凡キャラでGANTZ   作:フランディーニ

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前回のあらすじ:
巨大いぬ□■星人VSデカ猫たちを観戦する近藤と加藤。



いぬ編⑤

スモークが晴れるとさっきと同じ位置に大分小柄になったターゲットが居た。

四肢を失い顎(?)を地につける姿は益々建物っぽい。

その周囲をちょこまかと走り回る6体。もう数分は駆け続けているのに衰えないスピード。

細身な白い影が鼻先を刈る。

 

コォオンッ

 

高い音をたてバウンドしたのはドラム缶。

 

コンッ カァンッ カン コロコロコロ…

ゴゴゴゴゴゴ…ズシンッ

 

芝生を転がる缶が止まる前に巨大ターゲットが崩れた。

表面の質感(?)が変わり剥がれ落ちる、と言うよりまとまりを失くす粗大ゴミ。

もう不法投棄の山にしか見えない。

 

「…は?」

「死…んだ?」

「わっ」

 

キュゥィィィィイイイイ… 

 

「わ”あっ!」

 

胃が浮き上がるような感覚と立ち眩みを感じたと思ったら俺の脚は地面から離れていた。

いつもより重く感じる頭部に戸惑いながら隣を見ると逆さになった近藤は耳を抑えている。

地面が 遠い

 

『ギョブッ!』

 

わりと近くに白い毛皮。

腹と脚が急激に細くなった獣が浮いている。

例えるなら紐の付いた砂時計。ああなる前の姿を見てなきゃ何の動物か判らなかっただろう。

ゴミ山の向こう側はわからないが他の猫星人たちも空中で停止…いや脚は動かせるようだ。

泳ぐ象の様な動作を繰り返している。

 

新手の仕業か?

視えない犬星人?

さっきの黒狼と同じ能力の奴か?

不可視の帯が俺たちを釣り上げ自由を奪っているのだとしたらシロ猫の周囲がおかしい。吐瀉物が衛星のように纏わりついている…

そうだ!

 

ドンッ

 

窪む地面。

クレーターの中心にはドラム缶。外灯に照らされたその表面と舞う芝が揺らめき…全く落ちない。

あれって…

 

バチッバチッバチッ バチッバチッ バチッバチッバチッ

 

スパーク音と共に出現するメンバー。

姿を消して斬り付けたそいつは缶にソードを振り下ろした体勢。靡く長髪。

切っ先は地面よりかなり上で停止。寸前で止められたのだろうそのブレードがじりじりと缶から離れてゆく。

 

ドンッ

 

俺の視力が正常なら和泉はソードの先を額に受け後方へ飛んでった。

ブレードが一気に屈したのだ。針金を曲げるようにグニャッと。

 

「うおぉぉおああああ!!」ギョーンギョーンギョーンッ

 

逆さ状態で射撃する近藤。狙いはドラム缶。

 

「?!

 おいっ ちょっ待てって… あ、あああぁぁあ!!」

 

不意に両腕を万歳しXガンを取り落とすと俺の横でグルングルンと側転しだした。

うわぁ~…

咄嗟に伸ばした左腕、に付けていたレーダーが破損。へこむモニターと変な音。

故障しちまった?!

衝撃でバランスを崩したまま顔面へかかる圧力が増してゆく。

なんとか持っていたYガンも手から離れる。

スゴイ速さで上下が入れ替わる景色。

ゴォゴォとうるさい音に聞き慣れたモノが数回混じった途端それらは止み…

 

暗転

 

 

 

=========

 

 

 

「だぁかぁらぁ、まだ残ってたんだってぇ~」

「はァー?」

「信じ難いけど事実なんだよ。あのあと移動中にまた襲われちゃって」

「マップに映らない星人?」

「そうかも」

「見てなかッたのかよ~」

「そっちもだろ」

「む~」「…」

「まぁまぁ。べつにいいでしょ終わったんだし」

 

睨み合う玄野と苫篠の間に入り笑う山田。チラリと黒球を見る。

確かに、まだ1分ちょっと残ってるね。

ここは黒球部屋。

最後は焦ったが無事にミッションをクリアしたらしい。

 

♪ち――――――――――――――――――ん♪ 

 

「う?」

「あ、リーダー」

「加藤!」

 

寝転がったまま周囲を見ていた加藤がガバッと身を起こす。

視線の先は近藤。安堵したように息を吐いた。

 

 

… … 

 

 

“犬……1てん よ<できまJた(笑) TotaL1てん あと99てんでおわり”

 

「…」「…」「…」

いつも通りにガックリしてガンツの前から退く犬。周囲は微妙なクウキ。

サダコ・北条・岡崎・小学生は0点だった。北条たちはマジメにクリ―チャ―を避けたらしい。

 

