オリミッション開始。
西くんに周波数操作を教わる生身二人と加藤、山田、桜丘、サダコ、亮太。
猫(大)に攻撃される狼。
※グロ注意(犬猫派の方はとくに)※
=========
車庫を足場に登った屋根の上から見たターゲットは…
どっちだ?
Xショットガンのモニターに映る目標は2体。
1体は猫。
長毛種ということを差し引いてもぽっちゃり系と言えるプロポーションだ、くびれが無い。
但し大型犬の2倍以上ある体格の。
怖っ、何あれ~妖怪?猫又?……尾は1本か。
耳や目が微妙に動いてるし骨と内臓あるから置き物ではあるまい。公道のど真ん中に置く意味がわかんないし。
2体目は犬。
勿論ミッション先達の彼(?)とは別犬だ。
現場に着いた和泉で隠れてしまったが猫の手前に立ちこちらに尻を見せていた。
頭部は見えなかったけど狼っぽい毛並みと体型。ハスキー犬か?
角ばった尻からスッキリと脚がのび太い尾は巻いていなかった。骨格は(おそらく)普通。
不審点は4車線が交叉する十字路の真ん中に居るところか。首輪の有無は不明。
片方はどう見ても“いぬ”に見えないのでフツ―に考えて、あの変哲無い尻の持ち主が本命だが、穿った見方をすれば2頭ともシロで街路樹やはたまた電柱がターゲットってこともありえないこともない。
ほか2体の居る奥のスペースがもしも森林公園的な場所だったら森に紛れた数本のターゲットをヤッつける為には端から転送するしかない(植物系クリ―チャ―を伐採で処理できるとは思えない)。放火じゃ根っこが残ってしまう。
…。
いや実際、静物がターゲットって可能性は低いと思うよ?マンガの傾向からして。
寺院に紛れてた仏像とラストミッションの標的は見た目置き物だったけど人(一部動物や抽象的な物体)型ではあったし。
なんで今回はターゲット画像不備なんだよガンツ~。プンプン
双方、近くに飼い主や散歩紐は見えない。
何度確認してもマップに映る反応は1つ。遠くの2つも動いていない。
2頭のどっちかは通りすがりの野良生物。ヤッつけるのは避けたい。
クリ―チャ―っぽいのは猫のほう。ネコ科最大の雑種動物でもあんなに大きく育つまい。
星人の命名は“いい加減”だとして、ガンツは犬と猫の見わけがつかないのかな? ネコ目くくりなら指令の標的名を“ねこ星人”にすればよかったのに。
あ
モニター内で立ち上がる猫。口をカッと開いた怒り顔だ。
残念ながら口内から火を出すとかは無くその場でクルッと一回転、跳んだ獲物へ猫パンチ。
真下へ叩きつけられ弾む毛玉。
追い打つ肉球スタンプで野良犬は再び視界から消えた。
===□○◇===
ゴロゴロゴロ…ゴロゴロゴロゴロ…
なんで狼?
どっから出てきた。
シベリアン・ハスキーより少し野性的な獣が猫星人に踏まれ平たくなっている。
咽喉を鳴らし徐々に前傾するターゲット。微かに軋むような音、
!
もしかして猫星人が今まで見ていたのはあいつ?
だから「背後」か。和泉に隠れて俺たちの位置から見えなかったようだ。
って納得してる場合じゃねぇっ
狼が潰れちまう!
ギョーンッ
『グゥッ』
ギョーン ギョーン ギョーン
構えた俺を見、ジグザグと後退する猫星人。やっぱ見えてるじゃん俺ら。しかも警戒されていた!
あの図体なのに跳躍・着地とも音が殆どしない。
不覚にも宙でトンボをきる姿に見惚れてしまった。小首を傾げる仕草もじつに優雅…
あれ?いつのまにか戻ってるぞ顔面。機嫌が直った…
ク~ン…スリスリ
狼が横っ腹を俺の脚に擦りつける。
…かわいい。
慣れてんなこいつ。飼い狼なのか?
