暗い博物館内で恐竜と戦う全身黒タイツ集団(玄野組は和泉のみ)。
「どーする加藤、さっきのとこ戻るか?」
Xガンの後部で自分の肩をたたきながら北条が俺に尋ねる。
ターゲットを見つけた場所と大分離れたからな。
でもどーしようか。あそこにあったアレが模型じゃね―なら、居たのって今回のボスだよなぁ大きさからして。レーダーを見ると、うん「さっきの」場所に星人反応が残っている。
しかし前に出たデカいターゲット…大仏もどきと同程度の耐久力だとしたら俺たちが持ってる装備の火力では心許ない。
「あ、お前どーしたんだ?それ」
「? 何がぁ」
「消えてる…」
「何言って…えっ あ…あー!なんだコレ~」
「どーした」「なんだよ大声出して…」「苫篠?」
「うえぇ、きったね~!」
騒ぐほうを見ると近藤の横に居る、たぶん苫篠だろうメンバーが着ているスーツのイルミネーション(?)が消えていた。耳元・顎下・肩・腹・腰・手首・腿ほか各部に付いているボタンが全て光っていない。隣の光源で、慌てるように動きながらその場で回る人間が辛うじて見える。故障か?こんなに暗い状況じゃ不便だ。
「汚い」って何が?ターゲットの一部でもスーツにひっかかってるのだろうか?
液体系は被ってもすぐ流れ落ちるから…
「ほら、これ」
「はぁ?ぅお…」
「手首からも…もしかして耳のとこのも?」
「あ~…ボタンみてーなヤツ全部イカれてんな。ヤバくね?そのスーツ」
「なんだよそれ~こわー!なんか怖ぇー!」
苫篠からプルッとしたものを渡された。掌を滑り床へ落ちる。
ボタン全てから漏れているらしい。黒くて少し粘ついた液体だ。
これで衝撃を吸収したりしてんのか?膨張する時とかどーなってんだろ。
原因は何だ?
苫篠はターゲットに二度弾き飛ばされたから?
…故障するんだなぁ…これ。
「俺も初めて見るけど…壊れてるとしたらもう通常の防御力は期待出来ねーと思う」
「…は…え?」
「だろーなぁ」
「苫篠は外へ戻ったほうがいい」
「えーっ マジ~?」
「…1人で大丈夫か?壊れると只の全身タイツになるんだろ?」
「じゃあどっかに隠れてろ、これやるから。マップ見てターゲットさければ大丈夫…
ってアレ?」
北条の手元を覗くとレーダーのモニター、博物館の平面図から外れた位置…階段の横にポイントがひとつ
「外にも1匹居るぞ」
「お…」
…ゴゴゴ ゴゴゴ
「わわっ!な んだよっおいっ」
「地震か?」
『グアオオオオオオオオン!!』ビリビリビリ…
「わっなんか来るっ」
「おいっ これって…」
「あ」
『ギャァァァアアアアオン!!』ドンッ ドンッ
「えっ?」
『グァオオオオオオオオン!!』
恐竜が2頭現れた。
=========
あれから10分経過した。
博物館前は静かなまま。何で鳴かないの?あいつ…
チャッ
Xショットガンを構える。モニターに丸いものが映った…なんだ?あれは…
鼻ちょうちん?
直径20cmはありそうな大物だ(笑)リアルで初めて見たよ。
動けないから寝てるらしい。奴は襲撃に気付いてないのか?
ギョーン ギョーン ギョーン
射撃音が聞こえたからか目を覚ますターゲット。って言っても目は糸みたいに細いまま、船を漕いでいた頭部が止まっただけ。はぜずに縮む鼻ちょうちん。あ、欠伸した。
ドンッ ドンッ ドンッ
『キュ!?
キューッ キューッ キューッ キュ――ッ キュ―――ッ キュ―――――――――ッ』
爆ぜた石畳を見て漸く状況を理解したのだろう鳴き出す。開かれた瞼。瞳孔の形はここからじゃ見えない。マンガでは錯乱したギャルと殴り合いしマウントとられた状態であの声を発していた。あのターゲットは日本語を喋る…どこかの方言で。会話が成立してなかったことからその内容に意味は無くネギ親子のようにそれしか日本語知らない、または鳴き声の一種みたいなもののようだが、それとは別の鳴き声…オッサン声が残念なあのキュ―音で仲間(?)を呼ぶ。博物館内のターゲット共は全て奴のペットってホントかな?
恐竜共が現れた。
博物館の正面出入り口から続々と出て来るターゲット。
エミューとトカゲを足して割ったような容姿のザコ恐竜だ。
背丈は2mくらいで脚と頭部以外は羽毛に覆われている。前後に長いトカゲ面がなかなか恐い。うん、マンガ通り。
敵の位置が分からずキョロキョロする“かっぺ星人”の周りに集まってウロウロしている。
盾のつもりか?私は高所から狙ってるので無駄だ。隠れられてないよ~?
