跳び移った先で原作のような目に遭う玄野。
姐御無双に恐れを為した(生き残りチビ)星人はスタート地点へ移動した。
「ちっ」
「きた来たっ!!」
獲物が罠にかかったことを喜ぶような、どこか不安になる笑みを浮かべた新規メンバーがチビ星人から距離をとる。こいつやっぱおかしーぜ。お前スーツ着てないんだぞ!一撃くらったら終わりかもしれねーのに喜んでる場合かよ!
しかし俺たちを横目で確認した星人はそのまま前方へと跳ねる。
扉のある高い壁の向こうへ消えた。
…。
え、この場合どーすんだ? ターゲットは俺らにつっかかってくるモンじゃねーの?
たしか時間切れはマズイんだよな。追いかけねーと!
「なっ」
ドンッ ガッ
驚く声に目を向けると新規メンバーが吹っ飛ばされていた。
時間差で来た2匹目のチビ星人にやられたようだ。進路に居たのを振り払われた格好か?
ドッ
「わっ?!」
柵を越えてったのは刀だろう。本人は幸運にも岡崎にぶつかったことで落下を免れた。
跳ね返って床に叩きつけられゴロゴロと転がる。
それを眺めキョトンとしているのは両手に銃持った奴。
「かっ はっ はぁっ はぁっ」
男は仰向けになって咳き込み、横を向いて止まった。
目を瞑り苦悶の表情。それもその筈、刀を顔や胴体の盾にしたとき一緒に衝撃を受けたらしく両腕がそれぞれ数か所折れている。服の上から分かる程ぐにゃぐにゃだ。
恐ぇー…小型の星人でも攻撃が当たるとこうなるのか、生身でミッションするもんじゃねーな。
悲惨だ。
惨事に気をとられている間に星人2匹は逃げ去ってしまった。
…ヤベぇ。
=========
スタート地点で横たわる学ランの周りに残った4人が座っている(サダコは北条の背後)。
介抱してあげてるのかな?みなさん優しーねぇ。
真下の歩道で加藤・山田・外国人が集まって、なんだろう…キョロキョロしだした。
加藤とあと2人が別れ走りだす。山田たちは和泉を轢き逃げした星人2体を追い、加藤はちょっと遠いもう1ヶ所へ向かうっぽい。そこには近藤たちがいるのだろう。
逃げたのか追ったのか知らないが随分遠くに居るなぁあいつら。山田たちが追うチビも移動速度はやい。このままだと数分で狩りエリアを出てしまいそう…
ターゲットはフツ―に出れるのかな?
残り3体。ラストスパートだ。
===□□□===
耳元で風が唸る。
前方の星人達になかなか追いつけないけど結構なスピードが出てるみたい。
今は街灯の届かない狭い道を駆けているのでJJさんは僕の後ろについている。
後方から破裂音がした。ゴミ箱にでも当たったのかな?さっき僕もやっちゃったけどポリバケツがありえない音で爆ぜてた。スーツの脚力出鱈目すぎる…他にも自転車や看板の持ち主さん、ごめんなさい。
あっと、こんなこと考えてる場合じゃない。集中しないと。たぶんもう時間無い。
角を曲がる前、速度を落としたときに飛びついて足を止めるしか無さそーだけど、まずはひとっ飛びで接触出来るくらい距離をつめないと…
「!」
さしかかった角を曲がるとチビ星人たちが止まっていた。
背景に壁。20階層くらいの凹凸控えめな建物。袋小路だ。
チャンス到来だけどいざ闘うとなると緊張する…後ろへ逃がさないようにしないと。
少し道幅が広くなったからかJJさんが前に出てくれた。頼もしい!
ズンズン前進する彼。チビ星人達は顔を見合わせ後ずさる。
JJさんの足が止まった。仕掛けるのかな?…。…あれ?動かない。
?
追いつき横へ並ぶと理由が分かった。…アラームだ。
♪ピンポロパンポン ピンポロパンポン ピンポロパンポン ピンポロ…♪
わー…これが噂の…。
これ以上進むと頭爆ぜるよ、の警告音。
今更だけど頭部に異物が入ってるって…想像すると気持ち悪い…。
壁を背にしたチビ星人まで2m弱だから大丈夫、かな?退いて誘き出すべき?ドキドキ
JJさんが一歩踏み出す。潔い!
それを見て右側のチビ星人が屈む。
ダンッ
すごい跳んだ。
でも屋上までは全然足りない、斜めってるし…って、え。
ダンッ ダンッ
左右の垂直にきりたつ足場こと壁を蹴って危なげなく屋上へ達するチビ星人。
三角跳び!?
