羽丘の元囚人   作:火の車

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お断り

 二学期

 

 それは3つある学期の内で最も長く、行事も多い

 

 まぁ、その程度なら面倒でもなんでもない

 

 けど、俺には面倒極まりない

 

 難易度の上方修正が成されてしまった

 

(バサバサバサ!!)

環那「......」

エマ「うわっ。」

 

 俺の下駄箱から流れ出る手紙の数々

 

 そう、これだ、難易度の上方修正は

 

環那「あー、お金ってモテモテだなー......」

エマ「愚かな人間たち。お兄ちゃん自身の魅力にも気づけないなんて。」

環那「それは仕方ない事でしょ。」

 

 まぁ、これは止めて欲しいんだけどね

 

 てか、これ何通あるの?

 

 カードゲームのデッキ組めるくらいありそう

 

環那「ねぇ、エマ。これ、放っといていいと思う?」

エマ「いいと思う。恐らく、これを送った人間は全員、お兄ちゃんに相応しくない。」

環那「よし!なら、これは無視しよう!」

リサ「__いや、『これは無視しよう!』じゃないよ!?」

環那「あ、リサ、友希那、おはよう。」

友希那「えぇ、おはよう、2人とも。」

 

 俺とエマがその場を去ろうとすると

 

 後ろからリサと友希那が歩いてきた

 

 珍しく登校時間が被ったみたいだ

 

環那「それで、リサはどうしたの?朝から元気だね。」

リサ「いやいやいや、なんであの大量のラブレター無視してんの!?あれ、環那宛てでしょ!?」」

環那「いや、待ってリサ。本当にあれは俺宛てなの?」

リサ「え?」

 

 そう言うと、リサは首を傾げた

 

 仕方ない、教えてあげよう

 

 そんなに難しいことでもないけど

 

環那「俺は1学期、ラブレターなんて無縁だったね?けど、今はあんな大量に送られた。」

リサ「う、うん。」

環那「つまり、あれは俺に送ったんじゃない。俺が持ってる地位やお金に送ってるんだ。」

リサ「そ、それは、そうかもしれないけど。

環那「それに、俺があんなにモテるわけないじゃん!」

リサ「なんでそこ自信満々なの!?」

 

 っと、冗談は置いといて

 

 あの紙ゴm......ラブレターはどうしよう

 

 勿論全部お断りなんだけど

 

 あーあ、リサとか燐子ちゃんとか琴ちゃんだったらまだ喜んだのになー

 

リサ「それで、返事どうするの?」

環那「全部お断り!」

友希那「即答ね。」

環那「だってあれでしょ?誰か1人でもオッケーしたら、お金だけ取られて浮気コースなんでしょ?そんなハズレくじ引きたくないよ。」

リサ「めっちゃ正直だね。」

 

 だって、そうでしょ?

 

 俺は貢ぎたい子に貢ぐ主義なんだ

 

環那「さっ、教室行こ!あれは、魔除けにあそこに置いておこう!」

リサ「お札か。」

環那「似たようなものじゃない?」

エマ「うん、お兄ちゃんの言う通り。」

友希那「ラブレターは、お札だったの......!?」

リサ「いや、違うからね!?」

 

 俺達はそんな会話をしながら教室に向かった

 

 相変わらず変な視線を感じるけど

 

 もう無視でいいや(適当)

__________________

 

 朝の出来事から時間が経ち

 

 何事もなくお昼休みを迎える事が出来た

 

 よかった、意外と近寄られなくて

 

エマ「__うん、今日もお兄ちゃんの作るお弁当は素晴らしい。」

環那「良かった。」

巴「おー、環那さんって弁当とか作れたんだなー。」

蘭「一学期はあんまり見なかったけど。」

環那「まぁ、エマがいるからね。パンだけでお昼済ませるのはダメでしょ?」

 

 成長期だからねぇ

 

 引き取ったなら責任は果たさないといけない

 

 一応、保護者だし

 

ひまり「南宮さんって、何だかんだで面倒見良いですよねー。」

環那「そう?」

つぐみ「あ、私もイヴちゃんから色々聞いてます!」

友希那「私もかなりお世話になってるわ。」

リサ「あたしも結構。」

環那「え?」

モカ「おぉー、リサさんまでー。流石ー。」

 

 え、俺ってリサに世話焼いたっけ?

 

 全然、記憶ない

 

 今思えば、ほんとに手がかかってないな

 

巴「あ、そうだ。あたし、環那さんに聞きたいことあったんだよ。」

環那「どうしたの?」

巴「なんだっけか、学校の女子の間で噂になってる......」

蘭「あぁ、あの玉の輿の話?」

巴「そう!それだ!」

 

 えぇ、噂になってるの?

 

 てか、ひっどい噂だなぁ

 

 人の事を何だと思ってるんだか

 

ひまり「私、会見見てました!」

環那「見ないでよー、恥ずかしー。」

リサ「すっごい棒読み。」

環那「いやー、恥ずかしいじゃん?あんな調子乗ったこと言うなんて。」

蘭「環那らしかったけどね。『信念に勝る力なし』とか。」

環那「!」

 

 蘭ちゃんはそう言って笑ってる

 

 こ、この子、意外と俺のこと理解してる

 

 中々やるな

 

巴「あー、そう言えばあこが真似してたな。」

環那「即刻辞めさせて!?」

つぐみ(あ、珍しく焦ってる。)

環那「全く、子供はすぐにテレビで見たこと真似するんだから......」

蘭「おかんか。」

 

 おぉ、キレのあるツッコミ

 

 流石は蘭ちゃん

 

 ともちゃんとのカップリングが一番最初に出て来ただけの事はある(?)

