凡キャラでGANTZ   作:フランディーニ

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前回のあらすじ:
田中星人VSオリ主たち(得点的には西くんのひとり勝ち)。
残るは星人の棲み処。




田中編⑥

===□○◇===

 

 

 

時は少し遡る。

 

田中星人の住処と思しきこの建物は壁・床・階段にヒビが入っていて相当年季の入った木造建築だ。歩く度にギシッギシ鳴る床。さっき嗅いだばかりの異臭が微かに漂っているが……

立ち止まり黙って耳を澄ませてみる。田中星人は出てこない。俺は捕獲銃を構え、計ちゃんが開けたドアから部屋の中へ向ける動作を繰り返す。北条は背後で俺達の行動を傍観。奴がサダコと呼んでいる女性は玄関付近で壁に隠れこちらを覗いている。

…暇なら反対側の部屋をチェックしてくんないかな?

 

1階には誰も居なかった。2階に居るようだ。

時間をかけ過ぎた。

2階は端からひとつひとつ部屋を調べるのをやめて怪しい部屋から調べよう。

突き当たりの部屋とか。

前回は指令に無かった星人が出た、と計ちゃんは言っていたが今回も出るのだろうか?

玄関まで戻り狭い階段を見上げる。

ギシッ ギシッ ギシッ ギシッ…

あと2段で2階だ。

鏡とか持ってないので直接見るしかない。階段の壁に背を預け振り返るように2階廊下を覗く。

進路クリア。

1階同様誰も居ない廊下を進み突き当たりのドアを開けようとしていたら居る筈の無い者の声が聞こえた。

 

「何だよ、な~んも居ねーじゃん」

「外人しか住んでねーだろ。こんなとこ」

「不法侵入じゃねーか。マッポ呼ばれっちまうぞ」

 

今回新しく来た連中だ。

建物内であまり大勢だと動きづらいと思い外に置いて来たのに。

待つのに飽きて様子を見に来たのか?スーツ着てないのに来るなよ危ねーぞ。

ギシッ ギシッ 

3人が2階の廊下を進む。

 

『裕三君?』『裕三君?』

 

ドキッ

あの声だ。

あの声が聞こえた。川で倒した田中星人と同じ声。最初のヤツも言っていたが裕三って誰?

ターゲットは廊下の両側に並ぶ部屋のどれかに居るようだ。

 

ギョロギョロ ギョロギョロ ギョロ

 

「うっ!?」

 

今のは北条か?…!

床にあの気持ち悪い小鳥が居る。あの時よりもたくさん。…たくさん?

 

ギイ ギイ ギイ

廊下の両側に並ぶドアが次々と開く。

 

ひとつの部屋から1匹づつ、あわせて4匹の田中星人が現れた。

 

 

「クソッ 一匹じゃねーのかよッ」

 

みんなの気持ちを代弁するように俺の隣で計ちゃんが呻く。前回は2匹だったらしいから今回は数が多い。あのマップでは狭い範囲に何体居るのか分からないのか。

北条・サダコ・男たちの1人が廊下の半ばで田中星人に囲まれている。まずい!

 

「おいっ!スーツ着てない奴は退がれ!逃げろ!!」

 

一歩踏み出し男2人に言ってみるが反応が無い。俺は捕獲銃を構え手前の田中星人へ向ける。

 

キイッ  

 

ドアが開く音。

左右に並ぶドアではない。

田中星人に囲まれた3人が俺、ではなく俺の後ろを見て(サダコは髪で隠れていて表情が分からない)目を見開いている。

最奥のドアが開いたようだ。

 

ゾクッ

 

生臭い風が吹いた。

 

 

 

 

部屋から流れ出たのか靄が床を覆っている。奥の部屋に何が居るのか気になるが北条達の表情を見ると振り返るのが恐い。あれから更に2匹の田中星人が部屋から出て来て俺と計ちゃんを見ている。…6匹か。奴らの表情は笑顔だ。

田中星人達が一斉に喋りだした。

 

ウィッ ウィッ ウィィッ ウィィッ ウィィッ ウィィィッ ウィッ ウィッ

『裕三君』『裕三君』『裕三君』『裕三君』『裕三君』『裕三君』

 

「ちくしょう。またかよ…」

ウィッ ウィッ ウィィッ ウィィッ ウィィッ ウィィィッ ウィッ ウィッ

「ゔッ」

 

呟きに反応したのか6匹が一斉に計ちゃんのほうを向く。

 

『裕三君?』

「…」

 

「痛っ いってえっ!くそっ」

 

囲まれた3人のうちスーツを着ていない男が肩から何かを取り床へ投げつける。『ギュエッ』と聞こえた、あの小鳥か?

