野宿星人ミッションクリア。
老婦人・JJ・岡崎が退場するも特典で複製されメンバーに復帰。
ターゲットの“なかマをふやす”性質により追加ミッション“蠅”狩り発生。
加藤は頑張った。
「あ!!お母さん!?あと15分で帰るから!!」
5月13日月曜日。
下校後小島宅から加藤宅へ向かう途中、少女の声が聞こえた。
立ち止まり見おろすと人通りのない路で歩きながらケータイを耳へあてる女子学生が一人。
ちょっと態とらしくて必要以上の声量だったからか母子間のありふれた状況報告が、なんか耳に残るっていうか気になるっつーか、
他家の屋根上でしゃがんでいると新たに視界へ入る通行人。
そいつも少し遠い彼女を眺めていた。
… … …
寺社沿いの寂しい路をすぎ着いた公園で振り返る女子中学生。
満開の藤棚に映える整った造作を曇らせ一点を見つめる。
ザッザッ…
美少女の視線を浴びながら前進するニット帽。
偶然通り道が被ったのか、警戒する彼女の横をそのままゆっくり通り過ぎる
「…。…ほっ
!!」
…はずもなく女子中学生の背後をとり美貌へナイフを翳した。
「動くな…。
視える?ナイフ…。動いたら刺すから…」
「あ…」
「怖いか?」
驚きと怯えで舌の回らない美少女の正面へ移動しながら分かりきったことを訪ね顔を近付けるニット帽。
「へぇ…。かわいいじゃん…。
これから、おまえ死ぬと思うけど。どう?どんな感じ?」
ナイフを見せびらかしつつ、半殺し以上の危害を加える、と宣言する他人に何も言えない女子中学生。目から涙が零れる。
ポロポロ
「何?泣くだけ?死んじゃうんだけど…。
どーしようかなぁ、おなか横に裂くとドロッて腸が出てくんだよなぁ…
顔の下半分切り落としちゃおうかなぁ」
「何、やってんですか?」
悦ぶ男の耳に第三者の声が届いた。
「何やってんですか?」
「なんだよ、おまえ…」
もう一度訊く中学生くん。首を捩り彼を視認するニット帽。
獲物が助けを呼ばないよう牽制か闖入者から視えない位置で女子中学生にナイフをつき付ける。
関係無い通行人なら見逃す、違うなら…
「そのコ…。俺の彼女なんだけど
!?」
ズシャッ
関係を明らかにする少年が話し終える前に動いたのはニット帽。
一拍あと悲痛な声が響き渡った。
「ぎゅえぇぇぇぇぇ!!あ”あ”あ”…」
「…」「…」
喧しいこの変態が。
今にも死にそう、とアピる下品な悲鳴は私へ背を向け跪くニット帽が発している。
関節も外れてないのに大袈裟ねぇ(自身と似たような形の生き物を切り刻んで悦ぶタイプの)殺人犯の反応とは思えない。
9時方向から小島の横顔へささるのは被害者とその(偽称)彼氏の眼差しだ。
「ふひぃぃぃぃぃ!ぐすぐす…」
「…トンコツの…友達?」
「…」フルフル
小島が小中学生に見えるからか彼女に確認する中学生くん。
かぶりを振る女子中学生は(ハンドルネーム)トンコツ、未だ顔色が悪い。
丸腰で危ないことするから~、
マンガ読んだときも思ったのだが君(ら)は本当に危険人物を見つける気があったのか?