ザコ恐竜は指示を待っているのか暇そう。やはり奴は他のターゲットを使役出来るのか。
…ってドンドン出て来るなー。
ちび共と同じく個体差がイマイチ分からないザコ恐竜が既に30体以上居るのにまだまだ湧いている。橋が寿司詰め状態で渋滞してるよ…
館内へ行ったみなさんは大物狙いなのか?ザコ恐竜が殆ど減ってなくない?大きさの威圧感が他より低いからもっとヤッつけられてると思ったのに。
ザコと言っても生身の人間なら尾を振るだけで両断する猛獣には、それよりは鋭くないが牙と爪もある。でも難易度はザコ仏像以上偽四天王未満ってカンジなのでガンツスーツ着てれば小学生でも勝てるでしょ…1対1なら。
ザコ恐竜3体が階段を下りて行く。
背で滑ったりして楽しそーだ。その先にはカンフー超人。
何してんのー…
よせばいいのに迎え討つつもりらしい。何とでも闘っちゃうのかねあの人。
瞑想したまま…広い階段の下にある看板の影に隠れてれば気付かれなかったのに。いや匂いでバレたかな?恐竜の嗅覚は鋭かったとかなんとか。
化石と鳥類の現状で察せる古代生物のスペックとか眉つば、とか思っている間に踊り場で対峙する3体と1人。
(ヴォオッ)
食いでありそうな筋肉に噛みつこうと前へ出る1体。
超人も右脚を大きく前へ出し、ザコ恐竜の側面に背中をつける。
ダンッ
必殺技炸裂。鉄山靠だっけ?
ドンッ
吹っ飛び踊り場を転げるザコ恐竜。
けっこう効いてるようで横倒しになりスグには立ち上がれない様子。
モデルになったヴェロキラプトルは腰高50cm…大型犬ほどの大きさで体重が16kgなかったそうだがザコ恐竜は2m前後なので200kgくらいあるのだろうか?転がって咽喉や腹を見せた恐竜に素早く近付き、首を左腕で抱え喉笛辺りを殴る、殴る。
体勢的に肘が使えない。
暴れるザコ恐竜の首は固いらしく手間取ってるうち2体に囲まれた。あ
(ぐあっ!)
脚に食いつかれた。
===□○◇===
「…」「…」「…」「…」「…」「…」ゴクリ
グルルル ルルル ルル ルル
電柱よりデカイ動物が俺たちを見下ろしている。
…苫篠が離脱する前に凄いのが来ちまった。
用途が分からない、身体にたいして小さすぎる前脚。発達した後ろ足。大きな頭部…
ティラノサウルス・レックス…T・レックスだな…映画から飛び出したような獰猛な姿。
遮蔽物の無い場所で、そんな2頭に凝視されたままでいる俺たちはバカだ……
グルルル ルルル ルル ルル
瞬きも出来ない中、剥き出しの牙が近付いてきた。
ドッキンッ ドッキンッ ドッキンッ ドッキンッ ドッキンッ ドッキンッ ドッキンッ
ギョーンッ
!!
土煙で視界が狭まる。ターゲットがそのでか頭、っつか凶悪な歯並びで地を抉ったのだろう。かなり動きが速い。
「おいっ?!」
北条の声に視線を辿ると咽喉を反らせ天井へ鼻を向けたターゲットの口元から何か生えていた。 2本の 細い
脚だ!
『…ッ ギャアアアンッ!!』
でかい下顎の左側が大きく破裂し、ああ!!脚が牙の奥へ吸い込まれた。
「マジかよ!」
「…んな…待て 戻せ―っ!!」ギョーン ギョーンッ
『グルルルル ゴルルルルル グルルロロロ グルロロロロロ…』ドンッ
足元で喚く人間へ一歩踏み出すT・レックス。
誰だ?食われたのは。
バクンッ
「くっそ…」ギョーン ギョーンッ
その牙をよけ更に射撃する北条。
「あっ」ズザッ
脚が縺れたのか転ぶ。
ボボンッ
『ギャアアアンッ!』
ターゲットの口元が大きく抉られ、垂れる舌。横へ転がり踏みつけをよける北条…その上にボタボタと落ちる肉片。
ボンッ ババンッ
続いて内側から爆破されたように右眼球が飛び出し鼻孔のあった部分に大穴開通。
よろめき俯くT・レックス。頭部から体液とともに大小の塊が落ちる。舌や上顎・脳漿…
ドンッ ドンッ ゴッ
(ぐはっ)
跳ね起き落下物に駆け寄った北条がターゲットに蹴られ吹っ飛ぶ。おい?!
しかし追撃は無い。よく見ると蹴った奴の後ろにJJが。ゆったり揺れる太い尾に腕だけでぶら下がっている。動きを止めようと?