 

ひまり「それで、どうするんですか?」

環那「どうするって?」

ひまり「今や、学校中の女子が南宮さんを狙ってます!油断してると食べられますよ!?」

環那「え、マジ?やばいじゃん。」

 

 なるほど、食い物にされると

 

 あながち間違ってないな、あはは

 

 笑い事じゃないけど

 

環那「まぁ、大丈夫でしょ!今、奥義を考えたから!」

友希那「奥義?」

環那「まぁ、使うことがなければいいけど。面倒くさいし。」

 

 これ使ったら、一発で終わらせられる

 

 女子からの評価が死ぬんだ

 

 使うチャンスはかなり限定的だけど

 

 まぁ、それは奥義っぽいからいいや!(童心)

 

環那「あー、どっかに都合のいいどうでもいい女の子いないかなー。」

巴「なんかとんでもない事言い出したぞ。」

蘭「てか、都合のいい女はいるでしょ。大量に。」

 

 俺はそんな事を呟き

 

 残りの昼休みはエマを膝に乗せて撫でるという

 

 健全な兄妹のスキンシップを取ってた

__________________

 

 時間は流れ、放課後

 

 俺は楽しい授業を終え

 

 ホームルームを終え、席を立った

 

ギャル「__ねぇー、あんた南宮環那っしょ?」

環那「......」

 

 その時、俺はザ・ギャルみたいな子に話しかけられた

 

 金髪、化粧、着崩した制服、荒い口調

 

 うん、由緒正しきギャルだ

 

環那「いやー、ソレガシは田中太郎と言うただの陰キャで__」

リサ(言い訳雑!?)

ギャル「いや、そーゆうの良いから。」

 

 あ、そすか

 

 中々の名演技だと思ったんだけど

 

 駄目だったか......

 

環那「はぁ......何の用?」

ギャル「細かい事はいーからさ、あーしと付き合えよ。」

環那「???(え、マジ。)」

 

リサ、友希那「!?」

 

 ギャルは凄い上から目線でそう言ってきた

 

 え、やだー、私ったらモテ期だわ

 

 冗談じゃないっ!(情緒不安定)

 

 って、冗談は置いといて

 

環那(都合のいい女キター!)

ギャル「あんた、金持ちなんでしょ?」

環那「タコにも。お金を大量に持ってるだけという意味ならお金持ちと言っても差し支えない。」

ギャル「いかにもだろ。」

 

 その通り!

 

 馬鹿そうだけど賢いね!

 

 ちょっと見くびってたよ

 

ギャル「まっ、いいや。で、あーしと付き合うっしょ?」

環那「そうだなぁ、俺はモテないし、彼女できるチャンスがあるなら飛びつくのが道理だね。」

リサ「!?」

ギャル「そっ、なら__」

環那「だが断る(キリッ)」

ギャル「!?」

 

 やったー!言えたー!

 

 この前、漫画で見て使いたかったんだよねー

 

環那「残念ながら、俺には心に決めた女神たちがいるんでね。」

ギャル「はぁ?んなこと聞いてないんだよ。」

環那「いやいや、君の人となりを想像して、俺もタダで撃退しようなんて思ってないさ。」

 

 俺はそう言ってふと笑った

 

 そう、これが最強の奥義

 

 周りの注目は十分だ

 

環那「いくら欲しいの?」

ギャル「......は?」

リサ(えぇぇぇええ!?)

環那「いくら欲しいの?」

ギャル「いや、聞こえなかったんじゃないし。」

 

(ザワザワ)

 

 クラスがざわついてる

 

 完璧すぎるな

 

環那「俺は君とは付き合いたくない、けど、君は俺と付き合いたい。そして、その理由はお金でしょ?」

ギャル「......へぇ、分かってんじゃん。」

環那「俺は君と付き合いたくない。それこそ、お金を払ってでも。だから聞こう、いくら欲しい?」

 

 俺は煽るようにそう言った

 

 そう、これぞ究極の奥義

 

 『お金払ってもお前みたいな奴はお断りだ』だよ!

 

ギャル「さ、さいてーじゃん。」

環那「あはは、お金目的で近づく自分は最低じゃないと?」

ギャル「......」

環那「で、いくら欲しい?君の価値に見合いそうな額なら支払ってあげよう!」

 

 おぉ、周りの生徒皆が引いてる

 

 いや、女子は結構青い顔してる?

 

 まぁ、自分に言われてるようなものだもんね

 

ギャル「......いいよ、ちょーっと話し合おうか。交渉しよ。」

環那「ほう、君が交渉。ちゃんと話合いできる?」

ギャル「できるわ!ほら、行くぞ!」

環那「はいはい。あ、リサ!エマの面倒見てあげてね!」

リサ「あ、うん。」

エマ「お兄ちゃん、行ってらっしゃい......」

 

 俺はリサにそう言って

 

 ギャルちゃんと一緒に教室を出た

 

 さーて、今のがどの程度効果があるか

 

 上手く事が運んでくれればいいんだけど

 

 俺は心からそう願った

 

 

 

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