それなら防犯グッズのひとつやふたつ持っとけ、大音量が出るやつな。
小柄美少女の自覚が足りん。友人のノイローゼを緩和する目的で始めた通り魔探しだから見つける必要は無いが最悪の事態を想定していたにしては、あっさり追いつめられすぎ。
通りすがりのガンツメンバーが手を出すなんてこと滅多にないんだからねっ☆
彼女の台詞と状況からイベントを連想した私の行動はこうだ。
トンコツとニット帽目撃後、奴(のバタフライ・ナイフ)を警戒。人気の無い公園で通り魔と化したニット帽がトンコツから離れた時点で周波数を戻し、目撃者兼リア充へ辿り着く前にナイフごと片腕をとり肩関節を極め制圧。通り魔含む3者はマンガと同じ行動をしてくれたので難しくはなかった(少年、回避くらいしろ…)。野郎共への目隠しに使ったトンコツはバチバチ音を聞いた筈だがそれで透明化装置や黒球部屋を連想することは無いと思う。
“黒い球の部屋”ファンでも無いだろう。
通り魔イベントが今日とは。
10点騎兵狩りと大規模ミッション1回目の間にあった事件と記憶してはいたけど遭遇するなんて驚いた&意外だ。(マンガではガンツメンバーだった)中学生くんに(クリ―チャ―)狩り経験とガンツスーツが無いからイベント自体消えたと思ってたよ。
マンガはトンコツが刻まれそうなところで中学生くんことチェリー(←ハンドルネーム)桜井が颯爽(笑)登場し腹部を狙って突き出されたナイフを(制服に穴が開くことを嫌ったためか)ガンツスーツでコーティングした掌で受けとめ追い回したあと無力化、って流れだったか。
学ランだけでは危険な立ちまわりだ。
「きみは、いったい…」
困る質問きました。でも答えは用意してある、
「執行代理人」
「?」「?!」「!!」ビクッ
「…ではなく、通り魔Gメンです」
嘘だが。
「…」「…」「…」ガクッ
(Gメンて、あの?)
(フィクションでしょ?)
私の答えに揃って首を傾げるラブリーカップル(予定)。
内緒話すんな本人の前で(笑)言い分のおかしさは解っている。
「お手数ですが通報をお願いできますか」
「あ、はい」
「あたしがするよ!」パクッ ピッピップッ
「…」
「彼氏くん」
「?…あ」
「それ、拾っといて下さい。証拠品です」
ジト目×2をスル―し話を進める。
全員(致命)傷無くよかったね、通り魔は脱臼くらいしてもらおうか?
ロープの持ち合わせが無いのは有り物を使うとして、トンコツは怖がってるだろうし桜井に踏ませとこう。証言者は2人で充分だろ加藤宅へ行かねば、遅刻だ。
「えっと…え?」
通り魔本人の着衣で両腕を、靴紐で両足を縛りながら指示すると桜井の戸惑った声が。
解ってると思うが素手で触らないでね、と思いつつ証拠品を見て理由に気付く。
電話しに離れたトンコツを目で追う彼に拾わせた凶器、バタフライ・ナイフが眉用鋏みたくなっていた。
不自然にカールしたブレード。
ひょろ腕をひねるとき事故を防ぐ為に摘まんでいた部分が曲がった様子。やだ(スーツの力で普通にねじったら折れる通り越して千切れそうなので腕共々)優しく扱ったのに粗悪品。
尚更はやく去らねば。証拠品破損した、ってお巡りさんに叱られる~
「もしかして…きみもチカラが…?」
新しい出鱈目を考えていたら桜井からおかしな問いを投げられた。
?
…?
あぁ「チカラ」って超能力のことね。
護身術は腕力差あっても知識と経験無い奴へ背後からなら成功するとして、ブレード変形をスプーン曲げ、とでも変換したか。あれは異能というより手品じゃね?
