凡キャラでGANTZ   作:フランディーニ

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前回のあらすじ:
大仏(星人)はデカい。千手(星人)は放置。




あば&おこ編⑥

===◇○○===

 

 

 

羅鼎院。大仏殿前。

 

「おいッオマエ 踏まれンぞ!逃げろ!」

 

そンでスーツ着ろッ、持ッて来てたろ?

 

「お…おお」

 

髪の逆立ッた仏像の拳を避けていた男は返事をすると鐘のほうへ駆けて行く。

その先には別の新規メンバー。仏像から奪ったのだろう槍?を振り回している。

…スーツ無しでスゲーなッ、と。

去る男と俺を交互に見る仏像の顔面を走る勢いのまま一撃。

気がかりな地響きの主はゆッくりと階段を下りて来る。

図体のぶン鈍重なのか歩幅のワリに移動が遅い。

殴り倒した仏像を視ると顔面が陥没していた。5匹1セットで出てきたさッきの仏像もXガンでヤッつけたから気付かなかッたが星人ッてワリと脆い? 挨拶代わりで致命傷かよ。

ソレはそーと、反則だよな~あンなデカイの…

見上げると大仏は俺を視ていない。好都合だがドコ視てンだ?

 

「桜丘は生身の奴らのフォロー頼むッ 俺たちはアレを…ヤるぞッ」

 

俺は銃口で大仏を指しながら新規のオッサン・北条・サダコを順に見る。

 

「ま…?」

「…しょーがねーな。足狙えばなんとか」ガチャッ

「…」チャッ

「ちょっと待って…。クロノくん…」

 

腕と肩を引かれ胸に軽い圧迫感。桜丘に抱き締められた。スーツは便利だが、損した気分。

…。

じゃねーよ!何?コレ。どーいうk

 

「絶対、一緒に帰るんだから…約束…」

「あ…」

 

桜丘は返事を待たず、さッきの男を追ッて行ッた。

…。

いや、ミッションに集中しろ俺。

 

今「死亡フラグ」ッて呟いた奴…ぶン殴るぞッ!

 

 

 

=========

 

 

 

ギョーン ギョーン ギョーン ギョーン ギョーン ギョーン ギョーン ギョーン

 

一斉に玄野たちの射撃が始まった。

何故か偽大仏の足元を囲み、それしか持ってないメガネ・北条・サダコに合わせているのか腿のホルスターにXショットガンをキープしてる玄野もXガンでくるぶしや足首の表面をチマチマ削っている。ヒトが脚に500円玉大の傷を複数つくったら歩けなくなりそうだが偽大仏は気にせず歩き続ける。「ンだよ、コレ!全然火力足ンねェぞ!」ってやる前に気付け。

と思っていたら突如降る両手。偽大仏の前屈だ。

参道に叩きつけられた掌の下には……

偽大仏の左手を見てサダコがペタリとくずおれる。潰されたのは北条か

 

ドドンッッ

 

腹に響く音と共に悟り顔が消失した。

 

 

 

正確には頭部の三分の二が縦に削られ無くなった。ついでに右肩から先も。

断面から血潮がザァザァと降る。まるで…いや滝そのものだ。

右掌があった場所に巨大なミステリーサークル。砂利の地に赤い池って…グロッ。生臭いし。

畑にあるよーな長閑さは無い。ってゆーか、あの一帯が地獄を模したテーマパークのよう。

とめどない血の滝を眺めメガネは腰を抜かしている。

ひゃー、Zガン凶悪~。

偽千手の背後に居た西は偽大仏の近くへ移動したのだろう、また周波数変えているらしく見当たらない。巨大ターゲットの左下辺りに居るのかな?

グラグラと揺れている偽大仏は放っといても絶命するだろうが、もう1撃くらいありそうだ。みんな~注意して~。

 

ドンッッ

 

今度は片尻から削られ、偽大仏だったものは門側へ倒れた。

 

 

 

「わああああああああああ!!ぎゃあああああああああああ!!ぁあああああああああ!?」

「…」ギュウ

「なンだよ。元気じゃん」

「…すごいね。このスーツ…」

 

倒れた左腕の下から出て来た北条は無事だった。腰まで刺さるように埋まっているのでサダコの抱擁から逃げられず悲鳴を上げ続けている。見てないで掘り起こしてやれよ玄野&メガネ(笑)。北条のスーツから変な音が出てそーだけど、それどころじゃないよね(笑)。

 

「クロノくん!」

 

声のほうを見ると合掌ポーズのターゲットがいた。ぐんぐん近付いて来る。

 

「こっちはそいつで最後よ!」

 

美女はザコ仏像10体を担当していたらしい。その最後ってことは動きが速いっていうあのターゲットか? 一瞬で玄野とメガネは抜かれた。真っ直ぐ走って来たのに見逃すってどんだけ?