「3点か~。あっ」

「5点ッてコトは1匹1点…」「ああ、また…」

「アレ?」「え?」

「1点じゃないのか犬星人。さッきの犬の点数は別の星人か?何種類出たンだ今回」

「俺らは犬と猫しか見てねぇなぁ」

「クロノくんが撃ったアレは特殊だったとか」

「そーいや膨らンでたな」

「コンタは16点か~俺何点だろ」

「?さっき出てたぞ」

「え?いつ?」

「俺の前…」

「え~?見逃した~!」

「何やってんだよ…」

「いや消えるのが早いんだよ今回」

「そーだな、なンでだろ?」

「さぁ…忙しーんじゃね?」

「ガンツが?」

「…」「俺の点数~…」

「11点。累計16点だからあと84点よ苫篠くん」

「サンキューねーちゃん ってスゲーなおいっ半分以上稼いでんじゃん おっさん!」

 

どっちの「おっさん」だ。

数人が黒球前に立っているため全然見えない。採点済んだなら退きなさいよ(笑)。

犬風船の配点はちょっと気になる。

 

「あっ あ?!」「西 西!」

「お前ら邪魔なんだけど。ガンツ2番な」

 

センパイのために玄野たちが場所を空けると100点メニューが見えた。

画面が変わる。

 

“動物好き……1l2てんTotaL112てん 1O0てんめにゅ~から選nで下さい”

 

まつ毛中分けロン毛も満点か。

私が玄野たちを覗いてる間にたくさんヤッつけてたの?

和泉がドラム缶に入ってた奴を撃ったのは見た。

加藤たちが宙でクルクルしだした&時間が押してたので、スキャンできない(真っ白or全透過だったからコンクリでも詰まってんのかと思ってた)ドラム缶を狙撃したら穴から素麺っぽいものが大量に噴き出しそれを和泉が駆除した。Xガンで。

…このタイミングで出ないよね?100点ターゲット。

 

後は加藤と私か、あれ?100点2人の後ってことは……

 

 

 

===□○◇===

 

 

 

“佐藤(?)……12∞てんTotaL128てん l0❍てんめにゅ~か5選んでください”

 

計ちゃん達が空けた隙間へ佐藤さんが歩み寄る前にガンツの表面は再び特典画面へ変わった。

 

「いいなぁ佐藤さん終わりだって」

「まぁ順当だよな」

「おつかれさま」「…」

「どうするんだ?」

 

笑顔で労う桜丘さんの隣で計ちゃんは無言。選択を急かす和泉。

お前は黙っとけ。

特典1番の文言は“記憶を消されて解放される”だ。

爆弾から解放されても秘密を洩らさないようミッションに関する全ての記憶を削除されるんだろう、ここ数カ月の記憶を。

俺たち全員の思い出も忘れるってことだ。

…未だ先の話だと思っていたのに

もう会えない。

 

「…大盤振る舞い?」

「…」「…」「…」

「どれにするンだッて訊いてンだよッ 武器か解放か!

 最後までボケてンじゃねーッつの」

 

佐藤さんの呟きに凍るクウキを大声が戻す。計ちゃん!

 

「じゃあ3番で」

 

ジキジキジキジキジキ… 

彼女が宣言するとガンツ表面にたくさんの証明写真が表示された。横18列に縦11列の並び。初めて見る画面だ。

これは…もしや…

 

「え~っと、この人を再生して下さい」

 

ジジジ ジジジジジ

 

スーツを着たおばあさんが再生された。

 

 

 

=========

 

 

 

ハスキー・タイプは準ボスだったのか、2体しかやっつけてないのに60点も貰えるとはね~。

一体30点としたら偽千手より10点も多いじゃーん、ホント基準が判らんわ。

…お蔭でちょっと混乱しちゃってるよ皆さん。

 

「お”ば~ぢゃ~ん”!!」

「亮太、どうしたの?どこか痛いの?」

「何で武器を選ばない?すぐ死ぬぞあんな奴」

「?!」「和泉っ!」(マジかよ…)(誰だぁ?あのばーさん)

「死なないもん ばかーっ!!」(あー…寺んときに居たろ。エイリアンみたいのが出て)

(…)「っ ばかばかばかーっ!!」(うっうっうっ)(!ああ、あんときの)

「亮太? 亮太?」(さ…桜丘?)(どーしたんだ?あの女)

「どういうつもりだ?これから必要なのは武器だろ。足手纏いじゃない」

(???)(ちょっと何したの?クロノくん)「えッ俺?!」

「あ、えっとですね再生されたんです、あなたは」

「…はぁ?」

 

恐いロン毛に掴みかかれず大泣きする小学生。訝しげな老婦人。桜丘も泣いてる、貰い泣き?