猫星人を撃ってるうちに俺の後方へ回り込んでいたらしい。
…ん?
『フ―――――ッ!!』ザワザワザワ
再び怒る猫星人。きれいに生えそろった柔毛を逆立てこちらを睨む。
Xガンは全弾避けられたようだ。それなら、
「キャンキャンッ」
俺が武器を持ち変える前に
狼は逃げ出した。
===◇○○===
「あ」
「どーした?」
訊き返すと桜丘はレーダーを指した。
モニターに表示されたターゲットを表すマークが高速で移動している。俺たちの現在地へ。
桜丘と俺の待機する民家の横をもうすぐ通りそーなカンジ。
「はい」
俺に向かって左腕を広げる桜丘。右掌は俺の肩。
え?またアレやるの?…恥ずかしーんだけど。
敵は“いぬ”だから飛行タイプではないだろう、という理由で民家の屋根に隠れようと決まッたのはいいけど移動方法がちょッと…
「どうしたの?」
「あー…いや俺たち消えてるコトだしこのままでもべつに…」
「だめ」
「……なンで?」
「私ひとりじゃクロノくんを守りきれないかも知れないし…行けるとこまで逃げよう」
待機場所の変更を主張する彼女の眼はギラギラと輝き呼吸が荒くなッているような、
気のせいに違いない。
「…」
「…」
「…はい」
根負けして桜丘の首に両腕を回す。彼女は俺の肩と膝裏を持ッた。
所謂お姫さま抱ッこ。
…。
恥ずかしーッ
周波数変えたメンバーにしか見られないとしても
はずかちーッ
「よーし そこ動くなよ―!」
「刀のがいいんじゃねーか?」
知ッている声が路上から聞こえる。ギャーッ。
俺が身を捩ると桜丘は屋根に降ろしてくれた。直前まで首の後ろからスンスンと聞こえた音は
幻聴だろう。
見おろすと近藤たちだッた。
乗ッてきたらしくバイクを後に歩く苫篠。運転席を降りながら辺りを一瞥する近藤。
ヤツらより手前にケダモノが立ち、首だけが振り返る。
すッげーデカイ……猫?
アレがいぬ星j
ゥアオオオォォォ…
!!
吠えたのは猫じゃない。ソレより北に居た大型犬……狼だ。
太い首を反らし夜空へ向け声を長く延ばしている。遠吠えするまで存在に気付かなかッた。
ォォォォォォ
静かな住宅地に木霊する。ッて、アレ?
(アオーン)(ワオーン)(キュアアァァ)(ウオーン)(キューン)(ウアーン)(アオーン)(ワオーン)(クオーン)(ウオーン)(キャンキャン)(ウアーン)(ワンワン)
狼の遠吠えに答えるような啼き声が溢れ…
たくさんの足音が近付いて来た。
==□◇□○□==
住宅地を縦断する4車線道路の脇道から駆け出て来る犬、犬、犬……
ダルメシアンやダックスフンド、バーニーズにシェパード、ラブラド―ルにゴールデン…
様々な種類が“いぬ星人”と狼の間に集まり壁をつくる…いいえ、星人の周りを囲んだ。
彼らは苫篠くん達ではなく円陣の中心へ注目している。
…狼の遠吠えに家犬の類を従える作用なんて無いわよね?
ってことは普通(?)の狼に見えるあれも星人、ターゲットの味方してるから歩道含め道路を埋めるこれ全部が星人なのか、
レーダーを確認する。
…。
この区画に出ているターゲットのマークは22コ。
やっぱり増えてる、でも変ね。ざっと数えて群れを構成する犬は30頭以上、数が合わない。
猫と狼以外は死角に隠れているってこと?
なら集まってきた犬たちはターゲットに操られ目暗ましに使われているだけのペット。ヤッつけるのは可哀相。
優先順位は低いけど。
!
