羽丘の元囚人   作:火の車

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お祝い

 “リサ”

 

 今日は9月6日

 

 明日は環那の誕生日だ

 

 一応、誕生日プレゼントは準備して

 

 パーティーの準備もして

 

 環那の予定が空いてるのも確認した

 

リサ(で、でもなー......///)

 

 あたしは手に持ってる衣装を見る

 

 これは所謂メイド服

 

 けど、大きく胸元が開いてて、スカートも短くて

 

 水着のようにも見える

 

リサ(燐子、まさかこんなのまで作れるなんて......)

 

 いや、実は前々から作ってたんじゃ?

 

 燐子って環那のこと大好きだし

 

 これを着るタイミング、狙ってたかもしれない

 

リサ(これを環那の前で着るのかー......///)

 

 恥ずかしいけど、別に不安とかはない

 

 褒めはするだろうけど貶しはしないだろうし

 

 間違いも起きないと思う

 

 ......それは少し不満なんだけど

 

リサ「......燐子と一緒にいても、あたしのこと選んでくれたりしないかな......///」

 

 あたしはそう呟いて枕に顔を埋め

 

 少しだけ、そんな期待を抱いた

 

 まっ、そんな事はないだろうけどね

__________________

 

 “燐子”

 

 明日は環那君の誕生日

 

 プレゼントは自分なりに頑張って準備をした

 

 もう1つのプレゼントの準備も、出来た

 

 心の準備も......多分、出来てる

 

燐子(だ、大丈夫、だよね......?///)

 

 少しだけ、ほんの少しだけダイエットをした

 

 環那君に変な姿を見て欲しくなかったから

 

 ......誤差でしたけど

 

燐子「だ、大丈夫、大丈夫......///環那君はきっと褒めてくれる......///」

 

 こんな衣装を着たら、あの日みたいに......

 

 いや、今井さんもいるからないかな?

 

燐子「......環那君、喜んでくれるかな......///」

 

 私は小さな声でそう呟き

 

 机の上に置いてる好きな人の写真を見て

 

 明日の事を考えて、激しく悶えた

__________________

 

 “環那”

 

環那「ふぁ~ぁ......」

 

 今日も今日とて、俺は学校だ

 

 気が抜けてるのか、最近凄く眠い

 

 まぁ、体はそこそこ健康なんだけどね

 

環那(ていうか、これは何なんだろ?)

 

 俺は朝、琴ちゃんに貰ったチケットを見た

 

 これは、高級温泉旅館のだ

 

 でも、なんでこんなの渡されたんだろ?

 

 福引とかで当たったのかな?

 

 いやでも、それなら俺に渡す必要はないか

 

エマ「お兄ちゃん、どうしたの?」

環那「ん?いや、なんでもないよ。」

巴「__環那さーん!」

環那、エマ「!」

 

 エマと話してると

 

 教室のドアが勢いよく開き、ともちゃん達が入って来た

 

 え、なに?なんで3年の教室に?

 

巴「噂で聞いたぞ!今日誕生日だって!」

環那「誕生日?誰の?」

ひまり「南宮さんのですよ!」

環那「......え?そうなの!?」

つぐみ「知らなかったんですか!?」

 

 ヤバい、本気で知らなかった

 

 あぁ、だからこのチケット貰ったんだ

 

 なるほど、納得した

 

環那「き、興味なさ過ぎて忘れてた。」

蘭「どんだけ自分の事に興味ないの?」

環那「い、いや、今まで誕生日について触れられたことなくて。」

モカ「あれー?湊さんやリサさんはー?」

環那「いや、特に触れられたことは......あっ。」

 

 そう言えばこの時期

 

 なんか、それっぽい流れあった?

