凡キャラでGANTZ   作:フランディーニ

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前回のあらすじ:
通り魔捕縛。中学生二人と少しお話した。




オニ編①

6月15日土曜日。

黒球部屋。

球面は電灯を映し沈黙している。

 

「これで全員かな?」

「たぶん、こんなもんじゃないのー?」

 

黒球の右に座る玄野。視線の先には背広姿の4人、今回の新規メンバー達だ。

茶髪の呟きっぽい問いに答える苫篠。異論は無い。

 

「なんだよここ…」

「さぁ…」

 

部屋を見回し呟く背広AとB。

今回5人目の新規メンバーは3歳くらいの幼児。保護者なし。

「きんにくらいだー」と連呼し風に付き纏っているから実母が日和っているうちになるようになってしまった彼だな。スケッチブックを開き嬉しそうに語る彼に「うんうん」と相槌をうつ風はガンツスーツ姿で呼ばれたので着替えを邪魔されなかったからか或いは加藤弟との生活で子供に慣れたからなのか面倒がらずに相手している、というかメンバーの殆どが幼児に注目している。

 

「可哀相に、こんなに幼いのにこんなとこに来てしまって…」

 

山田の発言に顔を見合わせる背広リーマン4人。

 

「お名前は?なんてゆうの?」

「…」

 

老婦人の質問に答えず俯き、風の後ろへ逃げる幼児。

暴力男が来る部屋には帰りたくないって。

 

「とにかくスーツを着せなきゃ」

「風くんお願いします」

「任しぇろ」

 

風が頷くといつもの歌が流れた。

 

 

 

 

“てめえ達は今からこの方をヤッつけに行って下ちい

 

 オニ星人(オールバックに顎髭グラサンの強面な男)

 特徴     つよい

 好きなもの  女 うまいもの ラーメン

 きらいなもの 強いヤツ

 口ぐせ    ハンパねー”

 

 

「オニ星人…?」

「これ人間じゃねーの?」

「人間にしか見えねー」

 

「スーツを着てくれ!!人数分あるから」

 

指令の感想を言い合うリーマンズへ話し掛ける加藤。

やっぱオニ星人か~。マンガではボスの外見と“特徴”しか検証されなかったな。

ターゲットの好物や口ぐせなんて攻略の足しにならんからどーでもいいが。

 

「あれ着ろって?」

「勘弁してくれよー。何なんだ。どういう意味あんだよ」

 

素で訊く背広Aと嫌そーな背広B、ほか2人は部屋を調べている。

(笑)触れない錠に挑戦する背中は何度見ても面白い。

 

「早くしてくれっ時間がないっ 生きてまた家に帰れるんだぞっ

 俺の言うことをきいてくれっ」

 

加藤の指示にわりとあっさり従うリーマン達。生き残り達の視線にも何か勘づいたのだろう。

ケースの記名は視えなかった。

 

「これから全員の生き残りをかけた戦争に行く!!

 覚悟をしてくれ!!戦争だ!!これから戦争に行く!!

 何人生き残れるかわからない!!でもできるだけ全員で帰りたい!!」

 

「家に帰れるんだよなっ」

「家に帰るっ」

 

加藤の演説を受け、Xショットガンを構えるリーマン(元背広)Bは真剣な表情。ノリがいい。

Aは無表情すぎて変、緊張してんのかな? 生き残れるといいね、マンガと違って。

 

「あっ」「わっ」

「転送が始まった!!」

 

リーマンBの頭部を削るレーザーに驚くA。リーマンズに予定通りだと教える加藤。

スーツに着替え廊下から戻ると風の肩へのせてもらう幼児、すでに親子みたい。はやくね?

小さな頭部が消え始め風の眼光が強まる。

 

「タケシ。すぐ行くけん、そん場で待ってろ」

「はい!!」

 

親子兼師弟?

目頭をおさえる老婦人。ぼやける視界はいつもの仕様。

 

オニ狩りミッション開始だ。

 

 

 

… … …

 

 

 

狩りエリアは街中。

高層ビルの一角“池袋駅”前ロータリー。                     

停まる沢山のタクシーを眺める近藤たちと山田、外国人。うろうろする犬。

周囲を警戒する子連れきんにくらいだー。口元に右拳を当て考え中の玄野。見つめる桜丘。

駅ビルを見上げる岡崎と浦中。コントローラーを見て何かに驚いてから和泉と目が合い舌打ちされる加藤。の肩を叩く北条。背後にサダコ。大きなオブジェに腰掛ける亮太と隣で幼児を見つめ心配そうな老婦人。4人で固まって通行人を気にする新規メンバー達。

 

「ここって…池袋だよな」「池袋じゃん!!」

「なんだよ…」「このまま帰れんじゃねーの?」「駅すぐそこじゃん」

「かみさんに笑われるなー。この恰好」

 

