羽丘の元囚人   作:火の車

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会見

 “リサ”

 

友希那、あこ、紗夜、燐子「お誕生日おめでとう(ございます)!」

エマ「おめでと。」

リサ「皆~!ありがと~!」

 

 今日は8月25日であたしの誕生日

 

 そんな日に、皆集まってお祝いしてくれてる

 

 あのエマまで来たのは驚いたけど

 

 なんだかんだで心許してくれてるのかな?

 

友希那「私からのプレゼントは服よ。」

リサ「わぁ~!ありがと~!開けてもいい?」

紗夜「えぇ、構いませんよ。」

 

 そう言われたので、包み紙をはがした

 

 中から出て来たのはチェックしてた服で

 

 秋服にって考えてたのだった

 

 けど、値段的にきつかったから諦めてたんだよね

 

リサ「これ、気になってたやつなんだよねー!助かるー!」

紗夜「宇田川さんの言った通りだったわね。」

あこ「でしょー!」

燐子「すごいよ......あこちゃん......!」

 

 なるほど、あこかー

 

 あの時、同じ場所にいたのかな?

 

エマ「私からも、個人的にこれをあげる。」

リサ「えっと、これは?」

エマ「私が開発した化粧水。」

あこ「開発!?」

リサ「す、すご。」

 

 流石は環那の実の妹

 

 出来ない事ないんじゃないの?

 

 化粧水作れるとか、ヤバいね

 

リサ「あ、ありがとう。ありがたく使わせてもらうよ。」

エマ「効果は保証する。」

リサ「そこは心配してないかな~、あはは。」

 

 まさか、エマから何かを貰えるなんて

 

 ほんとに心許してくれた感じ?

 

 初対面の時の事を考えると感慨深いな~

 

エマ「じゃあ、私はお兄ちゃんからの手紙を読ませてもらう。」

リサ「環那から!?」

友希那「珍しいわね、手紙だなんて。」

紗夜「根っからのデジタル人間そうなのに。」

エマ「その認識は間違えてない。ただ、お兄ちゃんは達筆。」

燐子「ほ、ほんとだ......!」

 

 あー、そう言えば環那って字とか上手なんだ

 

 友希那が読みやすいように練習してたし

 

 それにしても手紙って、初めてもらったかも

 

エマ「それでは、代読させてもらう。『拝啓、残暑の候、今井リサ様がますますご清栄のこととお慶び申し上げます。』」

あこ「真面目!?」

燐子「意外な入り......」

リサ「いや、おかしくない?幼馴染への手紙の入り方じゃないよね?」

 

 いや、ほんとに何を書いてるの?

 

 一瞬意味が理解できなかったけど

 

 取り合えず、良い事なんでしょ

 

エマ「『って言う冗談は置いといて。』」

リサ「冗談かい!」

エマ「『誕生日おめでとう、リサ。俺はその場に行けないから手紙という形でお祝いさせてもらうよ。何故か5年くらい祝った記憶ないけど、気のせいだよね?』」

リサ「いや、気のせいじゃないでしょ。」

紗夜「捕まってましたからね。」

 

 手紙の雰囲気一気に変えて来たよ

 

 いや、いいけど

 

エマ「『18歳って特にコメントすることも無い年齢だけど。』」

リサ「まぁ、確かに。」

エマ「『リサは良い年の取り方してると思うよ?いやほんとに。』」

あこ(エマが呼んでたらなんだかおもしろいな~。)

紗夜(中々見れないエマさんの姿ね。)

エマ「『昔は幼稚園来るときも肝試しの時も大泣きして俺の服の裾掴んでたのに、成長したね。』」

あこ、紗夜、燐子「え?」

リサ「手紙で暴露しないで~!!///」

 

 小さい時の恥ずかしい話が......!

 

 誰にも悟られないようにしてたのに

 

 まさかここで暴露されるなんて......

