あばれんぼう&おこりんぼう星人ミッションクリア。
加藤ほか生存。
(転校生、入ってくるらしいぞ)
1月31日水曜日。
朝のホームルーム前、教室。
眠そーな玄野と松村に、永沢が話題を提供する。
(転校生?)
(男か?女かな)
(ぜーったい女だ!!俺のカンは当たる!!)
何故か玄野に力説する永沢。それは勘じゃなく願望では?
(俺も、なんかそんな感じする!女だ!!)
松村もテンション高ぇ。
(たぶんFカップあって~、ちょー可愛いって気がする)
(いいなぁ…おい、どこ座るんだよ、おい)キョロキョロ
空席を探し教室を見まわす3人
(げっ!玄野のとなりかよ…)
は主人公の隣席を見て停止した(笑)。
先日、席替えしたときは誰か座ってたと思ったが…。転入生の席ってどーやって決めるのかし? あ、私の席は廊下側の一番前になりました~。玄野の位置はあんまり変わり無い。
(男だな…たぶん…)
(ああ…男だ…。そんな気がしてきた)
(…そーいや、さッき違う制服着た女見た)
(え!!マジ!?)
(かわいかった!?)
(…)
(玄野っ!!)
(はッ…ま まァまァじゃねーの?)
(玄野席代われ!!)
(死ね…いや違う奴だ!きっと、そうに違いない!!)
(そーだぜ!玄野に限って)
(玄野だもんな!)
(あ~!うるせーなッ!関係ねーよ俺には 男だろ―が女だろーが!)
ぎゃあぎゃあ喚く2人に玄野は言い切った。
ホームルームが始まり、教室中の注目を浴びながら噂の人物が入って来た。
転入生は整った顔立ちの髪の長い、
男子生徒だった。
“和泉 紫音”
黒板にそう書かれた横に立つ長身。
「和泉くん背ぇ高いねぇ、何センチあるの?」
転入生を見上げ訊ねる担任教師。転入生…奴は視線を合わせない。
たぶん誰とも合わせていない。他人から見られることに慣れた所作で澄ましている。
(ちょっとぉ~)
(うんうん、すっげ~うっわぁ~)
(ちょー美形)
上等な新顔投入に喜ぶ女子生徒たち。
うん、ちょっと煩いね。もう少し人間扱いしてあげよう?
声高に容姿の感想言うのもどーかと思う(笑)。
「187センチです」
答えを聴いて更に騒がしくなる教室。
おもに「キャー」とかの悲鳴(?)で何言ってんのか分からん。
何このアイドル扱い。これからクラスメートになる人間への態度か?
…まぁ、この転入生が登校拒否になるなら大歓迎だけども。
「玄野くんのとなり」
担任の指示、隣席になる生徒の名を聴いて初めて奴は目を向けた。
同日、夕方。
今日もシナリオ通りなら、これからミッションの予定。
現在私は小島宅の近所を移動中。呼ばれる前の暇つぶし、ではない。
今日は前回より早く、ねぎ星人狩りのときと同じくらいの時刻に呼ばれるはず。
しかしこの風景にも飽きてきた。通学路と殆ど同じだものなぁ。この寒い時期に電車と徒歩でチンタラ登校するの嫌だし(定期が勿体ないけど)練習がてらスーツアシストで走ってみようか、などと暴挙を妄想したあと今朝のことを思い出す。
起こるべくして起きた新キャラ転入イベント…
あぁ憂鬱だ。
転入生は完全に主人公をロックオンしていた。原因と目的はマンガと同じなのだろう。
でも念のために確かめたほうが良いかな。思い込みで痛い目見るのは前回で懲りたし(痛かったことは記憶に無いけど左腕が取れかけていたらしい。覚えていたらトラウマものだね)。
前回のミッションは…いろいろ失敗したわりに生き残れたのでラッキーだったってカンジだ。
一番のうっかりは拘束した千手から目を離したこと。マンガでも奴は転送中の頭部を自ら切り離してワイヤーから逃れていたんだから同じ方法で第2形態へ移行したのは当然だった。
…あっぶねー。痛い目どころか思い込みで死ぬとこだったよ。
ここまでは油断からの自業自得だからいいとして、ちょっと腑に落ちないことがある。
それは偽千手の中身(最後に出た6本腕のエイリアンっぽい奴=頭部を自切した頸部断面から千歳飴の如くひり出てきた第2形態)の攻撃力が想定を超えていたことだ。マンガでは素(ことガンツスーツが故障している状態)の加藤を殴り倒すのに手こずってたから四天王モドキより弱いと思ってた。尾を使った刺突だけ攻撃力高いってありえる?…のか実際アレでノ―ダメージなスーツの防御力貫通したんだよね。被害者は老婦人・私・新規メガネ(とゴルゴ(仮)も?…あいつは生身か)。
…フツ―に脅威じゃん。
マンガで貫通されたのは液漏れスーツだったから「故障していないスーツなら防げたな、加藤は運が悪かった」とか思ってたよ。
もしかして千手観音形態時にダメージ与えなかった分強かったのかなぁ?
