山田雅史(?歳、眼鏡)は生き残った。
♪ち――――――――――――――――――ん♪
“それぢわ ちいてんを はじぬる 00:00:00”
「…」
「…?」
「…えッと?」
「ガンツが採点始めるぜ」
「はァ?ガンツ?」
「うん、ガンツ」
「なンだ?この玉の名前?オマエ付けたの?」
黒球を指し西を見る主人公。
「いや前から…」
“犬……やるき なちすぎ ベロ出しすぎ シッポふりすぎ 0てん”
「はぁ?」
「ベロ出し過ぎ…だって…。そりゃそうだ」
「くははは」
「キュウウウウン」
項垂れて脇へ移動する犬。こいつはどういう認識で黒球の前に座ったんだろう?
数回生き残る…黒球の前に立てば転送されて、もう部屋に呼ばれなくなると思ってるのかな?
だからガッカリ?
「落ち込ンでンだ。ははは」
“メガネ……やる気は みとめられるのだが… 0てん”
「これ。山田…さん?」
「…」
「えっ。何これ?…何の点数?」
“かとうちゃ(笑)……やくざやに~ おこられた 0てん”
「…」
「…さぶ…」
「…ウケ狙ってんのか?これ」
「う~…。ちょッとドキドキしてきたぞ。俺何点だろ…。
ちょッとおもしれーかもこの採点。何の採点か、さッぱり分かンね―けど」
“西くん……3てんtotal90てん あと10てんでおわり”
「3点って…いいのか?」
「ちっ。3点かよ…」
「じゃあ…俺は…」
“くろの……ホケーとしすぎ 0てん”
「計ちゃん…」
「…ぷっ」
「オマッ 今笑ッただろッ」
「…」ニヤニヤ
「む~」
噴き出した西を睨み頬を膨らます玄野。
“佐藤(?)……1てんtotal1てん あと99てんでおわり”
「1点…ッて、しょぼッ」
しょぼ言うな玄野。0点よりマシですぅ~。
「これホントに何の点数なんだ?」
加藤の呟きを無視し画像を見る。
名前の横…眉より上で切り揃えた前髪におさげ頭の似顔絵。
ほほぅ「私」はこんな顔なのか、ってあの娘じゃないの?これ。
鞄を漁ると生徒手帳があった。ぉおぅマジか。
“私立勢綾高等学校 1年 小島多恵”
私はタエちゃんの姿をしているようだ。
道理で、玄野の身長が高く見えるはずだ。
小島多恵ことヒロイン3号。4人登場するヒロイン中唯一最終話で生存かつ主要キャラしていた。運動能力は並?な女子高生。主人公のクラスメイト。
身長は147cm(小6女子の平均値)。私と20cmも違う(笑)。
小島宅は玄野の下宿先と近いので利用線が同じかもだがネギ星人狩りに小島参戦なんてさすが夢だわ。ゲームかよ。
「…ねぎ星人はコイツが送ッて、ねぎオヤジは中坊が始末したから
指令?のターゲットをヤッつけないと点数つかないンだと思う」
「ねぎ親父?大人のねぎ星人ってことか?」
「あーまァ、そー…だと思うけど…ドコまで覚えてる?
ねぎ星人が2階から飛び降りて佐藤に捕獲されたトコは?」
「えっ この子が?」
驚いてこっちを見る長身。
加藤は捕獲したとこ見てないよ。それとその言い方だと私が素手でクリ―チャ―捕らえたみたいで、なんかイヤ。
記憶喪失2人に対し玄野が雑な説明を終えたところでガンツの表面から全ての表示が消えた。
もう飽きてきたな~まだ終わらないのかこの夢。ねぎ星人編終わんないと覚めないの?
