凡キャラでGANTZ   作:フランディーニ

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前回のあらすじ:
仔ねぎを逃走前に捕獲、転送した。





ねぎ編③

「おいっ ガキっ何だっ今の!?」

 

うわ、びっくりした。仔ねぎが居た場所と私を交互に見て怒鳴るのはちゃっかりヤクザ。

私のことか?「ガキ」って。目線が玄野の肩より下なので私(の外見)は小中学生かもしれない。

 

「ぅえっ?え、えーと。転送?です。上へ、送りました」

 

右手のYガンで真っ暗な空を指す私。

ウザいなぁ~いちいちリアクションに対応すんの。やろうと思えば話をちょっと変えられるみたいだけどやっぱ夢は空気視点(?)に限る。

 

「はぁ?…ふん。オメーも仕込みか…」

 

なんか1人で納得している。未だTVと思ってんスか?

これはTV番組じゃなく戦争、てゆーか残党狩り(?)ですから、ターゲットの数的に。何故か他のミッションと比べても不審なほど少ないから、ねぎ星人狩りのターゲットって(導入として凄く面白いから不満は無いけど)。次に少ないのは8体だったはず。ホントに他チームの取りこぼしだったりして。そんなミッションを回されるって…期待されてねーな東京チーム。

経験者がステルス中坊と犬のみだから?

話してる間に2階から3人降りて来た。金髪・山田・ちょっと遅れて畑中。

 

 

「あっ?あいつどこ行った!!」

「このガキがどっか送ったらしい」

「はぁ?」

「ガキが持ってる銃で撃ったら消えた。…俺らがここに来た時みてぇな消え方だったな」

「くそ!!」

 

プリプリしてる畑中に見たことを教えるヤクザ。

 

「なんだよ~終わりかぁ?つまんねー」

「…あの子が持ってる銃。僕らのと違うね」

「! ちっ ハズレか?これ」

 

山田の言葉を聞いて、持っているXショットガンを振る金髪。

 

「この服どーにかしろ!!」

 

畑中は服の汚れが気になる様子。

うわぁ、よく見るとテカテカ ネバネバしてるー。涎と血(?)がついたのは自業自得だけど。

仔ねぎの粘液は臭いらしー…くっさっっ。鼻つまんだら睨まれた。

 

「スタッフ出てこねーぞ」

「まだ…終わってないのでは?」

 

そーです。

まだメインターゲットが残ってる。祭りはこれからだよ~。

Yガンを仕舞い鞄からコントローラーを出してもう一体のターゲット・親ねぎの位置を確認する。どこまでネギ買い(奴も不可知化してるから野菜ドロボーかも)に行ってるのやら、

 

「あ、それ!ちょっと貸して」

 

山田にみつかった。さっきと言い冴えてるなメガネ。

う”っ、山田にもネギ汁けっこう付いてる。

 

「おい、どーいうことだ?」

「そっか!!これです!これ見て下さい!まだ居るみたいですよっ!ねぎ星人」

 

畑中にマップを見せて声を弾ませる山田。たのしそう。

 

「あっ」

 

金髪が山田の手からコントローラーをひったくり駆け出す。あいつもテンションたけ~。それを山田が追いかける。

あいつ(←金髪)走るの速いなぁ。

次のネギ星人も仔ねぎみたいに無害だと思っている。住宅街でやる安全な鬼ごっこ…って設定か?追われる役が子供サイズだと虐めっぽくない?TVでやるとマズそう。

ん?

 

「おい、こっちに渡せ。さっきの銃」

 

くさい人にカツアゲされた。

畑中のツラこえ~。

(偽)女児おどすなよ(笑)。後は主人公たちがやるから武器無くても問題無いけどね。

はい、ど~ぞ。Yガンなら加藤も持ってるし。

 

畑中にYガンを渡すとヤクザ2人も山田たちが消えた方向へ駆けて行った。

 

 

 

アパート前、路上。

…隣の人が何か変だ。

何故か空を見上げ無言な主人公。真面目な顔で考え込んでいる?

彼は腕組みを解き瞬きする。

 

「そーいや、加藤は?」

 

まだ2階じゃね?

 

タンタンタンタンタン

タッタッタッタッタッ

「計ちゃん!あいつらは!?落ちたネギ…星人も…」

 

噂をしたら来た。

…なんか加藤ボロボロなんですけど。畑中の妨害して殴られたとか?

今まで痛くて蹲ってたの?