 

環那「そう言えば、『何か欲しいものある?』とか『一緒にケーキ食べよう!』とかこの時期に言われてた気がする。」

蘭「なんでそれで気付かないの?」

環那「小さいときは自分の誕生日なんて知れる環境じゃなかったし、ある程度成長しても、どうでもいいと思って確認もしてなかった。」

つぐみ「え、じゃあ、学校に出す書類とかはどうしてたんですか?」

環那「いつの間にか出されてた。」

 

 見事に誕生日を知る機会を逃してたわけか

 

 てか、俺って本当に18歳なのかな

 

 どうしよ、一気に不安になってきた

 

巴「まっ、そう言う事は良いんだ!ほら、誕生日プレゼントだ!」

環那「ありがとう。これは......あっ、駅前のラーメン屋の割引券じゃん。」

巴「おぉ、知ってるのか?」

環那「この間、琴ちゃんが1人で食べに行ってた。」

巴「お、おう。」

 

 あの子、にんにくを惜しげもなく入れるから、臭いがきつかった

 

 まぁ、美味しかったらしいし

 

 今後のために食べてみるのもいいかもね

 

 いつか、ラーメンも作ってみたいし

 

つぐみ「私は、コーヒー一杯の無料券を!」

モカ「モカちゃんはー、このメロンパンを贈呈しようー。」

蘭「あたしはこの前気まぐれに入った店にあったモアイ像のティッシュケース。」

環那「待って、それ何!?」

 

 つぐちゃんとモカちゃんはそれぞれのイメージ通りの物をくれた

 

 けど、蘭ちゃんのはなに?

 

 モアイ像のティッシュケース?

 

蘭「鼻からティッシュ出るよ。」

環那「何それちょっと面白い。」

 

 え、絶対使う

 

 部屋に置いてたら面白そう

 

 今度、皆に見せてあげよう

 

ひまり「わ、私は手作りでクッキー焼きました!」

モカ「3時間かけて~。」

ひまり「モカー!///」

環那「あはは、ありがとう。ありがたくいただくよ。」

 

 俺はひまりちゃんからクッキーを受け取った

 

 すごく可愛らしくラッピングされてる

 

 ひまりちゃん、こういうセンスいいなー

 

モカ「まー、かーくんにはお世話になったからねー。」

環那「お世話?なんかしたっけ。」

蘭「ひまりのこと、助けてくれたじゃん。あの時はありがと。」

巴「環那さんの誕生日知ったのがついこの間だから、大したもの用意できなかったけどな。」

つぐみ「これからも、仲良くしてくださいね!」

ひまり「お誕生日、おめでとうございます!」

環那「ありがとう。(......なんだ?)」

 

 今、胸の奥が熱くなった気がした

 

 これは何だろうか

 

 嬉しいと思ってるのだろうか

 

リサ「__おはよー!」

友希那「おはよう、環那。って、あら。」

 

 リサと友希那が教室に入って来た

 

 5人と話してる内にそんな時間が経ってたんだ

 

リサ「ひまり達、もう来てたんだ?」

ひまり「はい!あんまり放課後に会わないので。」

環那「え、そう?つぐちゃんとはお店でよく会うけど。」

モカ「イヴちん目当ー、ていうかー、イヴちんがかーくん目当てだよねー。」

ひまり「え、モカ、詳しくない?」

 

 まぁ、モカちゃんとはよく会うね

 

 偶に一緒に食べてるし

 

 その時に幼馴染談義をしてる

 

リサ「と言うわけで、環那!誕生日おめでとー!」

友希那「放課後はパーティーをするわよ。」

環那「あぁ、だから今日の予定を聞いて来たんだ。」

 

 なんだか不思議だ

 

 こんなに誕生日を祝われたのは初めてだし

 

 まぁ、俺が自分の誕生日知らなかっただけだけどね!

 

リサ「うん!ちゃんとお店予約してあるからさ!」

友希那「楽しみにしてなさい。」

環那「ははっ、そうするよ。」

エマ(お兄ちゃん、嬉しそう。)

 

 俺は笑いながら2人にそう言い

 

 その後の朝の時間は皆と談笑して過ごした

__________________

 

 時間が過ぎてお昼休み

 

 俺は1人で屋上に来てる

 

 何故かと言うと、俺の誕生日を知った他の生徒がウザかったから

 

 リサと友希那には教室で見張って貰って

 

 エマには連絡役を任せてる

 

環那(さて、昼休みはここで凌ぐか。)

 

 溜息を吐き、物陰に腰を下ろした

 

 多分、ここはともちゃん達以外は早々人は来ない

 

 ここで30分は大人しくしておこう

 

環那「あ~、今日のお弁当は中々うまく出来たなぁ。」

 

 久しぶりのボッチ弁当だ

 

 しばらくは皆で食べてたしなぁ

 

 いやー、虚しい

 

(prrrr)

環那「?」

 

 そんな気持ちでお弁当を食べてると、ポケットに入れてある携帯が鳴った

 

 エマからの報告かな?