いや桜井が超常現象を信じる夢いっぱいな少年だとか超能力者なりきり厨二病なのではなく当然の推理。マンガ通りなら彼は超能力弟子なのでマジものの異能者だから超能力=実在する特技であり日常。彼の師匠は銃弾を掌で数回受け止めてたし、銃(+α)を装備した長身男を数m持ち上げるレベルの念動力使いが実在するのだ、この世界には。
…う~ん、観たいけど我慢。
「…まぁ、そんなかんじです」
「やっぱり。きみも罪を清算する為にこんなことを」
「はい?」
「…。…僕はこのチカラで人を殺した、何人も。それが苦しくて…
奪ってしまった命のぶん人を救いたいと」
現場を押さえ人殺しから被害者を救う、
彼自ら思い付いたように語っているがマンガ通りなら「通り魔捕縛計画」はトンコツの勧め。
それも問題だが、へんなこと言ったね今。
桜井の師匠も虐め被害を相談(?)した相手から超能力因子を貰い加害者殺害に至ったらしいが誰もがきみと同じ過程で行動するわけないだろ。
超能力師匠は通り魔探しなんてしなかった(と思う)し小島はただのぼっち。
マンガの桜井はミッションで気分転換できていたのか、こっちの彼のほうが参っている様子。
よく視たら隈が濃い。
こういう場合説教稼業はどんな答えを返すのか、ガンツメンバーの私に懺悔されてもなぁ。
「それは、偶然襲われたのではなく通り魔と被害者を探していたってこと?」
「うん。今後何人救えるか…一生をかけて償いを
「しなくてよろしい」
「!」
小島の口からうっかり出た否定の言葉を聞き顔を上げる桜井。通報を終え彼の横に来たトンコツは瞬きする。
「犯罪捜査は警察の仕事です。自重して下さい」
「え」
「余計な手出しであなた方が害されたら犯罪の助長です。
単独捜査も意味不明ですが刃物を防ぐ術はあったんですか?超能力者くん」
「でもきみだっt
「あるんですか?」
「…ないです」
「?!」
桜井の役立たず表明に驚くトンコツ。
そうだよ、かなり危ない状況だったんだよ。きみは勿論桜井も。
マンガの彼女は彼の念動力で持ち上げられただけでサイコメトリや霊視も出来ると思い込んでいた。刃物もATフィー◇ド的な不思議パワーで防げると楽観していたのだろう。
今の桜井はそこまで人外じゃない。
「話になりませんね、もしかして通り魔は刃物を持っていないとでも思っていたんですか?それは流石にありえないか他人は襲われても身内は安全という謎の自信を持っていたとしても。彼女はあなたの何でしょう?助手?囮?捨て駒?2人も殺めている犯人を女性独りで探させてどうなるか想像しました?昼間の往来で襲われない根拠は?犯罪者は捕まるリスクを計算するって決まりでもあるんですか?娯楽として殺人を選ぶような馬鹿に常識はどれほど残っていると思います?それに危険へ首を突っ込むパートナーなら使える超能力について詳しく説明しておかないと。切り札を曖昧にするなんて遊び半分にも程があります。出来ることと出来ないことを理解していなかったから彼女は恐ろしい経験をすることになったんですよ。PTSDって知ってます?あ、質問意見は後でまとめてお願いしますねトンコツ嬢。チェリーくんは泣き真似してる場合じゃありません。最初からあなたの問題です。どうしても陰のヒーローしたいなら独りでやりなさい勿論家族や友人を悲しませないように出来るだけ準備をした上で。そうだ老若男女多様な囮を演じられるよう特殊メイクの先達を紹介します序に護身術も学べてお得ですよ生き残れれば。変な人間を襲う習性がありますけど超能力を使わなければ平気でしょう。私の知る限り犯罪者を数十人討ちとってますから奴の攻撃を凌げるようになれば大凡の人間には負けない筈です。師事の対価と防刃装備を揃える金策頑張って下さい。学業・鍛練・捜査・内職そして一般人の振りと5足草鞋は眠る間も無いでしょうね、他人に殉ずる人生を選んでも欲求は解消されないと思うけど。さあ連絡先を教えて下さい。完結しないきつく険しい道でしょうが恩人を正義に捧げられるあなたには是非とも踏破して頂きたい」
「…うん…グス…それが僕の…グス…使命だね…」
ん?
返答した桜井を見つめる。聞き違いか?
…。
もしかして変人紹介されたいの? マジで3K活動するつもり? ここは断れよっ。
坂田師匠だって反対すると思うよ(新宿事件不発&ミッション不参加なせいで“怖い人”扱いし避けているなら関係無いが)?
消極的な喚き声を止め足元で唖然とするニット帽は私の言葉を全て信じたのだろうか。
他所で喋ってもいいよ~「マジで言ってるの?」と鼻で笑われたいなら。
マンガでは最終的にテレポート能力まで使っていた桜井が想像力でどこまでチートを実現するか心配だからって不可視化を解いて通り魔を制圧したのは失敗だった、桜井たちと知り合ってしまった。
この2人のみなら平気かもしれないが超能力師匠こと坂田さんの勘はヤバい、即死効果のある隠し事を持って遭いたくない。これ以上知人増やすのも記録がメンドい。
ステルス看破が透視(?)の応用なら半透明に視えたかもしれないし、トンコツの目には映らないと知って幽霊と勘違いされる可能性に賭けるべきだったか?
