クラスメートの住所を調べて玄野にドン引きされ、小島宅の周りを徘徊してオリ主に殺意をもたれた和泉。新聞部部室でインタビューを受けることを了承。
ガラッ
「和泉くんっ こんなとこにいたー」
美少女が入って来た。後続は無くパシッと扉を閉める。
しっかり閉めないで~。その戸すりガラスでしょ、危険人物への抑止力が減っちゃう。
「…」「…」
「…えっと、取り込み中だった?」
返事を待たず空いた席こと和泉の隣に座ってから首を傾げる美少女…篠崎。超カワイイ。
やはりこういった仕草は美少女に限る。眼福がんぷく…と和んでいたらこっちを凝視された。
彼女は和泉と同じ日に転入し顔に騙され告白しちゃったうっかりさんだ。
危険人物の恋人である。今すぐ縁を切ったほうがいい。
「ああ、いまから新聞部のインタビューうけるから。悪いけd
「大丈夫です同席してください。和泉くんとお付き合いしている篠崎さん、ですよね?
居てくれたほうが助かります。そいつと差し向かいとか息がつまるので」
「えっ」
あ、やべ。本音が出てしまった。「丁度いいので和泉くんのインタビューに参加して下さい」
と言うつもりで口が滑った。
篠崎の表情が強張る。
いや貴女の彼氏ディスったわけじゃないのよ?人見知りの一般論で
「すごくわかる~!そーよねっ 和泉くんって冷たいっていうか…
近付き難くて秘密主義だし話題に困るときあるよね!やだっ 同志!
みんな勘違いしてるから、あたしの感覚がおかしいのかと思ってた!
裏表の無い善い人、なんて和泉くんと全然違うもん。訊き返しちゃった!」
席を立つ彼女の勢いに驚いているうちに両手を握られ上下に振られる。
…そんなこと思ってたのか篠崎。
マンガでも放置されぎみだったけどこっちの彼女も同じらしい。もっと言ってやれ。
和泉は、冊子へ視線をおとし「我関せず」という態度。
彼女の前こそ猫被れ。
「…同感です~。
で、今から彼氏さんにたくさん質問しますけど
自分のことって指摘されないと気付かないこともあるでしょう?
そこを彼女の視点でアシストしてもらえたら早くインタビューが終わるはずです。
お願いできますか?」
「…」
再び絶句する篠崎。どうした。
「彼女かぁ…自信無いかも~」
「?」
「でも、まかせて!」
「…」「…」
無表情な和泉・はりきる篠崎の対面に移動して中間にICレコーダーを置き
インタビューを開始した。
… …
「…プロになればいいじゃん和泉くんならなれるよ」
マイブームを訊かれ演技なのかマジなのかサッカーについて熱く語る和泉。篠崎の的確なつっこみにユースがなんたらと返すが興味無い&知ってるので右耳から左耳へ抜けてゆく。
マンガ読んだ時も思ったけど、なんで篠崎は初耳って対応なんだろ~。
登下校中とか2人のときいつも何話してんの、もしかして無言…?
マンガでは次に時事関連の話題へ移行し終了していたがあれは途中を省略していたらしい。
まだ質問項目は続いている。
次は“好みのタイプ”か。彼女いるのに愚問だな。
「理想の女性像は?」
「えー。難しい質問だなぁ」
いや簡単だろ。横で興味津々て顔な人間の特徴を言語化すればいい。
「ほら、ひとつくらいあるでしょ。今まで付き合った人の共通点とか。思い当たりません?」
「前は男子校だったから」
「…!」グッ
ををっ美少女のガッツポーズ。そんな貴女も超カワイイ。
「とりあえず可愛い系で髪の長さはセミショート」
「? まぁ、すっきりしてるほうが好感を持てるが。
女子はいろいろ遊べて面白いよな。凝ったアレンジとかすげーと思うよ」
和泉はにこやかに答える。すっきりがスキなら括るか切れよそのロン毛(笑)うざっ。
「そして身長は165以下の色白で大人しそうに見えて元気いっぱい」
「…ああ、そんで面食いな友達がいる」チラッ
その点は本人も相当だけど。
私が挙げる女性像に途中から気付いたのか和泉も彼女を見る。
マンガと同じく奴は碌に相手の顔を見ずお付き合いを了承したらしい。観察しなくても認識できる特徴…身長と声は好みの範囲なはず。虫除けのために先着順でOKした、とかじゃないよね?
「へ~フツ―っぽいコが良いんだ~。でもそんなにアバウトだと期待するコ増えちゃうよ?」
机に両肘をつき顎の下で手を組んでニヤニヤする「フツ―っぽいコ」。にデジカメ向ける私。
やべっ、ロン毛じゃなく美少女メイン写真のが多くなりそー。
和泉が見切れてるヤツは小島パソへ転送して壁紙にしよ。ありがたや。
「次は…。…」
「えっなに何?」
「…転入前の…奇行を知りたい…だそうです」
「あー…それな~」
「きこう?」
「私はよく知らないですけど
和泉くんが先月の上旬頃やらかしたような行動のことだと思います」
「…」
「え~っ あたしも知りたーい!