 

友希那「そんな事もあったわね。」

リサ「やめて、お願い。」

エマ「『これで皆のリサのイメージはアップデートされたかな?』」

リサ「しょうもない事予知しなくていい!」

エマ「『リサはお姉さんぶってるけど根は涙もろくて誰かが支えてあげないといけない子だから、これからもリサの事をよろしくね。あと、ホラーも苦手だから映画を見に行く時とか気を付けてあげてね。環那より。』以上。」

 

 エマは手紙を読み終えて

 

 それをあたしに渡して来た

 

 いや、手紙を貰えるのは嬉しいんだけどさ

 

 絶対にあたしの事暴露する必要なかったよね?

 

友希那「感動的な良い手紙だったわね。」

燐子「今井さんへの思いが伝わってきましたね......!」

リサ「そこ、環那への判定甘くない?」

紗夜「今井さん......ふふっ、可愛い所もあるのね。」

あこ「小さい時のリサ姉ってそんな感じだったんだね~。」

リサ「あああ~!///掘り返さないで~!!///」

 

 あーもう

 

 これは今度仕返ししてやる

 

 環那の恥ずかしい秘密......はない

 

 え、今冷静になったら環那のそう言う話ない

 

 どんだけ自分の弱みひた隠しにしてるの?

 

リサ「ほんとにもう......この場にいないのにすごいインパクト残して行くじゃん。」

エマ「私の大仕事はこれで終わり。悪いけど、テレビつけて良い?」

リサ「別にいいけど、何か見たい番組あるの?」

エマ「お兄ちゃんの会見がある。」

紗夜「そう言えば、ニュースで今日とありましたね。」

エマ「お兄ちゃんの雄姿をリアルタイムで見ずに一人前の妹は名乗れない。」

友希那「重度のアイドルオタクみたいね。」

 

 そんな会話の後、エマはテレビをつけた

 

 そして、生放送をしてるチャンネルに回して

 

 テレビの前を陣取った

 

『~♪』

 

 テレビにはあの会社の新しいCMが流れてる

 

 環那が掲げた会社の新方針や新商品のテーマ

 

 それらが次々と流れてる

 

リサ「お、おぉ......」

友希那「な、なんだか緊張するわね。」

紗夜「なんでですか。」

リサ「いや、幼馴染がテレビに出るんだよ!?緊張するでしょ!」

紗夜「慣れました。」

リサ「あ、そっか。日菜はアイドルだったね。」

あこ「それに、環那兄なら安心ですしねー。」

 

 あこの言う通りだけど

 

 流石にこの緊張感はぬぐい切れない

 

 心臓が口から出て来そう

 

エマ「出て来た。」

燐子「わっ......///(スーツ......///)」

あこ「おー、普通にかっこいい。」

紗夜「意外としっかりしてるわね。」

 

 出てきた環那はスーツに身を包んで

 

 大きなスクリーンの前に堂々と立ってる

 

 どうしよう、すごいカッコいい

 

 後で写真撮らせてもらおっと

 

環那『本日はご多忙な中、ご出席いただきありがとうございます。』

 

 すごい真面目な挨拶だ

 

 でも、見てたら段々不安になってきた

 

 さっきの手紙の流れ的に

 

 そんな事を思いながらあたしは皆とテレビを見た

__________________

 

 “環那”

 

 目の前にたくさんいるカメラマン

 

 後ろにはバカでかいスクリーン

 

 あー、これが会見か......

 

 面倒くさいな!(正直)

 

環那「まず初めに、先日より報道されている先代社長及び親族のパワハラ問題について。これらは全て、我が親族の不徳の致すところ。この場をお借りし、親族一同を代表し謝罪いたします。」

 

 俺は深く頭を下げた

 

 なんであいつらのために頭を下げないけないんだよ......