マンガでは桜丘の特攻で酸(?)をくらい逆行装置が壊れ上半身の半分が使いものにならなくなり、その後ゴルゴ(仮)に首絞められて、お疲れだったのかも。
それとも奴はヒトの脳みそ食べると弱くなるとか?
千手の中身は不定形なクリ―チャ―で、食べた脳のデータからエイリアンっぽい形態になったと思い込んでたからマンガと同じ姿で出て来たことにちょっと驚いた。マンガで食べられてたのはSFズキのメガネだったか。ゴルゴ(仮)の脳が食べられていたら違う結果になったのかな?
…と話が逸れたが、転入生の答えによっては実験したい。
目的地を見上げるとポッケのケータイが震えた。
===◇○○===
下校中。
俺の隣を今朝転校してきた男子生徒が歩いている。
ちょッと喋ッただけでキャーキャー言われてた奴だ。ッたく興奮し過ぎだッつーの女子。
…たしかにソコらのアイドルよりいい男だけども。
コノ転校生、派手なのは見た目だけな大人しー奴かと思いきやスポーツも得意で、転校初日に告られる(トップが同じ日に転校してきた美少女で放課後にも数件。ソレ全部を隣で見届けた俺はどーかしてた。ッつーかコイツもコイツだよ何で一人一人丁寧に対応してんだッ見るからに冷やかしッポイのも居ただろ、お蔭で帰宅時間が1時間は遅れたし)とか、ケンカ売ッてンのか?ッてレベルだ。そンなワケないけど。
女共の態度が露骨すぎてムカつき通り越して呆れた。道中もマジで視線が痛かッた。
美形は人生イージーモードか爆死しろとか思ッてたけど、いいコトばッかじゃねーのかも。
美形と言えば、ちょッと前に渋谷で偶然見かけたグラビア・アイドル、カワイかッたなァ…。乳もスッゲかッた。あのコもオフの時にジロジロ見られるのはアレだッたのか?だとしたら悪いコトしたかも。まァ許可無しで撮影する奴らよかマシだッたと思うけど。
…現実逃避はこのくらいにしておこう。もうすぐ着いちまうな、マジで俺ンち来ンのか?転校生。
なンかメンド―になッてきたなァ安請け合いすンじゃなかッた。
視線を向けると目が合う。
なンでガン見してンだーッ!
…なンなのコイツ。
… … …
「どーする?何もねーけど」
ウチに到着したので訊いてみた。
転校生こと和泉は俺の部屋を無言で見回している。そンな珍しーものねーだろ。…なンだ?
何か探してる?
「あれ…使えんのか?」
「ああ、コンピューター?インターネットでもやる?」
何だネットやりたかッたのか。別にいーけど茶は出さねーぞ。
♪デッデケデデッデデデデッ デデデデッデッデケデデッ♪
パクッ ピッ
和泉が椅子に座ッてOSをたちあげてる最中、メールが来た。
帰宅してすぐ送ッたメールの答えだろう。
“了解。今日の御裾分けは部屋へ持って行く”
佐藤からだ。今日も何かくれるらしい。ラッキー。食費が浮いて助かる。
このまえ冗談で鰻をリクエストしたら微妙な顔されたけど(笑)さすがにタダ飯で要求する食材じゃねーッて。
コンッコンッコンッ
返信しケータイを仕舞うと間髪いれずノック音が聞こえた。えッ外に居たの?
=========
“転校生が俺んち来てる。なんで今日はコンビニ行かねーかも”
うん、知ってる~。
近所のコンビニでブツを渡すことが多いからか来たメールだ。催促か?
仏像星人狩りのちょっと前から始めた援助だが、玄野は可哀想なことにならなかったし、
やめよ―かなぁ。
「佐藤?あれ?」
ドアをノックし待っていると茶髪が出てきた。
通路を見回す玄野。近くで突っ立つ小島に気付かずドアノブにかかった袋を開く。
「おー。…うなぎだ」
タッパーの中身を確認し唖然とする玄野。
なんだそのリアクション。リクエストから一週間ほど遅れたが、お望みの鰻ちゃんだぞ、
もっと喜べ。
「…冗談だったのに」
…。
冗談かよ、ならその時に言え(怒)。
そしたら鰻じゃなくて鰯にしたのに。生姜煮とか南蛮漬けとかハンバーグとか炊き込みとか…
小島母に素材を強請り調理した私の労力を返せ。私の偏食を怪しまれないよう小島両親分は昼用弁当にしたから睡眠時間を削ったし。
一般的な蒲焼同様焦げてるけど全部食えよ。そっちの水筒(すまし汁)もな。
…んじゃ、お邪魔しまーす。
私は玄野とドアの隙間に滑り込む。こんなとき小柄は便利。
ガチャーン
透明人間の侵入に気付かず彼はドアを閉めた。
視点変更:オリ主→玄野→オリ主