もしかして20匹は消えている?
クロノくんと私のように不可視化している、としたらマズイわ。かなりマズイ。
「無視してっと斬っちまうぞ~お前ら」
「おいっ次郎 一旦退くぞ!こいつらたぶん…」
ターゲットまでの道を開けさせる為だろう、円陣外縁のシバやダックスに向かって刀を振り上げる苫篠くんに近藤くんが撤退を提案するが、
「おい、アレ…」
クロノくんが指すほうを見ると2人の退路を断つように別の群れが迫っていた。
===◇○○===
「苫篠!」
モサッとした頭へ呼び掛けるとすぐに気付いてこッちを見上げた。
近藤たちはソードを持ッてXガンをサブウェポンにしているようだ。アイツらの剣捌きを知らないが多勢に無勢。
スーツが無事なうちに包囲を抜けるべきだろう。
「ジャンプしろ 上がッて来い!」
「!」「よしっ」
「クロノくん!!」
声と同時に左腕を引かれた。振り向くと上目遣いでこッちを睨む桜丘。
あ、ゴメン。お口にチャックだよな、わかッてる分かッてる。いやホントに。
『カ――――――――――ッ!!』
ガガガガガ…ッ ドゴンッ…
……ズシンッ パラパラ
何事?!
覆い被さってきた桜丘をどかし騒音の結果を確認するため彼女と一緒に屋根の下を覗くと案外近くに目があッた。
ベランダに落ちた頭部、その眼球が。
手すりにひッかかる残りのパーツ。
歩道と隔てる低いフェンスに垂れ下がる毛むくじゃらの下半身。
凹み斑模様になッた車両とソノ足元に横たわる千切れた四肢。
飛び出した肋骨や大腿骨ほか名称の分からない部位。
最後に響いた音の発生源だろう隣家の車庫を陥没させる電柱。電線が断裂しこッち側の外灯が消えグロさを緩和している。
俺たちの居る民家、路に面したその壁も塗り替えられているのだろう、路を隔てた反対側の壁を盛大に汚す鮮やかな液体。
肉片だらけな歩道・駐車場の背景、とくに低い位置の塀は酷い。
デカ猫を囲ンでいた群れが消え、周囲に犬の残骸が散らばッている。ヤッたのはアイt
「次郎!そいつっ」
あ、近藤と苫篠無事だッたの か
不意に振り回されスレートについた右掌から目線を上げると完璧なヒップライン、じゃなくて桜丘を挟ンだ反対側にケダモノが居た。
ピンと立ッた耳、高い鼻。太い首と丈夫そーな四肢。
一声で群れを呼ンだ狼…
ジャンプしてデカ猫の攻撃を避けたらしい。
視線は路上の猫へ注がれている。
タンッ
一度もこッちを見ず屋根を蹴る狼。
俺たち…いや空中の敵へ素早く向き直るデカ猫。
迎撃する前にソノ目が窄まる。猫が居たスペースを一瞬で駆け抜けた一頭…シェパードへ回転しながら尾を振るう。
ドンッ(ぶえっ)
横倒しでアスファルトごと凹むシェパードの胴。口と尻から中身が噴出。
さッき騒音出した武器、尻尾かよ!
「うえ~…」
「仲間割れか」
「クロノ達のほうに出たんだよな、この前あーゆうのが…ってクロノは?」キョロキョロ
「逃げたんだろ。俺らも行くか?」
「じょうだんっ 大物倒すチャンスだぜ!」
「あぁ、漁夫の利か…そう上手くいくか?」
周波数を変えている桜丘に手を握られたことで視えなくなッた俺への疑問をすぐに消し会話する近藤たち。観戦モードだ。「漁夫の利」はいいけど漁師ッつか観客が安全とは限ンね―ぞ。
近藤たちの退路を塞いだ群れは無事だが猫を囲ンでいた群れは壊滅か…
ゆッたりした動きで尾を定位置に戻す猫。
犬数頭が四方を囲む。アレ?諦めてない。
歯を剥きだし戦意充分ッてツラで巨体を睨む数頭は狼と同じく民家の上へ逃げ範囲攻撃をやり過ごしたンだろう。
犬は人間より運動能力高いらしいけど一瞬で2階屋へ飛び上がるのはムリだよな?
