴葉の隣の席に環那は移動

 

 それと同時に琴葉が座ってる椅子の背もたれに手を置き

 

 ゆっくり顔を近づけた

 

環那「こうなるとさ、俺も我慢できなくなるんだよ?」

琴葉「ふぇ......?///」

環那「普段は気にしないようにコントロールしてるのにさ、アルコールなんて入ると出来ないんだよ。」

琴葉「にゃ、にを......///」

 

 いきなり口説かれ、琴葉は顔をさらに赤くした

 

 だが、環那はそんな事を気にする様子もなく

 

 話を続けた

 

環那「......最初は、別に魅力なんて感じてなかったし、興味もなかったんだけどね。」

琴葉「え......///」

環那「今は、リサとか燐子ちゃんとか琴ちゃんに、今までにない感情を持ってるんだよ。訳が分からない、これは何なのか、この胸のつっかえみたいな感情が何なのか......理解できないんだ。」

 

 吐き出すように環那はそう言う

 

 その表情はどこか苦しそうで

 

 握り潰す勢いで左手で頭を押さえてる

 

琴葉「珍しく、悩んでるんですねぇ///」

環那「......教えてよ。」

琴葉「え......?///」

環那「教師なら教えてよ。俺に、これがなんなのか。」

琴葉「へ......え......?///んんっ!///」

 

 環那はそう言って、琴葉の唇を奪った

 

 そのままテーブルに押し倒し

 

 置いてあった空き缶が床に落ちる

 

琴葉「ちゅ、ん、ぁ、ぅ、ん......///」

環那(......)

琴葉「ぷはっ///」

環那「教えてよ、琴ちゃん。俺に、心を__」

琴葉「!!///」

 

 喋ってる途中、環那はパタリと倒れた

 

 部屋に沈黙が流れ

 

 琴葉はペチペチと環那の頭を叩いた

 

琴葉「......(酔いがさめた。)」

環那「すぅ......すぅ.....」

琴葉「な、な......っ!///」

 

 琴葉が声を漏らし始める

 

 その表情は酔っていた時よりも真っ赤で

 

 見ているだけで羞恥心が伝わってくる

 

琴葉(なんでここまで来て襲わないんですかー!!?///)

 

 琴葉は心の中でそう叫び

 

 自分の上に倒れてる環那を少しだけ抱きしめ

 

 その後に部屋に運んだ

 

 

 

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