琴葉「......」
朝起きて目に飛び込んできた景色はとんでもなかった
乱れた布団、脱ぎ散らかした自分の服と下着
そして......何も衣服を身に纏ってない南宮君
それらの情報をまとめた感想は『やばい』でした
琴葉(あああ~!!///)
昨晩の私はなんてことを......!
多少酔ってたとはいえ生徒を押し倒して
それであんな誘うような真似をするなんて
琴葉(......いや、後悔はないんですけど。)
自分で言った通り
私は彼を愛する女性として抱かれた
屁理屈と言われるかもしれないですが
それでもいいです
琴葉(彼の気持ちは分かりましたし///私も、案外望み薄ではないかも......///)
環那「......何1人でクネクネしてるの?怖いよ?」
琴葉「うひゃぁぁぁあ!?///」
環那「何その鳴き声。」
彼はそう言って薄く笑った
その顔は肌の白さと相まって生気を感じずらく
死の淵にいる住人を見ているようだった
環那「琴ちゃん、体の不調はない?」
琴葉「は、はい。特には。」
環那「そっか。なら良かった。」
て言うか、驚くほど異常がない
初めては痛いって聞いてたのにそうでもなかったし
彼、やっぱり天才なのでは......?
琴葉「愛がどう言うものか、少しは分かりましたか?」
環那「......何となく、漠然とは。」
琴葉「分からなかったんですね......」
環那「......いや。」
彼は首を横に振った
今度は曇った表情をしてる
環那「......分かりたくなくなるんだ。」
琴葉「え?」
環那「これを理解したら、今までの自分の全てを否定してしまう......!だから嫌になって、脳が拒否するんだ......っ!」
琴葉「っ......!」
そう言う彼の声は苦しそうで
額には透明な汗がにじんでおり
光の少ない瞳は大きく震えてる
琴葉「落ち着いてください。」
環那「っ!」
琴葉「大丈夫です。」
私は彼を抱きしめた
いや、身を挺して止めたというべきでしょう
あのままでは、暴れ出してもおかしくなかったですから
琴葉「......あなたの大切な人の事は良く分かっています。」
環那「......」
彼にとって、湊さんがどんな存在か
それは、あの態度を見れば誰でも理解できる
彼女は、彼を辛うじて人間に繋ぎ止めている
正に、神そのもの
琴葉「あなたならきっと、大切なものを捨てずいられる方法を見つけられます。」
環那「大切なものを捨てずにいられる......方法?」
琴葉「そうです。あなたの力なら。」
そう、この人にできないことなんて無い
もし出来ない事があるとすれば
それはもう人類の手に負えないでしょう
環那「......買い被り過ぎ。」
琴葉「え?」
環那「すべて失わないなんて、傲慢だよ。」
彼は静かな声でそう言った
その声はさっきと違って怒りは感じず
むしろ、何かを憂いているように感じる
環那「人が何かを失うのはシステム的に決まってる。どんなに頑張って何かを手にしても、いつかは消え去って、死ねば何も残らない。それは何者にも抗えない、プログラム。」
琴葉「......っ」
環那「......だと、思ってた。」
琴葉「!」
私は首を傾げた
彼が自分の考えを帰るのは珍しい
環那「俺は獄中で何人か死んだ人間を見た。自殺、他殺、病死、色んな死に方をしてる人間がいた。」
琴葉「......っ。(そ、そうだったんですか。)」
環那「そんな時に何度も見た......死人のために悲しみ、泣く存在を。」
琴葉「......なるほど。」
環那「その時に思ったんだ。死んでも、残るものはあるってね。」
なるほど、これが彼の答えですか
リアルな死に触れた末に出た結論
これもまた、彼らしい
環那「死んでも残るものは何なのか。悲しみなのか、それとも......」
琴葉「それとも......?」
環那「......いや、人の死を悲しんだことなんて無いから分かんないや。」
そう言って、彼は笑った
まぁ、そうでしょうね
彼にお世話になった身内なんていませんし
環那「さて、そろそろ時間だ。俺は仕事に行ってくるよ。」
琴葉「あっ、私は今日はお休みなので家事を頑張りたいと思います!」
環那「ははっ、期待してるよ。包丁の使い方、気をつけなよ?」
琴葉「はい!勿論です!」
環那(まぁ、指さえ切らなければ大丈夫でしょ。)
彼は笑いながら部屋を出て行った
なんだか、夫婦みたいな会話でしたね
うーん、大変良く出来ました!
私にしては!