 

『ギェエエ ギェエエエ ギェエエエエ』

 

それにつられて結構大きな声で啼き出す小鳥の群れ。

床に当たって潰れたような音がしたから、投げ落とされた奴とは別の小鳥だろう。

 

「ううう。痛ぇ」

 

男は首を両手で押さえている。

 

『ギェエエエ』『ギェエエエ』『ギェエエエ』『ギェエエエ』『ギェエエエ』『ギェエエエ』

 

全ての小鳥が啼いているのか、かなりウルサイ。しかし、それは、どーでもいい。

田中星人達の表情が どーやったのか怒り顔に変わっている。

それに……

 

ドッキン ドッキン ドッキン 

 

俺たちに敵対する星人6体、その口から次に出るのはあの啼き声か…。

でも奴らの行動より気になることがある。

 

…ギシッ ギシッ

 

それは背後で重く響く音。近付いて来る。

 

ギシッ ギシッ

 

「ぅ…わ…ァ…」

 

ギッ ギッ ドンッ

足音に計ちゃんの声が混ざる。ドアの横に立っていたから 見たのだろう。

 

ギシッ ギシッ ギシッ ギシッ 

 

『…グルルルルルルル…』

 

斜め上から聞こえるのは唸り声?

 

…バケモノが、後ろに居る。

ドッキン ドッキン ドッキン

 

ドカンッッ

 

左腕に衝撃を受け俺の意識は途切れた。

 

 

 

… … …

 

 

 

「う…?」

 

風が 頬を撫でる。新鮮な外気だ。

上体を起こすと後頭部が何かに引っ掛かりパキパキと音を立てる。

痛いところはとくに無い。

何だ無傷か

 

ギョ――――ン 

 

ガッ ガッ 

(外したッ!? やッべー)

何かが倒れる音と、計ちゃんの声が聞こえる。

銃を撃ったらしい。…当たらなかったみたいだが。

割れた窓から頭と両腕を抜き立ち上がって振り返ると8割無くなったドアから黒いボール、によく似た星人の頭が覗いている。倒したのか?

壁は無事。俺は壁ではなくドアにぶつかったらしい。

 

『グオルルルルァ!ギョエルルルルルォッ!!』

 

パ――ン

 

咆哮と何かが割れる音。暗くなる廊下。空気が 震える

(わっ。あっ)

ドタタタッ

俺は部屋から飛び出した。

 

 

 

出てすぐに計ちゃんを発見。しゃがんで田中星人たちへハンドガンを向けている。

北条は階段側で同じくハンドガンを。それを見ている階段横のサダコ。

太った男と連中のリーダーっぽい男は逃げたのか見当たらないが、囲まれていた男は居た。

黒い3mくらいありそーな鳥(?)の足元に倒れている。

靄と暗さで所々が見えないが服装と体型からあの男と分かる。生きてんのか?

 

コオオオオオ

「!?」

 

気付くと田中星人の顔が近くにあった。その口内が光っている。さっき床に転がってた奴か?

 

クエ―――――――――――ッ

 

咄嗟に前転し距離をとる。

 

「くっそ…」

 

(ドンッッ)

 

ビリビリビリ

 

天井が震えた。

パラパラパラ

 

「え?」

「なんだ!?」

 

(ドンッドドンッ ドンッドンッ ドンッ ドドンッ)

 

天井の上…屋根裏で何か暴れている?

まだ何か出んのかよ?!廊下の奴らだけで持て余してんのに…

見ると、田中星人たちと黒い奴も音がする天井を向いている

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッ 

 

「!!」

 

視界が真っ暗になった。

 

 

 

=========

 

 

 

私はボロアパート裏のマンション屋上で景色を眺めている。

ボロアパートこと田中星人宅の棟部が消失し粉塵に包まれた屋根。

やべっ予想以上に塵が凄い。未だモクモクと溢れ出ている。

スーツって肺とか呼吸器も強化してんのかな?違ったらごめんよ玄野たち。

粉塵ごしでもロックオン出来そうだが今度は捕獲ではなく狙撃だ。誤射なんかしたら加藤に怒られちゃう。ゾッキー以外はスーツ着てるから気を付けるのはゾクB・Cの2人くらい(ならヤッちゃってよくね?とも過ったの)だけど。いやスーツ壊れたヒトがいたらその限りではないか。きっちり肉眼でも確認したいので粉塵が晴れるのを待つ。…まだかな~。時間は、あと2分とちょっと。結局ギリギリだょ。

それはそうと、Xショットガンのスキャン超便利、外側から建物の骨組みや中に居る生き物・家具まで丸分かりだもの。生き物は骨格で、小物は輪郭で見分けなきゃなんないけどね。ガンツ武器がくっきり映ってたのは複製防止の為に内部構造のスキャンが出来なくなってるからか?それともターゲットの骨格がヒトと酷似してる場合見分けられるように?

武器持ってない骨格は2人、しゃがんでる奴と倒れてる奴。逃げ遅れたゾッキーか?