筋力は強化されても体重が増えるわけじゃないから、そりゃ無理だろ…って計ってないから知らないが。
ギョーン ギョーン ギョーン ギョーン…
適当に逃げつつ恐竜を狙撃する近藤たち。
2頭目も沈黙し、1頭目に吐き出されたメンバーであるサダコの無事(スーツが壊れ右足首骨折)を確かめていると、その背景で山が動いた。
===◇○○===
退路にトリケラ背後にティラノ…
野生で共闘するコトがあッたのだろうか?…食性からして無かッたろーな。
「T・レックス か…」
サイズを戻したソードを振ってから構え直す和泉。ムカつく程に画になる動作だ。
「おもしろい…」
ああ、草食恐竜よか強いンじゃね?たぶん。
アイツは危険だ、と俺の勘が言ッてる(笑)し。注意しろよー。
さッきみたく唐竹割りで片付くならたぶん問題無いけれど、アイツも恐竜ッぽくないコトしそ―…
俺はXショットガンを構えトリケラトプスを………見上げる。
『グルルルル グルルル』ゴキ ゴキゴキ
またかよ。
さッきと同じく後ろ足で立ッて俺たちを、いやティラノサウルスを見る2頭。
もうアレ恐竜じゃねーよな。まァホントに“星人”なら最初ッから違うけど。
トリケラマンとでも呼ぼう。
『グァォォォオオオン!!』ゴゴゴゴゴ
数歩前進しトリケラマン2頭を威嚇するティラノサウルス。大声に震える地面。
「!?」
足元でスタンバッていたのに無視される和泉(笑)ムッとしている。顔芸はいーから早く倒せ。
しかし何でターゲット同士でメンチ切り合ッてンの?ケンカ?…新しいな。
俺たちが見ている前で始まる出会い頭のドツキ合い。和泉を踏もうとしてたのにティラノは殴るンだなトリケラマン…
「玄野!」
「なンだよッ!」
「俺が奴を殺るからトリケラもどきを押さえておけ!」
「ハァ?!」
「共食いされたら点数減るだろ!はやくしろ!」
言われてみれば…ッてコイツらじゃれてンじゃなく殺し合いなの?
『ギャアアア!』
頭上でティラノがトリケラマンの腕に食いつき千切ッた。2対1なのに肉食強えッ!
たしかに共食いだ。
でもソレなら消耗した勝者を襲うほうがラクで安全だろ、点数より命が大事。
それになンで俺がオマエの我儘に付き合うt
ドドンッッ
パラパラパラパラ…
脚に駆け寄る和泉の鼻先で消失するティラノの下半身。ズンッ…と残りが落下する。
地震だ~。
つくりものの雑木林に大穴が出現。床が地階へ抜けたらしい。周りの床も穴へ向け傾く。
流れ落ち吸い込まれていく血液とか色々。
これはアレだよな…大仏ンときの…
「ちっ」グッ
横たわる巨体の頭部に刃を突き刺す和泉。サクサクと何度も。おいおい何して…
ん?
口ン中が…なン…か…
ッて、ヤ バ…
ドンッ
ブォンッ
うっ…!!
(グロォォオオォ!!)ズズン…
脅威が通り過ぎたコトを頭皮で感じ、伏せた姿勢から起き上がる。
目がチカチカするし…耳鳴りも……大砲かァ?今の。おどろいた…。
『…グロロロロ』
見ると頭部の割れたティラノの直線状でトリケラマンが片膝をつき唸ッている。
そしてその背景、遠く離れた光の輪は壁が溶け落ちた跡なのだろう、途中の木や何かの先端も慎ましくまたたき焦げ臭い。
バンッ
『グロォッ!』
膝をついたまま和泉に掌を振り降ろすトリケラマン。高く跳び遠くに着地した人間を睨むが追わない。もしかして右脚の先、無くなッてる?
「ぎゃーんっ!」
ダンッ
亮太を持ッてジャンプする山田。居た場所を踏みつけるトリケラマン2…いや3号。
ケンカしてたティラノは沈黙し仲間は手負いなこの状況で逃げないらしい。
そのままこッちに来るデカブツ
ドッ ドッ ドッ
『トラァッ! アッ』
「うおッ…」
直前で避けようと待ッていたら不自然にこけるトリケラマン3号。顎で地面を削りながら丁度真横に来るデカイ頭部。ソレにガツッと銃口を当てる。
ギョーン
すぐ爆ぜないコトの利点ッてなンだろーなと思いつつ飛び退いた先で桜丘と目が合ッた。
?
ターゲットのデカ足を挟ンだ向こう側で彼女が満足そうに微笑ンでいたから、
爆ぜたところは見逃した。
サダコ→北条:
好みのイケメン、目を離せない。
(愛の)告白の機会を伺う(スト―キング本格化)
仲良くなれたので関係を壊したくない(北条が偽大仏に踏まれてから現在)
北条→サダコ:
リアル妖怪(スト―キングに気付いてから偽大仏に踏まれるまで)
油断すると驚いてしまうが顔は綺麗だと思う(ちび星人ミッション辺り)
背中を任せられる戦友、友達になれそう(現在)
玄野と桜丘:友達