(先行した近藤たちが居るであろう)ターゲットの増えた位置へ移動する加藤たち。
※引き続き、犬猫のグロ化注意※
暫く走ると四車線道路を塞ぐように広がる獣の群れが見えてきた。
構成するひとつひとつが妙に小さい。
フツ―の猫サイズ、よりは大きい。いや小さいのも居るが毛並みと後ろ姿が完全に猫じゃない。
狼に答えた犬か?こんなにたくさん…。
メンバーと闘って、はいないっぽい。なら何で集まっている?
20頭以上屯してんのに静かすぎる。
俺たちが背後に加わったことを察しているだろうに全部が身じろぎせず、それぞれの住処から急ぎ集まったにしては呼吸音も微か。不気味だ。
そして犬の口臭とは違う生臭さ…
「1匹だけか」
道路に座る猫の耳がピコピコと動く。
奴もこっちに背を向けているがあの尻尾は間違いない、さっきの猫星人だ。
猫タイプが他に居ないってことはレーダーの22匹(猫と狼抜かすと20匹)は手前のペット達? それにしては数が合わないし様子がおかしい。
行き違いになったとか?
物陰に潜んでいるんだろうか?
後者の想像が当たってるとしたら理由は明白、星人を狩りに来た俺たちを待ち伏せて一網打尽にするため…
って罠じゃん。
レーダーへ視線を落とす前に猫星人がこっちへ振り返る。
ドッキン ドッキン ドッキン
無表情で向き直るターゲット。前脚の先がさっき見たよりも濃い色に変わっている。
やばい。脇の家屋も含めた現場全体を警戒したいのに集中できない。どうしても見えてる猛獣へ意識が向いちまう。
「…」「…」「…」…
歩いて来る猫星人に身構えたのか群れが動いた。
いや逃げろよ!この惨状が見えないのか?
お前らと同数かそれ以上があいつ1頭にやたれたって着いたばっかの俺でも連想したぞ。
狼が呼んだ別の群れだったものか、路は千切れた毛皮だらけ。
地面から生えたような格好で舌を出し虚空を見つめる頭部はイヌ科の動物。
星人かどうかは保留としても、なんてこった。誰かのペットが巻き添えに…
異様な雰囲気のなか葛藤する獲物を甚振るようにゆっくりと歩を進めるでか猫…
『ニ”ッ?!』カクッ
中央分離帯に溜まった犬塚に差し掛かった途端バランスを崩すターゲット。
左前脚が骸のひとつを踏み抜くように埋まり、見おろす猫目。
あ
逆側の堆積物を散らし現れた大型犬…ダルメシアンの体当たりが広い背中にヒットした!
『ギァァァアアアァアァアアア!!』
肩の間あたりに重しを付けたまま苦痛の大声を上げる猫星人。
振り回されても離れないブチ柄。
柵や塀の小山からも犬が飛び出し猫の全身へ喰い付く。とくに腹部へ。
のたうちまわるターゲット。汚れる毛皮。噴き出す血潮。
そうか、骸に足をとられたんじゃなく偽装した犬による妨害…仲間の残骸に紛れ死体のフリを…
…。
賢すぎねーか?
ババンッ
爆ぜたのは猫星人の頭部。
力尽き右側面を下に倒れた途端爆発した。
残された身体の断面、食道と思しき穴が血よりも濃そうな液体を零し広がる。
数頭が群がる入口から出られなかったのか猫の洞から小型犬が這い出した。
===◇○○===
猫が負けるなンて意外だ。
攻撃が当たりだしてからは早かッたけど。
決め手になッたアノ攻撃、やッたヤツはいつ隠れたンだ?
猫が自慢の尾を振り回し力任せにすぎる解体ショーを催したあと生き残りとの攻防中、大型犬が死体をめくり(潜り?)下に隠れるトコを見逃すほど目を離した記憶は無い。
無傷の群れに対しても同じ。
破壊された犬が積み重なッた山は両側の歩道と4車線道路を跨り複数できていたが中心の闘いに気をとられていても視界に入る位置にあッた。
もしかして、同じ攻撃を食らッても千切れるヤツと千切れないヤツが居るッてのか?