呟くリーマンAに喚くB、肩を竦めるリーマンCとDは電車で帰りたい様子。

でも荷物置いてきたから無理かな?と自らのスーツを引っ張る。

 

「そこのオッサン達 帰るとか言ッてンなよ!」

 

4人へ怒鳴る玄野。

今回のスタート地点はエリアの真ん中あたりなので乗車までなら特に問題ないと思うけど電車が進みエリア・アウトすれば脳が爆ぜるから永遠に帰宅出来ない(ミッションが終われば一般人にもガンツメンバー由来の汚れや匂いを知覚できるのかな?血液や脳漿の付着した一般人の服をメンバー回収と同時に洗浄しているとしたらガンツ凄い)。

 

「はぁ?」「おっさん?」

「タイムリミットがあるんだ。すぐレーダー見てくれ」

 

おっさん呼びに反応するCとAへ微笑み、手首にくっつけたコントローラーを指し示す加藤。

リーマン達が二十代だとしたら「お兄さん」呼びが妥当と思うが高校生の「おっさん」定義は二十代からだって言うし…いやそうすると二十代は三十代を、三十代は四十代を「おっさん」と認識していることに? 

 

「ちっ、おっさんだってよ…」

「数が多いから別れて探そう 2人1組くらいに別れて行くぞ!」

 

ぶつくさ言いながらもモニターをチェックするA、小さくなり消える呟き。

その傍でメンバー全員へ指示する加藤。

マップには沢山の印が並ぶ。

 

「何?池袋で何探すの?」

「なんだよ何が居るんだ」

 

マップを見ながら訝しがるリーマンB・A。

 

「オニ星人だ。たぶん通行人に紛れてる」

「さっきのやつか」

「どんな攻撃してくるかは遭ってみねーと判んねぇ、油断しないでくれ。死んだら終わりだ。

 いいか、死んだら 今度こそ 終わりだ!」

「…」「…」「…」「…」

「今回は避けることに専念したほうがいいと思う、通行人が多い。銃の撃ち方は…」

 

脅しに聞こえる事実確認で静かになったリーマン達へ装備の解説を始める加藤。

当然のように貧乏籤を引くリーダーを気にせず方々へ駆けだすメンバー達。

 

私は奴らを見に行こう。

 

 

 

===□○◇===

 

 

 

駅ビルへ駆ける。

 

「これデスゲームってやつかな?あるじゃん漫画とかの」

「やめろよ~バカらしくなるだろ~」

 

「近くに1匹いる。注意しろ」

 

会話する新規メンバー、ツリ目と坊主頭へ振り返り教えるが注意力散漫な様子。

なんだかなぁ…

柵に到着し地階を見おろすとたくさんの通行人が。周りに靄や怪物など異常なモノは視えない。ターゲットは人混みの中か。

 

「あの辺かな」

 

レーダーで位置と動く方向はわかるがここからじゃどれがターゲットか判らない、先ず降りねーと。後続へ合図しコーヒーショップ横のエスカレーターへ向かう。

 

「どこ?さっきの奴か」

「たぶん…仲間だ。近付くぞ…」

 

坊主頭の問いに返す。ちらっと見た限り指令の顔は居ない、別の奴だ。

全く避けない人波をなんとか進む。多少ぶつかっても気にされないのは分かってるが変な感じだ。

 

「本当に周りの人間に視えてないんだ俺たち…」

 

エスカレーターに到着。上りと下りが隣り合うステップへ乗る。

新規メンバーの呟きを聞き流しつつレーダーをチェック。

おかしいな。

近付いたのにターゲットの動きが変わらない。気にせず歩いている。無視する気か。

まさか、俺たちの目的を知らない? それはそれでやりにくい…

周波数変えてないのに星人から視えてない、俺たちを認識していないって場合はありえるか?

 

「? どこだ?」

 

って新規メンバーに訊いても仕方ない。とりあえず下ろう。

 

「ったく。うしろの婆ちゃん押してくんだけど~」

「ちょっ ぷふふっ」

「我慢しろってぇ視えね―んだから」

「誰もこっち見ね―な」

 

最後尾でぼやく中分け頭にツリ目が答える。上りのエスカレーターに乗る一般通行人を指し同意する坊主頭。

いま視線が合ったような、

混んだエスカレーターに5人分の空きがあったら気になるのが人情として、上りに乗ってこっちをチラ見した数人のうち一人の動作に違和感が。

 

「戻んのか」「何なんだ」

 

降りてすぐ上りに乗る。ついてくる問いと足音を無視し、ひとりの通行人に近付く。

レーダーをチェックすると、やっぱりこいつだ。

 

「こいつが何だよっ」

 

いや星人に決まってんだろ状況を思い出せ。

さっきから恥ずかしい恰好で物騒な道具持ってうろついてる理由は“オニ星人”探しだ。

そんで捕獲。殺害はなるべく避けたい。

そうだ、ターゲットの反撃は当然。飛び道具で応戦されたらマズい、ここは人が多すぎる。

外へ出て、それから…

質問に答えず右手を挙げると後ろは黙った、でもターゲットにバレた!