「アレ?終わり?……ドコ行くンだよ」
「外。ドア開いてるぜ?」
廊下へ向かう西が振り返り玄野を見る。
「えっ。ホントにっ?」
西の発言に食いつく山田。
「…」「…」
「ちょっと待てよ…。こっちは訊きたいこと山ほどあるんだけどな」
「そうだ…!オマエいろいろ知ッてそーだし」
西センセーに質問会を提案する玄野たち。2人は西を睨んで、ない。
「いいぜ。…俺の知ってる範囲でなら」
「あっ!あっ、僕は帰ります。明日早いんでっ」
帰るの?山田。質問会に絡まないのか。
部屋を見回してから西の横を通って廊下の角に消える。
「…」「…」「…」
キィ ガチャ――ン
マジで帰っちゃった。私も帰ろーかな。
「…で、訊きたいことって?」
西に訊かれ瞬きしてから顔を顰める玄野。
「ンん。何から訊こー…。あ…あ…。何、なンなンだ一体…」
「何が…?はぁ?」
玄野の質問?に西が訊き返す。
おーい、それじゃ誰が聞いても何だか分からないよ~。話題を絞れ、整理しろ。
「それって、この状況について訊いてます? 星人の正体。ここに呼ばれた理由。
私達の生死…」
「そうソレ!なァ俺達ッて生きてンのか?…電車に思いッきり轢かれたンだ。ソノはずだ。
ソレに…俺こンなカッコなのに誰も気にして無かッた。
もしかして見えてなかッたンじゃ…」
外歩いてる時は堂々としてたのに(笑)今頃気付いたの?玄野。
「そーいえば…」
計ちゃんコスプレしてたな、とか続けるなよ~加藤。話が逸れる。
「生きてる。…」
言ってから迷うような表情をする西。
「ンだよ…。本当なのかよ、オイ」
「…死ぬ寸前に助けられた者が、ここにやって来る。そう思っているよな?」
「…違うのか?」
「たぶん、俺の考えでは本体…オリジナルは本当に死んでる…」
「はァ?」「!?」
センセー、2人が話に付いて来てません~。
「ここにいる人間は…。ファックスから出て来た書類なんだよ」
「は?何が?ファックス?」
比喩が高度すぎて理解できない、と目を細める玄野…って言うと馬鹿にしすぎだな。えーと。
マシな表現考えるの面倒。
「ああ…コピーだ」
「コピーって…そんな」
「ガンツって、かなりいーかげんな奴だから…
前にいたおっさんは帰ったらオリジナル死んでなくって…」
「なん…だそれ…。ちょっと待て、それって同じ奴が2人に増えたってことか?」
「困るじゃん。どーすンだ住むトコとか」
「さーな。…ま、平気だろ滅多に無いケースだ。でも俺の仮説はそれが理由」
その滅多にない事例になる筈だった娘は存在しなくなったんだよね、この夢では。
私はオリジナル岸本とコピー岸本は違うキャラと思っているのでちょっと残念。
「…」「…」
無言で顔を見合わせる玄野と加藤。2人とも蒼褪めた顔色。
話進まないから後にしろ。それと自宅にも病院にもオリジナルは居ないから気にすんな。だいたい走行中の電車に人間が追突されて生きてる確率ってどれくらいだよ。手首切った岸本と違うんだからさぁ、あのあと何が起こったら軽傷で済むの?
は?紙とペン?貸してもいいけど連絡先交換なら帰宅中にやれ。っつか玄関開いたからケータイ使えるんじゃね?
「…」
座り込む玄野たちを西が黙って見ている。まさか、
待っているのか?
この西、変だっ。偽物?ひとことの嫌味も言わず大人しく待つよーなキャラじゃない(笑)。
もしかして加藤が怒ってないからか?玄野たちからの敵意が無ければ穏便に接していたのかな?マンガでも。必要なときの連携用員にキープしとこう、みたいな。
何も知らない囮使うにしても単独で時間内にミッションクリアはキツイだろーし。
「加藤、ケータイ持ッてね―の?」
「まぁな。使わね―し」
訊くなよ玄野~。お小遣い無いうちもあるのよ?
そーね、私用ケータイなんて無くても困んない道具だよね。遊ぶ暇の無い人間にとっては。
「…他に質問は?」
「あ、えーと」
「そーだ。増えちゃッたオッサンのコト、前のッて言ッたよな…ッてコトは」
「ああ。俺が初めてこの部屋に来たのは1年くらい前」
遠い目をする中学生。
「昔から、ずっと繰り返して来たんだよ今夜みたいなこと。
俺が来るよりずっと前からこの部屋は、常に何人かずつ…
死んだ筈の人間が連れて来られて、死んだらまた補充して。
何人も見てきた…人が死ぬとこ。
今回なんかよりスンゲーのも…いっぱいあった。
俺はそん中で、ずっと生き残り続けてきた…!」
「…」
「…チッ。マジかよ。こンなのに何度も呼ばれンのか…」
癒しを求め弟を思い出しているのだろうか天井を仰ぎ目を瞑る加藤。
配点の少なさとかで予想していてもショックだったのだろう舌うちして暗い顔をする玄野。
2人は悪い想像で頭がいっぱいらしく「人が死ぬとこ」から興奮しだした西に気付いてない。
ネクロフィリアな少年にドン引きなのは私のみ。
「…他に無いなら俺、行くけど。
あ、そーだ。
帰っても、ここのことは…誰にも話さない方がいいぜ? 頭バーンだからな」
加藤が「バーン?」とか言ってたが無視。
質問が無いことを確認したあと警告を残して西は去った。
何か色々省かれたような…
ま、いいか。
タクシーで移動中。
夜景が後ろへ流れてゆく。やっと帰宅だ。長かった。
じつは人生初タクシーなのよね。いや初とは言えないか?夢の中だし。
フツ―に一般車の後部座席だなぁ。
「あいつってさぁ」
「ン~?」
窓の外を眺めながら呟く加藤に訊き返す玄野。私はその間に座っている。玄野と小島は小柄なのでわりと余裕ある。「あいつ」ってどれよ?
