羽丘の元囚人   作:火の車

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プラスアルファ

環那「......」

 

 エレベーターの中で、友希那に貰ったペンダントを眺める

 

 中にある写真を見ると、つい笑顔になってしまう

 

 楽し気で、みんな可愛らしくて

 

エマ「お兄ちゃん、嬉しそうだね。」

環那「うん。すごく、嬉しいよ。」

エマ「私も写ってる。」

環那「可愛いよ、エマも。」

エマ「......♪」

 

 横にいるエマの頭を撫でた

 

 よく考えなくても、エマは大きな変化だよね

 

 初めての俺と血のつながった家族だし

 

エマ「お兄ちゃん、好き......///」

環那「どういう意味で?」

エマ「勿論、家族......///」

環那「ならいいよ。」

 

 家族への好きとは言い難い顔してるけど

 

 まぁ、いいや

 

 エマはエマで変わった......気がするし

 

環那「そう言えば、リサと燐子ちゃんはどうしたんだろうね。」

エマ「!」

環那「少し早くお店を出てたけど、どうしたのかな?焦ってるようにも見えたし。」

エマ「......下着でもズレたんじゃないかな。」

環那「2人同時に!?」

 

 いや、ありえないとは言えないけど

 

 てか、俺が触れるべき話ではないね

 

 バレたらリサに怒られるよ

 

エマ「まぁ、取り合えず家に着いた。私は、寝るね。」

環那「あれ、いいの?あの手紙(原稿用紙)」

エマ「思ったよりも疲れたから、また今度。」

環那「そう?」

 

 珍しい......

 

 むしろ、少し疑わしいとさえ思う

 

 あのエマがねぇ......

 

環那(まぁ、いいか。)

エマ「さぁ、着いた。」

環那「そうだねー。今日は早く寝ようかー。」

エマ「うん。(お兄ちゃん、寝られるかな?)」

 

 エマと話してるうちに家に着いた

 

 時間はもう8時だ

 

 寝るには少し早いけど、お風呂とか入ったらいい時間か

 

 そんな事を考えながら、俺はエマと家に入った

__________________

 

エマ「__じゃあ、私は部屋に戻るね。」

環那「うん。今日はお疲れ様。」

 

 俺がそう言うと、エマは部屋に入って行った

 

 慣れない雰囲気で、疲れたんだろうね

 

 俺にあんまり構ってこなかったし

 

環那(琴ちゃんはまだ帰ってきてないか。)

 

 多分、ご飯食べて来てるんだと思う

 

 今日は家事しなくていいって言われたし

 

 帰りは0時回るんじゃないかな

 

 お酒の匂いさせて帰ってきそう

 

 そんな事を思いながら、俺は自室のドアを開けた

 

環那「あー、今日はいい夢見られそうー。まぁ、夢なんて見たことないけd__」

リサ「お、お帰り!///環那!///」

燐子「おかえりなさい......///」

環那「......」

 

 ドアを開けて俺が見たもの

 

 それは、大きく胸元の開いてて、スカートも短い

 

 かなり官能的な服を着た2人の姿だった

 

 ......いや、なにこれ??

 

環那「......」

(パタン)

リサ、燐子『環那(君)!?』

 

 俺は情報を処理しきれず

 

 ゆっくり、部屋のドアを閉じた

 

 幸せ過ぎて夢でも見てるのかな?

 

環那(幻?まさか、俺は幻を見てたのか?そう言えば今日の日中の気温は30度を超えてたし、知らないうちに熱中症になって、そのせいで俺は幻を見たのか......!?)

 

 いや、俺の体に異常はない

 

 だとしたら、何かの映像?

 

 部屋にプロジェクターが仕掛けられてて

 

 それを俺が帰って来ると同時に流した?

 

環那「......ふ、ふふっ、まさかこの俺を欺けるとでも?残念ながら、そうは問屋が卸さな__」

リサ「__いや、なに一人で喋ってるの......///」

燐子「夢でも幻でもないよ......?///」

環那「」

 

 ほう、夢じゃないと

 

 つまり、これはリアルだと?

 

 はぁー、なるほどねぇー......

