前回のあらすじ:
ガンツソードでデカい虫を迎撃した加藤は通路に倒れた。
===◇○○===
一段暗い明るさだ。
太陽光と蛍光灯の違いだな。
現在俺は帰還途中。球面からのびるレーザーがヘソ辺りを描いている。
船上に残る下半身に衝撃は感じないが床の感触はある。今更だが不思議なもンだ、転送ッて。
残りは脚先。ブレードの切先は尖り特典武器のコードが腕に触れる。
「…時間切れ?」
こッちを見る山田。その隣で指を曲げ伸ばすのは小学生。俺に訊かれても困る問いだ。
他もターゲットが残ッているのに転送されたクチか。答えるメンバーはいない。
北条は俯き浦中は両掌で顔を覆い桜丘は俺の左手を握る。静まりかえる室内。
「えっ もしかしてやばい?」
「!」
「いや、何か起こるかもって話。球の表面にも出てるけどレーダーのカウントダウンタイマー
転送される前に0だったでしょ。ミッション失敗なら……ペナルティーが、あるかも」
「ペナルティー?」「…」
沈ンだ雰囲気で気付いたらしき苫篠の質問に答える山田。
いやソレも懸念のひとつだが俺と桜丘・浦中が落ちてンのは別の理由。
「未だなのは加藤とJJと4人組と、ばあさんと…」
「あ…」
「へぅ」
「?」
「ふぇぇぇぇええええええええええん」
「…」
「びぇ”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”…」
部屋を見回し呟く北条。泣きだした亮太を山田が抱える。え、また…?
「でっかい虫に。JJさんも…」
「っ」
山田の証言に息を飲む風、ガンツをチラチラと見る。俺も不安になッてきた。
「岡崎もやられた」
「岡崎くん…」「岡崎さん…」
アイツはデカイ虫に腹を断ち割られて動かなくなッた。即死だ。
あの4人もヤられたンだとしたら仏像以来の大被害
「リーダーも?」
「おいっ」
「かもな。偽善者プレイ張り切ってたし」
「なんか知っちいるんか?お前」
苫篠の疑問に答える西。しゃがんで床へ落としていた視線を風へ向け笑みをつくる。
「時間ねーのに一般人のお守してたぜ。死ぬのが順当だ」
「…」「…」「…」
人型は弱かッたから他の脅威…終わり間際に出たオバケ蠅は加藤のトコにも出たッてコトか。
片手間でアレの相手はキツイだろう。でも
「あいつは簡単にくたばったりせん。そげな無責任な奴じゃなか…
バンッ
「ガンツッ!!」
うわ、ビックリした。
奥の部屋から出てきたのは和泉。堅い表情で西の前を横ぎる。
風が良いコト言ッてンのに何だよ?バイク部屋で何を
「次だ はやく次を転送しろ! っあいつを出せ!!」
黒球の右横に跪き片手を中へつッこむ和泉。左手のソードまで使いそーな剣幕…
「あいつ」ッて誰だよ、あと戻ッてない奴は…
へ?
そーいや居ないじゃんアイツ、まさか…
ジジジジ…
球から出たレーザーが黒い頭頂部を描き始める。高さは俺の腰より下。
ジジジジジ ジジジジ
現れたのはXショットガンを構える小柄な姿。
床に座り立てた両膝の踵は揃えていない。
後方へ身体を揺らしたあと周りを見て立ち上がる。耳と首を撫で眠そうな顔。
「…何してんの?」
最後に、固まる和泉を眺め呟く。
♪ち――――――――――――――――――ん♪
いつもの音が鳴ッてしまッた。
「くッそォ…」
誰かが悔しげに呟く。
やめろよ、言葉にすると余計惨めだ。今回の脱落者は8人か…
「クロノくん…」
俺の顔を覗き込むのは桜丘。
あァそーだよ!言ッたのは俺だ。今更何言ッたッて無意味だ。失われたンだ、アイツは。
…歩に何て言えばいい?