すげ~~~~~!!初めて見たっ 生でっ!…じゃないっ逃げられた!!
「ぜィやァあッ!!」
星人を追って跳ぶ巨体。
僕が3角跳びに見惚れている間に助走をしたのだろう大ジャンプ!
ズガッシャンッ
…パラパラ
左のビルに…その上から2番目の窓に突っ込んでJJさんは消えた。
真上の壁も大きく凹み亀裂が…。
「…」
ま、まぁ、あの人なら大丈夫だろう。
気を取り直して残る星人にハンドガンを向ける。
そんな僕を見て、後ずさってガラスを避けていた星人もこちらを向き顎を引く。
…
ギョーンッ
惜しいっ!フェイントをかけて撃ったのに外れた。
ドンッ
一拍置いて爆ぜる壁。
まだまだっ
ギョーン ギョーン ギョーン
スペースの広い右側へ銃口をずらしながら連射。
予想が的中し星人は右へ動いたが、あっちのほうがちょっと速かったかっ!? くそっ
!!
迂回して間合いをつめたチビ星人の拳が迫り……
バンッッ
尻餅をついた僕の上に星人の肉片が降った。
=========
黒球部屋。
“00:00:00”
ジジジジ…
学ランが転送されている。
奴が最後だ。
それを見てみなさん和やかな表情。今回は全員生還したからね。ちっ…運のいい奴め…。
それはそうとコントローラーのマップにメンバーの位置映らないってわりと不便じゃね?
ターゲットの位置で想像するしかない。ミッション中だけでもメンバー間で通信出来たら便利なのに。連携させる気あるの?黒球メーカー。…ん?だからマンガで西が言ったのか?
「仲間じゃない」って。
♪ち――――――――――――――――――ん♪
採点が始まった。
今回の0点は犬・西・山田・北条・サダコ・亮太・苫篠・岡崎。
メンバーよりターゲットが少なかったから仕方ないね(笑)次がんば☆
“佐藤(?)……3てんtotal47てん あと53てんでおわり”
ふむ、予測通り。
“くろの……3てんtotal11てん あと89てんでおわり”
「…」プルプル
自分を抱きしめるように両腕を擦る主人公。顔色が悪く震えている。
…腕とられなかった筈だが?スーツはノースリーブになってたけど。
“かとうちゃ(笑)……3てんtotal6てん あと94てんでおわり”
「1匹3点か…」
呟く加藤。思ったより点数が低かったのかガッカリしている?
“コンタ……3てんtotal4てん あと96てんでおわり”
「わりぃな…」
「いーって。次は俺を手伝ってもらうから」ニヤニヤ
「ふっ、ああ任せろ」
笑いあう近藤と苫篠。仲いーなぁこいつら。
“空手家……3てんtotal5てん あと95てんでおわり”
「…」ゴキコキ
無言で首をまわす外国人。
“和泉くん……3てんtotal3てん あと97てんでおわり”
「ハァ?」
驚いて和泉を見る玄野。
「奥のバイク部屋にあったあの筒から、こう刃が出てな、斬ったんだ」
「へ~…ッて、スーツ着て無かッたよな?」
「…」
加藤の説明後、無言でメンバーの視線を受け止める和泉の横に近付く人影。
そいつが何か言おうとしたところで画面が変わった。
“あねご……9てんtotal21てん あと79てんでおわり”
「…ボスでも出たのか?計ちゃんとこ」
「いや、指令のヤツだけ」
「あれを3匹も…」
「すっげー」
「…」
尊敬(?)の眼差しを浴びる桜丘。彼女は主人公の顔色を伺うように見ている。
外国人含めた野郎どもの視線に気付いた。ちょっと嫌そう。
表示が消える。採点終了だ。
…。
おかしい。
点数が合わない。
合計得点が27点なんて、3点足りない。マップのポイントは10ヶ所だったのに。
チビの点数が一律3点だとしたら1体分足りないってことだ。マンガのターゲットが10体だったから思い込みで数え間違えた? ありえないとは言い切れないが最悪を想定したほうが無難。ターゲットが残ってるのにミッションが時間切れ以外で終わるわけが無い。メンバーの欠員が無かったから退場したメンバーが倒した分、ということも無い。死骸を視認できなかったのは近藤たちと山田たちの担当したターゲット。
怪しいのは山田たちが追った奴ら…
今回私がとった点数は最後に残っていたターゲットのもの、の筈。山田たちが追った奴の1体。私はマンガで言う最終回までガンツメンバーでいるつもりだ。どこまで“記憶を消され”るか分からないし小島の生存率を上げるのにガンツスーツと転送リセットは便利。なので点数を無理して取る必要は無い。でも時間切れからの追加条件発生、その失敗と仲間(?)割れが怖いのでスタート地点から拠点に移ったあと出来るだけターゲットをロックオンしておいた、何処へ隠れても討ち洩らさないように。出来なかったのは近藤たちが相手した奴のみ。マップに残されたポイント2つのうちトリガ―を引く直前に1つが消え数秒後に最後の1つも消えた。だから山田か外国人がギリギリで始末したものだと思ってたのに。
エリアから消えた、いや…
「何か用か?」
不機嫌そーな声に考え事を中断された。
和泉は桜丘に点数で負けたのが悔しいのかな(笑)?