とか思っているうちに粉塵が晴れた。

 

わ~スッキリしたな~…柱は残したけど。

え~~と、しゃがんでるのは加藤、だな。あぁ黒い奴の足元のあれか?ゾッキーは。って、

うわっ怪人だっ鳥怪人がいるっ。他の田中星人よりちょっとだけ配点の高いボ(ーナ)スキャラだ、キョロキョロしてる。骨格だけよりデカく見えるなぁムッキムキだし顔が猛禽だ。

ロボの中身&ギョロちゃんが成長してもあんなのにはならないだろ。突然変異とか雌雄の差?

あんなファンタジーな奴と接近戦する奴はどーかしている。私じゃ絶対勝てないね。

 

カチカチカチカチカチカチカチッ

 

なぜか突っ立って動かなかったので楽にロックオン出来た。

この手軽さ、アーケードゲームのコントローラーかよって

…おっと、急がないと。

 

ギョーン

 

田中星人狩り、終~了~。

 

 

 

 

黒球部屋。

必死で非常用階段を駆け上ったから…ではないが膝が笑っているし下へ降りるのダルイしで屋上の柵に凭れ待ってたらわりとすぐ転送が始まった。

明るい室内に戻って来ると、さっきまでのことが夢幻のように思える。

例え眼前にフィクションで見た光景があってもだ。…いや、だからこそ、か?

前回同様最初に戻ったらしき西が黒球の横に立ちガンツを見おろしている。

 

「…」チラッ

「…?」

「…」ジッ

「…」

 

前方からプレッシャーを感じる(怯)ような気がするけど黙っているし気のせいだろう気のせいだ。

…。

とりあえずタイムアップ回避万歳。ボロアパートの大家にはご愁傷さま。

リフォームしたくらいじゃ再利用できないだろうあの建物。

って、やば。マンガと違って建物倒壊までしなかったから雛や卵が残ってるかも…。

田中星人が連れていた素足でも踏み潰せそーな雛ことギョロちゃんは0点ターゲットなので無視しても良いと思い込んでいたけどマンガで主人公が柱を撃って建物を壊す前に狩りエリアに散らばっていたギョロちゃん達が巣に集結していたとしたら…

 

「お?」

 

終わったことをグチグチと悩んでいると3人目が転送された。

 

「おー、生きてたのかオマエら」

 

生きてるよ~。度々酷いよ?玄野~。こっちは山田も無事だし生還率100パーだよ。

ちょっとすごくね?

 

「何言ってんの?そいつだぜ屋根ふっとばしたの」

「…はァ?マジか!?オマエやッたンじゃねーの?!」

「何で俺が。つーかお前ら時間かけすぎだっつの。ノルマくらいこなせって使えね―な。

 タイムアップギリギリだったし、死ぬかもって忘れたのか?」

「あー…。ッでも、しょーがねーだろッ。

 そッちに何匹出たか知ンねーけど。こッちはアタマが出たンだッ」

 

西の指摘にキョトンとしてから顔を顰める玄野。

「あー」ってマジで忘れてたの?しょーがなくねーよ大事なことだから忘れんな。

長いようで短いんだよ1時間って、まるまる狩りに使えるワケでもないし。

メンバーの転送開始からカウントしてたじゃん。

それに比べれば何を誰がどうやって倒したかなんて重要じゃないでしょ言わなくていいのにセンパイ、つか何で知ってんの?センパイ。おしゃかスーツだからか走らないので田中Bチーム遭遇跡に置いてきたのに。あの後追いついたのか。

 

「ふーん」

「スッゲーこえーツラのトリ頭でデカくて真ッ黒い奴。加藤が一撃でぶッ飛ばされて…」

「へー」

「なンだよッ。ウソじゃねーぞッ」

 

「むー」とか言って西を睨んでから玄野がこっちに向き直る。

あ、説教ですか?承ります。

 

「佐藤ッオマエ無茶すンなッ絨毯爆撃かよアレ。マジ死ンだと思ッたぜ~」

 

いやいや、私も事故るのは嫌だから出来るだけ留意したよ。でも一応謝っておこう。

 

「ごめんなさーい」てへっ

「おまッ 反省してねーだろッ!どッから出たンだよッ そのポーズ!」

 

くるっと回って右拳を側頭部、左拳を腰にあてウインクしたら怒られた。

え~?十代の乙女がやったんだからカワイ―っしょ?

 

「…はァ…つーかアレッて、どーやッたンだ?」

「それって屋根が爆発した話? なら僕も訊きたい。その銃でやったの?」

「屋根って…えっ!あれ佐藤さんがやったの?…そうか、そーなのか…」

 

玄野に謝ってるとき転送されたのだろう山田と加藤が話に加わる。

…なんか加藤が落ち込んでる~どうした? 目を逸らされたので放っといてやろう。

いつのまにか生き残り達の転送が終わっていた。




三分の一以上加藤視点。
改変点:
西くん、ゾクD、祖母と孫生存。
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