「あのおっさん達のこと見捨てたのかなぁ?戻って来なかった奴らって全員、その…」
「あ~見捨てたッつーか…。ッてオイ加藤ッ」
西のことらしい。
主人公は途中で気付き運転手をチラ見。
うん、あれは囮作戦ののち見捨てたってカンジね。
初めて黒球部屋に呼ばれた人間(一部例外あり)…新規メンバーをターゲットにぶつけ情報収集と囮に使うのが西の常套手段。
「…何であんな嘘吐いたんだろう。
あいつが賞金とか言わなきゃ連中も探しになんか行かなかったよなぁ。
電車見て帰ろうとしてたし」
玄野の態度に気付かず言葉を続ける加藤。
こんなとこで頭破裂しないでね?去り際に西が告げた言葉の意味わかんなかったわけじゃないだろ。……だよね?
「ここのことを話す」と「頭バーン」。
つまり黒球部屋含む星人狩りに関する情報を関係者以外へもらすと罰として頭を爆破されるのだ。
まぁどんなに詳しく話しても聞き手(この場合は運転手)が信じなきゃ大丈夫とは思うが、こんな逃げ場無い場所で試さないで。ミッションと違って自分で洗わなきゃいけないんだぞ脳漿とか血とか脂とか。
運転手が驚いて事故るってこともありえる。
なんてね。考えすぎだね。あと数十分で終わるもんね、この世界。稀な体験でした○
「そーかもな。でも、そーいうルールかもしれないし…分ッかンねーな~。
訊いてみれば?次ンときにでも」
「次って…。…はぁ…意味分かんねぇ…」
「…」
頭を抱えて唸る加藤を静かに見つめる主人公。西の意図に気付いているが教えないらしい。
こっちにも視線を向けた後、前方へ向き直った。
当事者が居ない今、彼の行動を説明して加藤を怒らせる気は私にも無いから安心しておくれ?
玄野の下宿先“ひばり荘”前。
2階建て8部屋のアパート。玄野の部屋は2階左隅で階段登ってすぐ。
暗い自室を見上げてから停車するタクシーへ振り返りちょっと笑う主人公。
「ンじゃ。…。また…今度…」
「ああ…。またな…」
ブウウウウ…
走りだすタクシー。遠ざかる主人公はこちらを見送らずさっさと階段を上って見えなくなった。次は小島宅。マンガと同じくタクシー代は加藤が奢ってくれるらしい。電車事故に巻き込んだ玄野の分だけでなく初対面な小島の分まで持ってくれるなんて太っ腹だねぇ。
「あ!あのさ…さっき、な…。
その、ありがとう。俺ちょっと考え事してて。次からは無いようにするから」
追い銭よろしくタダ乗り少女に礼を言う加藤。
こっちの台詞に被せるなよ~(笑)いつの何について言ってるのかさっぱりだし。
どういたしまして?
…キィ
バタンッ
ブウウウウン
リアウインドウから見える加藤は笑って手をヒラヒラしていた。
…さらば、ギャップ萌え。
小島宅。
現在部屋のベッドに横たわっている。うつ伏せで制服のまま。鞄は部屋の隅。
勧められた夕飯と入浴を断り直行した。夢の中で食事とか危険だ。理由は……わかるな?
小島の部屋は、なんというか、掃除し難そう。
画材・イーゼル・作品(?)が並んでいるカワイイ部屋、だったと思う。
それらしいものがゴタゴタしている、と言うのも電気付けてなくて輪郭以上視えないから。
玄関…小島母…廊下…階段を通り過ぎるとき懐かしい気持ちになったのは何故だろう。
部屋の描写がある話は小島が可哀想であっさり読んだのに。
まぁ、アクション回以外は総じてあっさりですけど(笑)。
部屋が暗くて時刻を確認できない、21時前後だろうか。
あ~も~動きたくな~い。フカフカ
…
…
?…
???サワサワサワ
あれ?いつものとこにケータイが ない…。
どっかに置き忘れたか…
…
ヤバい。
起きろ。起きるんだ私。
2度寝したら遅刻する。起きなければ、まだ真っ暗だけど。
今日からまた愉快な一週間が始まる。まずは朝陽を拝む前に出勤だ、世知辛いことである。
よいしょっ。
パタン
…。
上体を起こしつっぱった両手を視点に横を向いて足を畳に乗せ…れなかった。
畳をすり抜けた踵が固い平らなモノに当たる。ツルッとした木の感触。
?…パタ パタパタ
布団は木枠に収まり枕許と足元に柵が付いている…ベッドだ。
ゆっくり踏み出した足裏は靴下越しに絨毯のモフモフを感じた。
ってゆーか小島部屋のままじゃん。
私は何の盛り上がりも無く 奇妙な事態を理解した。
ねぎ星人編終了(日常回を挟み)田中星人編へ続く。