羽丘の元囚人   作:火の車

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懺悔

 あれから、俺達は色んなアトラクションを楽しんだ

 

 ジェットコースター、コーヒーカップ

 

 シューティングゲームみたいなの等

 

 園内にあるものはほぼ全部乗ったんじゃないかな?

 

紗夜「__そろそろ、帰らないといけないわね。」

日菜、あこ「えー!?」

巴「もう陽も沈んできてるし、良い時間だな。」

環那「そうだねー。」

 

 もう陽も傾いてる

 

 俺以外はみんな女の子だし

 

 暗くなりすぎる前に帰った方がいいかな

 

日菜「まだメインデッシュが残ってるよー!」

エマ「メインデッシュ?」

日菜「観覧車だよ!今ならすごく綺麗な景色見れると思うの!」

環那「観覧所......あぁ、あれか。」

 

 少し遠くに目をやると

 

 巨大で回ってる乗り物があった

 

 あれが観覧車か

 

紗夜「仕方ないわね。あれで最後よ?」

日菜「はーい!」

あこ「やったー!」

 

 2人は無邪気にそう喜んでる

 

 遊園地にいたいと言うより

 

 姉と遊べる時間が終わるのが惜しいのかな?

 

 なんとなくだけど、そんな感じがする

 

環那「行こうか。」

エマ「うん。(観覧車......)」

環那(ん?どうしたんだろう?))

 

 そんな会話の後

 

 俺達は最後のアトラクションに乗るため

 

 少し遠くにある観覧車に向かった

__________________

 

 閉園時間が近づいて人が少なくなった遊園地

 

 そんな状況で観覧車に乗るのにはそう時間はかからなかった

 

 紗夜ちゃんは日菜ちゃんと

 

 巴ちゃんはあこちゃんと

 

 俺は勿論エマと乗ることになった

 

環那(これが観覧車か。)

 

 なんだか不思議な感じだ

 

 円の周りに付けられたゴンドラに入って

 

 その中で景色を眺めるだけ

 

 だけど、俺は割と嫌いじゃない

 

環那「エマ、今日はどうだった?」

エマ「楽しかった......と思う。」

環那「そっか。」

 

 俺の問いに少し目をそらしながらエマは答えた

 

 少しだけ耳が赤い

 

 恥ずかしがってるのかな?

 

エマ「......なんだか、不思議な感覚。」

環那「ん?」

エマ「氷川日菜、宇田川あこ。あの2人に引っ張り回されて鬱陶しいと思うのに、それを悪くないとも思ってる。こんな風に遊んだのも、初めて。」

環那「それも経験。エマも年相応の女の子に近づいて行ってるんだよ。」

 

 会ったことも兄に人生をかけた女の子

 

 そんなのどう考えても普通じゃないしね

 

 エマにはもっと子供になって貰わないと

 

環那、エマ「......」

 

 さて、話すことがない

 

 観覧車もまだ中途半端な高さだし

 

 何の話をすればいいか分からないな

 

エマ「......お兄ちゃんは楽しかった?」

環那「うん、楽しかったよ?」

エマ「それなら、よかった。」

 

 エマは嬉しそうにそう言った

 

 元はエマのために来たんだけど

 

 まぁ、嬉しそうならいいかな

 

エマ「私の幸せはお兄ちゃんの幸せだから。」

環那「......あはは。」

エマ「?」

環那「エマはほんとに俺に似てる。」

 

 俺は笑いながらそう言った

 

 ほんと、面白いくらいそっくりだ

 

環那(友希那の幸せが俺の幸せ......とか言ってたなぁ。)

エマ「似てるとは思う。価値観が特に。」

環那「あはは、間違いない。」

エマ「......けど、違う所もある。」

環那「違う所?」

 

 エマの言葉に、俺は首を傾げた

 

 俺とエマの似通った価値観の中の相違点

 

 思い上がってるわけじゃないけど、そんなのあるのかな?

 

エマ「私とお兄ちゃんは違う。」

環那「それは何?」

エマ「......それは。」

環那「!」

 

 エマは俺の方に近づいて来た

 

 綺麗な金髪は夕日で照らされ

 

 真っ赤な瞳には俺の姿が映ってる

 

エマ「__愛する人を自分のものにしたいか、したくないか......///」

環那「っ!!」

 

 そう言われ、俺は目を見開いた

 

 俺とエマ、どっちが前者か後者か

 

 そんな事、考えるまでもない

 

 前者が、エマだ......

 

エマ「私は、お兄ちゃんを愛してる///一人の男性として///」

環那「......エマ、それは。」

エマ「分かってる......」

 

 俺の言葉を遮り、エマはそう言った

 

 その表情は俺が今まで見たことないもので

 

 頬は紅くなって、涙で瞳は潤んで

 

 駄々をこねてる子供みたいに見える

 

エマ「この感情が不純で、許されない事も......全部、分かってる。」

環那「......」

エマ「でも、耐えられなかった......っ」

 

 エマは苦しそうな声でそう言って

 

 自分の服の裾を握る

 

エマ「私があの親から生まれず、お兄ちゃんと出会ていれば、もしかしたら選ばれたかもしれない......そう思うと、自分を構成する物すべてが憎くなって、気が狂いそうになる......っ」

環那「......(これほどか。)」

エマ「この体に流れる血を全て入れ替えられるなら、DNAを書き換えられるのなら......そんな事が出来るなら、たとえどんなにリスクがあっても私はこの体を差し出す。」