猫を喰い殺した犬全部が円陣への薙ぎ払い時に無傷のまま吹き飛ばされ、出番まで死体のフリしていたッてのとどッちがありえそーな話だろう
タンッ
微妙に重要そーな思考を遮ッた音のほうを見ると毛玉が居た。知らないポメラニアンだ。
軽そーでフワッフワな小型犬にしか見えない。でもここは屋根の上。
…星人の1匹か。
「おっ」「なんだぁ?」
ポメラニアンと反対側の近藤たちも気付いた。
そうか、猫の次は俺たち。
ジッ、とこッちを見つめてから近付いて来る小型犬。周波数を変えていないメンバーが近くに居たンじゃ消えてても意味無いな、先に桜丘とぶつかるルートだ。
…。
俺の目がオカシ―のか?…ポメラニアンが膨張している。
モリ モリモリ ブチブチ…
ぅおぉ…、ドンドン円に近付いてンぞ、あのケダモノ。すでにバランスボールなみの大きさ。
内側からの圧力で伸びきる皮膚(?)はグロテスクな水風船…
ドボッ
ヒュルヒュルヒュル…
が消失した。
「なにあれ!こわいっ」
俺に抱きつく桜丘。
その「こわい」ものを蹴ッ飛ばしたのは誰なンだ?とは言わないほうが良いだろう。
「だ いじょうぶだから」
と繰り返し桜丘の背を撫でてみる。
見慣れた動物の変容に彼女はマジで怯えているのかちょッと苦しい。
スピンがかかッたらしく着地後弾まず路上に落ちたポメラニアンは左目の下が凹み眼球が家出。怖い物体をなるべく遠くへ飛ばすため堅そーな部分を蹴ッたようだ。
肩越しに見える犬風船はそろそろヤバい。
空いた左腕で狙いをつける。
ギョーン
あ、加藤。オマケがあるかも知ンねーから離れとけ。
===□○◇===
ドバンッ
(ギャンッ)(キャンキャン)(ギャアッ)バタバタバタ
誰が撃ったのか丸い生物(?)が盛大に破裂した。群れの前面が騒がしい。
ガンツ程に膨らんだ物体に嫌な予感がして顔を庇ったのでその時くっついたんだろう右腕から細かいものがパラパラと路上へ落ちた。胴にもついてる…パタパタ
白っぽい棘だ。骨?
メンバー達を見ると山田さんが額へ眼鏡を上げていた。また割れたらしい。
ミッション帰りの転送時、身に付けて戻れば壊れても復元される、とチビ星人の採点後に気付いて喜んでたっけ。
わっ
「ガルッ!」
咄嗟に避けた獣はバーニーズ。
慌てて群れを見ると30匹近い全部がこっちへ振り返っていた、身構えている。
歯を剥き出して威嚇顔。
いやいや俺たちは猫星人の仲間じゃねーって
「加藤!」
ギョーンッ
「気を付けろ!ソイツら星人だッ」
どこからともなく聞こえる声。
やっぱり計ちゃんからもそう見えるらしい。
「全部か?!」
「ああッ?!」
「ここに居る奴ら!!全部が星人なのか?!」
「たぶんッ!!」
たぶんじゃ困る!
群れの向こうのアスファルトが爆ぜ、乱れる隊列。
「レーダーの 印はそいつら よっ!」ボキッ
ダンッ
黒い人影が見える屋根から何か飛んできた。
そーいやさっきの爆発物もあそこから落下してたな。
路上にぶつかった獣がよろよろと起き上がる。マルチーズっぽい小型犬だ。
桜丘さんも「たぶん」と付け足したようだがアレについては俺も納得。
目から触角を生やす犬は犬じゃない。
のびてる伸びてる
(とうっ)(あっ バカ)
屋根から飛び降りた勢いで犬たちへ斬りつける黒い影は苫篠。
攻撃されたのは猫星人の周りでゴソゴソしていた奴ら。続いて近藤も着地。
「誰がバカだーっ!」
「はっ 当たってねーぞ!よく見ろ」
ギョーン ギョーン ギョーン
「ちっくしょー 猫やったの誰だよっ!」
「ははは」
ボンッ ボンッ バンッ
「あっ くっそ」
大振りを避けられ悪態を吐く苫篠。その背後をとったセントバーナードの背が破裂する。
直前に爆ぜた道路も計ちゃん達か?
隠れていてほしかったけど既に見つかっている現状、協力して一気に片付けるほうがお互いに安全だ。
援護のついてる近藤たちは問題無い。
俺はその場で捕獲銃を構え、JJと風は左右から前進。たぶん山田さんは亮太と後方へ。
競うように突き蹴りを繰り出す巨漢×2。短い悲鳴を上げ次々と宙を舞う犬星人たち。
俺は目の前のラブラド―ルへワイヤー発射。
「なんっ? 気ばつけろ加藤っ こいつら!」
風が続きを言う前に光るワイヤーが砕けて落ちた。
足元にアンカーの残る大型犬から生えた…あれは角?