やッぱりヤツらも星人…
猫星人へ次々とアタックする犬星人たち。突ッ込ンでは去なされるが諦めない。
タイミングを合わせ前後から攻めたり壁を蹴ッて上空から仕掛けたり。
作戦のうちなのか無傷な群れは動かない。
===□○◇===
時は少し遡る。
聞き慣れないエンジン音が響く十字路。
獣たちが去った此処に用は無い。狼の逃げっぷりも凄かったが猫星人のスタートダッシュ、というか大ジャンプは圧巻だったな。…数分も保たないだろう。
ヒュィィイイ ルルルル
「いけ行けーっ!」(うるせー)
バイクで出発する苫篠たち。
ターゲット2匹につられてかあいつらも右側の車道を逆走だ。
乗り物使うならミッション中でも道交法は守れよ、一般人には避けようが無いんだから。
「どうする?加藤くん」
「え?」
山田さんの意図が分からなくて駆け出そうとしていた足を止める。
彼は亮太(はキョロキョロと辺りを見回し「今日の宇宙人は?」と今更なことを呟いている)と手を繋ぎ思案顔。戻って来る風とJJ。
「どげんした追わんけんか?逃げられたらしゃーしぃーなんやろう?」
「What happened?」
「いや、山田さんが」
「提案なんだけど、このまま全員で行動するより手分けした方がいいんじゃないかな?
この先にも2匹ターゲットが居るわけだし」
「あぁ、そう…ですね」
「ってゆーかコンタくん達だけでなんとかなるかもよ?
北条くんやクロノくん達も援護くらい出来るだろうし…」
前半は同意だが後半は駄目だ。
「生身のメンバーは星人に見つかるだけで自殺行為なんだから、
巻き込む前提で考えないでください。計ちゃん達は逃げに徹すると言ってたし。
今回は俺たちだけでやるしかないんです!」
「そ、そう…」
何故かどもる山田さんの声を聞き流しながらメンバー達を1人1人見る。
頷いてくれたのは風ひとりだがJJにも文句は無さそうだ。
和泉はレーダーをチェックしている…
ゥアオオオォォォ…
そのとき住宅地に遠吼えが響き渡った。
あの狼だろうか。今夜も曇っているのか月すら見えない、でも何となくあいつな気がする。
続く雑多な鳴き声。一帯で飼われている犬たちだろう、近所迷惑な。
…。
さっきも引っ掛かったことだが、狼が星人じゃないなら視えない筈の俺に擦りよるなんて変だしフツ―のペットが星人の声に答えのもおかしい…
メンバー達へ視線を戻すと嬉しそうに目を細める男がいた。
和泉だ。
「よかったな、迷う必要が無くなったぞ」
左手首につけたレーダーをトントンと叩き俺に笑い掛けてから踵を返す。行く先は…南。
慌ててマップを確認する。
「お、おいっ」
「…」ヒラヒラ
振り向かずテキト―に手を振ると和泉は走り去った。
全員で向かおうか迷っていた北のターゲットが1匹から22匹に増えたことをアイツは皮肉ったのだろう。
近藤たちが心配だ。はやく行かねーと。
和泉は南東の2匹を独りで片付けるつもりか。
…今回もボスが出るのかも。
観測位置的に顔が見えないので狼(タイリクオオカミ)を家犬(シベリアン・ハスキー)だと思っているオリ主「だいたい同じか」
桜丘「我は美少年を合法的にハグする権利を得た!クロノくんの艶髪いいにほひ…」
和泉「今回こそボスを仕留める」