 

環那「えっと、取り合えず、部屋に入ろうか。話はそれからで。」

 

 俺は鼻血が出そうなので思考を停止し

 

 話を聞くために2人と一緒に部屋に入った

__________________

 

 あれから10分ほど経った

 

 2人から聞いた今回の事情を簡単にまとめると

 

 俺が2人にしたこととプレゼントが割に合わないから

 

 プレゼント+αを考えた結果、こうなったらしい

 

環那「いや、気にし過ぎでしょ。」

 

 俺はそんな感想を口にした

 

 いやほんと、気にし過ぎだよ

 

 てか、体張り過ぎでしょ

 

 なんでそんな......

 

環那(目に毒な......)

 

 今の2人は目に毒だ

 

 2人とも胸元にハート形の穴が空いた水着を身に付けてて

 

 下はメイド服っぽいスイムスカート

 

 2人の違いとしては、リサは長い白靴下

 

 燐子ちゃんは黒のストッキングにガーターベルト

 

 後は元の体型の差かな......主に胸

 

燐子「似合ってない......かな......?」

環那「いや、すごく可愛いと思うよ?」

 

 そう、すごく可愛い

 

 リサも燐子ちゃんはすごく可愛いんだ

 

 世の男なら泣いて喜びそうなほどに

 

 でもね、問題はそこじゃないんだよね

 

環那「男の部屋にその恰好でいるのは、ちょっと危機感がなさすぎるんじゃないかなーって......」

リサ「ま、まぁ、環那以外には絶対にしないね......///」

燐子「環那君なら大丈夫だと、思ってるから......///」

環那「......」

 

 ......何をもって大丈夫だと思うんだ?

 

 2人とも、俺と一線超えたの忘れてる?

 

 一応、性欲くらいあるんだけど?

 

環那「ち、ちょっと、お風呂入って来て良いかな?」

リサ「あ、うん、そうだね!今日は走り回ってたし!」

燐子「ゆっくりしてきてね......!」

環那「う、うん。(取り合えず、お風呂で状況を整理しよう。)」

 

 俺は少し痛む頭を我慢しつつ

 

 服などを用意してから、お風呂場に向かった

__________________

 

環那「__はぁー......」

 

 お湯につかりながら、大きなため息をついた

 

 これは、どういう状況なんだろう?

 

 なんで、2人はあんなことを?

 

環那(......分からない。)

 

 まず、2人はお礼を考えてた

 

 あの2人の性格的に、リサは誕生日プレゼント

 

 燐子ちゃんはお父さんの事とかで恩を感じちゃって

 

 それでプレゼントにプラスして何かしようとして

 

 あの衣装を着ることになった......

 

環那「はぁ......(2人とも律義すぎでしょ......)」

 

 別にそんな大したことしてない

 

 それでここまでされると気を遣うな......

 

環那(どーしよ。)

 

 あの衣装、手作りだろうなぁ

 

 相当頑張ったのが見たらわかるもん

 

 あんまり本気で拒絶したら、燐子ちゃんが傷つくよね

 

 かといって、あんな2人が近くにいて、俺が間違いを起こさないって言う保証も......あるとは言えない

 

環那(あの2人、なぜか俺のこと信頼してるからなぁ......それを裏切るのも忍びない。)

 

 どうにか、耐え忍ぶしかないか

 

 別に嬉しくないって訳ではないし

 

 自然にしてれば、上手く行くでしょ

 

環那(何とか頑張ろう。俺なら出来るさ。何たって、我慢は得意分野だから。)

 

 俺はそんな事を考えながら立ち上がり

 

 少しだけ落ち着いてからお風呂を出た

__________________

 

 “リサ”

 

リサ「......環那、困ってた?」

燐子「はい......かなり......」

 

 環那がいなくなった部屋後

 

 あたしは小さな声でそう呟いて

 

 それを聞いて燐子は大きく頷いた

 

燐子「完全に、舞い上がってました......きっと、喜んでもらえると......」

リサ「あたしも......」

燐子「......それに、下心があったことも、否定できません......」

リサ「......ほんとにね。」

 

 一応、燐子とは打ち合わせで話してた

 

 もしも環那がそう言う気分になったらって

 

 まぁ、ほぼないって思ってたけど

 

 もしなったら、ある程度は受け入れる事になってた

 

 けど......まさか、あそこまで拒絶されるなんて

 

リサ「......燐子もさ、環那とキスより先の事したでしょ?」

燐子「......!?///」

 

 あたしがそう聞くと、燐子は顔を真っ赤にした

 

 あんまりこういう話してなかったんだよね

 

 分かり切ってたけど、口には出さなかった感じ

 

燐子「......しました......///遭難した時に......///」

リサ「遭難した時に!?(七夕祭りの時じゃなくて!?)」

燐子「今井さん......?///」

リサ「い、いやー......」

 

 初めてで、そんなハードなプレイを......?