 

 ......少し、想定外だ

 

 俺が想定してた数値を遥に超えてる

 

 いや、想定出来るレベルを超えてると言うべきか

 

 これがエマの本心

 

 確かに、これは俺のとは全然違う

 

エマ「お兄ちゃん、私はどうすればいいの......?」

環那「どうすれば......か。」

 

 正直、分からない

 

 俺とエマでは価値観の重要な部分が違う

 

 だから、アドバイスなんて高度な事はできない

 

環那「諦めた方がいいんじゃないかな。」

エマ「......そう、だよね。」

環那「でも、それは血が繋がってるからじゃないよ。」

エマ「え......?」

 

 俺の言葉でエマは驚いたような顔をした

 

 そう、俺に血のつながりなんてものは関係ない

 

 見るのはあくまでどんな人間かだけだ

 

環那「俺は好きになればそんなの関係なくその子を手に入れに行く。血のつながりなんて些細な問題だからね。」

エマ「......と言う事は。」

環那「エマを恋人にすることはないって事。」

エマ「っ......」

 

 これが所謂、振るってやつか

 

 泣きそうになってるエマを見てると

 

 胸の辺りが少しだけ痛む

 

環那「......でも、家族にはなりたいと思ってる。」

エマ「家族......?」

環那「うん、家族。」

 

 笑いながらそう言った

 

 俺は基本的に弱みを見せたくない人間だから、あんまりこういう事は言わないんだけど

 

 まぁ、エマ位には言っても良いかな

 

環那「恋人にも夫婦にも、終わりがあるかもしれないんだ。」

エマ「それは......確かに。」

環那「でも、俺は終わりのない家族が欲しいと思ってるんだ。そして、それになれるのは1人しかいない。」

 

 俺はエマの頭を撫でた

 

 まぁ、普通に妹としては愛してるからね

 

 なんだかんだで

 

環那「ねぇ、エマ。」

エマ「お兄ちゃん......」

環那「俺の家族として、ずっと一緒にいてくれないかな?」

エマ「......!」

 

 これ、普通の告白より恥ずかしいんじゃ?

 

 俺には恥じらいなんて一切ないけど

 

 だって、珍しく正直に話してるだけだし

 

 そんな事を考えながら、俺はエマの返答を待った

 

 “エマ”

 

エマ(一度は、お兄ちゃんの子供を産みたいと思った。)

 

 お兄ちゃんと言う存在を知ったあの日から

 

 姿も知らないまま私はお兄ちゃんを愛してきた

 

 この命は全てお兄ちゃんのために使う

 

 そう決めて生きて来た

 

エマ(そんなお兄ちゃんが、ずっと一緒にいて欲しい......?///)

 

 愛してもらえるなら、いいのでは?

 

 お兄ちゃんとの間の子を産めないのは残念だけど

 

 お兄ちゃんが結婚して子供が出来れば

 

 将来同居してるであろう私の子でもあるんじゃ?

 

エマ「分かった、そうする。」

環那「よかった。」

エマ「これからは、お兄ちゃんの嫁探しも目を瞑る。」

 

 今の私は心の余裕が違う

 

 だって、ある意味私は正妻以上の立場だから

 

 私以外は誰もたどり着けない領域にいるから

 

エマ「そう言えば、お兄ちゃん。」

環那「どうしたの?」

エマ「真の家族になるにあたって、お願いがある。」

環那「うん、どうしたの?」

 

 そう、これはお兄ちゃんに言わないといけない

 

 家族に嘘はいけない

 

 だから、私も秘密を曝け出さないと

 

エマ「今まで私、お兄ちゃんの衣類を勝手に持ち出して匂いを嗅いでた。許してほしい。」

環那「あ、うん、別にいいけど。」

エマ「それとパンツも持ち出してた。」

環那「え、なんで?」

エマ「夜のお供に。ごめんなさい。」

 

 何に使ってたかは察して欲しい

 

 そう、色々あった

 

 あれは長い夜だった

 

環那「ま、まぁ、返してくれてるなら。」

エマ「あと。」

環那(まだあるんだ。)

エマ「夜な夜なお兄ちゃんにキスしたり色々してた。」

環那「......(あれ、大丈夫か?これ。)」

エマ「ごめんなさい。」

 

 過去の私は色々おかしかった(今さら)

 

 これからは可愛い妹にならないといけない

 

 つまり、ここで懺悔しないといけない

 

 この観覧車から見える夕日に誓って

 

環那「う、うん、まぁ、いいよ。そう言う事もある、よね(?)」

エマ「ありがとう、お兄ちゃん。これからは可愛い妹を目指して頑張る。」

環那「頑張って、ほんとに(切実)」

エマ「頑張るから、もっと撫でて欲しい......///」

環那「あ、うん」

エマ「......♪」

 

 お兄ちゃんに優しく撫でられる

 

 あぁ、幸せ......

 

 この幸せを味わえるなんて、妹でよかった

 

エマ「大好きだよ、お兄ちゃん!///」

環那「うん、ありがとう。(まぁ、まともになるでしょ。多分。)」

 

 この後、私はお兄ちゃんの膝に乗って

 

 思う存分頭を撫でて貰ったりして

 

 お兄ちゃんを満喫し

 

 帰りは何とおんぶして貰えて

 

 この世に生まれた幸せを噛み締めた

 

 

 

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