「犬、トータル1点…」
お通夜のような空間に静かな声が響く。
黒球正面から移動した犬を凝視する佐藤の呟きだ。犬から間合いを充分とッた位置で。
犬は今回も0点か、やッぱいぬ星人ミッションの得点は奇跡だッたな。
ッて何でいま口に出した?
「次は…え?」
“サダコ 103てん TotaL103てん 1O0てんめにゅ~から選nで下さい”
どういうことだ。瞬きしても表示は同じ。100点だと?しかもサダコが。
誰も言葉を発しないうちに画面が変わる、“100てんめにゅ~”だ。マジで…
“1 記憶をけされZ解放される
Ⅱ よし’強力な武器を与えられる
3 MEM○RYのΦから人間を再生でちる”
全ての特典は文面通りだと証明されている。ッてコトは…
「そっか、途中で数えんのやめちまったから。
やつらが1匹1点でも100点たまるくらいにはヤッつけてたかも」
「でかい虫の点数が高かったんじゃね? あいつは応戦してたろ」
「あー…」
「きもかったなぁ。あれは」
「誰が倒したのかいまいち判んなかったけど」と続けた北条の意見に苫篠が口を挟む。
オバケ蠅の様子を思い出したのか蒼褪める北条たち。近藤は吐きそうだ。
サダコにヤらせて隠れてたの?オマエら。
「…」
北条がキッチンへの出入り口に目を向ける。倣ッて他のメンバーも。
サダコは壁の後ろに居るようだ。
壁を切り取った枠から黒い手が覗く。そのジェスチャーはVサイン。
武器か。ガンツも理解したのだろう、特典項目が霞ンでゆく。
!
次の山田も100点超え。
…何だ、悩ンで損したな。
=========
「2番だ」
画面が変わる前に宣言する近藤。
山田以降、西・北条・亮太・浦中・和泉・苫篠と続き全員100点超えだった。
山田が老婦人、メンバー達の反対を押しきって亮太がJJ、浦中が岡崎を再生した以外は武器を選択。まぁ野宿星人多すぎだったよね、巨虫は10点以上だったのかも。
誰も解放を選ばないのは、亮太への遠慮だろうか。
記憶トぶ前のアレ…ガラスの割れる音だったとしたら私は落下物によって怪我をしたっぽい。
直前の振動で耐久を削られたであろうガラス製の天井を屋上あたりから落ちた物が砕き破って丁度私の頭上に…
いや直撃だったら私いま此処に居ないよね、スーツ壊れてたんだから。
“くろの 135てん TotaL135てん 1O0てんめにゅ~から選nで下さい”
「よしッ よし!」
「待て、玄野」
特典画面に喜ぶ玄野。の行動を制する和泉。怪訝そうな視線がロン毛へ集まる。
「?」
「知ってるか?俺たちは複製って説」
「ああ。オリジナルが死ンだから呼ばれた、ガンツにコピーされたッて仮説だろ。ソレg
「マジで?!じゃあ俺って俺じゃなくて俺の双子なの? 生き返ったんじゃねーのか…
例えばあの婆ちゃんは婆ちゃんの双子の双子の双子の双子n
「多い」ベシッ
「った~ ぼこぼこ叩くな!バカになるだろっ」
玄野と和泉の会話に苫篠と近藤が挟まる。
「…とにかく、俺たちはガンツに選ばれ戦闘員として複製されたんだ」
「いや、だかr
「加藤は一般人の救助を優先していたらしいな。風、だったか」
「?」
「エリアへ送られる前はそんな服装じゃなかったよな?」
皆がスル―していた風の恰好にツッコミが入った。確かに気になるけども何なの?ロン毛。
「もしかして、一般人に姿を見せたのか?」
「!」
「はァ?そンなワケ無いだろ。前回のことは加藤も理解してた筈だ!」
「…」
和泉の問いに驚き玄野の証言に蒼くなるジャージ男。
「前回のこと」はミッション中一般人に姿を視られた場合の厳罰疑惑か。
「そうだ。姿ば見しぇて一般人ば誘導した」
「…」「…」「…」
「おいッ おいおいおいおい 何やッてンだッ オマエらッ」
「やっぱりな…」
「?!」
頷く風に慌てる玄野。「やっぱり」じゃねーよロン毛。もっと簡潔に言えっての腹立つ。
「気付いてないようだから言うが、リストに奴は載ってない」
「!」
ドヤ顔の発言に凍るクウキ。
マジで?“MEM○RY”に加藤の写真が無いの?