屋上から飛び降りて無傷とか壁走りしてセンセーに怒られたりしたの?やっぱり」
正確には“転校前の不思議ちゃんエピソード求む!”だ。
あ~ぁ、へんなことになってる…
って睨むんじゃねーよ和泉。私のせいにするな。逃げるから追ったって?犬かっ。
現状の“不思議ちゃん”扱いは通行人だらけの校内でお前が本気出したからだろ。
自業自得ですぅ~。
変顔で退場したくないならもうやるなよ?また休校になったら皆の迷惑だ。
ガンツスーツは学ランでほぼ隠れてるとしても動画撮られたら流石にヤバイと思うぞ?
あっ、小島の噂はありません。
「転校生がナニカを追いかけてた」ってオカルト的に囁かれてはいるけど。
何をしても注目されないってスゴいスキルだよね(笑)。
「渾身のネタがすべったり…いや…ノーコメントで…」
「えっ?」
「ノーコメントで」
「そっか~。妖怪なんてそうそう出ないよね、しょうがないよ。見たら教えてっ」
「…」
ぎこちない笑顔で何か言い掛けるが結局拒否るロン毛。
だよね~自分の奇行を暴露する奴なんていないって、しかもタダで。
恋人をフォローする篠崎は残念そうな半笑い。
あれ?いつのまにか彼氏の面白エピソードじゃなく本当にあった怪奇現象を期待してた?
噂の修正を諦めているのか曖昧に頷く和泉。
…誰が妖怪だっ。
「見て楽しいのは大型動物だ」
質問前に“好きな動物”を答えるインタビュイ―。企画書見て覚えたんだろう。
でも惜しいなぁそれは次の次、正解は“クラスメートKとの関係”だ。“K”ってあいつのことでしょ?友人って答えればいいじゃん、なんで自主規制?
トばしたいなら止めないけど。
「たとえば?」
「海獣とか。無駄のないフォルムが雄大で綺麗だと思う」
「怪獣かぁ、男の子って好きだね、そーゆーの」
「…。いや…シロナガスクジラとかの、な」
「どう違うの?」
「未発見の海獣も怪獣と呼ばれてそうですよね。
不完全な死骸で漂着するUMAの正体は大体が大型の海棲哺乳類でしたっけ?」
「…そういう意見はあるな」
「巨大イカとか宇宙人とか言われてる画像のこと?海の神秘だよね~」
「…」
「そーいえば和泉くんて猫派?犬派?うちにペットいるの?」
「マンションにはいないけど…猫よりは犬がs
「もちろん猫派ですよね?ジャイアントパンダは大熊猫って書くし」
「…パンダはクマ科だろ」
「和泉くんパンダ好きなの?今度見に行こーよ!」
「あー…うん。今度な」
「うちは鳥いるから猫飼えないんだよねー。オカメインコなんだけど超カワイ―の、
ほら」
その後は篠崎の写メ(神々しい白オカメだった)を見ながら和泉の戦争蔑視発言を聞いて終わった。あとはクラスメートの取材か、休み明けになるな。もつんだろーか充電。
「ねっ、タエちゃんて呼んでいい?」
「あ、はい」
「あたしのことも涼子って呼んで! あと…」モジモジ
「?」
「…タメ口でいいよ」ポッ
「…うん」
…これは、
仲良くしたいと思われてる?友達になってくれそーな予感、やったね小島、マンガ通りだ。
篠崎との遣り取りを日記に細かく書き残しておけば私が帰っても友達付き合いが終わらないかな?ムリかなー?
小島両親と担任教師以外に本名呼びされるのも初…いや3人目か。某放送部員と新聞部部長(仮)の次だ。
「涼子ちゃんはさっきの放送で私の名前を知ったの?」
「?んーん違う~」
「和泉くんに訊いて?」
「うん、今朝登校中に。びっくりしたよタエちゃんt
「ネットで知り合った奴が同じクラスだったって話。すごい偶然だって」
笑顔で答える美少女。早口で言葉を接ぐロン毛。
え?SNSじゃなくオンラインゲーム?その知り合いって説明したんだ?
似てるっちゃ似てるか。…そうか?
偽名とバレた経緯も謎だが和泉は小島の本名を担任に訊いたのかな?
入学時におこなったであろう小島の自己紹介をクラスメートの全員が覚えてないってことは無いと思いたいけど、どーかな~使わない記憶は薄れゆくモノ。
「日曜だし明日行こうよ」
「んー…」チラッ
取材ツールを鞄につめ動かした備品を元の位置へ戻し、見ると和泉に何かねだる篠崎。
目を逸らすロン毛。
面倒そうにするな~。
一度お付き合いを了承したなら誠意を見せなさい、ってこっち見んな。関係ね―し。
質問会なら次のミッションでも遅くないだろ。シナリオ通り明日呼ばれる、かもしれない。
「明日は小島と約束したからムリ」
おいぃ~っ(怒)。
言いおったこいつ。
フられるぞお前アホか…じゃない、アホだ。恋人を優先せずに何のお付き合いだよ。
それに小島の初友達をできた早々失くす気ならばやはりお前は私の敵だ。
ほら面食い美少女がこっちを睨んで……ないな。見てるけど。
「えっホントに?」
「言質とった」コクリ
「やだおめでとー!ならしょーがないね」
驚き顔の美少女に頷くロン毛。
何言ってんの?…ホント何言ってんの?