やだ、こっち来んな。即死攻撃なくても近付きたくない。

暴走仏像こと偽韋駄天を避けると入れ替わりに加藤が飛び付いた。

マンガと同じくその足首を掴んで動きを止めようと。そのままターゲットに引っ張られ宙を昇る彼。あ、驚いてる。

 

「えぇ~!?」

 

何がしたかったのか加藤と同じタイミングで階段にダイブした山田がうつ伏せから身を捩り偽韋駄天(+重り)を見上げ叫ぶ。あのジャンプ力で攻撃されたら生身組だけでなくスーツ組にとっても脅威だったのでは?

 

 

 

偽韋駄天はゴルゴが仕留めたらしい。

空中で頭部が四散した超速仏像に驚きつつこっちに集まる玄野たち。生きている筈なのに此処に居ない奴らはターゲット(死骸)を観察してるのかな? 珍しいのは解るけど自由すぎるよ(笑)あいつら。あとは……

 

「コレで終わり、だよな?」

「そーだな。レーダーにも、って…あれ?」

「?…ねぇあれ…どーやって倒したの?破裂してないね。…キレイに首が落ちてる」

 

会話する玄野と加藤にメガネが質問する。彼が指している方向は

 

!?

 

まさか、いや「脱皮」したらゴルゴが気付くだろ。って………ああ。

金堂の屋根に異形が立ち上がった。

 

 

 

===■■====

 

 

 

「うぅうああああああぁぁ」

「死ねッ」

「あああ おばーちゃんっ …ふぃっ おばーひゃ~ん」

 

さっきまで油断していたメンバー達が騒いでいる。この混乱を作ったのは仏像らしからぬターゲット。3対の腕と長い尾・首をもつ赤黒い星人。全身の皮膚を剥ぎ取った様な姿だ。

よく知らないがあんな仏像はさすがに無いだろう。全裸だし。

今回の星人は仏像括りではなかったらしい。拘束してあった千手の首を落としたのも奴か?

久しく見ない黒い刃が脳裏を過る。未だクロノたちは部屋を探索しきっていない。

 

「けほっ…千手と闘っているのは加藤くん、ですか?」

 

砂利の上で仰向けに横たわる女…佐藤が呟く。目に血が入り視えないらしい。スーツの頸部を緩め鎖骨辺りを自ら押さえている。

加藤ならお前の傍らに居るぞ。さっきから挙動不審で落ち着きは無いが。

 

「…?」ジャッ

 

加藤が目を瞠り跪く。ああ、今の質問はおかしいな。

 

「お前の肩を刺した星人ならクロノ達にじゃれついてるけど、あれは千手なのか?」

「…」

「おい?」

「ア~肩ガ、イタ~イ」

 

妙な間を空けたあと大袈裟に顔を顰める佐藤。

そりゃあ痛いだろうな肩に大穴が開いているのだから。

星人の急襲で3人の身体に風穴が開いた。そのうち生きているのはこいつだけ。

左肩を貫かれる直前に佐藤はメンバーへ注意を促した。

そんな余裕があったなら避けろよ。役立たずなんて放っとけ。戦力外は死んでよし。

 

俺の予想が正しければ佐藤は有用な情報を持っている。

今のは確実に重傷者アピールの演技だが、それほど余裕があるようにも見えない。意識があるうちに子細を訊いておくべきだろう。出血が多い。

 

「…」

「…佐藤さん…もう少し頑張ってくれ…頼む…」

「加藤くん?」

 

加藤の意味不明な発言に訊き返す佐藤。こんな状態の人間に何を期待しているんだ?

帰りの転送まで意識を保てという意味ならば他人に言われるまでもない。

 

「絶対死なせない…死なせないからな…!」ダッ

 

駆け去る加藤。佐藤は何かを言おうとするように口を開いたが何も告げず閉じる。

仏像姿の千手を見て狼狽えていたのに6本腕へ挑むのは放置か。

 

「…止めなくてよかったのか?星人に向かってったぞ、あいつ」

「いいんじゃないですか~?シッポには気を付けるだろーし。イッタ…チジ…イシ」

 

興味無さそうに目を瞑る佐藤。最後は呟きで聞こえなかった。周りがうるさい所為だ。

…尾による攻撃以外の脅威が無いみたいな言い方だな。

フィクションの所謂ボスキャラは変身後のほうが強くなるのに千手は違うのだろうか?