 

 あームカつく

 

 あいつら、いつかぶん殴ってやる

 

環那「ただいま、過去に不当に解雇されたとされる方の身元を調査し、保障などの準備をしている段階にあります。」

 

 これのせいで仕事増えてるんだけど、仕方ない

 

 俺の方針を示すために必要なステップだ

 

 手を抜けば記者に揚げ足を取られかねない

 

環那「それでは、今後の会社の方針......もとい、私の目的の説明をさせていただきます。」

 

 俺がそう言うと、会場がどよめいた

 

 まぁ、普通ならこんな場でこんな事言わないしね

 

 けど、綺麗事なんて言っても仕方ない

 

環那「私の社長になった目的は、社内の組織体制を整えることです。」

 

 俺はそう言ってとあるグラフをスクリーンに表示させた

 

 これは、一般社員の南宮の社員の待遇の差

 

 社員の学歴に関するグラフ

 

 クソジジイがひた隠しにしてたデータだ

 

環那「見ての通り、南宮と他の社員では待遇には目に見えた差があります。分かりやすい所で行くと、年収で言えば1.75倍、残業時間に関しては見るに堪えないものです。」

 

 シャッター音が響き渡っている

 

 まぁ、これは美味しいネタだろうね

 

 いいよ、どんどん撮ってくれて

 

環那「身内経営と言うにもあまりに杜撰。事実、社を支えたのはほとんど南宮以外の社員の力。にもかかわらず正当な評価をされていない。私は、この荒んだ組織を作り直します。それにあたり、私が掲げる社訓は、こちらです。」

 

 そう言ってまたリモコンを操作し

 

 スクリーンには『実力主義』と表示されている

 

 それに反応してまたシャッター音が響いた

 

環那「実力を正当に評価し、働きに応じた報酬を支払う。原点回帰こそ、歪んだ状況の我が社に必要な物だと判断しました。それに辺り、この放送を見ている方々に聞いてもらいたいことがあります。」

 

 はぁ、やっと本題に入れる

 

 正直、これさえ言えればよかったんだ

 

 この放送は全国的に注目されてる

 

 ピースを集めるなら、チャンスは今だ

 

環那「今、我が社は実力のある人材を求めています。」

 

 そう言うとまた会場がどよめいた

 

 良い反応だ、おもしろ

 

環那「例えば、大切な人を守るためなど。そんな信念を持ってる人が好ましい。」

『それだと、先ほど掲げた実力主義にそぐわないのでは。』

環那「そのような事、あるわけがありません。なぜなら。」

 

 俺はフッと鼻を鳴らした

 

 ほんと、記者ってのは浅はかだなぁ

 

 こういう人種は俺の言う事を理解してくれると思ったんだけど

 

環那「信念に勝る力なし。」

『!!!』

環那「私の持論ですが、信念と実力は直結します。そのことは、誰より証明した来たと自負しています。」

 

 そう言うと、会場内は静まり返った

 

 まぁ、俺のやったことは全員知ってるもんね

 

 下手な事を言えば潰されかねないし

 

 色んな意味で口開けないんでしょ

 

環那「......最後になりますが、今、就職活動を頑張ってる皆さん、何か人に誇れる武器があるのなら奮って我が社の門を叩いてください。機会があれば、面接会場でお会いしましょう。これにて、会見は終了とさせていただきます。ありがとうございました。」

 

 俺が頭を下げると、控えめな拍手の音が聞こえた

 

 会場に流れてるのは賞賛などではなく

 

 動揺、畏怖、そんな空気だ

 

 全く持って予定通りだ

 

環那(あぁー、こっから個別で取材受けなきゃいけないのかー。めんどくさ......)

 

 舞台を出てから、そんな事を考えた

 

 今後の事を考えると記者を味方に付けるのは大事だけど

 

 ほんとに面倒くさいことこの上ない

 

環那(まっ、これも俺の役回りか......)

 

 お膳立ては着々と進んでる

 

 後は最後のピースを待つだけだ

 

 すべてそろえば、解放される......

 

 あー、お願いだから早く来てくれないかなー

 

 

 そんな事を考えながら、俺は取材を受ける部屋に歩いて行った

 

 

 

 

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