 

「お前も100点ば越えとーぞ、加藤」

「え… あ、俺?」

「残りはお前やろ」

 

風の指摘でガンツへ注目するメンバー達。老婦人を指していたロン毛も問いをやめ視線を向ける。祖母の腹に顔を擦りつける孫と、顔を両掌で覆い座り込む桜丘は興味が無い様子。

本日4回目の100点メニュー。

 

「やッたな加藤」

「…うん」

「1番だろ?」

「…」

「言ッてたじゃん、弟ひとりにしたくないッて。…迷ッてンのか?」

「いや…」

 

玄野の問いにパクパクと口を動かすのみで答えない加藤。何だそのジェスチャー。

 

「大丈夫だッて。オマエが居なくても俺たちはなンとかなるよ。

 心配しなくても新メンバーに説明する役なら俺が引き継いでもいいし」

「じゃあ次のリーダーはクロノくんだね」

「ソレはヤダ」

「なんで?!」

「とにかく3番は無しな。キリがねーよ、死ンだメンバーをいちいち再生するなンて」

「…」

「! おいっ」

 

黒球を指す北条。見ると3択目の下に追加文が。

 

“はやく決めてくだちい 00:00:58”

 

「これって…」「はぁっ?!」

「あと1分もねーぞっ」「えっえっどーなるの?決めないと」「やっぱ忙しーのかぁ?」

「リーダー…」「急かしてんじゃねーよガンツ!待ちたくね―なら最初から1択にしとけ」

「加藤、オマエは充分やッたよ。1番を選べ」

 

「俺は…」

 

100点メニューの3番を選ぶ(あるいはガンツに頼む)と表示される“MEMORY”の証明写真たちはミッション中に退場したメンバーだ。知らない相手でも再生すれば感謝されるだろう、そのメンバーが復帰を望んでいれば。

あぁ滅多に無いと思うが、すでに再生されていて解放を選んでいるとしたら大迷惑だな。円満に再生したいなら見たことあるメンバー、ねぎ星人狩りから加入した人間のどれかを選ぶべきだね。僧侶の右隣の男性とかどうかな?

2番はお勧めだ。

これから(たぶん)ターゲット増えていくからZガンはお役立ちだよ。

フルコンプ狙うのもいいね、加藤なら3つ目の100点武器を使い熟せるかも。

…なんてな。

本命は1番でしょ?

マンガで初めて100点とったとき尊敬する幼馴染の再生と自分の自由を天秤にかけ、かなり悩んでたし、それほど魅力的な特典なんだよね?

だが選んだ場合、不利益をいくつか予想できる。

弟や友人に健忘症を疑われるならまだマシだ。仕事や学校での経験を忘れテスト赤点でバイトする時間が減ったり禁止になり解雇されたら親戚宅へ逆戻り。ガンツに関わる記憶以外は残るとしても、どこまでが関係無い記憶と判断されるか分からない。ガンツとそれに関連する出来事を催眠術や暗示で忘れたつもりになるのなら消される記憶は本人が選んだものになるからマンガの玄野のようにガンツの記憶のみがキレイに消えるとは限らない(自身の曖昧な記憶について玄野が無頓着なだけかも知れないけど)。

ガンツ装備無しで人助けもリスク高い。

奇跡が起きて最終章まで生き残ったとしても他人庇って退場する姿しか想像できない。

あっ、玄野より先に解放されることは気にしなくていいと思うよ?多分あいつ忘れてる。

 

悩みが解決したのかまっすぐな目をする加藤。

視線の先は小島。

?…ガンツは後ろですが。

異様に緊張したクウキのなか彼は運命(笑)の言葉を発した。

 

「2番」

 

…大穴だ~…




残りターゲット2体(黒狼とジャンクボス)の居る森林公園へ向かっていた山田たちは手前で再び犬の群れに襲われ、再生するターゲットは出なかったので和泉がボスにとどめを刺した少し後に全滅させた。

宙に浮かべられた加藤と近藤は激しく地面へ落とされたショックで気絶。
その際ガンツスーツは故障していなかったので(黒球部屋へ戻る前も)無傷。

ガンツメンバー撤収後、でか猫の生き残りは普通サイズに擬態→帰宅。

いぬがみ星人ミッション採点詳細:
“犬……1てん以下略”
(ジャンクボス由来の線虫もどき1体)
“メガネ……3てんTotaL6てん あと94てんでおわり”
(線虫に感染したばかりのペット=寄生ペット3体)
“あねご……5てんTotaL29てん あと71てんでおわり”
(寄生ペット5体)
“くろの……8てんTotaL25てん あと75てんでおわり”
(犬風船=犬星人1体)
“とましの……11てんTotaL16てん あと84てんでおわり”
(寄生ペット11体)
“コンタ……16てんTotaL23てん あと77てんでおわり”
(寄生ペット8体+犬星人1体)
“バンカラ……49てんTotaL49てん あと51てんでおわり”
(寄生ペット33体+犬星人2体)
“空手家……54てんTotaL62てん あと38てんでおわり”
(寄生ペット30体+犬星人3体)
“西くん……11❍てんTotaLl10てん 1O0てんめにゅ~から選nで下さい”
(寄生ペット34体(?)。34点取得)
“動物好き……1l2てん以下略”
(ジャンクボス1体。100点取得)
“佐藤(?)……12∞てん以下略”
(狼1体+黒狼1体。60点取得)
“かとうちゃ(笑)……l10てん以下略”
(寄生ペット2体+犬星人14体。100点取得、14点切り捨て)
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