いや刃物っぽい。顎の下辺りから計3本が放射状に飛び出ている。
後頭部からも生えてそうだ。なんだか痛そう
とか思ってる場合じゃねえ!
「みんな やつら刃を出すぞ!注意しろっ」
「ぎゃっ」
後方からの悲鳴。山田さんっ?!
振り向くと脇腹を抑え蹲っていた。横でおろおろする亮太。
アンカーを撃ち周りの犬を牽制しながら近寄ると彼はこっちを見上げた。意識はあるのか。
スーツは生きてるようだが血の匂いがする。寝間着を使うか…とりあえず強く押さえて、ああ、わかってますよね…
突っ掛かって来る犬星人を避け地を蹴る。
ひとまず離脱だ。
===◇○○===
負傷したらしい山田が加藤に手を貸されジャンプ。
俺たちの居る屋根のふたつ横に落ち着いた。加藤は路上の攻防へすぐ復帰し、亮太は怪我人に付き添ッているのだろう、上がッたまま。
犬星人が登ッて来なくなッたのでレーダーを確認。
南東の2匹は健在。
ココに居ない和泉が交戦中か?……何か忘れているような
現在地のターゲットはどれだけ減ッたか
アレ?
もう一度数え直す。やッぱり20匹居る…2匹しか減ッてねェ!
「おい こいつ!なぁ」
「ああっ!」
「…さっき斬った奴だ!!」
対峙する5匹から後ずさる苫篠。顔面の汚れた犬どもの後ろにはデカ猫の死骸。
アイツが刀を向けている犬星人は一見フツ―…いやよく見ると首の下から左前脚にかけて毛皮が無い、ッていうか赤剥け?
両前脚と頭に毛が無いヤツも居る。汚れかと思ッていたが…
「うわああぁぁあ!」ザシッ
ブッシュゥゥゥウウウ!
血しぶきを上げ倒れる赤剥けプードル。
飛びかかられ驚いたからかカウンター気味の逆袈裟。左腰から右肩へ抜けた斬撃でパックリと割れた腹から臓器が盛り上がる。
ちょッと暴れたあと仰向けで停止した。
フツ―の飼い犬とは違う目付きが不気味だッたけど、ああなると不憫だ。
何だよ苫篠、見間違いじゃん。星人だからッて斬り殺した生物は生き返らない…
はずの頭部が動く。
え?
そンな…ははは…マジか…
はみ出ていた大腸が住処へ戻ッていく。そーゆー虫みたいに。
瞼を擦ッている間に傷口は閉じ、蛇が這ッたよーな痕と血溜まりが残ッた。
(なんなんだよ…こいつらぁ…)
「ふんっ!」ダンッ
ガシッ
ガッ
おそらく2度、いや3度目の蘇生をした犬を凝視し棒立ちの苫篠。
近藤は襲いくる4匹を斬り飛ばす。頭部を落としたターゲットへ駆け寄り更に解体。
4分割したトコで邪魔され新手へ向き直る。犬の咬みつき、じゃなくて体当たりぎみの刺突を避けながら首級を蹴り飛ばす。電柱の高さを越えて北の空へと消えたソレは、エリア外へ出たのかも。
フィクションのゾンビは頭部をどーにかすりゃ倒せるッてのがセオリーだが、どーかな?
ゾンビは再生しねぇし。
残る3パーツのうち一番小さいひとつ…腰肉(?)パーツが不穏な動き。
3つの断面が交互に浮き上がるみたく揺れ体表が波打ッている。内蔵する何かが暴れているかのようだ。泡立つように膨らンだ各断面からズバッと触手(?)が生え瞬く間に犬の骨格を成形。次に血管で輪郭を覆い筋肉・内臓の順かな?途中、他の2パーツとぶつかッたが結合しようとも取り込もうともしなかッた。一度離れたらゴミ扱いか。煙や蒸気で覆われるコトなくクリア―な視界で観察できた。
…超グロい!
奮闘する近藤とシバイヌの間をアンカーが横切る。
再生したての犬星人(犬種不明)に巻き付く光帯。
「倒せない奴がいたら言え 俺が送る!」
上空から伸びるレーザーで消えていくターゲットを見ずキョロキョロする加藤。
横手からの突撃を避けXガンで牽制。
「そいつら全部そうか?!」
「おうっ その手があったな!やってくれ」
「1匹づつやるから!その…」
「邪魔しねーよ―にすりゃいいのか?!」
(もっと細かく斬りゃ再生しねーんじゃ…)
(銃使おーぜ)
数え方:一般犬猫……頭
ターゲット…匹
疑わしきは星人(標的)。