 

 そう思い、俺は携帯の画面を確認した

 

環那「イヴちゃん?」

 

 そこに表示されてるのはイヴちゃんの名前

 

 連絡先交換して何回か電話してるけど、今日は何の用だろう?

 

 まぁ、考えても仕方ないので

 

 取り合えず、電話に出ることにした

 

環那「はーい、もしもーし。」

イヴ『あ、カンナさん!』

環那「どうしたのー?」

 

 電話に出ると、イヴちゃんの声が聞こえた

 

 携帯越しで明るい雰囲気が伝わってくる

 

 この子、いっつも人生楽しそう

 

イヴ『あの、すみません。今、どこにいますか?』

環那「今は1人で屋上にいるけど。」

イヴ『じゃあ、ビデオ通話にしてもいいですか?』

環那「別にいいよー。」

 

 そう言って携帯を操作し、ビデオ通話に切り替えた

 

 ていうか、現役アイドルとビデオ通話

 

 熱狂的なファンはお金払ってでもしたいんだろうなぁ

 

 まっ、それが叶う事はないんだけど

 

イヴ『こんにちは!カンナさん!』

環那「こんにちはー。」

 

 画面には制服姿のイヴちゃんが映ってる

 

 場所は多分、音楽室......

 

 いや、音楽準備室かな、物の配置的に

 

環那「それで、なんでビデオ通話に?」

イヴ『今日はカンナさんのお誕生日と聞きまして、お祝いをしたいんです!』

環那(俺の誕生日の事、結構広まってるんだね。)

 

 いつの間に向こうに伝わったんだろ

 

 俺の予想は、紗夜ちゃん→日菜ちゃん→イヴちゃん、だけど

 

 どうだろうか

 

イヴ『お誕生日おめでとうございます!よい1年を過ごせることを祈っています!』

環那「あはは、ありがと。」

イヴ『それで、私もお祝いをしたいのですが......///』

環那「?」

 

 イヴちゃんは小さな声でそう言った

 

 全体的に白が多い外見だからか、紅くなった頬が良く目立つ

 

 てか、どうしたんだろ?

 

イヴ『今週の日曜日、一緒にお出かけして欲しいんです......///』

環那「日曜日?うん、別にいいよ。予定もないし。」

イヴ『即答!?///』

環那「断る理由もないしね。」

 

 俺がさっさと答えると、イヴちゃんは驚いたような声を出した

 

 まぁ、予定開いてるし、出かけるのは問題ない

 

 でも、イヴちゃんは大丈夫なのかな?

 

 アイドル兼モデルなのに

 

 異性と歩いてたりして、記者にネタにされたりしない?

 

イヴ『で、では、予定などは後程連絡します!///それでは、また!///』

環那「うん、またねー。」

イヴ『は、はい!///』

 

 そんな会話の後、イヴちゃんの方から通話を切った

 

 いやぁ、お祝いしたいからお出かけかー

 

 俺はいつからこんなに後輩に慕われるようになったんだろ

 

 いやー、我がことながら感無量だよ

 

環那(それにしても、イヴちゃん、なんであんなに嬉しそうだったんだろ?)

 

 俺はそんな疑問を抱きつつ

 

 自分で作ったお弁当を急いで完食した

 

 その後、エマから緊急連絡が入って、面倒な生徒から逃げ回ることになり、お昼休みに物凄く大変な思いをすることになった

 

環那(はぁ、今日くらい平和に過ごさせて欲しい......)

 

 学校中を逃げ回る途中

 

 俺は切実にそう思った

 

 まっ、無理な願いなんだろうけどね

 

 

 

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