それって…
「一度決めた選択は変更出来ない可能性が高い。だから止めた」
「…ウソ…だろ…」
「ルールを重視しない奴にチャンスは無い、って意味だろうな。
それとも一般人を構う戦闘員は不要ってことか。だから3番は選ぶな、無駄だ」
一般人を救助&姿を視せた罪で退場後の被再生権を失った、か。
“MEM○RY”はメンバーの死亡者リストではなく再生可能者リストって解釈だ。
何度目かの重たい沈黙に放置される3択。
…う~ん。一理はあるけど、
メンバーの扱いとしては中途半端かな。マンガで採点までに戻って来なかったメンバーは総じて退場していたし3代目加藤は最終話まで生きてたから断言は出来ないけど違う気がする。
ルール違反は再生も禁止なら他も同じはず、ねぎ狩りでエリア外へ出た鈴木氏はリストに載ってる。
フラフラした玄野が2番を選びバイク部屋へ消え暫く、風の選択が終わった。
何か起こるなら今…?
「おい」
黒球を見る私に声を掛けるのは和泉。
「…。時間切れのペナルティー、あるとしたらどんな内容だと思う?
俺の予想は…」
時間切れの罰は次ミッションにノルマが追加されることだけど、関係無いと思う。
全員の点数が付いたし前回までの得点も没収されなかったから、たぶん時間切れ扱いじゃないよ今日のミッション。
それよりも加藤の扱いだ。
退場したのに再生出来ないメンバーは主催者の方針なのか?
単なるバグリなら次回には記載漏れが改善している?
加藤弟はしっかり者だから短期間なら独り暮らしは可能そう。問題は
「聞いてる?」
いや全然。どうしても「予想」を披露したいならセンパイかそこらの壁に聞いてもらって。
「あのさぁ、そっとしておきなって。ちょっと執拗いよ」
「黙れ雌豚」
「はぁ?」
「お前は賢いと思うけど、ひとつ間違っている。
それは凡人に期待したことだ。俺たちについてこられなかった奴のことは忘れろ」
桜丘への暴言を挟み話し続ける和泉。
蹴られて■ね。姐御は肥満じゃねーから、手間の掛かった芸術だからっ。
同類と錯覚されそうな言動もやめろ、迷惑だ。
私が「賢い」なら小島もお前も此処に居ないし、ひとつ以上と言わず日常的に間違えてるし、加藤のこと言ってるならあいつは凡人じゃない。
希少種と判断していないのはお前くらいだろう、五体満足で今まで生きていたのが奇跡なレベルの絶滅危惧種、それが加藤だ。
忘れるのも無理だな、
ほら
聞こえるだろ
ジジジ ジジ ジ
見間違いや幻でないのなら
黒球からのびるレーザーは頭頂部を描き始めた。
俯く北条「人間っぽい奴消すのも嫌だが、デカイ虫とか無いわ。つかれた」
JJは乗客たちの、岡崎は(偶然で)浦中の盾になり退場。
黒球部屋転送後全回し意識を取り戻した和泉は西くんに(自分気絶)後の経緯を聞きオリ主の重傷を推理した→ガンツを急かす。
近藤はデカ虫の体当たりでバラバラにされた人体を思い出して吐きそう。