どこが「おめでとう」? 何も目出たくない、そして納得しないでっ。そこ怒るところっ。
止めてっ小島のために。君にしかできない。
「…
やっぱり私も混ざりたいな~。3人で遊ぶんじゃダメ?」
私の顔色を読んだのか意を翻す篠崎。自信満々&首傾げカワイイ。
…だが惜しい、っていうか何も解決してない。
私はカップルのコブになりたくないし外出も嫌だ。
どうせ新宿とか渋谷とか池袋に行く気でしょ。絶対に嫌だ。
「奴ら」の屯す場所が決まっていてもそこを移動しない理由が無いから東京中が安全ではないし。きみの彼氏は一部のクリ―チャ―に顔バレしてるからね(マンガと違い恐竜狩りで遭わなかったので写真は出回ってない筈だけど)。
デートしたいなら自室でイチャイチャしとけ。
「…わかった。じゃあ明日の予定はお前が決めといて」
「うん!」
荷物をまとめ廊下へ向かう和泉たち。腹が限界で頭から消えたのかこっちを振り向かず。
…私の都合は訊かれなかった。
===◇○○===
3月17日の日曜日。
ここは動物園。軽く見て回るなら丁度いい施設だ。
俺は今、蓮の葉がチラホラと浮かぶ池を左手に歩いている。桜の開花はもうチョイ先かな。
うちでゴロゴロしてたら篠崎から(和泉の番号で)電話が掛かッて来てアイツへの言伝を頼まれたあと俺の状況と予定を訊かれた。
イロイロと忙しーようで桜丘からの誘いは無い、来週は大会だから。
出場することを俺に教える気が無かッたらしく「観に行く」と言ッたら慌てていた。
予選(ひと月前に終わッたらしい)も応援したかッたな~。生で格闘技の試合を観るの初めてなのでかなり楽しみ。
とか思いつつ答えられないでいたら強引に誘われ(俺のコトどンだけ暇人だと思ッてンだ?)て正直迷惑だッたが、たまにはいいかも。
隣には言い出しッぺの美少女。付き合ってる和泉も勿論一緒に歩いて……
いや、ちょッと先を走ッている。無駄に身長あると目立つなァ。
そのもッと先に白ッぽい服装のアイツ。
走らなくても動物は逃げないッて~恥ずかしーヤツら。
昨日までアイツは和泉を力いッぱい避けていたのに一緒に動物園とかどーゆー風の吹き回しだ?
一か月半前の「トイレで爆発」事件翌日からアイツこと佐藤は教室に寄り付かなくなッた。
授業が終わると同時に出て行き、はじまる直前に戻る。ソレを毎日ずーッと。
言うのは簡単だがやるのは地味に面倒そう。和泉は数度失敗していた(笑)。
まァ見たワケじゃねーから追いかけてまかれ始業時間を見誤ッたッてのは100パー俺の想像だ。遅刻する度に佐藤を睨ンでたから当たらずしも遠からず…
ッてそもそも和泉が転入した次の日から…正確には休校直前から佐藤を気にしだしたのが謎。
6時限目から休校になッたあの日、昼休みに何かあッたのかもしれないが(トイレで星人?が爆発し)和泉がサボッた五時限目の授業中教室に佐藤居たし前日のミッションでは接点が無かッた。おそらくステルス機能を使ッていたのだろう単独行動していた佐藤と、派手にコケたあと起きず着替える機会を逃し(笑)最初に転送された屋上から移動できなかッた和泉が会話できた筈がない。採点時もその後もそンなそぶりは無かッたのに。
数日で追うのをやめたのは……誰でもやめるな、あンなに注目されたら(笑)。
和泉の追跡が終わッたコトに佐藤は気付かなかッたのか(指摘されなきゃ気付きようがないけど)授業以外で教室にいる時間は短いままだッた。
それとも全部俺の勘違いで佐藤が避けてたのは別のヤツだッた?トイレを汚した謎の星人(?)みたいなヤツがうちのクラスに紛れてて何かの理由で排除出来ない、とか?
う~ん、ムリがある。
なンでアイツらは星人(?)に気付いたンだろ? 俺が鈍いのかな?
それとも装備の機能か? 和泉に訊こうにも事件の話題を出すと不機嫌になるからなァ。
「玄野くん 私達も行こっ」
うきうきと駆け出す篠崎。
え~?
マンガと同じくクラスメート(ほぼ初対面)に付き添われ和泉に告白した転入生・篠崎登場。
皆大スキ動物園(捏造)。パンダ鑑賞に変わった質問会。