なんでも勝つのが当たり前でそれが退屈、とか思ってこんなゲームにまで手を出したのに、
面倒な人~。
睨まれても動じず西は口を開く。
「お前なんで戻ってんだよ?」
「…?」
「なんだ?おい。記憶無くしてんのか?」ニヤニヤ
「知らねーっつの」フイッ
「ちっ」
「どーいうことだ?西」
「あ…もしかして…」
「ああ、こいつ前にこの部屋に居たんだ、リーダーだった。すぐクリアしてったけど」
「え」「ハァ?」「!!」
センパイ暴露すんな、暗殺されるぞ。
そいつは所謂「危ない人」だから、刺激するなら私が居ないときにやって。
日常ではボロを出さないようかなり気を遣って人気者を演じてるのにミッション中やクリ―チャ―が絡むと思いつきで行動するっつかアホになるからな、そのロン毛。
…って和泉も驚いてる~。
「そーいうことか…あの小説に惹かれたのは懐かしいから…」
納得する和泉。ちょっとドヤ顔。
「知らねー」子供の言葉をコロッと信じている(笑)。
そこは怒るかガッカリするとこでしょ、スリルを感じて楽しむ為に参戦したんだよね?
デスゲームに憧れた自分は結局そのゲームにも一周で飽きた、という解釈もできる証言だよ?
今のところ奴の表情に狂気は見えない。
見えたら危険なのでそれは良いんだけど、なんで?
自称「なんでも人並み以上にこなす」奴がその可能性を思いつかないってことは無いはず。
ぬるゲ―でも工夫すれば楽しめるって考えかな?
それが出来るなら最初からそうしろ。工夫して日常を楽しめ。
あ、他人に迷惑かけない方向でね? とくに小島方面。
「ッてコトは、ナニか?
1度100点ためて解放されたッてのに死ぬよーなメに遭ッてまた来たッてのかコイツ」
「…」
「まじか…」
「ひでぇ話だな…」
西は玄野の言葉に答えない。分かりきった問いを無視したのではなく疑問がありそーだ。
それに気付いた様子も無く和泉に同情するメンバー達。
短い期間に何度も死ぬのは本人が迂闊な所為だろ、和泉は死に戻りじゃないが。
ガンツに選ばれるのはラッキーだと思うけどねぇ。
老衰以外でこの世から居なくなる運命のニンゲン使って実験する場合、事前に了承を得るなら終末期医療を受けてるヒトしかメンバーに選ばれないから、多少強引な召集でもランダムで選ぶ今の方法にした仕掛け人達に感謝するべきでしょ。自らの過失で条件を満たしちゃったヒトはとくに。どーせ丁寧な説明あってもクリ―チャ―害して生きるほうを選ぶんだし。
「複製は前金で成功報酬は自由」と「そのまま消える」の、どっちがいい?って訊かれたら殆どの生物が選ぶモノは決まっている。ガンツは無駄な手順を省いただけ。
自主的に退場することは禁じられてないからミッションが嫌ならやめれば?
「じゃあ順番に着替えて解散ってことで」「おつかれー」
「僕らが先で良いかな?仕事が残ってるんだよ」「いーっすよ」
「ボクひとりでできるよ…」「そう?えらいぞー」ポスポス
「今日も交番連れてくのか?」「ううん、ケータイ持ってるって」
リーダー加藤の号令で帰り支度を始めるメンバー達。亮太の手を引いて玄関へ向かう山田。
私も小島宅へ戻ろ~。明日になれば疑問は解ける。…たぶん。
西に絡まれているロン毛を残しメンバー達は帰宅した。
視点変更:北条→オリ主→山田→オリ主
中央分離帯に落ち忘れられたガンツバイクはメンバー回収とともにエリアから消失、次回ミッションのメンバー招集時、黒球部屋奥の定位置に戻される予定。