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“リサ”
友希那「__さぁ、今日は良く集まってくれたわね。」
紗夜「練習後です、湊さん。」
練習後、あたし達はファミレスに来た
その目的はとある議題の会議で
その為にエマも呼んだ
友希那「それで、今日の議題なのだけれど。環那の誕生日についてよ。」
エマ「待ってた、この日を。」
エマは目をキラキラさせてる
それはもう、今までにないくらい
なんか若干眩しいもん
友希那「私達は過去何度か環那の誕生日プレゼントを選んできたけれど......」
『友希那が存在してるという事実だけで充分だよ。』
『友希那、尊い......!』
『プレゼントはもう一生分貰ったさ。』
友希那「こんな調子よ。」
紗夜、燐子、あこ(言いそう。)
リサ「そんな感じだねー。」
懐かしいなー
小学校低学年くらいの時だったかなー
友希那が作った折り紙のメダル貰って、泣いて喜んでたし
てか、今でも額縁に入れて飾ってあるし
燐子「南宮君にはすごくお世話になったので......頑張ってお祝いします......!」
あこ「り、りんりんも燃えてる......!」
友希那「と言うわけで、環那が欲しがりそうなものを考えるわよ。」
環那の欲しい物かー
うーん、イメージ湧かない
基本的に物欲ないからなー
紗夜「まず、彼って物欲とかあるんですか。」
友希那、リサ「ない(わ。)」
紗夜「早速とん挫したんですが。」
ヤバい、マジで思いつかない
え、環那って何が欲しいの?
全然わかんないんだけど
あこ「うーん、あこは何となくわかるかも。」
リサ「え、マジ?」
あこ「うん。環那兄の好きなものって少ないし。」
紗夜「嫌いな物の方が多そうですからね。」
環那へのイメージ酷過ぎでしょ
まぁ、仕方ないか
紗夜とは性格の折り合い悪いだろうし
あこ「やっぱり、環那兄の好きなもの......てゆうか、人と言えば、りんりん!」
燐子「......!?///」
あこ「だから、りんりんをプレゼントする!」
紗夜「不健全ですよ!」
り、燐子がプレゼント......
うわ、すごい喜びそう
それで美味しい物食べさせてもらえそう(名推理)
リサ「まぁ、流石にそう言うのは良くないし。もうちょっと健全な方向で考えよ?」
あこ「えー。じゃあ、何があるかなー......」
紗夜「文房具とかではダメなんですか?あの人、実用的な物の方が喜びそうですが。」
リサ「そ、それはー、まぁ、紗夜はそれでいいと思うけど。」
紗夜「どうしました?」
リサ「その、あたしは大分すごいの貰ったから、それは通らないって言うか......」
友希那「そう言えば、あの日の夜中に環那の声が聞こえたわね。あの時に貰ったの?」
皆の視線があたしに集中してる
あー、そっか
まだみんなに貰ったの見せてなかったんだ
そう思って、あたしは携帯を操作し
テーブルの上に置いた
リサ「これだよ。」
友希那、紗夜、燐子、あこ「!?」
エマ「全部同じブランドで、今井リサの持ってる服とのバランスが取れるものを完璧な計算の元選んだ。」
紗夜「あ、あの、今調べたんですが、それら全部でとんでもない額になるんですが?」
あこ「わー、いいなー(錯乱)」
燐子(貰っても、こ、こわくて身に付けられなそう......)
皆、やっぱり驚いてるね
うん、だと思うよ
あたしもまだ怖くて外に持ち出せてないもん
若干自慢したい気持ちあるけど
友希那「流石は環那ね。私達とはスケールが違うわ。」
エマ「当然。」
紗夜「これは、さっきの宇田川さんの案を今井さんが実行するのも辞さないですね。」
リサ「えぇ!?///い、いや、別に環那なら良いんだけど......その、心の準備が......///」
紗夜「あと11日はありますが。」
あ、そうだったね
い、いやでも、リボンって......
え、どういう感じ?
燐子「今井さん......」
リサ「燐子?」
燐子「その、一緒に頑張りましょう......!」
リサ(燐子がやる気になってる!?)
燐子「その、私も南宮君にお父さんの仕事関係の恩があるので......!」
えっと、状況がおかしくなってるんだけど
あたしと燐子がプレゼントになるの!?
友希那「まぁ、環那の事だから下手なことはしないわよ。特に、大切に思われてる2人には。」
エマ「そうなると、私は燐子たちと被る。」
あこ「え?」
エマ「私も、お兄ちゃんの寝室で同じことをしようと思ってたから。」
紗夜「やめなさい。」
リサ「あ、あはは......」
エマは相変わらずだなー
いや、最近はマシになったんだっけ
環那が言うには
友希那「と言うわけで、2人は頑張って。(私もだけれど。)」
リサ「い、色々考えるよ。」
燐子「南宮君に喜んでもらえるように頑張ります......!」
紗夜「じゃあ、私達の話をしましょうか。」
あこ「リサ姉みたいにパーティーとかしましょうよ!エマに予定聞いて!」
エマ「任せて。ついでにお店の予約も。」
それから、会議は順調に進んで行き
あたしと燐子は端っこで色々話し合って
普通のプレゼントと+αでさっき言った事をすることになった