トンコツに接触する前にニット帽を彼方へ送りイベントを無かったことにするのはやめた。
マンガの通り魔と服装が同じだけのニット帽違いな可能性を捨てきれなかったし一般周波数な対象の転送はリスク高いから最悪の状況(=小島の命に関わる場合)以外控えたい。
それに桜井たちにとっても通り魔探しのリスクを安全(?)に体験する機会は要る。今の状況は偶然の結果だ。マンガにない第2第3の通り魔イベントが発生し知らないところで恩人を失くした覚醒チートがホモサピ駆除を始めたら困る。恩人2人の相次ぐ退場がトリガ―なら可能性は低いけど、終章待たずに滅ぶわ東京。
引くのは警察も(途中で何言いたいのか分かんなくなった私の説得(?)よりは地に足の着いた問題点をねちねちと)やってくれそうだから程々に収め押してみた。考えなおす序に私を嗜虐的な危険人物と認識してくれることも狙った。(殺人犯専門の)素人探偵(兼自警団?)を続けた場合べつの危険人物仲間を紹介されるかも、と忌避されたかった。
なのにどうして通り魔狩りに拘る…
マンガと同じなら通り魔の意見は参考にならない筈だし他の犯罪者も君の望む答えは持ってないと思う。寧ろ断罪する過程で後悔してる件と似たようなトラウマが増える可能性に気付いて。
マンガでは生け捕りに出来ていたけれど連中の全てがヘタレもやしとは限らない。
それに君だって解ってるよね?何人助けようがクラスメイトには関係無いって。徳やら霊なんてモノが在るとして「知らない他人をそんなに救ったのか、ならば許そう」なんて言うようなキャラだったのかな?君をサンドバッグと勘違いした奴らは。クラスメイトの血縁を護衛するほうがまだ鎮魂効果ありそう。終わったことをどうしても考えちゃうならもっとどうしようもないことを想像してみたら? 原発や食糧問題とか恩人の生存率なんてどうよ。経験から言わせてもらうなら不快な姿が脳内再生される現象は慣れるしか無いかと。所要時間は知らない。
そもそもマンガ通りにイベントが起きるなら余計なことをする暇は君に無い。
「素晴らしい覚悟です」
それをヤケクソではなく素面で決めた上で実力が伴っているならな。
「ただ、さきほども言いましたけど紹介する予定の先達はスパルタなので、
こんなのに梃子摺るようでは…教えを請うこと自体が自殺行動です。
すぐには紹介できません」
「えっ」「えー?」
ニット帽を軽ーく蹴飛ばしつつ言葉を続けると各々違う反応をみせる2人。
トンコツは嬉しそう。桜井は不満顔。
(弟子入り)採用条件が月謝のみ、なんて誰も言ってないよ。ていうか全部架空の話だからね、
ノイローゼ少年を殺人鬼ハンターに調教する係は存在しない。(人物モデルは存在するけど奴が了承すると思えないし君たちカップルに近付かせたくないから)紹介しようが無い。
しかし要点はそこじゃないので存在するていで続行。
超能力弟子から非公式通り魔ポリス見習いへのクラスチェンジには専用イベントが要ります
ファンファンファンファン…ピーポーピーポー…
おっと時間切れだ。
こっちに来てから耳にする頻度があがった感がある騒音を聞き流しつつ方針を決める。
面倒だけど放置はナイ。
連絡先交換せずに去ったら捜されそう。もう二度と桜井たちに遭いたくない。
何かの間違いでガンツの追っかけに加わられても困る為とある「条件」を出すことにした。
超能力師弟がガンツメンバーにならなかったことで折れてると助かるんだけどなぁトンコツの退場フラグ。寧ろ師弟が弟子の思い付きで退場しそう。
…坂田師匠の活躍を期待しよう。
胃の重たさを感じながら、私は予定の行動へ戻った。
執行代理人=遺族の代わりに敵討ちをする人(「フリージア(漫画)」に登場する架空の職業)。
トンコツ「通り魔Gメンって忙しいのね…」
桜井弘斗「(罪が重すぎて)生きるのが辛い」
空手形ならぬ「条件」内容は終局編で発表予定。