背面装備が重そうで線の細かった仏像姿よりエイリアンっぽくなった今の姿のほうが戦闘向けに見えるが…。強化ではなく弱体化?外殻が拘束されて仕方なく脱出した、というところか。

 

今も灯篭に照らされ佇む拘束されたままの千手(の抜け殻?)。

佐藤が口を滑らせなければ思いつきもしなかった筈だ、あれより大きな6本腕が中身だなんて。想像しないしする必要も無い。ミッションの達成条件はターゲットの調査ではなく駆除だし。…だからこそ信憑性が高いと思う。ガンツに浮かぶ指令から読み取れる内容じゃない。

佐藤には別の情報源があるのだろう。あるいはミッションを仕組む側の人間…

 

「千手と周りにいた奴らだろ」

「?」

「お前が銃で覗いてた建物に居たの」

「…」

「指令の2匹を無視して調べてたよな?あの星人に何かあんの?」

「…」

 

佐藤は瞑目したまま黙っている。

…死んだのか?

 

「おいっ」

「何か…特筆する点があるとしたら捕獲銃の拘束から脱出したところですかね。

 それと攻撃力。スーツを貫通する攻撃をしてくるとか、びっくりしました。

 西くんも無駄なことに思考を割いてる場合じゃないですよ?あいつの攻撃マジ痛いですから ターゲットに集中したほうがいい」

「…クロノ達が負けたらな」

「意外と暢気ですね。良いんですか?玄野くん達に点数とられても」

 

千手が本当にボスならクロノ達に譲るのは惜しい。

しかし大仏が出る前もそうだったが、なぜ俺に倒させようとする?

 

「…倒した途端自爆でもすんのか?あれ。レーザーはもう使わないっぽいけど」

「!?… ぶふっ あ いたた…」

 

口から空気を吹き出し肩に響いたのか痛がる佐藤。…笑ったのか?いまの。

 

「や、それは穿ち過ぎ…。無理に行けとは言いません。

 無理なら遠くで終わるのを待てばいい。怖くて近付くのが無理ならね。慎重さは大事…」

 

無理ムリ言うな。そんな安い挑発で俺が千手と闘うとでも…

!…俺を遠ざけようとしている?

 

「煙に巻こうとしても無駄だ。お前の行動はおかしい。

 始めから知ってたんだろターゲットの配置とスペック」

「さっきから何なんです?知ってるワケ無いでしょう。よく考えて下さい。

 そうだとしたら私のこの状況はどうなるんですか?知ってたらこんな大怪我しませんて」

「それは逃げ遅れたからだろ。鈍いんだよお前」

「…ウワァ…イイカエセナイノガツライ…」

「最初から変だったぞ。密室気にしないし寝てるし転送するし…」

 

ねぎ星人からだったな、こいつが参戦したのは。クロノ達より役に立っていた。

…不気味なほど冷静に。

 

「最初って、ねぎ星人のときですよね?去年の。あれからひと月は経つのに覚えてるなんて

 そんなに私が気になりますか?」

「気になる」

「え」

「お前なんの疑問ももたず当然って顔で送ってただろ星人を。

 捕獲銃でターゲットを拘束するところまでは偶然で出来るとしても、

 そこから転送するなんて予備知識無しでスムーズにやる奴がいるわけねーだろ」

「…」

 

再び黙る佐藤。さっさと白状しろ。

 

「えー?気になる、なんて困るなぁ子供は守備範囲外なんですけど」

「?!」

「交際相手を御所望ならもっと近場に目を向けて下さい。ほら、クラスメートに居るでしょ。

 ガタイがよくて女子力高そーな」

「おい、何の話を…」

「予備知識の話ですよ。実は情報源があります。そのしつこさに免じて教えましょう」

「!!」

「みんなには秘密ですよ?」

「…わかった」

「えっと…あー、う~ん?なんて言えばいいかな?持ってない人には説明し辛いんですが、

 所謂アレなんですよ私」

 

あれってどれだよ。

 

「予知能力者なんです」

「………は?」

「視えます……西くんが2人のお嬢さんに告られている情景が。

 あ、同時にじゃないですよ?」

「あの…」

「ふたまたが可能ですね。がんばっ」

 

何かアホらしくなってきたな。

 

「冗談です」

 

どこから?