 

「おいおい…どーした。大丈夫か?」

 

言いながら加藤の頬をつつく玄野。

 

「いてっ うう、いや…ちょっと。ってそれよりあいつらは?…まさか」

「あー、なンかネギ星人がもー1匹?居るとかで走ッてッた。

 さッきのヤツのコトならコイツに訊いてみな」

「!?そんなっ止めねーと。どっちに行った?」

 

止めなくて良いよ~何でそーなるんだよ(笑)懲りてねーよこいつ~。

後半は聞いてないっぽい。

まぁ折角のへんな夢だし、いいよ案内してあげる。

 

「こっちです」

 

脇腹を押さえている加藤を先導する私。今なら山場に間に合うかもな。

 

「おーい、やめとけッて~」

 

危険を嗅ぎつけたのか面倒だからか、その場を動こうとしない玄野。

お前も来い。

主役がいないと始まらないよ、っていうかバッドエンドるよ。

加藤の死亡率が100パーになっちゃう、とどめ刺されるから。

立ち止まって玄野を見る私につられたのか同じように見つめる加藤。

その視線に耐えかねて主人公も渋々歩き出す。

 

「計ちゃん。早くっ」

 

そーだ。早くしろ。走れ。

 

 

 

… … …

 

 

 

夜景と防護柵を背景にデカイ奴と対峙する誰か。

 

マンガと同じ場所かな?あれ。

路上には何かゴロゴロと散乱し、次の瞬間小さい方は仰向けに倒れた。

Xガンを構えた両手首と切り離されたのだろう短くなった両腕で宙を掻いて。

 

『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』

 

吼えるデカイ奴。

怒ってるのはマンガ通りだけど何で?仔ねぎ虐めを見られてない筈なのに。

…あ、ねぎ臭いからバレたのか?なるほどね。

先行した4人は皆あのデカイ奴に返り討ちされた様子。

私たちと彼(?)の距離は50mほど。

 

「誰だあいつ? 誰だ?」

「ねぎ…星人…」

「…死んだのか?全員…。残ってんのって俺…達…だけ…?」

「アイツはヤバい。ヤバい感じがするッ。今なら…逃げられる。逃げるぞッ。

 ゆッくり…ゆッくり後ずさるンだ」

 

誰が見てもヤバいよ。容貌が鬼で、所業が殺人だもの。

 

「行こう…」

 

ソローリソローリ 

 

玄野の号令で静かに後退する私たち。

 

ソロソロ 

 

親ねぎがこちらに気付かないか警戒しつつ玄野と私、しんがりに加藤の順で静かに後退する。

…前後、逆じゃね?

スーツ着てる奴がスーツ着てない奴を盾にしてどーするよ。

玄野行け。そのスーツがあれば勝てる、シナリオ通りだ。ファン(←加藤)に良いとこ見せてやれ。

このままだと唯一のファンがバケモンに斬られちゃうよ?2m超えガッチリ体型のくせに素早いからなぁ親ねぎは、そーいや仔ねぎも逃げ足速かったし。

そう考えるとターゲットが好戦的じゃない場合すぐ時間切れになっちゃいそーねミッションて。

あ、私のことはお気になさらず、一般人を装って他人のフリしますので。学ランの上着(かなりブカブカ)しか装備してない痴女スレスレな美少女と比べたら私なんて空気のように目立たないでしょう、きっと。

マンガでは玄野と岸本が同じタイミングで逃げたのに主人公だけが追われてたし。

何故みるからに親ねぎを認識して逃げ出した岸本は奴に無視されたのだろう?

強そーなほうを狙った?黒いハンター達に恨みがあったのか?やっぱり取りこぼし?

 

ドッキンッ ドッキンッ ドッキンッ

 

2人とも動きがぎこちない。なんかカクカクしている。そーいう私も似たよ―なもんだが。

死なないと分かってても緊張する。なんという圧力だ親ねぎ、恐ろしい奴。

外灯さけても何故かバレるんだよなぁ。スーツのボタンがうっすら光ってるから?

うん、玄野のせいだね。

 

「あ…」

「あ、あ、ヤバ」

 

血溜りの中、立ちつくす親ねぎが、こちらを向く。

 

ドキッ

 

たわめるように姿勢を低くした親ねぎと目が合った気がした…

 

 

パンッ

 

「!?」

 

爆竹?って銃声か。

親ねぎに左腕を斬り飛ばされ倒れ伏していた筈のヤクザがチャカを弾いた様子。

マンガ通りに隠し持った拳銃を発砲する怪我人。ぅぉお、がんばれヤクザ。この場面スキだ。

ダッ

加藤が親ねぎに向かって走りだす。ちょっと待て紙防御。

 

パンッパンッパンッパンッ

連続する軽い音。着弾するたび後ずさり塀まで押される親ねぎ。

 

パンッパンッ 

ドッ

膝をつく。

 