 

 燐子、思い切ったなー......

 

燐子「今井さんも、あるんですよね......?///」

リサ「え!?///ま、まぁ、環那が入院してるときに///」

 

 あれからもう4か月は経つんだ

 

 時間の流れって早いなぁ

 

 まだ、昨日の事みたいに思ってたのに

 

燐子「......その、どうでしたか?///」

リサ「え、それ聞く!?///」

燐子「こ、後学のために......///」

 

 どんな後学?

 

 でも、いやぁ......恥ずかしい

 

リサ「その......やっと、あたしだけを見てくれたって思った。」

燐子「......!」

リサ「今まで、友希那のついでだったあたしの事を好きになってくれた、そんな時間だった......かな。」

 

 思い出しただけで嬉しくなる

 

 人生で一番幸せな時間だったかもしれない

 

燐子「......今井さん、辛かったんですね......」

リサ「その目やめて!?なんか、あたしがすごい可愛そうな子みたいになるから!」

燐子(実際にそうでは......?)

リサ「あの日から、環那もちょっとずつ変わって、今はちゃんとあたしの事好きになってくれてるから!」

燐子「それは、違います......!」

リサ「!」

 

 燐子の語気が強くなる

 

 え、何が違うの?

 

 見た感じは、そうだと思うんだけど......

 

燐子「環那君が好きなのは......私ですから......!」

リサ「そこ!?」

燐子「環那君は......絶対に譲れません......!」

 

 あの燐子がここまで自己主張するなんて

 

 人を好きになって、変わったんだね

 

 恋する乙女は最強だからねー......

 

燐子「今井さんは......そう思ってないんですか......?」

リサ「もちろん、思ってるよ。あたしも、譲る気はないから。」

 

 誰にも譲る気はない

 

 あたしは誰よりも環那の事を理解してる

 

 何年も、あたしは環那を支えて来た

 

 だから、環那に一番相応しいのは、あたしだって自信がある

 

リサ「燐子には悪いけど、あたし以上に環那に相応しい女はいないから。」

燐子「......そんなの、分かりません。」

リサ「!」

燐子「確かに、私が環那君と過ごした時間は、今井さんには遠く及びません......ですが、その分、私は新しい経験をさせてあげることができます......!」

 

 痛い所をついてくる

 

 確かに、燐子が行ってる事は正しい

 

 あたしは環那に新しい経験をあげられない

 

 いや、出来る気がしないって言うべきか

 

燐子「環那君は、もう解放されるべきなんです......もっと、自分のために生きて良いんです......」

リサ「......」

燐子「たくさん助けてもらってこういうのもおかしいですが......社長にだって、本当はなりたくなかったはずです......けど、環那君は優しいから、色んな人のために無理をしてるんです......」

リサ「......そうだね。」

 

 あたしも全くの同意見だった

 

 環那は自分への影響を一切考えない

 

 それを優しさって呼ぶかは分からないけど

 

燐子「そんな環那君を支えるなんて、私には出来ません......だから、一緒に歩けるような人間になりたいんです......!」

リサ「そっか。燐子は、そうだよね。」

 

 あたしとは違うアプローチだ

 

 環那にとってどっちがいいかは分からない

 

 いや、あたしの方がいいに決まってる

 

 積み重ねてきた時間は、簡単には負けないんだから

 

リサ「負けないよ......ライバルは多いけど。」

燐子「はい......!私も、絶対に負ける気はありません......!」

 

 燐子はそう言って、胸の前でギュッと両手を握った

 

 それを見て、あたしは小さく笑って

 

 燐子と話しながら、そろそろ帰って来るであろう環那を待ってた

 

 

 

 

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