 

「学生らしい清い交際だとしても同時進行はさすがにマズイ。お勧めしません。

 スーツを着ていれば女子の振るうドスなんて効かないでしょうけどバレたら世間体が…

 西くんにはかんけいナイカ…ムシロシタシミヤスク…テ…ウドイ…カ…。…」

「?」

「…」

「おいっ」

「…」

 

返事が無い。

今度こそ死んだか? …未だ何も訊き出せてねーのに。

照明が遠く血で染まっているため顔色は分からないが呼吸が浅くなり横たわる砂利の血溜りも広がっている。もう時間が無いらしい。

 

柵を越え階段に降り立ち現場を眺める。

 

階段を挟み反対側に広がるスペースで6本腕と向かい合うクロノ。

銃を構えているが何も出来ない山田たち。

遠巻きに見ている新規メンバー。

 

…進展無しかよ、使えねぇ。

倒せないなら場所を開けろ。

 

 

 

===□□□===

 

 

 

新手が飛んできた着後。

 

 

…え?

目の前で佐藤さんが仰向けに倒れた。

広がる血の匂い。

 

「うわァぁアあ!!」

ダンッッ

 

佐藤さんを飛び越え化け物の頭部に体当たり、いや顔面に右膝をいれるクロノ君。

ザザザザザ…

 

「くそッくそッ 殺してやるッ…」

 

後退する星人の背中が砂利を撒き散らしながら地を削る…

 

ガッガッガッ

ドンッッ

 

うわぁ!

バネ仕掛けの人形みたいに一瞬で身を起こし横回転する星人。

今度はクロノ君が攻撃を受けこっち、僕の隣のメンバーにぶつかり諸共転がっていった。

 

「あ…あああ…あ…あ…うぐっ… … …

 ! 佐藤さん!ごめん佐藤さん」

 

佐藤さんに近付き様子を診ていた加藤くんの声。

その足音が遠ざかって行く。佐藤さんを安全な場所へ運んでいったのだろう。

その行動は当然だけど、ちょっと待って!

 

「なんなのこ…れ…なんなの…」ガチガチガチガチ

 

ゆっくりとこっちを向く謎の星人。

ヌラヌラと光る赤黒い体表。首の長さと腕の数・肌の色以外は人間に近い…猫背から伸び垂れさがる首についた人形のように整った顔が僕を見下ろす。

周りに動けるメンバーがいない。奴と対峙するのは僕一人。

答えが無いと解っているのに、今考えることでも無いのに繰り返してしまう無意味な問い。

この激しい焦燥感…と寒気。大きなネギ星人を思い出す。

ここで 終わりなのかな僕…

 

ダッ ダンッ

 

2つの影が星人に迫る。

頭上からクロノ君。再び蹴る気だろう。

横からは新規メンバーの女性。さっき吹っ飛んだ彼にぶつかった不運は彼女かな?

両手にハンドガンを装備しているが構えていない。何を…

 

ギョーンッ

 

視界から星人が消え銃を構えるサダコさんが見えた。背後に居たようだ。

ドキッ

真っ直ぐこっちを狙っていた銃口が横へ逸れる。星人は横へ飛び避けたらしい。

…撃たれてないよね?僕。

 

「ォぉォオオお?!」「あっ」

ブンッ

 

目算が狂い一旦地面に降りたところで腕を掴まれ振り回されるクロノ君。

投げ飛ばされた彼の着地点へ先回りし抱き止めて、下敷きになる女性。

 

2人が離れたところを見計らって再び撃ったサダコさんも殴られ数m後方の植え木に突っ込んだ。…今の攻撃、ラリアットに見えたけど避けられる自信無い…

 

「西武線東長崎」

「ブクロの近く?んじゃ明日遊び行っていい?」

「明日かよっ。…うおっ!」

「わー…マジ宇宙人みてぇ…」

 

加勢が2人来た、ってスーツ着て無い人達じゃん!途中で加藤くんに会わなかったの?

4mくらい離れた新規メンバーへ星人が視線を向ける。

まずい!

 

「逃げて!はやく!!」

 

上手く逃げても数秒で追いつかれる未来しか見えないけれど、とりあえず逃げて!特急!

多少は僕が…スーツ着てる僕が足止めを…

 

!!

 

連結したワイヤーで正三角形を作って飛ぶ弾…

アンカーが星人の鼻先を掠め壁に当たってコトリと落ちた。撃ったのは…

 

「もう誰も殺らせねぇ…俺が相手だ、この化け物!」

 

頼もしい長身から気迫の籠った台詞が飛び出す。

戻るって信じていたよ加藤くん。




視点変更:玄野→オリ主→西くん→山田
告っていないが玄野を抱きしめちゃう桜丘。戦闘中に飛んでくれば待ちかまえることも辞さない。チャンスを逃さずスキンシップを狙うスタイル。
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