パンッパンッ 

ドウッッ

右手をつき倒れる。完全に動きが止まった。弾切れ銃を構えたままヤクザは静かに敵を睨む。

 

「加藤!今だ!!」

 

玄野が叫び、加藤がトリガーを引いた。

 

 

 

 

 

 

「うううう…う…うっぐっ…う…」

 

加藤は泣いているようだ。その足元には動かないヤクザ。汗と血と臓物と便のニオイが混ざり合いスゴイ刺激臭になって目に沁みている、わけではない。

それに背を向けている玄野と私は何をしているかというと…

 

ワイヤーの拘束から逃れようともがく…首と足先を動かす親ねぎを監視、と言うと仰々しいな。ただ見ている。

光るワイヤーは今のところ千切れそーもないがかなり恐い。うつ伏せ状態で下から睨みつけてくる親ねぎ。ゴツゴツした顔面は鬼瓦みたいだ。ヤクザの拳銃で撃たれ倒れた親ねぎは数秒で覚醒した。やっぱり回復力がスゴイのだろう。

 

『ヴォオア”ア”ッ ズモアッ』

 

かなり元気になった親ねぎが喚く。そーね、うんうん、何言ってんのか分からん。

日本語は「ネギアゲマス」しか言えんのか?こいつ。

そーいや「ユルシテクダサイ」とも言ってたな。作戦中のメンバーには無理な相談だ。

 

「加藤ッおいッ。その銃撃てッて、はやく。コイツ回復してきてンぞッ」

「…ああ」

 

ゴシゴシッ

コツコツコツ

袖で顔を拭い加藤が振り返る。

結局、玄野は何にもしなかったなー。

新規メンバーで唯一スーツ着てるのに終始驚き要員だった(笑)。キャラになってる私では主人公と親ねぎの追い駆けっこについて行けないから、これでよかったけど。

加藤が親ねぎに向かってYガンを構える。

 

「…これホントに撃っても…死なないんだよな?」

「だから、そーだッて。早くヤれ」

 

私を見て念を押す加藤に玄野が答える。移動時も言ったけど上(?)へ送られるらしいよ~。

送られて何されるかは知らん。

 

ギョーン

 

私も頷こうとしたら、まぬけな音が聞こえた。あらら。

 

「?」

「何だ?今の」キョロキョロ

「おッ。おい…」

 

周りを警戒するオールバックの肩を茶髪がたたく。

玄野に一発もぶたれていない親ねぎの頬が膨張して…

 

……ググウゥッ

 

バンッッ

 

破裂した。

 

 

 

「っ!?」

「え…、なン…で…」

「やっ…まだ、撃って…ねーぞ。俺」

 

ビチャビチャと親ねぎのひき肉が散った後、幼馴染を見て呟いた主人公にYガンを構えたままの加藤が答える。

 

バチッバチッバチッ バチッバチッ バチッバチッバチッ

 

音のほうを向く私たち。

チカチカ光る宙空を見ていると、

透明な人形が一瞬で彩色されるように少年が現れた。

西だ。

 

「あッ。おッおまえッ」

 

Xガンを構え、どや顔で歩いて来る中学生を指し玄野が吃る。

 

「…」ニヤリ

「オ…マエ、どこに居たンだ…?」

「近くに居たよ。ずっと…」

「…?」

「しょぼかったな。今回は」

「…お前…今…」

「?」

 

Xガンを袖に仕舞った西は加藤を見て首を傾げる。

 

「お前が撃ったのか?」

「そーだけど」

「なぜ…殺したんだ?こいつは動けなかった!」

「そっちも撃つ気だったろ?」

「俺は殺す気なんて無かった。これは捕獲用の銃だ。捕獲と転送しか出来ない!

 そーだよな?」

 

確認されたので頷く。うん、そーいう設定のはず、ねぎアパートからの移動中に教えた通り。

 

「…ふ~ん。同じことだと思うけど」

「!?」

「オマエ…。全部知ッてンのか?」

「さぁ?…全部は知らないけど、お前よりはね」

「…なァ、コレで終わりなのか?」

「ああ」

「どうなる…?これから…」

「まず…部屋に戻って」

「!? 戻れるのか!?」

「あとは自由…。家に帰ってもいいし…」

「帰れるッて!?マジ!?マジかよ帰れる!?」

「ああ…帰れるよ…。まぁ待ってりゃわかる」

 

シャコッ 

コントローラーをチェックする西。

 

「…!おい!!あいつらは?あいつらも戻れるのか!?」

 

路上に転がっているメンバーを指す加藤。

 

「無理だね…。あの部屋に戻れんのって生きてる人間だけだよ」

「そ…んな………

 いやっまだだっ、まだ間に合うかもっ」

 