 

「なんだよ、おまえら」

 

振り返り迷惑そうに俺たちを伺う奴、リュックを背負い眼鏡をかけた明るい髪色の男は一般人にしか見えない。

 

「や、えっと」「俺ら何やってんだろ…」

「俺たちが視えてる。こいつがオニ星人だ!」

「!」「は?」「マジで?」「…」ゴクリ

 

「ああ…警官いねーのかよ…」

 

恥ずかしそうに銃口を彷徨わせた新規メンバーたちが俺の指摘に驚く。こっちを眺めてから呟きつつ周囲を見回す茶髪男。

お巡りさんが居たとしてどうするんだ?と思っていたらジャンプした。

…高い!

逃げる気か。人混みを跳び越し柵へ向かってもう一度。

 

「ぅわあっ」「うっそ」「マジかっ」「すげっ」

「追うぞ!」

 

返事を待たず俺も地階へ跳ぶ。同時に手元からアンカー発射。

空中の俺を置き去りに最短軌道でターゲットを目指す。

着地し駆けていた男は光る帯に捕まった。

 

 

(見た見た?)(何が?)(どこ行ったんだろ。さっきの人)ザワザワザワ

 

通行人たちがざわめく。そっか視えなくなるんだ拘束すると。

新規メンバーも次々飛び降りてくる。

おい、あんまり奴に近付くな。俺の予想が正しいなら何も出来なくなった筈だが違った場合危険だ。ちまき状でも注意しろ。

 

「うわぁ…俺、かっこわる~」

 

光るワイヤーで締めつけられているのに茶髪男は平気そう。他人事って顔だ。

こっちの攻撃方法を知っているなら対抗策が用意されてて不思議は無い。

さっさと転送するべきだが、星人と話せるのなら訊きたいことが沢山ある。

 

「あのs

「撃たねーの?」

 

不思議そうに俺を見るターゲット。お前が言うか。

新規メンバー4人は自主的に捕虜へ銃口を向けている。全員Xガン類。

その立ち位置だと連れに当たるし一般人も近い、トリガ―は引くな。

 

「おいっマジでこいつ宇宙人なのかよっ」

「撃っ撃っていいのかっ?」

「人間にしか見えねーけど」

 

「撃っていいよ…あっでも眼鏡は勘弁、気に入ってんだ~」

 

最後の台詞はターゲット。中分け頭を見て促す。そういう問題じゃないだろ…

 

「やめろっ 通行人が多い!」 

「撃てってば…」ニヤニヤ 

「撃てって言ってるぞ」

「だから撃てってば」

「だめだっ 一般人に当たる 待てっ!」

「撃つってトリガ―2つだっけ?」

「…?なんだよおまえら」

 

もたつくツリ目を訝しそーに睨む茶髪。初心者ってバレたぞ、もう喋るなお前ら。

 

「本当に撃っていいのか?これでもう一度撃つとどうなるのか…」

「あぁ知ってるし。頭から消えちまうんだろ、転送…とか言ったか」

「…どこへ?」

「や、ははは…俺に訊くのー?それ」

「…」

 

周りの一般人が危険だから撃つなよ、という気持ちを込めて4人を睨んでからYガンの効果を訊くと淀みなく答えられた。どんだけ情報洩れてんだ。

でも変だな。佐藤さんが言うとおりメンバーがこいつらの情報源なら今まで生き残ったのに次のミッションに来なかった人たち、つか呼ばれなかった人たちが洩らしたってことになるが、

詳しい奴だったか? 寺のミッションに呼ばれなかったのはガラのわるい男2人。Yガンの効果と撃ち方教えたっけ?…覚えてない。俺たちがガンツメンバーに加わる前、西が加入する1年ちょっと前の頃やそれ以前のメンバーから得た情報だとしても、ミッションの情報バラすと消されるんだよな?訊き出すって無理なんじゃ…?




オニ星人編の新規メンバー(サラリーマンっぽい4人)
 A:坊主メガネ。本名は永島。モブオニAに吐き物をかけられ右腕と主要器官が溶解。  
 B:ツリ目もみあげ。本名不明。腹から象(変化オニ)が生まれ最後に退場。
 C:立て髪。本名不明。既婚者。跪いて降参宣言するもオニたちの吐き物をかけられる。
 D:真ん中分け。本名不明。既婚者。変化オニが内側から背中を破壊。
※マンガではレイカに引率してもらった。天国から地獄。

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