ダッ 

バチャッ ビチャッ

 

「おーいッ 加藤ッ!どッちにしろ…手遅れだッてッ!」

「生きてる限りは胴体が千切れてても部屋に帰れば、もとに戻れるぜ…

 生きてりゃだけど…あくまでも…」

「!? ウソだろ…」

「なんで嘘…ま…信じなくてもいいけど

 おっ」

 

西の頭頂部が消え始めた。部屋への転送だ。

 

「お先…」

 

消えた。

 

「…」「…」

 

ニオイ付きグロ動画の破壊力。

夢なのにキモすぎて吐きそう。夢はここまで進化したってか?エンタメに要らないよ、この方向のリアリティは。何この臭気、私の布団周りがこのニオイになってるとか無いよね?どーゆー状況だよ。気になる。

アクションも終わったし、そろそろ覚めてほしーわ。

 

鉄臭い水溜りに膝をつき金髪と山田の脈を確認したりなんだりしている加藤を眺めながら、

ぼんやりしてるうちに私の番が来た。転送ラストは加藤か…

 

「あっ、あ!おいっ!おいっ!!…落ちつけ!もうすぐ戻れるんだっ頑張れ

 

途中で消える彼の声。

 

 

 

 

 

 

黒球部屋。

眩しっ。西と玄野、犬が居る。

ニオイ無くなったなぁ。血で汚れた靴下やイロイロと踏んだ靴裏もキレイになってる。

 

「こいつすっかり忘れてた。いっつも、ちゃんと帰って来んだよな~。役立たねーのに」

チャッチャッチャッ

「あ…犬…」

 

黒球の横に立った西と正面に座った玄野が犬を見ている。

チャッチャッチャッ ハッ フンフンフン

私に飛びつく犬。犬くさっ。うあーかわいーなコイツ。吠えないし。よーしよし。

 

ジジジ 

 

タタタッ 

ドタッ

転送された加藤がたたらをふんで尻餅をつく。鋭い眼差しが玄野を視界に入れて緩む。

 

「あっ れっ? 計ちゃんっ。あれっ…あいつは?ヤクザの…」

「ヤクザ?アイツは死ンでたンじゃないのか?…他の奴もダメだッたか」

「死んだっ!?」

「え…?」

「もう1人のヤクザなら、あいつもネギ星人に殺られたぜ。ハデにぶっとんでたな」

 

加藤と玄野の会話に西も加わる。

 

「やられた…って、え?」

「!!そーなのかッ?」

 

キョトンとする加藤。玄野が驚き訊き返す。

 

「はぁ?どーなってんだ?ネギ星人は?」

「…さッきオマエも見てたろ。覚えてないのか?」

「???」

「…」

 

話がかみ合ってない。

?で思考が埋め尽くされているであろう加藤の学ランはキレイになっている。

転送する際「ボロボロになる前の加藤」を採用したから畑中に殴られた後の記憶をもってないのだろうか?最終的に彼の学ランは上着がほつれてヨレヨレなうえに汚物と血にまみれていた。服装の破損や汚れ程度なら元の状態へ戻しても記憶無くならない筈なのに、なんで?

マンガではミッション中に判り易い外傷を負ったメンバーの記憶が転送後消えていた。

ということは…

じつは重傷だったの?肋骨とか折れてた?骨折してても走れるの?人間って。

妙に細かいなぁこの夢。

 

「おいッ…」

「!?」

「…誰だ?」

 

また誰か転送されて来た。頭頂部が見える。

ヤクザ達ほど背は高くなく派手な金髪でもない。

 

ジジジジ…

 

「おいおいマジかよ~何人生き残ってんだよ」

 

ジジジジジ ジジジジ 

 

「わかってんだスタッフ出て来んだ。…!?」

 

Xガンを構えて現れる山田。

 

「わっ」「危ねッ」

 

ギョ―――ン

 

ドタタッ

玄野と私で射線に近い加藤を引き倒し、山田…の持つXガンに注目する。

採点直前にチームメイトの誤射で退場なんてそんな笑e…バカらしーことになんなくてよかったね加藤。

 

「…」「…」「?」

「あ…?あれ…?ねぎ…星人…は…?」

 

またそれか。こいつも両腕を斬られる前までの記憶しか無いようだ。キョロキョロする山田。

 

「アイツはもういない。終わッた…らしい」

 

Xガンを構えたままの山田を睨みながら玄野が答える。

 

「!?…。

 は…ははは……よかった…生きてる…よかった、TVだったんだ…」

 

武器を下ろし床へ跪くと山田は掲げた両掌を何度も握り込んだ。




改変点:
山田生存。
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